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「メイド喫茶に行きたい。」


「・・・・・・・・・・はぁ?」

私の発言に、メンバー全員があっけにとられた顔をした。

歌番組収録後の雑談で、また今度キュートのメンバーみんなで遊びに行こう!なんて話が出た。
7人もいるとなかなか全員そろうのが難しいから、この手の話は大抵盛り上がるだけ盛り上がってそのうちすぼんでしまう。

奇跡的に集まれたジェラートを囲む会は楽しかったな。
ああいう機会をもっとたくさん作って、キュートの団結力を強くしたい。

そう思って、私は今自分が一番関心のあるスポットをあげてみたのだけれど。

「みぃたん、メイド喫茶なんて行ってどうするの?」
「そうだよー。普通のカフェでよくない?」

いやいや、そうじゃないんだって。


数日前、私はお兄ちゃんの買い物に付き合うことになって、秋葉原へ行った。
DSのソフトやら最新のヘアアイロンやらいろいろ買ってもらってご満悦の私の目に、ティッシュを配る女の子の姿が飛び込んできた。
・・・メイド服着てる。芸能界の仕事以外で、こういう格好をしている人を見るのは初めてだった。
何かかわいいな。ふりふりスカートは人が履いててもツボにはまる。
ということは、この近くにメイド喫茶が?


「舞美?」


あ、あった。みるきぃにゃんにゃん。


お兄ちゃんを放置して、私は好奇心の赴くまま、小さなビルの階段を駆けのぼった。


素敵な空間だった。
ネコ耳をつけたメイド服の美少女たちが、にっこり笑いながらクルクル忙しそうに働いている。
完璧な笑顔に完璧な接待。

こんなふうにおもてなしされたら、さぞかし心地よいだろうな。
日ごろのストレスも解消できるってもんだ。

さすがに女の子一人で入るのは憚られ、外にいたお兄ちゃんをしつこく誘ったらマジギレされてしまったけれど、私のこの空間への憧れは高まっていた。



「・・・・というわけ。だからキュートみんなでね、」
「ハッ。ないわ。」

舞ちゃんが天使の笑顔で吐き捨てるようにさえぎった。

「ちょっ待って待って。絶対楽しいよ。可愛い女の子に囲まれてお茶が飲めるなんて素敵じゃない?」
「・・・みぃたんの発想って、完璧男の発想だね。あれでしょ、ホスト行くならキャバクラ行きたいって思ってるタイプでしょ。」

え、みんな違うの?

「舞美ちゃーん。さすがに栞菜もついていけないよ。可愛い女の子っていうのはいいんだけど、メイド喫茶て。」

えりはお釈迦様のような表情で、私に構うな省エネモードに入っている。
えーいい考えだと思ったんだけどー。

「じゃあみんなでいつどこ行くかは、また今度決めよう。お疲れ!」

なっきぃが仕切って、みんな次々に楽屋を出て行ってしまった。
ちぇー。

「・・・男子校カフェなら付き合ったんだけどね。ケッケッケ」
「えー何それ!栞菜にもくわしく教えて愛理!」

なんだなんだ、キュートはみんなそういうアレの方がいいのか!

こうなったら地元の友達でも誘うしかない。ちょっと落ち込んで荷物をまとめていると、後ろからそっと肩に手を置かれた。

「ちっさー。お疲れ様。どうしたの?」
「あの、さっきのお話なんですけど。」
さっきの?

「その、召使いの方がご奉仕を・・・」
「ああ、メイド喫茶ね!ご奉仕ってちっさーw」
「あの、えと、」
ちっさーはちょっと背伸びをして、私にだけ聞こえる声で囁いた。

“千聖のこと、連れて行ってもらえますか?”



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