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そんな夏期講習も終わり、有原さんからも解放され、晴れやかな気分での帰り道。
とある公園を通りかかったとき、ふと僕の目に入ってきたものがある。
その公園のベンチに並んで腰掛けている2人連れのその後ろ姿。

そのうちの片方の人物には見覚えがあるよ。
だってあの特徴的なシルエットは・・・

あれ?
桃子さんじゃないか。

木陰のベンチに並んで座っている2人は、遠目にもどことなくいい雰囲気を醸し出している。

しかし、公園の中ちょっと入り込んだこの小道のベンチなんて、なんだってまたこんなところで。
まるで人目を避けるようにしているみたいじゃないか。
そんなところで、仲良さそうに2人で並んで座ったりして、あの桃子さんが。


その桃子さんの隣りに座っているのは、桃子さんよりも背の高いその後ろ姿。
まさか桃子さんの彼氏か?

桃子さんにそんな人がいたなんて!!(ちょっとショック・・・)

見るからにいい雰囲気の2人。
これはちょっと見てはいけないところに遭遇してしまったのだろうか。
どうしよう・・・

桃子さんのことなんだ。ここはスルーすべき。我が身の安全のためにも関わらないほうがいい、とは思う。
そうは言っても、やっぱり好奇心の方が勝った。

あの桃子さんとお付き合いしようと思うなんて・・・いったいどんな人なのだろう。
それは素直に興味がある。
あの桃子さんのお相手をするような人なんだ、よっぽどの変ry

蝉の鳴き声が降りそそぐなか、木立の中をこっそり回り込みながら近づいていく。


だが、桃子さんの隣りにいたのは男の人ではなかった。

なーんだ、つまんないの。
せっかく桃子さんのネタを掴んだかと思って、何かの時の切り札にしようと思ったのに。
でも、ちょっとホッとした気分もあったりして、なんだこの複雑な感情は。


いま桃子さんの隣りに座っていたのは、あの人だった。
この人には、前に学園の正門のところで会ったことがある。朗らかな明るい笑顔が印象的だったあの人。
えーと、なんて名前の人だったっけ。


そうだ。
徳永さん、だ。


何か楽しげに話している2人。
仲良さそうだな。
でも確か、前に会ったとき徳永さんは桃子さんのことを心底ウザそうな言い方をしていたと思うけど。
そうは思えないほど、いま目の前にいる徳永さんと桃子さんは睦まじそうな雰囲気を醸し出している。

穏かな空気でお話しをしている様子の2人に、僕はつい見とれすぎた。

そんな僕と、向こうの桃子さん。バシッと音がしたかのように見事に目が合った。
その時の僕の恐怖感、わかりますか?


僕に気付いた桃子さんが声をかけてくる。

「あれ?少年、こんなところで何してるの?」

見られていたことに気付いたお2人。
桃子さんは落ち着いた様子でにこやかに(その笑顔がむしろ怖い・・・)声をかけてきたのだが、
一方、そのときの徳永さんの狼狽といったら。

なんでそんなにうろたえているんだろう?


でも、僕にとって今はそれどころじゃない。
僕は桃子さんに微笑まれたことで緊張の極致になっている最中だったのだから。

「いや、あの、僕は夏期講習の帰りなんですけど・・・あのその」
「何うろたえてるのー?あ、何か企んでたんでしょ」
「いや別に。何かいい雰囲気だったから、桃子さん密会でもしてるのかと思って・・・じゃなくて!!」
「どういうこと?」
「これで桃子さんの弱味を握ろうとか思ったわけじゃないですから・・・!!」
「そういうことね。ウフフフ本当に分かりやすい子」
「あばばばば」
「面白いなあ、少年は」

僕に対するその態度、全くいつもの桃子さんだった。
桃子さんに弄られ、いつものようにパニックに陥る僕。

そんな僕と同じように、いや、それ以上にうろたえている人がいたのだ。
徳永さんは突然現れた僕に対して、あからさまに動揺していた。

なんでそんなに驚いているんだろ。
僕は何かまずいことをしたんだろうか。
そんな徳永さんに向き直った桃子さん、これまたにこやかに語りかける。

「ちーちゃんどうしたの?そんなそっぽ向いちゃってさぁウフフフ」
「!!そっ、そんな呼び方するなあ!!」
「えー、なに?急にどうしたのぉ?」

桃子さんに名前を呼ばれて、うろたえまくっている徳永さん。
その様子に僕も、どうしたんだろう?と思ってしまう。

徳永さんが僕のことをじっと見ている。

いま徳永さんのしている表情。
まるで内緒で付き合ってる彼女と一緒のところを見られてしまった彼氏のような表情じゃないか。
その表情の意味がよくわからないけど、そんな徳永さんは何故か妙に真顔でもって僕のことを見つめている。

美人さんにじっと見つめられているんだ。
思わず照れてしまいそうになるが、僕に向けられたその表情の意味はどういうことなんだろう。



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