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「お待たせー。遅くなっちゃった。あれ? くまいちょーは?」
「後ろにいるよー。もも」

はい、いやな予感大当たり。
だよな。梨沙子ちゃんと2人っきりなんて、そんな幸せな時間が長く続くわけが無いんだ。

「よしよし、あんなことあってもちゃんと席取っておいてくれてるね。サンキュー。その後、失恋のショックから少しは立ち直った?」

久しぶりに会った熊井ちゃんが僕にそう言った。
それを聞いて、梨沙子ちゃんのお陰で上向きつつあった僕の精神状態が、また一気に落ち込んでいった。
ナゼ、シッテイルノダロウ・・・・

「まだダメみたいだね。あははは。オホン。えー、今日集まってもらったのは他でもありません。ももが卒業してしまったので、もぉ軍団の今後について話し合いたいと思います」
「もぉ軍団はこれからも今まで通りだよ。このカフェは大学からも来やすいし。あ、あと、学園にもちょくちょく顔出すからね」
「学園に顔を出すって、そんなの委員長さんが許してくれるの? 大丈夫もも?」
「なかさきちゃんのことなら大丈夫。うちがちゃーんと根回ししておくから」

普段の僕なら熊井ちゃんの言葉にツッコミを入れるところだけど、僕は今とてもそんな気分ではなくなったのだ。
そんな僕の代わりに、梨沙子ちゃんが熊井ちゃんの発言を受けてくれた。

「逆効果だゆー」

「くまいちょーが生徒会に入ったなんて、もぉはびっくりだよ。しかも梨沙子まで」
「学園を軍団の意のままにするために、生徒会の内部から切り崩していくことにしたんだぜ。悪く思うなまーさ」
「くまいちょー、最近はそういう小説を読んでるんだね。梨沙子は千聖がいるから?それともやっぱりみやのため?」
「あばばば、違うもん」

「そのうちもぉ軍団の部室を確保するつもりだぜ。予算も裏金つくってガッポリと(ry」
「毎年春先になると恒例だけど、くまいちょー今年もずいぶん張り切ってるね」
「うん。これからはやっぱりうちが軍団のリーダーとして頑張らないとダメかなと思って。上級生として学園を仕切っていくためにも」
「ちょ、、くまいちょー、軍団長はこれからもずーっともぉだからね」


楽しそうに話しをしているもぉ軍団の面々。

こんなに暗い気持ちでいる僕が、何故その同じテーブルに座っているんだろう。
まぁ、人生は喜劇ってことなんだろう。僕にはこの状況がお似合いだ。


「ところで、どうして少年はこんな暗い顔したまま固まってるの?」
「放っておいてあげて、もも。実は、舞ちゃんにフラれちゃったんだってさー。あははは」
「あらー・・・ それはご愁傷様」

「寮のお屋敷の前で、いきなり告白したらしいよ」
「こ、告白って、あの舞ちゃんに!?」

梨沙子ちゃんが目を丸くして驚く。あの桃子さんでさえ目を見開いている。
フラれたという結果は当然のように受け止められ、それよりも僕が舞ちゃんに告白したということに対して2人は驚いているんだな。
そんなに驚かれるようなことを僕はしてしまったのか。
あの時よりも、済んでしまった今になってからの方が事の重大さが身に染みて感じられる。

「ある意味すごい勇気だゆー」
「打明けるのが早すぎたんじゃないの。まぁ舞ちゃん相手じゃ早い遅いは関係ないか」
「舞ちゃん相当動揺してたんだって。ウケるでしょー、あの舞ちゃんがだよ」
「そりゃ凄いねーw へー、あの舞ちゃんをねぇ。少年、なかなかやるね」
「でもフラれちゃったんだけどね。あははは」

