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いつものように僕をおもちゃのように扱う桃子さん。
僕はいつだって気が付くとこの人の手のひらの上で踊らされてしまっている。


そんな桃子さんを目の前にして、実はさっきからずっと僕はドキドキとした思いを彼女に抱いていた。

だって、今日の桃子さんは、見た目の雰囲気がいつもの彼女とは少し違っていたんだ。
さっき、やって来た桃子さんを一目見て、僕はちょっとびっくりしてしまったぐらいで。
僕の前に現れたのは、とても大人っぽい桃子さんだったから。

今日の桃子さんは、いつものツインテールではなく髪を下ろしている。
この髪型の桃子さん、僕は結構好きなんだよね。
こっちの髪型の方がずっと似合ってると思うんだけどな。

そして、彼女にしては珍しく原色を使っていないその服装。
それも相まって、今日の桃子さんはとても落ち着いて見えるのだ。大人の女性って感じがして。


さっきから僕の目を釘付けにしているのは、まだ理由がある。
桃子さんは、小柄だけど、あのですね、何ていうか、桃子さんってとても女性らしいスタイルですよね。柔らかそうな、っていうか。
夏らしい格好だと更にそれがよく分かる。そう、まさに今がそれだ。
桃子さん、出るところは出てるし・・・ゴホン。

まいったな。
本当にドキドキするよ。
腕とか足とか露出が多いから、つい目が行ってしまうし・・・ゴホン。


なんかどこからか殺気を感じるので、これ以上触れるのはもうやめますけど。


こうやって改めて見ると、桃子さんって本当にかわいらしい人だよな。

普段は殊更にブリブリしてるから、それに惑わされてしまうけど、こうやって普通にしていれば普通にかわいい人だと改めて思う。

そんな桃子さんが僕の隣りで僕の話しを聞いていてくれるんだ。この至近距離で。
そりゃドキドキもするし、彼女から視線を外すこともできなくもなる。


そんな、すっかり見とれてしまっていた僕に桃子さんが言った。

「そう? そんなにもぉのことカワイイって思ってくれてアリガト」
「な、なんでそれを・・・」
「あ、本当に思っててくれたんだ」


「少年は本当に分かりやすいなぁw」


桃子さんが楽しそうに笑う。


「そ、そんなに僕って分かりやすい男なんでしょうか・・・」
「うん、とっても分かりやすいね」

桃子さんが即答する。

「それにね、見てるだけでも分かりやすいのに、少年たまに思ってること無意識に口にしたりしてることあるよ。それに気付いてないの?」
「無意識に口に出してる・・・・」
「そうだよー。それ気をつけた方がいいよ、他の人の前では」


「ま、もぉとしては面白いからいいんだけどね。風紀委員長さんの名前が出てくるたびにネタが増えるしw」

口にしてるって、そんな固有の人の名前までハッキリと口にしてるというのか、僕は・・・


「それでね、最近はもぉの知らない人の名前が出るようになってきたのね」
「知らない人の名前?」
「そうだよ。くどぅとかまーちゃんとか。それは誰なの?」
「そっ、それは・・・初等部のハル・・・じゃなくて、誰なんでしょう? 桃子さんの聞き間違いじゃないでしゅか?」
「何で舞ちゃんの口マネ? まぁ、いいけど。初等部の子なのね。やっぱり学園生なんだ」
「いや、それは遥ちゃんで、まぁちゃんは姉妹校の初等部で、、、あっ・・・」
「・・・・ふーん?」

思ってることをすぐ口に出してしまう僕のこのクセは本当に何とかしないと。

この分なら無意識のうちに口に出してるってのも、有り得ることなのかもしれない。
しかも桃子さんにそれを聞かれてバレバレとか・・・


衝撃的な事実を自覚させられ絶句している僕に桃子さんが言葉を続ける。

「でも、初等部の子って・・・少年、あまりいいんちょさんの血圧を上げたりしないようにね」
「・・・桃子さんにだけは言われたくないですけどね」
「そういえばね、それで思い出しちゃった」


