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まあ、それにしても・・・いじめだなんて、ずいぶん物騒なことがあるのね。
私は遥ちゃんのついでに出していただいた煎茶を啜った。

こんなのんびりした学校で、自分の場合は友達も約1名を除いてみんなおっとりしているから、まるで異世界の話を聞いているようだ。
ケンカとか、大きな揉め事って、まったく自分の身に降りかかったことのない事象だなあ(みずきちゃんはつえーから、誰もふっかけないだけだよ!:遥談)。なんだかピンとこない。

でも、友達のためにムキになっちゃってる遥ちゃんは可愛いし、佳林ちゃんも可愛いし、先輩がたはみんなお美しいし・・・うふふふふ、最高の状況だ。


「・・・みずきちゃん、あたしの援護射撃する気ねーなら帰っていいよ」
「うふふふ、私はあなたのストッパーだから」
「いらねーし」


あら、そっけないこと。彼女、もし仮に私がいじめられたら、こんな風に怒ってくれるのかしら?なんて、緊迫感のないことが頭に浮かんだ(だから、誰もみずきちゃんなんか(ry)。


「・・・あの」

ふいに、佳林ちゃんが口を開いた。
いつもつとめて冷静に振舞っている彼女だけれど、今はさすがに表情が強張っている。
揺れる黒目がちの瞳を、千聖お嬢様が静かに覗き込んで、それを見ていた遥ちゃんがちょっと口を尖らせて黙りこんだ。


「あの、御迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」
「佳林、いいのよ」
「いいえ。千聖お姉さまにも、生徒会の皆様にも、・・・遥ちゃんや、あの・・・クラスのみんなを巻き込んでしまいましたが、全部私が悪いので」
「そんなわけないだろ。なんでかりんが悪者になるんだよ。だいたいなぁ」

「・・・私たち、いじめなんてしてないです」

そして、ほんの少し室内の空気が変わったその刹那、今度はもぉ軍団の子がおずおずと挙手をして語り出した。


「はあ?嘘ついてんなよ」
「嘘じゃないもん。そりゃあ、佳林が勝手に仲間抜けちゃって、寂しかったけど、でも、でも」


――あらら、泣きそうな顔しちゃって、かわいそうに。


「遥ちゃん。まだ決め付けるのは、早いんじゃないかと思うけど」

一応、そんなことを言ってみると、また遥ちゃんが何か言いたげにこっちを見た。


「みずきちゃん、なんでこいつらの味方すんの?」
「味方とか、敵とかじゃないでしょう?彼女たちには、彼女たちの言い分があるでしょうし」


初等部で、ましてこんな気の小さそうな子達が、生徒会役員の前で、嘘なんてつけないでしょうに。
物事は、一方からだけ見てはいけない。丸いと思っていた物質が、違う角度から見たら四角く見えたりもする。よく御父様が言っていることだ。


「誰が悪いかよりも、今後どうしたらいいのかを考えたほうがいいと思うなあ。そのための、話し合いの場をいただいているのだし」
「・・・えらい!」


私の発言に、須藤先輩がニコニコと拍手を送ってくれる。
あくまで遥ちゃんに語りかけていたつもりだったのだけれど・・・ちょっと照れるなあ。

「その冷静さ、只者じゃないね。譜久村さん、今何年生?生徒会に興味ある?」
「ちょっと、まーさママ。それは今はいいから」

すると、今度は萩原さんの横槍。
いかにもめんどくさそうに、私たちなんかには目も向けず・・・・・いや、遥ちゃんのことは一瞬睨んだ。絶対睨んだ。まあ、爪をいじくりながら、萩原さんは軽くため息をついた。
小もぉさんたちの背中に緊張が走る。


「てか、お互いの言い分話せばいいだけでしょ?舞もちしゃとも忙しいんだよね。
とりあえず、舞が見たのは、宮本さんのコートにふんずけたような跡があったってこと。
だけどそれは、必ずしも故意にとは限らないよね?」
「どういうことかしら、舞」
「つまり、踏んだのは・・・」



「いじめっ子はいねがー!!!」

いきなり、絶叫とともに、生徒会の扉が開いた。

「あああ・・・せっかくまとまりかけてたのに・・・」


須藤生徒会長が、頭を抱えて首を横に振った。



「まーさ!お嬢様!舞ちゃん!その他!うちがきたからには、もう大丈夫だからね!」

小鼻を膨らませて入室してきた長身の美人さんは、私たち一人一人の顔を見つめながら、うんうんと深くうなずいた。



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