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「良かった。追いかけてこないみたい。怖かったねー。・・・・千聖!?」
人通りの多い所まで逃げて、後ろを振り返ると、千聖がうつむいて震えていた。
「どうしたの?何かされたの?」
「ちがっ・・・ごめんなさっ・・・・」
目尻がらポタポタと涙が落ちて、ほっぺたが濡れていく。
「ちょっと、あっち行こう。」
抱いた肩が緊張している。怖かったんだね。
建物の裏の、人通りがあんまりないベンチに座って、ペットボトルのお茶を差し出してみた。
「大丈夫?」
「ありがとう、愛理。」
2、3口飲んだら少し気持ちが落ち着いたみたいで、ぎこちないけれど笑顔を見せてくれた。

「ごめんなさいね。私、あんなこと初めてで。こんな子供っぽい容姿だから、まさか私なんかに話しかけるなんて思ってなかったの。」
聞けば、あの事故以降、お父さんや事務所の人以外の男の人とはあんまり話もしていないらしい。前の千聖は学校に男友達も多かったみたいだけど、こんなに変わっちゃったんじゃ、驚いて疎遠になっちゃったのかもしれない。
久し振りに喋った男性があんなんじゃ、ショックだよね。
「もう平気だよ千聖。だから、泣かないで。・・・そだ、さっきのネックレス交換しようよ。」
バッグの中から、薄いブルーの紙袋を取り出して見せる。
「千聖の選んでくれたのは、どんなの?」
「ん・・・ちょっと待ってね。」
千聖はハンカチをしまうと、変わりに私のと同じ小さい袋を出した。
「はい、交換!あっ待って、私が先に開けるね。」
千聖は膝に手を置いて、セロテープをはがす私の手元をじっと見ている。


「・・・千聖ぉ。これ、」
「あ・・・気に入らなかったかしら?」
「・・・ううん、そんなわけない!ありがとう!どうしたの、これ?だって、色が」


千聖が選んでくれたのは、さっき私が見ていたキャンディーの形のネックレスだった。
ただ、配色が違う。白っぽいピンクと、薄い紫の石のストライプになっている。
「せっかくだから、愛理の好きなピンクが入っているほうがいいと思って。在庫を探していただいたの。」
「ありがとう、千聖。すごく可愛いよ。わざわざ私のためにお店の人に聞いてくれたんだ。」
じわっときた。
千聖の優しさはいつもさりげなすぎて、きっと今みたいに気づかないで見過ごしてしまうことも多かったのかもしれない。
「いいのよ、そんなこと。愛理が喜んでくれてよかった。私も開けていいかしら?」
「うん、うん。千聖きっと驚くよ~ケッケッケ」
まあ、どうして?と首を傾げた千聖は、ネックレスを取り出して息を呑んだ。
「愛理・・!」
私がプレゼントしたネックレス。
それは私のと色違いの・・・・というか、千聖が私に似合うと言っていた赤を基調にしたタイプのだった。
「千聖は色白の人の方が似合うって言ってたけど、こういうのは千聖みたいな小麦色の肌の方が似合うんだって。前にお母さんが言ってた。
私なんかがつけると血豆みたいになるって。だから、これを千聖にあげたいと思ったの。どうかな?」
「嬉しいわ。愛理ありがとう。私、本当は自分がこういう色のをつけたかったのに、自信がなかったの。大事にするわ。大好きよ、愛理。」
「いやいや、何言ってるんでぃ~照れるよ千聖。それより、せっかくだからこれつけようよ。」
お互いの首に手を回して、ネックレスを付け合う。結婚式の指輪交換みたいでちょっと笑えた。
「どう?」
「素敵だわ。愛理はピンクもよく似合うのね。」
三日月みたいな目で千聖が笑った。
「千聖も。やっぱり赤いの合ってるよ。」
ちょっと濃い目の肌に、深い色のガーネットがとけこんでいて綺麗だった。
「ふふ。」
「ふふふ。」
すごく和やかで、優しい空気が流れていた。ずっとこのままのんびりできたら・・・なんて思っていたら

「・・・・ちっさー、と、愛理・・・?」
「えっ」
「え、何で、どういうこと?」

振り向いた先に、紙袋をいっぱい持った栞菜が立っていた。
「何で、2人がここにいるの?私、聞いてない。」


********


数十分前

「なっきぃ!見てみて!これやっばい可愛い!」
「みぃたん・・・あのね、トップスにでかリボンがついてるならスカートは控えめがいいよ。ファッションはプラスマイナスが云々」
「えー何?ごめん聞いてなかった!なっきぃもここで買いなよ!ほら、選んで!」
「えーなっきぃこういうのはあんまり・・・」


「キュフフフッ♪みぃたん聞いて!店員さんに似合いますねって言われちゃった!合わせ方のセンスいいですねって!どう?」
「・・・・へー本当に似合うね!じゃあそのなっきぃの着てるやつを舞美が着るよ!で、私が着てるこれをなっきぃが着る!愛理たちの真似―とかいってwさあさあ、脱いだ脱いだ!」
「うわーん結局モッサモサー!」



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