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これは千聖とあなただけの秘密。決して誰にも話しては駄目。
お嬢様・・・・こうなるのが僕達の運命だったなら僕は甘んじてそれを(ry
ひとつお願いがあるの。これからは、ちさと、って呼んでください私のことは(ry
---------(妄想ここまで)----------

いよいよ妄想も最大になってきたところで、突然、後頭部に鋭い痛みを感じた。

うわ、なんだなんだ!?

慌てて振り向くと、まさにいま僕の頭めがけてその真っ黒い物体が再び翼を広げて攻撃してくるところだった。
それは・・・

カラス!? 

カラスが僕の頭に襲い掛かってきていたのだ。その大きく鋭い足の爪で僕に攻撃を加えてくる。ひえええ!
何故カラスが・・・わけがわからない。

「いたたた!! 痛い!痛いってば!!」

カラスはその黒光りする鋭いクチバシで咆哮して、僕に対して威嚇を続ける。それはそれは恐ろしい形相だった。
言葉の通じない相手だけに、その恐怖感はハンパない。

ボールを巣にでも蹴りこんでしまったのだろうか。
なぜ僕にだけカラスが攻撃してくるのか、それならば意味が分かる。
けど、このシチュエーションは妄想に使えるんじゃないだろうか。

「ここは僕が犠牲になります(キリッ)、この隙にお嬢様たちは早く逃げてください(キリキリッ)」
「必ず生きて帰ってきて。あなたを待っている人がいることを決して忘れないで!」
ありがとう、お嬢様。僕のことは心配いりませんから涙をふいて。僕は死にません。必ず戻りますから、その時は(ry

妄想の続きにひたっていたら、何故かさらに攻撃が一段と激しくなった。容赦なく襲ってくるカラス。
奴は僕の頭部のみを執拗に狙って集中攻撃してくるという無慈悲さ、まさに鬼畜。

痛い、痛い、マジ痛い!!
カラス強えええええ。

もうダメだ。とにかく頭を保護するために両手で抱えて土下座をするようにその場にうずくまる。

さんざん痛めつけられた後、カラスが攻撃の手を休めたようだ。
やっと終わったのかと思って、恐る恐る顔をあげてみる。

すると、この場には学園の生徒さんがまた一人増えていた。

現れたその子は・・・・舞ちゃんだ!!

カラスの攻撃が急に止んだということは、彼女が追い払ってくれたからに違いない。
舞ちゃんに助けてもらえるなんて!僕は幸せものです。ありがとう、舞ちゃん!!
とつぜん現れた舞ちゃんに、僕の心は一気に浮き立った。
(さっきまでの妄想は棚の上に放り投げて、無かったことにしました!)

「うおぉ! 舞ちゃん!! よっしゃぁぁ!!」

あ、つい声に出してしまった。しかもガッツポーズ付き。
ワールドカップの毎日に加えて千聖お嬢様と愛理ちゃんとのやりとりもあったので、いま僕は無駄にテンションが高まっていたのだ。
だから、心の中でつぶやいたはずのそれは、思いっきり声に出てしまっていた。
あわてて手を口に当てるが、もちろんもう遅い。

「え?舞?」「舞ちゃん、おかえりー」

そこに立っていた舞ちゃん、でもあまり御機嫌はよろしくないようだ・・・

舞ちゃんの後ろにある大きな木、僕を襲ったカラスが戻ってきてそこにとまった。
さっきまではその木立のあいだからは明るい日差しがそそいでいたのに、いま空は急激に厚い雲に覆われてきた。
仁王立ちの舞様とともに、その後方からはカラスが僕を見下ろしている。

あれ?

カラスが襲ってきたのと、舞ちゃんの登場。これらは単なる偶然ですよね、もちろん。

お嬢様・愛理ちゃんと確認するように見回してきた舞ちゃんは、続けて僕のことも睥睨してくれた。

舞ちゃんの、その無言の圧力・・・恐ろしすぎる。
思わず自己防衛本能が働き、そんな目で見られるようなこと僕には全く心当たりが無いでござる、としらばっくれた態度を取ってしまった。
だって、あまりにも恐ろしかったんだもん。

すると、舞ちゃんのその可愛らしい唇が小さく動いた。
声は聞こえなかったが、僕の読唇間違いでなければ、それは確かに「こ」「○」「す」「ぞ」と読み取ることができた・・・

ひぃぃ! ごめんなさい、舞ちゃん!

お嬢様に見とれていたこと(それだけ?)、舞ちゃんには全てお見通しなのかもしれない。

一瞬にして僕に相当の精神的ダメージを加えた舞様、雑魚に用は無いとばかりにすぐに視線を見切られる。
そしてその後、舞様の視線はお嬢様をロックオン。
お怒りのオーラは今はただお嬢様だけに向けられている。

え? 舞ちゃん、何でお嬢様にそんな怖い表情を?

