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改札を出てすぐ、目に入ったイタリアンのお店に入った。
せっかく遠出したんだし珍しいお店でも、と思ったけれど、お買い物とミルクジェラートが待っている。
ここは節制しようという結論にいたった。
千聖もよっぽどおなかがすいていたのか、私が促すままにフラフラと店内に入っていく。

「いらっしゃいませ」
席についてメニューを見ていると、どこからかクスクス笑い声が聞こえた。
多分中高生ぐらいの女の子だ。
自意識過剰かもしれないけど、何となく私達を見て笑ったんじゃないかと思った。
最近は歩いていると声をかけられることが増えてきた。名前や顔を覚えてもらえるのは嬉しいけれど、小ばかにされるようなこともまあそれなりにある。
なーんかイヤだなあ。陰口とか言われてるのかも。顔見られたくないし、あんまりキョロキョロしないようにしようかな。

「千聖決まった?早く食べて出よう。」
「ええ。じゃあこのミラノ風・・・」
「あ、私も。じゃあそれ2つ。」


・・・プッ


まただ。これはもう間違いない。明らかに私達のオーダーを聞いて笑った。こういう時は異様に耳が良くなる。ヒソヒソ声で「聞こえるよ」とか言ってる。
「一番安いの頼んじゃいけないのかよぅ・・・」
私が口をとがらせて文句を言っていたら
「愛理ったら、そんな顔しないで。」
と少し困った顔で千聖に窘められた。

「だってさあ。別に関係ない人間なのに。ほんとやめてほしい。千聖はイヤじゃないの?」
「私は、」
少し視線を揺らした後、耳を貸してと言われたので顔を近づけた。
私は愛理とお買い物に来れたことが嬉しいから、多少のことだったら何も気にならないわ。」

・・・千聖、すごいこと言う。
たった一言で私のテンションを浮上させてくれた。千聖の言葉には魔法がかかっているのかも。
「私さ、もし男の子だったら千聖に夢中になってたかも。何か本当すごいね。」
「やぁだ。そんな、はずかしいわ。でもね、もし私が男性だったらきっと愛理・・・」
「お待たせしました。」
店員さんが来てしまったからそこで会話を中断してしまったけれど、ある意味両思いか私達は。こんな会話じゃ笑われても仕方ないかも。

お互いの学校の話なんかをしながら食事を終わらせてレジに行くと、ウエイトレスさんが「もうお代はいただいております。」と微笑んだ。
「髪の長い、綺麗な方が払っていかれましたけれど。お二人の知り合いで、びっくりさせたいので内緒にしてほしいとおっしゃってました。」
んんん?

千聖の顔を見ると、私と同じく困惑した顔をしている。誰?ていうか、ちょっと怖いぞそれ。
「あの、私達お支払いいただく覚えがありませんので、通常通りの精算をお願いしたいのですが。」
「でももういただいておりますし」
財布を取り出す私達と、ウェイトレスさんの間で軽い押し問答になる。後ろにレジ待ちのお客さんが並び始めていて、そろそろどっちかが引かなきゃいけない空気になってきた。

結局店員さんに頭を下げられてしまい、押し切られる形でお金を払わずに出てきてしまった。
「なんだろうね。ラッキー?なのかな?」
「せめて、支払ってくださった方にお礼を言いたいわね。」
とりあえず、いつまでも店の前にいても仕方がないから、ショッピングモールへ向かうことにした。

少し歩くと、急に視界が開けた。大きなゲートの向こうに、西洋風の町並みのような建物が連なっている。
「へー!すっごいね!屋外型なんだ!」
「素敵だわ。とっても広いのね。愛理、早く行きましょう!どこから見ましょうか。あそこで地図を配ってるみたい。もらってこようかしら。」
珍しく千聖が興奮した様子で、私の腕をぐいぐい引っ張る。顔をくしゃくしゃにして笑う顔が、前の千聖のキャラを思い出させてすごく可愛い。
「どうしようか。このネックレス買ったお店、ここにもあるみたいだけど行ってみる?」
「ええ!」

育ち盛りの子犬みたいにキラキラした瞳で見上げられると、何でもやってあげたくなってしまう。
お嬢様の千聖はお姉ちゃんのような妹のような、不思議な子だ、いつまで一緒にいても飽きない魅力がある。
お目当ての店を目指して歩き出した私達の後ろを、2つの影がゆっくり追いかけ出したのは、また別のお話。


********


「おらーなっきぃ!ウーロンコーラメロンソーダの味はどうだー!愛理もちっさーも来ないじゃないかー!」
「ギュフフグエッってみぃだん!ぢざどたぢぎだよ!」
「あ、本当だ!すごいねさすがなっきぃ!」
「謝罪とかないんかい。」




「ププックスクスクス」
「みぃたん、聞こえちゃうから笑わないで!・・・・あーもー愛理が不機嫌になっちゃった!」
「だってふ、2人してミラノ風ドリアって!私もなっきぃも同じの頼んだじゃん。キュート爆安っ!とか言ってうははは」
「みぃたんそれ、微妙に笑えない。」
「よーし可愛い妹たちのためだ!ここはドーンとおごってあげようじゃないか!」
「ドーンと598円ですか」
「さあ、お会計すませてリ●リサ行くよなっきぃ!新作のふわふわラメ入りノースリーブが可愛くてさ」
「もさもっさー・・・なっきぃギャル服見たいよぅ・・・」



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