学校までの道のりは、とくに問題もなく歩みを進めることができた。
萩原の野郎がべたべたと腕を組んでくるのがレアな体験だったけど、まあ、あたしはスキンシップも美少女も嫌いではないかんな。
「ちしゃと、今日は屋上でご飯食べるからね」
「ウフフ、そうね。舞とふたりっきり、本当に楽しみだわ」
目じりを下げる、萩原のデレデレ顔。
こいつ・・・私相手じゃなきゃ、こんな状態になるのか。可愛い奴め。
「あー、おはよー!!!」
そこへ、元気な声が飛び込んきた。おお、熊井ちゃんか。
しかし、今は私は千聖お嬢様だかんな。上品な笑顔を用意して、声のする方をくるりとふりかえった。
1.イマドキの女は硬派な無頼者がトレンドだぜ!リーゼントにボンタンの熊井番長
2.薔薇は気高く咲いて美しく散る・・・宝塚状態のオスカル・フランソワ・ド・ユリナ
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悩んだが2で.
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作者さん乙です
どっちも面白そうだけど2で
「なn」
「ギュフーーーーーーーーーーーッ!!!」
私が声を出すよりも早く、なっきぃの金切声が響き渡った。
「お・・・お、ナカサキーヌ婦人。大丈夫でござるか」
「お、おま、くま、おま」
天高くファサッと伸びたつけまつげの下で、スカイブルーのカラコンがキラリと光る。
髪はブロンドの縦ロール。制服はもはや制服ではなく、金糸の刺繍を施したフリルのブラウスに、白タイツ。
熊井ちゃん・・・もうわけがわからないよ。あなたにとって、学校っていったい何なのだろう。
「それ・・・いったい」
やっと絞り出した声で、自分が今お嬢様状態だったことを思い出す。
しかし、あまりの衝撃に、どう言葉を紡いでいいのかわからず、しげしげとその仮装に見入ってしまった。
「ウチは女の身でありながら、男性として育てられた、悲劇の身なんだよ。でござる」
「その語尾はどうかと思いましゅ」
こんな時は、動じない萩原が若干ちょっと頼もしい。
しかも、私の前にずいっと体を割り込ませて、熊井ちゃんから守ろうとしてくれてる。・・・ま、外見がお嬢様だから、なんだけどね。
「思ったんだけど、うちは千聖お嬢様をお守りするために生まれてきた気がするでありんす」
「熊井ちゃん、あのね、ちしゃとは舞が守るから心配しないで」
ああ・・・これは厄介だかんな。
熊井ちゃんの“なりきり”はこうやってある日突然、誰にもわからないタイミングで花開いてしまう。
そして、華美な服装の時は、きまってサンプルは千聖お嬢様(模倣できているかはともかく)。
同じ上流階級の人間になりきって、めちゃくちゃにお嬢様を振り回すのだ。
1.ちょっと熊井ちゃんやめなよー、と天の声。しかし・・・
2.熊井ちゃんにかっさらわれて、演劇部の部室へ拉致されるお嬢様(というか栞菜)
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1の展開のしかしが気になるから1
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1ですかね
「さあ、チワトワネット様、お手を。舞踏会(ホームルーム)が始まってしまいます」
――やばい。今は私が千聖お嬢様なわけで、私という人間は、いじられるのではなくいじる側の人間なわけで。これはちょっとキツいぞ。回避の仕方が難しい。
「あの、熊井・・・いえ、大きな熊さん。まずは、千聖は教室に鞄を置きにいきたいのだけれど」
「おお、ありがたきお言葉。さっそくウチが鞄を持ってあげますね!そいやー!」
「ぎゃふん」
勢いよく手提げのかばんを取り上げられ、手を離せなかったもんだから、鞄と一緒に宙にぶわんと吊り上げられてしまった。
「あらあら、うふふ。だかんな」
お、お嬢様、笑っていらっしゃる。
この無自覚の熊井ちゃんのテロ行為には慣れていらっしゃることだろうけれど、客観的に見て、そのすさまじさとシュールさがツボにはまったのだろう。
何事か愛理に耳打ちして、二人して、熊井という鉄棒にぶらさげられたままの私をにやにやしながら見ている。
「ちょっとー、熊井ちゃん!やめたげなよ!」
しかし、そんな私にも、天使が救いの手を差し伸べてくださった。
そのちょっと生意気そうなツンツン声・・・あなたね、すぎぁぁさん(言いにくいかんな)なのね!
