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カラフルなフリフリが、熱帯魚のようにフワフワ。
いやいや、イルカの皮膚のように、マットでシックなのもそれはそれでいいかんな。


「・・・なにニヤニヤしてるんでしゅか。有原は煩悩の塊でしゅね」
「蹴るなよ、女の子だろ!」

幸せな妄想に耽っている私の可愛いおケツを、萩原がトウキック。・・・んだよ、監視してんのかよ。

「そんなツラしてたら、つまみ出されましゅよ。ったく女のヘンタイとか、タチ悪いでしゅ」
「おめーに言われたくないかんな」


つべこべ言い合いつつも、私たちはお行儀よく並んで歩いている。


「2人とも楽しそうだねー、あはは!」

後ろから、全力お姉様こと舞美ちゃんのちょっとズレたお声も飛んでくる。・・・まあ、萩原が否定しないから、私も別にしないけど。


今、私たちは駅ビルへ向かって林道を歩いている。
寮生全員での外出。久しぶりのことだから、テンションが上がっている。口げんか風とはいえ、萩原とのこのやり取りだって決して悪い気はしないぐらいに。


「あっついねー」
「ねー。カキ氷食べたいなぁ」

ハンカチで顔を仰ぎながら、ほのぼの会話しているのは、なっきぃと愛理。

「でねー、講義のときにももがまた“許してにゃん”っていうあれをねー」
「えー、ほんと徹底してるねー!相変わらずだぁ」

お姉さんコンビも、楽しげに同級生トークを交わしていて楽しそう。


「・・・ねえ」
「なんだかんな」
「さっきなんでにやにやしてたの」

唐突に、萩原がツンツンと腕を突っついてくる。
さっき・・・ああ、はいはい。ほんとよく見てるな、観察癖、あなどれないかんな。


「今から買いにいくもののこと、考えてたんだよ。グヒョヒョ」
「・・・ほんっと有原ってさぁ・・・マジ舞には理解できませんわ」
「はーん?そんなこと言って、楽しみにしてるんでしょ?お嬢様のみ・ず・ぎ」

瞬時に、萩原の目が泳いだ。・・・グヒョヒョ、頭いい子を動揺させるのって気分いいかんな。


そう、私たちは、来週に開催されるお屋敷でのプール大会に備えて、水着を買いに行く途中なのだ。
去年の水着でも良かったのだけれど、今年は今年で新調したい。
そんな話題で盛り上がって、急遽みんなでお買い物デーとなったのだった。

前に着ていたポッチャマプリントのワンピース水着、散々お子ちゃまってからかってやったのが効いたのか、萩原は「別に舞は云々」とごにょごにょ言い訳しながらも着いてきた。
結構気にしてるんじゃん、可愛いのう。

「てか、ちしゃとはどうなんだろ」
「んー?」

その言葉に誘導されるように、私は後ろを振り向いた。


「あっ!」

舞美ちゃんとえりかちゃんが談笑する、そのさらに後方。
お嬢様は一人ぽつんと、ぼーっとした表情で歩いていた。

わ、私としたことが!お嬢様を一人にするなんて!栞菜の馬鹿!いくじなし!ゴミ!カス!くそっtt(ry


「お嬢様はぁーん!」
「あってめ、抜け駆けすんな!」

慌てて駆け寄ると、お嬢様は驚いたように目をパチパチさせた。


「まぁ、2人とも・・・一体、どうなさったの?」
「別に、どうもしないけど。ちしゃとは舞と水着選ぶんだから、並んで歩いてないとおかしいじゃん」

萩原の野郎が、お嬢様のぷにぷにお手手を引っ張って横に並ぶ。
私は上手い具合にはじき出されて、あえなく後ろへ並びなおす事となった(林道の奥は狭くなってるから、大人数並んで歩けないかんな。ムキー!)。


「・・・舞、そのことなのだけれど」

テンション高めな萩原とは対照的に、お嬢様は浮かない顔をしている。
暑さのせい・・・というわけではなさそうだ。ビー玉みたいな瞳が、不安げに揺れている。

「どうしたのちしゃと。何でも言って」
「あのね、舞。私ね」


お嬢様の足が、ピタリと止まる。
後ろに目なんかついてないだろうに、なぜか前を歩いていた寮生たちも、いっせいに振り向いた。


お嬢様の小さな唇が開く。


「・・・私、水着はいらないわ。プールにも入らない」



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