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それにしても、同じ地球上の国だというのに、こうも違うものなのか、と私は感嘆した。
日本とは違う気温。空気。土地のにおい。

ここ――ハワイを訪れるのは、初めてのことではないけれど、新鮮なドキドキやワクワクで、自然と心が綻んでいく。
ケータイの設定に手こずる舞美ちゃんや、なぞのドヤ顔のまま空港をセレブ歩きするなっきぃ。みんな一様にご機嫌だ。
この愛すべきメンバーと、これからしばらく非日常空間を満喫できるのかと思うと、私のケッケッケ笑いも5割り増し。


「ちしゃと、荷物持つよ」
「あ・・・でも、舞さんのが」
「いいから。舞のはなっちゃんが持つから」
「・・・おいっ!何勝手なこと言って」

・・・あ、そうそう。もちろん彼女たちも、ね。ケッケッケ

日本を発つ前に、待ち合わせ場所でイチャイチャを見せ付けてくださった、ちさまいコンビ。というか、舞。
あの調子じゃ、飛行機の中でもやらかすんじゃないかとワクワk・・・いや、ひやひやしていたけれど、そこは紳士モードの舞様、千聖と肩を寄せ合って、ホラーDVDを観るにとどまっていた。
怖がりな舞が、幽霊出現シーンでビクッてなるのを必死で抑えていたのは見なかったことにしましょう、ケッケッケ


「ハワイ、楽しみだね、ちしゃと」
「あ・・・えと、はい」


せっかくのハワイだというのに、千聖がこんな、ぽわーっとした顔をしているのにはわけがある。


“ハワイ着いたら、もっとすごいのするからね、千聖”


オトナのキッスをすませたあと、舞がそっとささやいた言葉。
あれが、まだ効いているのだろう。



夏は、人を解放的にする。
旅先では、人はチャレンジャーになる。

この常夏の楽園は、どちらの条件も満たしていて、舞が滞在中に何かやらかすのはもう間違いないだろう。
ケッケッケ・・・2人と同室になるなっきぃには申し訳ないけれど、それってすごく面白い。
なんなら、なっきぃの注意をひきつけて、舞の計画に肩入れしてあげても・・・なんて発想までうかんでくる。
私も私で、変にテンションがあがってるということだろうか。



「ケッケッケ」
「あれー?愛理ご機嫌?ねね、見て見て、あそこのヤシの木が・・・」

やっとこケータイの設定を変更させた舞美ちゃんが、データフォルダを見せ付けてくる。
こちらもはっちゃけているのか、空港内のオブジェやなんてことない木をバシバシ撮影しまくって、それを本当に楽しそうに説明してくれる。


「ケッケッケ、楽しい時間になりそうだね、舞美ちゃん」
「んん?そうだね、みんなで仲良くね!」

みんなで、か。さすがリーダー。そうしたいけどね、ちさまいちゃん(というか舞(ry)が仲間に入れてくれるなら。


「いい天気。愛理、外で写真撮らない?」
「いいね」

目に手を翳し、太陽の光を遮りながら笑う姿が美しい。
ケッケッケ、こんな綺麗な女性から、愛するカノジョ(?)を奪うのは至難の業ですぞ、舞様。

大きな手にガシッと肩を抱かれて、余計にそんなことを強く感じた。



* * * * *

「・・・」
「・・・」

目のまえの千聖が、不機嫌そうにジュースを飲み干して私を睨んだ。

「・・・なんであーゆーことするかなあ」
「だから、謝ってんじゃん」

いつの間に、お嬢様からばかちしゃとに戻ったのか知らないけれど、ランチを終え、店内にて、自由行動の時間にデートに誘ったら、いきなり咎められたのだ。曰く、「舞、お嬢様のほうにべろちゅーしただろ。変態」と。


「何か、舞の味が残ってた。もー、強引なのはだめだって言ったじゃんか」
「・・・てか、歌もダンスもお嬢様でレッスンしたのはすぐ“覚えてない”とかいうくせに、そういうのは覚えてるんだね」
「しょうがないじゃん。ちさとが自分でコントロールしてるわけじゃないんだからねっ」

ごちそーさま、と席を立つ千聖。

「ちょっと待ってよ」

せっかく一緒に行動しようと思ったのに。
置いてかれちゃったら、どうしたらいいのかわからない。
なっちゃんや愛理たちのグループに混ぜてもらう事はできるだろうけど、でも・・・


「やだ、行かないで!舞と一緒にいてよ!」

ハァ?と片眉をあげて首をかしげる千聖。
結構な大声だったから、周りの人達も私たちをじろじろ見ている。



「喧嘩だめだよー、あはは」

さすがに、舞美ちゃんから注意が飛んでくる。
でも、今千聖を繋ぎ止めないと、またどこかへふわふわ飛んでいってしまうんじゃないかって、とても怖くて・・・。
なっちゃんに教わった“クールで優しい、リードしてあげるオトナなキャラ”なんて保っていられず、ランチプレートを持ったままの千聖に抱きつく。


