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その日の帰り、またお姉ちゃんに会った。

バスを降りたら、ばったり出会ったのだ。一日に2回も会えるなんて。これはラッキー!
絶妙なタイミングでバス停に到着したバスに感謝した


今日の朝に会ったばかりだからか、お姉ちゃんはすぐに僕に気づいてくれた。
お、今回は僕のことを忘れてないんだ。
絶好のこの機会、僕はお姉ちゃんにぺこりとお辞儀をする。

僕の出現はさすがに意表をつかれたのか、あれ?って感じの顔をしたお姉ちゃん、それでもすぐに目を細めてニコッとした笑顔を向けてくれる。
本当にこの人は笑顔がデフォルトなんだな。
誰にでも笑顔を向けてくれるお姉ちゃん、そんな人だから誰からも笑顔が返ってくるんだろう。
そりゃあ、人の輪の中心にいるのがよく似合うわけですよ。

僕とお姉ちゃんは歩く方向が同じだった。その歩き出しのタイミングは我ながら完璧だった。
非常に自然な感じで一緒に並んで歩くことが出来たのだ。

なに、このいい流れ。
青春!!って感じがするぞ。


学校帰り女の子と並んで歩くなんて、僕の夢のひとつが実現するとは。
しかも、僕の隣を歩いているのは、絵に描いたような美人生徒会長なのだ。
こんな美人さんを横に2人で歩いて、もう天にも昇る気持ちとはこのことだ。
そんな浮き立って落ち着かない僕とは対照的に、お姉ちゃんはその美しい顔で前を見ている。
横顔も美しすぎる! 


さっきから、すれ違う人々が横目で僕らのことを見ていく気がする。
やっぱり僕らは人目を引いちゃってますよ、お姉ちゃん。
そりゃそうだ、こんな美人を横に従えて歩いているのだ。
たぶん、その人達からは、こう思われてるんだろう。

(やぁ、なんてお似合いの高校生カップルなんだらう)


妄想モードのスイッチが今にも入りそうだ。
だんだんと舞い上がり始めた僕に、お姉ちゃんが話しかけてきてくれた。

「今、1年生なんでしたっけ?」

なんと!!
今日は僕のことを憶えていて貰えただけでも嬉しいのに、僕のそんな細かいことまで思い出して頂けたとは!
感激です! たとえ、またすぐに忘れられてしまうとしても!

「はい! 春から2年になります」
「そうですか。これからますます楽しくなる時期ですね」

にこやかな笑顔を向けてくれたあと、ちょっとだけ寂しそうな顔になったお姉ちゃん。

「私は、高校生活もあと3日で終わりです」


そうか・・・ 春からはもう学園にはお姉ちゃんはいないのか。
お姉ちゃんと並んで歩くなんて夢のようだと思ったけど、これが最初で最後になるんだね。
次お姉ちゃんに会えるのはいつになるのだろう。寂しいな。別れたくない。
でも、将来的には僕たちは家族になるわけだしry


そんな、そう遠くない将来のことを考えている僕に、お姉ちゃんが意外なことを言ってきた。


「あの、ずっと思っていたことがあったんですけど、今それを伝えますね」


この状況で僕にわざわざ伝えたいこと? お姉ちゃんが?
なんだ、それは!?

ひょっとして・・・・
お姉ちゃん、僕への愛の告白だろうか。

(初めて会ったときから、ずっとあなたのことが好きでした・・・ つきあって下さい)

とか!?
もし、そんなこと言われたら僕はどうしたらいいんだろう。
最愛の人の、その姉からの告白に、僕はどう答えればいいのだろう。そんなの答えを考えてもただ苦悶するばかりだ。
だって、僕には舞ちゃんがry


ひょっとして今も、僕と並んで歩きながら、(隣の人と恋人同士になれますように)って思ってたんだったりして!!

お姉ちゃん、いつの間に僕のことをそんなに想っていてくれてたんだろう。全く気づかなかった。
ひょっとしてお姉ちゃん、僕の気持ちを知っていてその上でのその想いですか。
そんな・・・ 僕を苦しめないで下さい。お姉ちゃん。僕には舞ちゃんがry


話しを続けるお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんの表情は真剣だった。妄想路線一直線の自分が恥ずかしくなるほどに。


「・・・なっきぃのことなんですけど」

なーんだ、伝えたいことって、なかさきちゃんのことか・・・ 
って、何で僕になかさきちゃんの話しを?

「彼女は本当に優秀な生徒です。彼女にはいつも助けられてきました」

「私が生徒会長を努めることができたのは、補佐役のようになっきぃがずっとついていてくれたから、そう言っても過言ではありません」

??
何の話しをしているんだろう。
話が見えない。黙ってその先を待つ。

「生徒会長をやっている間、本当にいろいろなことがありました」

遠い目をするお姉ちゃん。
感慨にふけっていたのだろう、少しの間をおいてから話しを続ける。

「苦しんだこともありましたし、悩んだこともありました」
「でも、それらを乗り越えることができたのは、私の周りにはいつも素晴らしい仲間がいたからなんです」
「その仲間たちのことを託すのは誰に頼むのが一番なんだろうかと考えたとき、わたしは全く迷いませんでした」
「わたしはそれを茉麻にお願いしようと前から考えていたんですけど、それが正解だといま自信を持って答えられます」
「これからは茉麻がしっかりやってくれるから何も心配していません。きっと私の頃よりももっといい学園になると思いますよ」

まーさ? 誰だろ。
お姉ちゃんの後任の人だよね、文脈からすると。
ということは、次の生徒会長さんか。

「茉麻にもそんな優秀なブレインがきっとついてくれるはず。私にはえりがいたように」

あれ?
なかさきちゃんは?

「栞菜や舞、お嬢様も。優秀な生徒がどんどん生徒会に入ってきてくれたから。そして、これからも新しい人が入って新たな力を発揮してくれるでしょう」

強い目をして前を見据えるお姉ちゃん。

「彼女達には本当に感謝しています。私にとって悔いのない最高の高校生活を送ることができました。それは彼女達のおかげなんです」
「わたしは大学に進みますけど、彼女達のことはこれからも見守っていきたいと思っています」

そうですか。ちょっと感動しました。
とてもいいお話しだとは思いますけど、どうしてそれが僕に伝えたいことだったんだろう。

でも、頭のいいお姉ちゃんのことだから、この話しにはきっと何か隠された僕へのメッセージがあるに違いない。
それが何なのかを考えて、僕はその後ずっと頭を悩ますことになるのだった。



伝えたいことは伝えたという充実感を漂わせているお姉ちゃん。

「(よくわからないけど)お気持ちを聞かせていただいて少し感動しました。これからのキャンパスライフも素晴らしいものになるといいですね」
「はい、ありがとうございます」

お姉ちゃんは、最高の笑顔を僕にくれた。



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