そう言った桃子さんの表情が少し真面目な感じになった。


「あの地震のとき、私たち一緒だったじゃない」


決して忘れられないあの日の出来事。
あの日、僕はこの人と一晩ずっと一緒に過ごしたのだ。
そして、僕はたぶん一生憶えているだろう。あの時のことを。


「それでね、その時も、寝言で名前言ってたよ」

桃子さんはそこでニヤニヤとした笑いを浮かべた。


「次々と女の子の名前を口にするんだもん。少年はホント多情なんだねw」


寝言で女の子の名前を次々と?
それはマズすぎるだろ!! 
なんてこった・・・ よりによって桃子さんの前でそんな・・・


「もぉの名前も呼んでくれてありがと。しかも三番目に呼んでくれるとか。もぉ嬉しいよ。そんなにもぉのこと思ってくれて」
「次々と女の子の名前を・・・ 桃子さん、それ憶えてますか? どういう順番だったんでしょう・・・」
「一番最初はね、ウフッ・・・知りたいの? 誰だったと思う?」


なに、その言い方は。
ひょっとして誰か意外な人の名前だったんだろうか、まさか。

そんな僕の反応を楽しんでいる桃子さん。


「一番はね、舞ちゃんだったよ」


ちょっとホッとした。まぁ、当たり前だけど。
でも、自分を自分で少し褒めてやりたい気分だった。

「二番はちさとね。そんな順番で呼ぶなんてさ。だから少年は本当に分かりやすいって言われるんだよw」
「それで、三番目が桃子さんだったんですか? 何で桃子さんが・・・」
「なんだとー! あによ、その不満そうな言い方は!自分で口にしたことでしょ!」

そう言ったあと、桃子さんはニヤリと微笑んだ。

「でも最後の最後に出たのがあの人の名前とはねえ・・・もぉ、ちょっと驚いちゃった」

誰の名前だったのだろう。
僕の反応を楽しむような桃子さんのその表情。

「最後の最後で、しかも2回も繰り返し名前を呼ぶし。そんな待遇なのは舞ちゃんとその人だけだったよ」


・・・・・・・

まずいじゃないか。そんなの桃子さんに聞かれるとか、マズすぎる。

いったい誰の名前だったんだろう。
そんな僕を見て、桃子さんが楽しげに話しを続ける。

「そんなに心当たりがいっぱいあるんだ。ふーん」


「驚いたよ。まさかあの子の名前が出るとはねえ、あの状況で。しかも、ご丁寧に間をためたりしてたからね。そんなに感情込めちゃったりしてウフフ」

ますます顔が引きつってきたのを自覚する。

「えっ?分からないの? じゃあヒントね。その人は、もぉ軍団の人でーす。ウフフ。もぉじゃないからね。もぉは三番目に呼ばれてたからね」

ってことは、対象になるのはもうその時点で2人しかいないじゃん。
楽しそうな桃子さんを前にして、僕の緊張は頂点に達した。


「夢から覚める前、最後に名前を呼ぶのはね、その人のことが・・・」


その桃子さんの言い出した言葉に、何故か僕はパニくってしまった。
話しの流れが危ない方向に進みそうな気配を感じるのだ。

話題を変えなきゃ!!

桃子さんの言葉を遮るように慌てて質問を繰り出した。


「もっ、桃子さん、今日はおひとりなんですか?!」


桃子さんは僕のその剣幕にちょっと驚いたふうだったが、あえて僕の言ったことを覆すでもなかった。
僕の聞いたこと、それはそれで遊べそうと思ったのかもしれない。

桃子さんって、掴み所の無い人だよ、ホント。
そんな桃子さんの顔が再び楽しげな微笑になる。


「もぉが一人だったらどうするの。もぉとデートでもする?」


そんなことを言ってからかってくる桃子さん。
今日の大人っぽい桃子さんにそんなこと言われると、都会っ子純情な僕はドキドキしてしまう。


「少年はホントからかい甲斐があるから面白いね、ウフフフ」


「でも残念ながら違いまーす。もうすぐくまいちょーとりさこが来るはずなんだよね。この店の前で待ち合わせしてるの」
「そ、そうですか」

話題を変えたのに、そこでもまたその名前なんだ・・・
でも、桃子さんはそこにはそれ以上突っ込んでは来なかった。
今日はこの辺にしておくか、って言われているような、桃子さんの余裕綽々というその感じ。

僕は桃子さんにはホントかなわないんだな・・・


って、もぉ軍団が待ち合わせしているのか! ここで!!



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