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少年の高校2年が終わろうとする春、つまり今年の春、3月の物語




来週は学園中等部の卒業式。
そう、舞ちゃんの卒業式だ。

正確にいうと、それは3月15日。
その日に向けて、僕はいろいろと考えるところがある。

舞ちゃんも義務教育が終わる。
中学の卒業式という節目の日。

その日、いよいよ勝負をかける! と、僕は本気で思ってるのだ。
一世一代の気合を入れて。

学園は繰り上がりで高校に上がるから、中等部の場合、式自体はそれほど重要じゃないらしくてあっさりしたものらしいけど。
でも、卒業式は卒業式だ。大切な日であることに変わりは無い。

舞ちゃんの中等部での最後の一日。
この日は二度と無いのだから。

繰り返すが、僕にとってその日は人生で一大事の日になるのだ。
だから、行き当たりばったりにしないで、当日の流れをちゃんと事前に抜かりなく情報収集を行った。

まぁそれらの情報、そのソースが熊井ちゃんのみというのがちょっと不安ではあるけれど・・・
僕がやろうとする計画を考えると、寮生の人達にはちょっと聞きづらかった。
でも、まぁ間違いはないだろう。信じてるよ、熊井ちゃん。

当日、卒業式自体は午前中で終わる。それからクラスで懇親会があって、それも昼過ぎには終るらしい。
高校の午前の授業が終わったら、急いで駆けつければ何とか間に合うかな。
午後の授業はどうするのかって? 人生の一大事を前に、そんなものは瑣末事に過ぎない。

舞ちゃんに上手く会えるだろうか。
そう簡単には会えないかな。
終ったあとはやっぱりクラスの子とかと過ごすだろうし、それともお嬢様とお二人で過ごすのかな。
待てよ、お嬢様と一緒のところに僕も混ぜてもらえば一石二鳥でいいんじゃないだろうか。ナイスアイディア!

なんてね。
今回ばかりはそんなテンションではないのだ。
その場にお嬢様がいてはダメなんだ。申し訳ないです、お嬢様。

今回は僕もマジメなんです。何といってもある意味、人生賭けてますから。
当日は何としても舞ちゃんが一人になるのを待つ必要があるのだ。

舞ちゃんに会えるかどうかは本当に不安ではあるけれど。そこは何としても何とかしたい。いや何とかする、してみせる。

もし会えなかったら、そのときは最終手段だ。

寮を訪れて面会を申し込む。
それぐらいの覚悟を持っているのだ。

それを実行するのは、一生に一度の卒業式、この日をおいて相応しい日はないのだから。

何て言ってお祝いしよう。
あぁ、あとプレゼントも用意しなければ。

あの舞ちゃんが中学卒業かあ。なんか感慨深いなあ。
春からは僕と舞ちゃんは同じ高校生。
そしてそれは、たったの一年間だけのことなのだ。
のんびり構えている時間は無い。急がなければ。

あぁ、今から緊張するな。
いざ舞ちゃんを前にしたらもっと緊張するだろう。僕にできるだろうか。

でも、卒業式という一度きりの機会なのだ、絶対に逃したくない。
そして、卒業のお祝いを言うだけで終わらせるつもりは無い。

僕がこれだけ気合を入れてるのは、その先、そしてさらにその先を考えているからなのだ。

いつだったか、あれはお嬢様のお屋敷の前でのことだったっけ。
あの時は答えを聞くのが怖くて、舞ちゃんの前から逃げだしてしまったことがあった。
もう、あんな態度は絶対にとらない。

今度こそは、舞ちゃんの気持ちをはっきりと確かめたい。

そして、確かめるだけじゃない、勇気を持って絶対に言うんだ。


「舞ちゃん!僕と、つ、つ、付き合ってくだ(ry」


もうイメージトレーニングも十分に積んだし、あとはそれを実行に移すだけだ。
テンションのピークがその当日に来るように、メンタルコントロールも上手い具合に来てる。
全てが順調に進んでいる。何の問題もない。いける!いけるよ!!

いざ、勝負!
強い気持ちを持って臨むのみ。

その日は自分の人生の中で決して忘れられない一日になる!





それが・・・・


この時は想像もつかなかった。

まさか、ほんの数日後あんなことが起こるなんて・・・・・



・・・・・神様!!




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最終更新:2013年11月24日 09:13