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舞がご機嫌な様子で、ニコニコとメロンソーダに口をつける。
私はというと、今日2回目のメープルラテ。・・・あ、こっちのお店のほうが美味しい。後で、千聖にも教えて・・・

「なっちゃん、それでね、話っていうのは」
「あ、うん」


――最近、舞が可愛くてたまらない。


お昼頃、雑談と買い物のために私を呼び出した千聖から、そう告げられた。

それは別にいいんだけど、先日、舞も同じようなことを言っていたのを思い出した。
しかも、その可愛くてたまらない千聖をああしてこうして、舞は大人になりたいと。
果たして、大人になるというのはどういう意味なのか。そういう意味でいいのか。それってどうなのよ。

そんなわけで、舞から事情聴取をしようと思っていた矢先、当の本人から連絡が来た。

“なっちゃん、夜、ご飯食べない?”と。
そして、今こうして事務所の近くのカフェで顔を突き合わせている、というわけだ。


「なっちゃん。この前も言ったんだけど、舞はちょっと、ちしゃとに対してガチで攻めてくことにしたから」
「・・・そういうの、まだ早くない?舞ちゃんまだ16歳じゃん」
「ハッ。そんなのなっちゃんにだけは言われたくないんだけど。なっちゃんと舞の違いなんて、ソロプレイかダブルプレイかっていう」
「あーあーあー!私の話はいいから!」

誰がカリスマソロプレイヤーやねん!たしかに昨日も、15分以内に華麗なる3戦3勝を果たしたところやけども!


「うわ、3回とか。しかも早っ!舞そういうの何ていうか知ってるよ。そうろu」
「違うから!それ女の子に使う言葉じゃないし。っていうかなんで地の文読めるんですか・・・」


テンパる私を見てる舞ちゃんは、実に楽しそうだ。
さすが生粋の℃Sっ娘、喜んでいただけたなら何よりでキュフゥ・・・


「まー、もう千聖を怖がらせたりしないで、なんていうの?ちゃんと合意の上で、事に進みたいわけよ、舞としては」
「ふむ」

まあ、それ自体はいい心がけだ。

そういえば、千聖はさっき、舞と交際するのを前向きに考えるようなことを言っていた。
でも、舞が開口一番私に言わないところを見ると、どうやらまだ、千聖は舞本人にはその件について話していないようだ。

千聖は結構、思いつきとノリでとんでもないことを言うタイプだ。今頃はすっかり忘れている可能性もある。
大体、やじーとはもうアレはしないって言ってたけど、どうなんだろうね。
それはあくまで明るい方の千聖の見解であって、お嬢様のほうが、舞美ちゃんに恋心を抱いていたとしたら、かなり複雑な話になるんじゃないだろうか。


「・・・まだ、正式に付き合ってるんじゃないんでしょ?ハワイで大人にって、急ぎすぎじゃない?」

恐る恐る聞いてみると、舞は不思議そうな顔で私を見た。

「こんだけ一緒にいて、舞の気持ちも知ってて拒まないでいるんだから、付き合ってるとみなしていいと思うんだけど。
なっちゃんみたいなソロ活動のお盛んな方にはわからないかな?ふふん」

くっ・・・!

反論したいのはやまやまだけど、いかんせん、おっしゃるとおりでおじゃる。
形はどうであれ、舞は千聖を本気で好きなのはわかるし、千聖も(お嬢様のほうだけど)恋して傷つき、また愛を知り、精神的に成長しているのは間違いない。

かたや、私が成長してるのは・・・まあ、時間の短縮ですとか、各種器具、オカズのバリエーションなど・・・
キュフフ、みやニーとか、千聖に知られたときは壊れかかったよね。友情が。
みやびちゃんでそういうのマジでやめてくれる?とかガチなトーンで言われたっけ。使うなら千聖を使えよギョカイ!とか言って、目のまえで豪快にワンピースを脱ぎ捨てたんだった。
でもね、さすがの私も、親友である明るい方の岡さんを単品で使用するのはハードルが高いケロ。ももニーぐらい厳しいものがあるケロ(なんだとー!いい?もぉはねぇ全人類の(ry)。・・・いや、脱線しすぎた。そんなことよりも


