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「ねえ、栞菜・・・やっぱり、上に羽織るものがほしいわ。そのパーカーを」
「ダメです、お嬢様。最上級のENJOYお嬢様をみんなにみてもらわなくては。
ヌホホ、それにしても本当にたy」

栞菜がつべこべ言ってるうちに、なっきぃが「男の人は入ってきちゃだめケロ!」と勇敢にも扉の前に立ちふさがり、事態の深刻化を食い止めようとはりきっている。


「うう・・・」

うつむいて、モジモジと足を動かすお嬢様。なんといじらしく、嗜虐心を煽るお姿!

私は舞ちゃんや栞菜みたいなアレでアレな性癖はないんだけど、その恥ずかしがるお姿は、大変グッとくるものがある。

適度にお肉のついた手足に、ダイエット効果でキュッと締まったおなか。豊かなたゆんたゆん。
そこに鬼さんの角だの牙だのという萌えオプション(?)が追加されて、こりゃあ執事さんの精神崩壊も、舞様の失神もうなずける。


「・・・でも、その格好ということは、お嬢様が鬼の役をするんですよね?」
「ええ、そうよ」
「私たちが、お嬢様に豆をぶつけるってことですよね?ケッケッケ」


「ギュフー!!!!」

なぜか楽しげな愛理の言葉で、一瞬間が空いた後、なっきぃの甲高い絶叫が響いた。


「んだよ、なっちゃんうるせえな」
「あっ」

その騒音(ひどいケロ!)で、舞ちゃんが目をさます。

すぐにキョロキョロとお嬢様を探すも、失神前同様の℃スケベ鬼コスのままだと知るや、顔を赤くして目をそらす。
――むふふ、意外と純情なのね、天才さん。

「まま舞ちゃん、ちょうどよかった!ねえ、お嬢様に」
「あーわかってる。てかなっちゃん、鬼の格好させた時点で、ちしゃとがどういう目にあうかわかるでしょ?ったく、気づくの遅すぎ」
「キュフゥ・・・私とした事が・・・お嬢様のかわゆい鬼ッ娘姿を見たくて、栞ちゃんに言いくるめられてしまったケロ・・」

あら、優等生さん不覚。


「じゃあさ、今年は豆まきはなしにしない?」

だけど、普通に考えて、お世話になっている寮の管理人様のお嬢様に、豆をぶつけるようなことはできない。
そう考えて、私は提案してみた。

「ほら、執事さんも恵方巻き作ってくれたみたいじゃん。
それ食べて、和やかに終わりでよくない?」
「いや、節分は例年通りやりましゅ」

そんな私の提案をいち早く却下したのは、なんとなんと意外なことに、舞様だった。


「え・・・だって」
「去年も楽しかったもん。やらないのはもったいない」

去年・・・たしか、若執事さんがクジ引きで鬼になって(ただしクジを作ったのは舞栞コンビ)、みんなで豆を投げたんだったっけ。
逃げ惑う執事さん、どこからか調達したセグウェイを駆使して、執拗に追いかける舞栞。
いじめてはだめよ、と言いながらも楽しそうだったお嬢様。やめてくださいしんでしまいますとかいいつつ愛理からの砲撃に顔面を弛緩させていた執事さん。・・・ま、たしかに誰も不幸せではなかったけれど(ちなみに舞美はキュフキュフ風紀委員長に豆をガーッしてた)。

「でも・・・舞、お嬢様に豆を投げつけるの?それはかわいそうだよ」

寮生の良心、大型犬の舞美ちゃんが、まるで自分が豆をぶつけられたみたいに、いたーい!って顔をして舞ちゃんを諭す。

「そりゃあたしかに、去年はすっごく面白かったけどね!」

――若執事さん、なっきぃ、ご愁傷様。


「みんなわかってないなあ。舞がちしゃとにそんなんするわけないでしょ」
「どういうこと?」

どうも、この天才さんは言葉を端折ってしまう癖があるのか、なかなか意図をつかめない。

「・・・ケッケッケ、そうだねぇ。鬼は一人じゃないもんね」


そんな中、ブラックな笑みを浮かべた愛理だけは、舞ちゃんの言わんとすることがわかったみたいだ。
理解者が現れて、舞様も満足げなようで何より。


「ふふん。でしょー?だって、鬼は一人じゃないもん」

「・・・あー、なんだそういうことね!」


その言葉で、やっと私にも意味がわかった。
お嬢様のセクシーな鬼コスプレのせいで、すっかり印象が薄くなっていたけれど・・・コイツも鬼さんなんだった。


「な、なんだ!やんのかコラ!」

おおよそ女子校の優等生とは思えない言葉づかいで、栞菜がファイティングポーズを取る。
お嬢様のよりは露出度の少ないミニワンピとはいえ、その格好は立派な鬼。鬼原さんやで!


「鬼はさー、一匹退治すればいいんでしょ?」
「匹って数えるな萩原!」
「まあ、そうだと思うケロ」

――ふっふっふ。
――ケッケッケ。
――キュフフフ。


寮生の心が、今1つになったようだ。
ぽわーっとした、まったく悪さをしないお嬢様鬼よりも、変態・・・いや、天才的な発想で、学園や寮を引っ掻き回す小悪魔鬼を成敗してやればいいのだ。

「で、でも、5対2じゃ不利だよ(実質5対1ですけど)」

とはいえ、一応栞菜の姉役としては、かわゆい妹が投豆によってフルボッコされるのを黙ってみているわけにはいかない。


「えー?じゃあ、えりかちゃんも鬼でいいよ」
「・・・でも、どうせウチのこと狙わないんでしょ。意味ないじゃん」
「何、狙えってこと?いいよ、わかった。あんま気が進まないでしゅけど、そk」
「はいごめんなさい梅田が間違っておりました」
「もー、ヘタレおねーちゃんめ!妹の危機だかんな!」


――梅田、秒殺。敵う相手じゃございませんでした。


「あら、舞ったら。千聖に豆をぶつけてもいいのよ。頑張ってよけるから、遠慮しないで」
「そんなこと、俺の嫁に出来るわけないでしょ。もう、ちしゃと一人の体じゃないんだからね」
「そうそう、お嬢様のけしからんボディはお嬢様とあたしのものだかんな」
「勝手に会話に入ってくんなよこの(自主規制)が」
「うっせーこの(自主規制)」


「・・・まー、たしかにちょっと、不公平感はいなめないよねぇ」

すると、相変わらずのブラックモードの愛理が、横から救いの手を差し伸べた。
あの聞くに堪えないお嬢様論争を受け流せるなんて、さすが愛理ちゃん!マイペース!


「愛理ちゅわん・・・!さすが俺の嫁2号!それじゃさっそく、鬼のコス・・・」
「あ、私じゃないよぅ。ケッケッケ」
「へ?」
「それは、私です!」


バーンと音を立て、調理場と食堂をつなぐドアを全開にし、腕組みをして立っていたのは、我らが鬼軍曹様だった。
こちらは黄色いトラ柄のキャミワンピ・・・に、網タイツにピンヒール。胸の谷間とかモロ出し。卑猥?自分の長所をアピールして何が悪いの?そんな無言の主張を感じる。

おやつの前に、廊下ですれ違ったときは、めぐぅはいつものメイド服だった。
ということは・・・調理場で着替えたのか。さっきおかしな動きと挙動で、若執事さんが閉じこもっていた、調理場で。


「ば・・・ばかじゃないの・・・」


いろんな意味を込めてのツッコミだったんだけれど、めぐぅは「ハッ」と鼻で笑うだけだった。



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