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「りーさこちゃん、こんにちは」
「え?あ、あばば、こんにちは」

ぴったりひっついたまま喋りかけてくるもんだから、喉の振動が背中にあたってこそばゆい。
・・・たしか、前にちぃが言ってたっけ。有原さんはただもんじゃないよって。
文芸部のホープで、大人しいだけの人と思っちゃいけねえ。
寮では素直な優等生、本当は違うのに・・・


「栞菜ったら、すぎゃさんが困っていらっしゃるでしょう?そんなに密着しては駄目よ」

まったく、千聖の体にもすぐに触れたがるし・・・と岡井さんの意味深な言葉に、冷や汗が落ちる。
それってどういう・・・も、もしかして、あのその・・・やっぱ女子校だし、寮で女の子とばっかり一緒にいるから、そういうアレがこうなってあばばばば


「だってぇ、最近お嬢様ったら添い寝の時もいつも以上に距離取るし、寂しいんだかんな」
「へひぇ!?お、同じベッドで!?あひぃ!」
「ええ、私と栞菜は一緒に寝ているのよ。もう子供じゃないのだから、そろそろ添い寝はいいと言っているのに」

――どどど、どうしよう。なんか大変なことを聞いてしまった気がする。
有原さんは大人っぽい感じだからいいけど、おか、岡井さんとか、そっち系はすごい子供なんだろうなって勝手に思ってた(理想のタイプが時代劇の登場人物とか言ってたし・・・)。

なのに、ベ、ベッドをともにする人が・・・しかも、同性とか・・・。こ、これ、すごいネタなんじゃないの。こんな大きい秘密を抱えてるのか、寮生っていうのは!
ていうかこれ、愛理も知ってるのかな。
愛理って結構秘密主義なとこあるし・・・でもでも、あばば


「・・・まあ、梨沙子ちゃんだって夏焼さんのこと大好きなわけだし、そんなに複雑なことじゃないかんな。私とお嬢様とのカ・ン・ケ・イは」
「え?え?」

怖い!何も言ってないのに、有原さんは私の考えを見透かしたように、したり顔でうんうんとうなずく。なんなの、この人・・・てか、私の夏焼先輩への思いはそういうんじゃないんですけど!
でも、うまく説明できそうにないから、何も言い返せない。

「やっぱり、栞菜のお話は千聖にはよくわからないわ」
「あら、そうですか?じゃあ、今日の夜ベッドの中でじっくり教え込んであげるかんな。グヒョヒョヒョ」

――それにしても、衝撃的だ。
岡井さんに“そういう存在”の人がいたとは。しかも、お相手がこんな女郎蜘蛛というか女豹というか、なんというかエロティックな・・・


「それはそうと、一体何の御用なの、栞菜。もうすぐ休み時間は終わってしまうわ。何か用事があったのでしょう?」
「んー、用事っていうか、2人の会話を聞いて、こりゃあ黙っちゃいられねえぞと。僭越ながら、口を出させてもらいにきたんだかんな」

いや、会話を聞いて、って・・・私たちの席、窓際なんだけど・・・どこで聞いてたっていうんだ。やっぱり恐ろしいぞ、有原さん。

生徒会の中では萩原さんとか風紀いんちょーさんとか、濃い人々の後ろで大人しく構えてるイメージだったんだけれど、それは表向きの顔だったのかもしれない。
考えてみれば、あの寮、あの生徒会にいて、“普通”でなんていられるはずがないんだ。優しくて上品な私の相棒・愛理でさえ、地味~におかしなキャラなわけで。


「あら、私とすぎゃさんに何か問題でも?」
「おおありだかんな。お嬢様、私は昨日も言ったはずですよ?意味のないダイエットはやめたほうがいいって」

そういいながら、有原さんは私の脇腹をちょんと摘む。

「んぎゃっ」
「ほれほれ、このふわっふわでふよんふよんの安心感!世の野郎共が本当に求めているのはこれだかんな!(出典:メンカン)」

「べ、別に私は痩せようとは」

慌てて訂正すると、有原さんはんふふと満足げに笑って、やっと体を離してくれた。
私を味方とみなしてくれたのだろう。

「で、でもでも、千聖は今のままではおなかがほっぺが」
「いや、本当に、気にするほどひどいことにはなってないと思うよ?」

私がちょびっと援護するたび、有原さんはうんうんと嬉しそうにうなずく。
岡井さんは困惑気味のようだけど・・・ごめんね、私は長いものに巻かれる主義なので・・・。熊井ちゃんにも「梨沙子にはシュタイン性(?)がない!」とか言われるし。
まあ、ダイエットの件は別にウソ言ってるわけじゃないんだけどさ。

「・・・お2人がそう言うなら・・・今のままでも、いいのかしら」
「そうですよ、むしろまだお痩せさんだかんな。もっとぷにゅぷにゅぽわんになってくれてもいいぐらい!」


「・・・ちょっと、何勝手なこと言ってんの」
「うおお、やめろ、振るなコラ!脳がこぼれる!」


そんな有原さんの頭をガッと掴んでシェイクしながら、登場したのは御存知のあのお方。
相変わらずの目力で、岡井さんの半径2m以内にいる人をぐるりとにらみつけていく。

「うーわ」

思わず声を漏らすと、「ああん?」とか言って威嚇されてしまった。・・・なんでこう、岡井さんのこととなると、みんなおかしくなるのであろう。やっぱ魔女だからなの?


「まったく、りーちゃんまで、舞の千聖を甘やかさないでもらいたいでしゅね」
「え、私?」

ひどいとばっちりだ。まるで、ぷにぷにハァハァとかいってる有原さんと、同類みたいじゃないか。

「私は別に、岡井さんのムチムチプリンヒャッハーとか言ってないし」
「そんなん、私も言ってないかんな!はーん、梨沙子ちゃんもなかなかの℃変態だかんな」
「りーちゃん、今ならまだ間に合うよ!りーちゃんみたいないい子は、舞と組むべき!一緒にぷにしゃとをスレンダーにしてやるでしゅ」
「えー、と」
「まあ、舞ったら!ぷに聖だなんて失礼だわ!すぎゃさん、舞に乗せられてはだめよ」
「いやいや、あのね」
「じゃあダイエット()はやめるってことですねヒュー!たまんねーぜ栞菜の手の中でふにふにと撓むお嬢様の(自主規制)」
「それも嫌よ!千聖は栞菜の思い通りになんてならないわ(キリッ)すぎゃさん、すぎゃさんは千聖の味方なのよね?同じみやびさんを愛する仲間ですものね?」
「あばばば」


天才、℃変態、セレブ。
・・・さて、私はどうしたらいいのか。
長いものに(ryというスタンスに変わりはないものの、果たしてどこにつくのが一番いいのか、まったく見当がつかない。
こういう時ももなら誰にもつかず、熊井ちゃんならむしろ自分の派閥を作る事だろう。・・・今更ながら、私のような凡人が、なぜもぉ軍団などという超人組織に属しているのか疑問に思えてきた。


「すぎゃさん!」
「りーちゃん!」
「ハァハァハァ!」

「ひーん・・・」




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