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根拠も何もないくせに、この偉そうな態度。
まったく、どこの熊井ちゃんだよ。

「あのさあ、つばさ君。きみはいつもそんな感じなのか。そんなんでチームメイトとは上手くやってられるのかい?」

あ、図星だったようだ。
僕の言ったことに唇をとがらせるつばさ君。

また減らず口を返してくるのかと思っていた僕にとって、彼のその表情は意外だった。
そして、その顔がまたかわいらしいんだ。黙っていると本当にかわいいな・・・

・・・ゴホン。


僕の言ったことに、考え込んだ表情をふと見せたつばさ君。
ツンツンととんがっているけれど、意外と根は素直な子なのかもしれないな。
そうやって悪ぶって見せたい年頃なのだろう。

「べ、別に、何の問題も無いけど?」
「本当に? じゃあ聞くけど、なんで今ちょっと考え込んだ様子になったの?」
「それは・・・・ 確かにオレはみんなとは違うのかも知れないけど、そんな風に特別扱いして欲しくないんだよ」
「??」

なんの話しをしてるんだ?

「え? どういうこと?」
「クラスのやつだって、どいつもこいつもオレには他人行儀なんだ。だからオレは・・・」

そう言ったつばさ君が表情を曇らせた。そして言葉に詰まってしまった。
どうしたんだろう。
僕には話しが見えてこないのだが、今の彼のその反応、そこには何か特別な事情があるのかも知れないな。


「もっと普通に接して欲しいのにさ」


「でも、君のその偉そうな態度だと友達はみんな負担に感じてたりするんじゃないのかなあ」
「そ、そうなのか?」

そうだよ!当たり前だろ!!
そんなことも気付いてないのか!?
やっぱりこの子、ちょっとおかしいでしょ。


「だいたいさ、どいつもこいつもみんな大人しすぎるんだよ。男なんだからもっとぶつかってきて欲しいのに。だから、オレ・・

そう言い出して、そこからぶっちゃけ話しを僕にしてくれたつばさ君。
ふーん。外観とは裏腹にけっこう男っぽいところがあるんだ。


「サッカーのときだってそうさ。みんな本当に勝ちたいと思ってやってるのか、覚悟ってものが全然見えてこないし」
「お、なかなか大したもんだ。中学生でそこまで思い至ることが出来てるなんて」
「そりゃそうさ、オレの決断ひとつが大勢に影響を及ぼすことになるんだって。帝王学については執事長からいつもうるさく言われてるからな」

シツジチョーって何だ? 語呂だけ聞くとくまいちょーみたいだな。
なんて緊張感のないことを考えてしまったことを反省しつつ、つばさ君の話すことに耳を傾ける。

意味のよく分からない話しだったけど(テイオウ学って何?)、その真剣な気持ちは伝わってきた。
口だけ君かと思ったら、意外と深く考えてて責任感もあるんだな。

だからこそなのかもしれないけど、その性格だと学校の集団の中では気持ちが落ち着かないことも多いんだろう。
思春期にはよくあることだ。

「でも、みんな勝負事の意味をそこまで考えてないのかも。オレが考えすぎてるのかな。試合中ひとりで興奮して感情を抑え切れないこともあったりしてさ」
「分かるよ。気持ちが高まると、感情まで高ぶっちゃうんだろ。興奮して感情がコントロールできなくなるって、よくあることさ」

入れ込みすぎで気合の空回りか。
分かるよ、それ。

だって、それ僕の最初の試合の時と一緒なんだから。


あれは僕がつばさ君と同じ中学1年生のときのこと。
僕が初めて試合に出たときのことだった。



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