そうか、何かお嬢様捜索願いが出ているとかって言ってたんだっけ。
お嬢様想いの舞ちゃんだもの。とても心配してたんだな、お嬢様のことを。

舞ちゃん、僕がお嬢様を引きとめたのです。お叱りなら僕が全面的に受けます(暴力可)。だから、お嬢様にそんな目を向けないで。


ここまで黙って睨みを効かせていた舞様が言葉を発せられた。

「何、やってんの」
「ウフフ、舞はいま学校からのお帰り?」
「何、やってんの」

舞ちゃんはお嬢様の問いかけには答えず、同じ言葉を繰り返した。怖えぇぇぇ!!

この迫力、やっぱり舞ちゃんのお叱りを引き受けるには僕のような雑魚キャラでは役不足だ。
僕は思わず視線を愛理ちゃんに向けてしまった。だって2人のやりとりを直視しているのは本当に怖かったのだから。

僕の視線に気づいてくれた愛理ちゃんは、生暖かい笑顔を僕にも向けてくれた。
たぶん、彼女はお嬢様と舞ちゃんのこんなやりとりにはもう慣れっこなんだろう。

「サッカーをしていたのよ、とても楽しかったわ」
「愛理も一緒に?おかしくない?」

「あのぅお嬢様、舞ちゃんも来てくれたことですし、もう戻りませんか。早く帰らないと若い執事さんかわいそうですよ」

突然自分の名前が出たことでちょっと慌てたのか、愛理ちゃんがお嬢様に話しかける。

「そうね。帰りましょうか。せっかく舞も一緒にサッカーができると思ったのに、残念だけれど。帰りましょう、舞」
「ふーん。じゃあ戻ったら今日は中庭で千聖の相手してあげてもいいけど」
「あら、いつも相手してくれるのは舞美さんだけじゃない。舞にはもう期待しないわ」

ツンツンしている舞ちゃんをあえて突き放すという高等テクニック。
こんなの出来るのはお嬢様だけだ。
この、お嬢様の舞ちゃんへの接し方、あまりにも高度すぎてとてもマネできない。もとよりマネする気もないけど。

巻き込まれてしまってる感の強い愛理ちゃん。捜索隊の先陣をきってお嬢様を見つけたというのに災難ですね。
人のいい彼女は、この場の落としどころを提案するように、助け舟を出す。

「えっと、今晩もまたシアタールームでご観戦ですか?お嬢様」

「もちろんよ。舞も一緒に見て下さったらとても嬉しいのだけれど」
「そう? しょうがないなぁ、千聖につきあって今日の試合は一緒に見てあげる」
「舞が一緒ならとても嬉しいわ。舞美さんや栞菜と見るのも楽しいけれど、やっぱり舞と見たいのウフフフ」

お嬢様が舞ちゃんにそう言った。
その言葉を聞くと、カラスをバックに従えていた(まるでそのように見えた!)こわもて舞様が、みるみるうちに可愛いらしい笑顔の舞ちゃんに戻っていったんだ。
それはまるで、お嬢様が魔法をかけたかのようだった。

「うん。千聖、帰ろ」

そう言った舞ちゃん。今はもうすっかりやさしい気持ちでお嬢様に釘付けの様子。

これか。初めて見ることが出来た。
なるほど。お嬢様は魔法使い、ってこういうことなんだね。魔法がかかる瞬間を初めて見れたよ、りーちゃん。

そんな舞ちゃんとお嬢様が連れ立って歩き出した。

「それでは、ごきげんよう」

にこやかに僕にそう言ってくれたお嬢様。
お嬢様が僕に声をかけたというのに、舞ちゃんはそれほど不機嫌な顔にはならなかった。
それどころか、そのとき舞ちゃんも僕をチラッとだけど見てくれたんだ。機嫌の良さそうなお顔で。

お嬢様の魔法、素晴らしいです! お嬢様のお陰で僕は幸せを感じることができました。

歩いていく2人の後ろから、少し距離を置いて歩き出そうとした愛理ちゃん。彼女が急に立ち止まって僕の方に振り向いた。
愛理ちゃんが僕に? 

すると、愛理ちゃんは何か含むところがあるような笑顔で、ウンウンと頷きながらこう言った。

「舞ちゃん、本当にかわいいですよねぇ。ケッケッケッ」

愛理ちゃんが言ったその言葉の意味は?文字通りの意味?それとも・・・?
あっけにとられてしまった僕は、言葉を発することも出来ない。ただ頷くだけしか出来なかった。

「それでは、ごきげんよう」

愛理ちゃんは真似をしたのかお嬢様と同じ挨拶をにこやかな笑顔で僕に言うと、お嬢様と舞ちゃんの後を追って歩き出す。
軽快なメロディーを口ずさみながら。

♪失敗を恐れたら始まらない 雲行きなんて急に変わるもんさ

目の前で愛理ちゃんの生歌を聞けるなんて!
思わず「あいり」コールするところだった。腕が半分ぐらい前に出かかった。


お嬢様にちょっかいを出し続けている舞ちゃんの後ろ姿。
そんな舞ちゃんに相槌をうっているお嬢様の小さい後ろ姿。
その一歩後ろを歩く愛理ちゃんの凛とした後ろ姿。

この3人の絶妙な距離感。そのバランス。素晴らしい。
いつかまた一緒に会えるといいな。
キューティーガールズ、フォーエバー。





あ、血が出てる・・・・痛ってぇ・・・




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