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「あっはっはっは!!」
「もー、うるさいよ千聖、笑いすぎ!」

――こいつ、本当にアイドルか?足をじたばたさせながら、おなかを抱えて私を指さして笑う憎たらしい顔を睨みつけながら、密かにため息をついた。


「だって、だって、舞ちゃん、グフフ」

私の手元のアイスクリームを見ながら、さらにおなかを抱えて笑い続ける千聖。
いったんツボにはいると、いつもこうだ。たちが悪い。


「・・・だって、しょうがないじゃん。舞、英語わかんないし」

口を尖らせて反論しても、千聖の爆笑は一向に収まらない。
ベンチに手をついて、咳き込みながらもまだ笑っている。
いい加減、イライラしてきたんだけど・・・。

「ん、だって、だって、舞さぁ」

その私の不機嫌を感じ取ったのか、千聖はようやくじたばたするのをやめて、私の目を覗き込んできた。

「それ買う時さぁ」

さっき買った、Sサイズでもてんこもりの、ハワイサイズのアイスクリーム。
公式キャラとは違って、結構ヘタレな私は、これを買うのにかなり苦労した。
大丈夫だよ、舞。なんて男前に言う千聖の手を握ったまま、ドキドキしながら、店員のお姉さんにこういったのだ。


「あ、あいあむ、ばにらあいす」


「ア、アイアムバニラアイスとか言って!何、舞はいつからアイスになったの?マジうけるわ!」

自分は余裕でクッキークリームの美味しそうなやつをゲットしたからって、なんてひどい言い草だ。
大体、英語力は舞と大差ないくせに・・・こういう時の、千聖の対応力ってやつは素直にすごいとは思う。思うけれど、だからといって、可愛い彼女を馬鹿にしていいってもんじゃないでしょうが!

「・・・ふん、そんなでかいのバクバク食べてたら、また大福に戻るんだからねっ」
「あっ、ちょ、そういうこと言うなよ。食欲なくすだろっ」

とかなんとか言いながらも、私のアイスにスプーンを突っ込んで、無断で食べるマイペースさ。
いいんだけどさ、岡井さんはこういう人だってわかってるし。

でも、今日ばっかりはこうもムードのないことをしてほしくないのだ。
だって、私は・・・


「・・・お、舞、見て見て」


いきなり、千聖が私の腕を突付いた。

「ほら、あそこにいるカップル。何かドラマみたいじゃない?」


指さす方向にいるのは、補整された海沿いの道を、ワンちゃん2匹連れて歩く長身のカップル。
たまに微笑み合いながら、チュッとかやっててかっこいい。何か、外国人って得だ。何やってもサマになるし・・・


「あーあ、うちらもさー、大人になったらあんな恋すんのかねー。想像できなくない?」
「・・・ほんっと、無神経。ばかちしゃと」

およそ、自分に好意を寄せてる相手に発するものとは思えないそのデリカシーのない言葉に、私の頭の中で何かがプツッと切れた。



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