「岡井さん困ってるでしょー」
「だまらっしゃい!リサコ伯爵夫人には、チサトワネット様の苦悩はわからないのよっていうか重いわーお嬢様めっちゃ重いわー」
「おわあ」
唐突にカバンごとぽいっと振りほどかれた私を、あわてて梨沙子ちゃんが受け止めてくれた。
「もー、乱暴なんだから熊井ちゃんは!ねえ?」
「・・・・・・・・・・・・あははは」
もう、ほんと、もぉ軍団って。
熊井ちゃんとは違うけれど、まつげがくるんくるんの北欧系の美少女。梨沙子ちゃん。
えーとですね、私を助けてくれたのは、心から感謝している。
だけれども、その美少女がお召しになっている服・・・。
「あの、すぎゃさん」
「どうかした?」
全面に、夏焼さんの顔面写真がプリントされた、狂気のハッピ。“夏焼雅”とゴシック体で男らしく刻まれたハチマキ。
どういうわけか、梨沙子ちゃんは戦闘服のまま、学校に来ているようだった。
1.岡井さん、とりあえずハッピに着替えて!
2.いやいや、お嬢様はこのドレスを着て凱旋パレード(全校集会)へ行くんだよ!
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悩むなーでも1で
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どっちの展開も読めないw
2がどんな展開になるのか面白そうかな
「今日は、どうしてそのお召し物を?」
おそるおそる伺うと、梨沙子ちゃんはかわゆく首を傾げた。
「え、ちょっとなんで覚えてないわけ!今日は夏焼先輩が、次のライブのレッスンをする日でしょ!もー、ちゃんと言ったじゃん!」
…ええと。
つまり、梨沙子ちゃんはレッスンの見学(というか応援)のために、ハッピを?相変わらず、考えていることがよくわからん。
「岡井さんも見に行くでしょー?」
「何を言うでござるか!チサトワネット様は今から仮面舞踏会でおじゃる!トゥナイヤイヤイティアー!」
「ちょ、おま、なにいって」
おお・・・モデル級の長身美女と、誰もが振り返る超美少女が、あたしを取り合っている。
しかし、双方異形の様相。地獄の宝塚に、キモヲタ・・・全然、嬉しくないかんな!!
「岡井さんはりぃとハッピ着るの!」
「違うでやんす、チサトリウムはこのピンクのドレスでバルコニー(教室のベランダ)から平民(生徒)に手を振るんだってばよ!」
あの、どっちも嫌なんですけど・・・
もはや萩原も呆れ顔で、黙ってことの成り行きを見守っている。
なっきぃは失神→蘇生→失神→∞と永久機関になってしまって使い物にならないし、いったいどうしたものか。
「お嬢様、お嬢様」
もう、泣き芸でお茶を濁すしか・・・そう思っていたところに、思わぬ声が飛んできた。
「お嬢様、アドバイスさせてほしいかんな」
なんとなんと、私の外見をした千聖お嬢様が、さっそうと歩み寄ってきてくださったのだ。
「あー・・・」
りーちゃんがあからさまに警戒した表情で、半歩下がる。・・・はいはい、私という人間が、どういう評価を受けているのか、残酷なまでに思い知らされるかんな。
「私、かん・・・いえ、お嬢様は、ハッピを着たほうがいいと思うかんな」
「はぁ」
「でもでも」
慌てる熊井ちゃんの方に、即座に振り向くお嬢様(外見は私)。
「それで、私がドレスを着るかんな。どうかしら・・・だかんな」
おー、なるほどね、と愛理が黒い笑みを浮かべた。
ええと、これ、どっちなんだろ。
つまり、お嬢様は夏焼さんのファンだから、私にその役割を果たさせようとしているのか。
それとも、あの℃派手なピンクドレスを着てみたいと思ったのか。
お嬢様の思考というのもまた独特で、つかみきれないものがあるけれど、とりあえずこの提案によって、どうにかこの場を収めることができたようだった。
「んー・・・まあ、いいよ!じゃあ今からかんちゃんがプリンセスだから!うちに守られているっていう自覚を(ry」
「はい、これ岡井さんの分ね!早く着替えて!」
もぉ軍団にひっかきまわされながら、私たちはそれぞれの役割をまっとうするため、頭を巡らせていく。
「・・・てゆーか、ウチ思ったんだけどさ」
そして、また熊井ちゃんがつぶやく。
「なんか、今日のかんちゃんて、千聖お嬢様みたいだよね!提案の仕方とか!あははは」
視界の隅で、お嬢様が目を見開いて引きつり笑いを浮かべるのが分かった。
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今日はここまでになります!
ご参加いただきありがとうございました!
次の目線主をご指定いただけたらと思います
それでは!
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チンプイさん乙です。
目線主は、すぎゃさんが良いかな
最終更新:2014年01月05日 21:50