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“へー、千聖と名前で呼び合うようにねぇ・・・え、いや、なんでそんなことになったのー?おもしろーい!”

数日後の夜。
久しぶりにももと電話しているときに、ふと話題になったこと。
ももは電話越し、クッションかなんかをボフボフ叩いて笑っている。う・・・うるさい。大学生になっても、相変わらずテンションが上がると誰よりも騒がしくなるところは変わっていないみたいだ。


“よかったじゃん、距離が縮まった感じ?”
「んー、まあねぇ」
“どったの?何か不満でも?”
「不満っていうかぁ」

私は机に手を伸ばすと、置いてあったピンク色の封筒に手を伸ばした。


「今日の放課後にね、岡井さ・・・ちさ、と、から手紙をもらったわけ」
“ほー。あの子、手紙大好きだもんね。なんて書いてあるの?”
「んー」


【ごきげんよう、梨沙子。
梨沙子、今日の体育のバスケットボール、楽しかったわね。
梨沙子がパスを上手に繋いでくれたから、たくさん得点ができました。
そういえば、梨沙子の新しいお花柄のペンケース、とても可愛らしいのね。
梨沙子はどちらのお店で、あのペンケースを買ったのかしら?
ぜひ、梨沙子が懇意にしていらっしゃるお店を、紹介していただきたいです。
一人でなければ、外出ができるようになったので、梨沙子とお買い物に行けたら嬉しいわ。
梨沙子がお好きな、みそばたーちゃーしゅーめんのお店にも、ぜひ連れて行っていただけたらと思います。
今日、梨沙子がお昼に召し上がっていたインスタントラーメン、1口いただいて、大変美味でした。
あちらは、梨沙子がこんびにえんすすとあで購入なさったのかしら?今度、千聖も連れて行ってね。
今夜は北風が強く、冷え込むと聞いています。すぎゃさんもお体に気をつけて。かしこ】


“・・・・あはははは!!1行に1回梨沙子!!”
「・・・しかも最後の最後には“すぎゃさん”って、コピペの改変じゃないんだから」
“よっぽど梨沙子って呼べたのが嬉しいみたいだねぇ。可愛いやつ。ウフフ”

ももは笑ってるけど、この梨沙子連発レター・・・実際、自分の名前でやられると、なかなかに恐ろしいものがある。
岡井さんだってわかってるからいいものの、差出人不明とかだったら、失神して保健室モノだ。

それに・・・。


「何かね、でも、岡井さん、実際“梨沙子”って、声に出して呼んでこないんだよー」
“ん?どゆこと?”

――そう。
岡・・・ち・・さと、ったら、結局私の名前を言ってくれたのは最初だけで、最近じゃ近寄ると、もじもじして逃げていく始末。
でも手紙ではこんなだし・・・そのくせ、私がうっかり“岡井さん”よびすると、本気で悲しそうな顔をする。
あの子犬顔の効果もあって、罪悪感もはんぱない。


“えー、困ったちゃんだねぇ、千聖の奴ぅ”
「なんかぁ、夏・・Buono!の話もままらならないし、どうしたいのよって感じ」


せっかくの夏焼先輩の新作(アン)オフィシャル生写真、渡しそびれちゃってるんですけど!
貴重な夏焼先輩ファン仲間だし、もっと盛り上がりたいんだけどな。岡井さんってやっぱり、じゃなくて、ちさとってやっぱり変な子!


“うふふふ”
「なーんで笑うんだよぅ」
“だってぇ、梨沙子みたいな甘えんぼうちゃんが、友達に振り回されてるなんて珍しくてぇ。うんうん、青春だねぇ”

「もー、からかわないでよ。何かいい案ない?千奈美は呼び捨て羨ましい!とか噛み合わないこと言うし、茉麻は子供同士で解決なさいとか言うし、熊井ちゃんは明らかに頼って欲しそうな顔してるけど、絶対やめたほうがいいし」
“それでもぉを頼ってきたわけねぇ。ウフフ、可愛いぞ、梨沙子♪”
「まあ、ちょっとアレな人のほうが、フツー考えつかないようなアイデア出してくれたりするしね」
“おいっ!”

卒業生を頼るのもなんだけど、この件に関してはももが適任で間違いないだろう(舞ちゃんは無理。絶対無理)。
それに、ももには言わないけど、絶対言ってあげないけど、・・・全然、声聞いてなかったから、ちょっと寂しかったっていうのもある。


“ねー、梨沙子”
「んー」

この、ちょっと低くて太い“素の”ももの声を聞いていると、安心する。
はちゃめちゃなキャラクターだけど、ももはやけに人を落ち着かせるタイプだと思う。・・・教職、向いてるんじゃないかな。なーんて、ももには絶対絶対(ry


“うふふ、梨沙子ちゃーん”
「なーに?」
“まー、もぉの手に掛かればぁ、ねえ?”
「ねー、もったいんぶんないでよぉ」


私からのクレームを、許してにゃん♪とかいって軽く流すもも。そのまま、話を続ける。


“私、明日行くね”
「ん?学園に?」

うわー、明日定期服装検査なのに・・・。ふーきいんちょーさん、ぶっ倒れちゃうんじゃないかな。別の日にしたほうがいいんじゃ・・・

だけど、ももは続けて意外なことを言った。

“学園じゃないよぉ。もぉだってぇ、教育学部のエースとして、学生生活が忙しいわけですし”
「じゃ、なんなのさ」
“だからあ、明日、梨沙子んち行くから!千聖もつれて!”

「・・・はあああ!?」


一呼吸置いてからの私の絶叫に、うるさい!と弟からクレームの壁ドンが来た。



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