「うお、こぼれる!」
「ねー、お願い。キスしたのがやだったのなら謝るから!舞のこと嫌いにならないで」


えー、違います違います!キスというのはほれなんだあの魚のてんぷらのえーと

なっちゃんが青い顔で、必死にスタッフさんたちに言い訳しているのが見える。・・・ごめん、尻拭いさせまくり。
一方、私となっちゃんと交互にじろじろ見ていた千聖は、「・・・ぷっ」とおもむろに吹きだした。


「・・・グフフフ、何そんな必死になってんの二人ともー?そんなにちさとのことが好きか!」

何がそんなにおかしいのか、爆笑しながらプレートを返却して、千聖は外のデッキにヘラヘラと出て行ってしまった。


「ちしゃと・・・」

追いかけていくと、振り向いた千聖は目を眇めた。
何度も何度も見飽きるほどに向き合ってきたはずなのに、この表情が私の胸をトクンと鳴らす。
お嬢様はしない、もとの千聖だけの、ちょびっと意地悪な余裕のある笑顔。

「・・・てか、舞はさぁ」
「はい」



反省してることもあり、しおらしく腕を絡めて甘えてみせる。
私よりも低い位置にあるはずの手が、男前にくしゃくしゃと髪を撫でてくれた。

「舞はそうやって、甘ったれちゃんのほうが絶対可愛いから。変なキャラなんてやめな?」
「・・・子供扱いしないでよ。1個しか違わないんだから」

はいはい、と私の抗議は簡単に流され、さらに頭をわっしゃわしゃにされる。


「ねー、ヘアスタイル乱れるから!」
「素直じゃないなぁ、舞は。まぁそこが可愛いんだけどねっ」

千聖はその手を私の手とつなぎなおして、「じゃ、どこいく?」と顔を覗き込んできた。


「え・・・いいの?」
「舞が誘ったんじゃん」
「怒ってない?キスしたの」
「・・・んふ」

バカちしゃとのくせに、お嬢様タイムのときみたく、読めない表情ではぐらかしてくる。
びみょーに腹が立つけど、舞が悪いのは明確だから、あまり強く抗議できないのがイタイところ。


「人前ではだめだよ、舞ちゃん」
「あー、はいはい。舞が悪かったですよ」


そんな会話をしながら、その後はいつものちさまいパターン、何もなかったかのように、ぺちゃぺちゃしゃべりながらの周辺散策に繰り出した。

ショッピングセンター見て、ジュエリーショップ見て・・・
言葉の通じない場所もあったけど、千聖の対応力とやらに大いに助けられて、おおむね順調に・・・



「えっ、てか!さっきの!」

千聖と2人ですごす時間。
そのめまぐるしく交わされる会話を反芻していた私は、いきなり“あること”に思い当たり、足を止めた。

「ん?なに?買い忘れ?」
「じゃなくて、だって、ちしゃと、」


“人前ではだめだよ、舞ちゃん”


「・・・じゃあさ、人前じゃなかったら、いいの?」

さすがに小声で問いかけると、千聖は一瞬首を捻ったあと、ニヤーッと笑った。

「遅っ!いつの会話だよ!てか舞、それずっと気にしてたんだー。えっろ」
「はあ?たまたま思い出しただけ!うぬぼれないでくださーい」
「あっそ。じゃあ答えませーん。べろべろー」


――うっわ、ムカつく。小学生かよ。
私のクールキャラ、少なくともお嬢様には好評のようだったんだけどな。


「舞はねー、ちさとに守られてるのがお似合いなんだよっ」


まるで、男の子だ。
言い切ったあと、にやりと上目づかいで笑う顔がたまらない。キュンキュンしてしまう。
私みたいに、にわかボーイじゃ全然太刀打ちできない、天性の少年らしさ。
お嬢様は髪を切って色っぽくなったのに、こっちはどんどんオトコオンナになるばかりだ。



「・・・でも、どっちのちしゃとでもいいんだ」

舞はここにいる間に、オトナになるって決めたんだから。

「んー?なに?」
「別に。それより、アイス食べに行こうよ。あの、マネージャーさんが言ってた・・・」


本当はなっちゃんのように、いかがわしい道具(made in hawaii)を購入することも検討したのでしゅが、それは2流の(ryというわけで、舞は触れ合いを重視しようと思うのでしゅ。


「千聖、手」
「はいはい、舞はあまえんぼうだなぁ」


――私の気持ちなんて、全然わかってないんだから。
握った千聖の手は、少しも汗ばんだりトクトクと緊張していたりもなくて、残念なような、安心したようなフシギな気持ちになった。




ノソ*^ o゚) <ハワイのオモチャ・・・
ノソ*// p //) <イイ・・・

ヒソヒソ(o・ⅴ・)リ・一・ リリ



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