熊井ちゃんはとことん楽しそうだ。大きな熊さんがご機嫌で何よりデス。
でも、もう少しその声量を控えていただけると幸いです。僕の失恋話が店内に響き渡ってますから。


「それね、こんな感じだったって」

真顔をつくった熊井ちゃんが桃子さんに向き合った。
そして、感情を入れたセリフを口にする。

「舞ちゃん! 僕は舞ちゃんのことが好きなんです!!」


あのシーンを再現してるのかよ(泣
桃子さんを舞ちゃんに見立てるのはやめろ、熊井。


「へー、そんなストレートに言ったんだ、舞ちゃんに。ちょっと意外だねー」
「それで? それで、舞ちゃんはどう答えたの?」

興味津々な梨沙子ちゃんが、熊井ちゃん(何故か得意顔)に先を促す。
それを受けた熊井ちゃんが茶番を続ける。

「ごめんなさい・・・ 舞にはちしゃとが・・・・」

今度は舞ちゃん役になった熊井ちゃんが桃子さんにそう言うと、それを受けてうなだれる桃子さん。
僕の真似してるのか・・・

そして、顔を見合わせ腰を折って爆笑する3人。
“腹を抱えて笑う”とはよく言う表現だが、今この3人は文字通り腹を抱えて笑っている。


当事者を前にして、よくもそんなに楽しそうに。
もぉ軍団、パネェ・・・ 


(あの人達はとんでもない人達だから。関わってるとどうなっても知らないケロ)

何か天からの声がなかさきちゃんの声で聞こえてきた。
あ、なんか鼻の奥の方がツンとしてきた。


この場はすっかり熊井ちゃんのステージと化している。
誰か熊井ちゃんを止めてください。

「熊井ちゃん、そんなに言ったらかわいそうだよー。ほら、泣いちゃってるよ」

僕の願いが通じたのか、梨沙子ちゃんが取って付けたような感じではあるが僕を気遣ってくれた。
そんな優しい梨沙子ちゃんに、最高の笑顔を浮かべている熊井ちゃんが言う。

「そんなこと言ってる梨沙子だって大笑いしたじゃん。人の不幸を笑ったりしちゃダメなんだよ!」


誰か、誰か熊井ちゃんを止めてください。お願いだから・・・


舞ちゃんがお嬢様のことをそんなに想っているということは、この3人も知っているんだな。
まぁ当たり前か。舞ちゃんを見ていればそんなの誰だって一目で分かる。周知の事実ってやつだろう。
そんな舞ちゃんに告白をしたのは、やっぱり無謀だったのかなあ・・・


楽しそうな熊井ちゃんを見ていると、素朴な疑問が頭に浮かんでくる。
なんで熊井ちゃんは知っているんだろう、しかもそんな細部まで。


「あ、あのー、お、お話し中に、すみません・・・・」
「おー、少年生きてたのかぁ。さっきから全く動かないから心配したゾ?ウフフフ」

「えぇ・・・ 僕はもう、死んだようなものです」
「死んでないでしょ。生きてるから」

マジレスを炸裂する熊井ちゃん。
彼女の発言はあくまでも単なるマジレスだったんだろうが、それを聞いた僕はその言葉の深さに何か泣けてくるのだった。
また涙がこみ上げてきた。熊井ちゃんに問いかける声が途切れ途切れになる。

「く、熊井ちゃん、さっきの、どうして、それを、知って、るんですか? 誰か、それを、言ってたり、したんですか」
「そんなの栞ちゃんに決まってるじゃん。嬉々として話しまくってたから」

くっ・・・有原か。ちっくしょー。ひょっとして見られてたんだろうか。

「栞ちゃんホントに口が軽いからねー。しかも、すっごい楽しそうに話しまわってるの。ひどいよねw」

「もぉは今ゆりから聞いたんだけどね」
「りぃも熊井ちゃんから初めて聞いたよ」
「あと、まーさママとか、ちぃにもちゃんと報告しました。ホウレンソウだからね」

えっへん!と、得意気に胸を張る熊井ちゃん。


熊井ちゃんって、熊井ちゃんって・・・・本当に




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