「・・・でも、舞って大人だよね。キュフフ」
「ん?」

今日のイジリは少々手荒すぎるだろ。
というわけで、私も微力ながら、反論させていただくことにした。


「だって、今後千聖とそういう関係になるってことはさ、確実に比べられるじゃん。前のオトコ(?)と」

舞の片眉が、ピクッと上がった。お、痛いトコ突かれたらしい。
珍しく主導権を握れそうな展開に、私の声も明るくなっていく。


「んとぉ、早貴の予想だとぉー、えりかちゃんとか超絶テクニシャンって感じだよね!顔からして。
みぃたんも、豪快そうだけど・・・あのイケメンフェイスがあればそのへんはどうにでもなるよね!顔って大事!」
「・・・ふん、舞がブサイクだっていいたいわけ」
「え、違うけどぉ。でも、舞は可愛い系じゃん。可愛がられる側じゃん。あの2人みたいに、お嬢様の千聖を夢中にさせる自信ある?」

少々カミカミながらも、早口でまくし立てると、舞は唇を尖らせた。

「・・・別に、舞は処○厨ではないので。過去よりも今が大事なんで」
「しょじy・・・舞ちゃん、それはアイドルが言う言葉じゃないケロ」
「おめーにだけは言われたくないけどな」


――ああ、なんてアイドル偏差値の低い会話だろう。いや、それ以前に女子としてどうなのか・・・

「てか、舞は比べられるのなんて、怖くないよ。
だって、好きなんだもん。しょうがないじゃん。惚れたもんの負けでしょ」

だけど、続けて舞の言った言葉はせつなさといじらしさを含んでいて、・・変態と紳士が交互に降臨する、不安定な恋心を感じさせた。


「まー・・・でも、なっちゃんの言ってることはわからなくもないでしゅ。
ちしゃまいはあまりにも距離が近すぎて、今から舞に溺れるっていうのは結構難しいものがあるかと」
「でしょー?大体、やじーやえりかちゃんは、生まれ持ったものが違うんだよ。あの長身に、あの美貌・・・」
「おっと、自虐は本人の前だけにしようぜ」


はー・・・。

私たちは同時にため息をつくと、一旦飲み物に口をつけた。

まあ、私のようなセルフ芸人には、完全に理解できるものではないんだけど・・・。
舞だって、じゅうぶん可愛くて魅力的な女の子だ。だけど、あの2人。長い手足と完璧に整った顔。千聖はおそらく、憧れも込みで恋に落ちていたんじゃないか。そういう観点でも、舞にはなかなか不利な状況と考えられる。

しばらくそのまま、ストローをがじがじ噛んでた舞ちゃんは、ふいに顔をあげてニヤリと笑った。

「・・・てか、顔でかなわないんだったら、あっちで頑張ればいいんじゃん。テクで」
「おい馬鹿やめろ、なんだその手の動きは」
「なっちゃん、お詳しいんでしょ?そっち系。もちろん、伝授してくれるんだよね?舞に」

お断りします(ケロキュフッ)といいたいところだけど、私も人の子、舞を開花させてしまった責任は感じているし、この眼力に抵抗できるメンタルは持ち合わせていない。


「どうなの、なっちゃん」
「キュフゥ・・・わかったよぅ。でも、本当に、千聖の気持ちを尊重してね。これは約束だよ」
「あったりまえでしょ。言っとくけどね、舞はそのへん、なっちゃんより経験値高いんだから。
なっちゃんは黙って、舞にちしゃとをめろめろにさせる技を教えればいいんでしゅ」

――もう、キュートな顔してなんてこと言うんだ、この覇王様は!
キャッキャと無邪気に舞のかわいさ自慢をしていた千聖と大違いじゃないか。

「ハワイ、楽しみだね、なっちゃん。くふふ。
あ、言っとくけど、あの変な器具は使わないからね。
道具に頼るのは、2流のやることでしゅ」


へー、じゃあ、舞様は一流の℃変態なんスね。
などといえるはずもなく。
大きな瞳を鈍く光らせて笑う顔を見て、私はため息をつくことしかできなかった。



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