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なんだかつまらないわ、とお嬢様が唐突につぶやいたのは、朝の食堂でのことだった。

「え?」
「私、とても退屈だわ」

その言葉に光の速さで反応したはぐれ(ryの二人が、オメーなんか面白いことやれと若執事さんに絡んでいくのを、「ああ、違うのよ」と両手で制するお嬢様。

「私、とてもつまらない人間だと思って」

ぐるりと寮生に視線を向けるお嬢様。なんだかとても寂しそうなお顔に見えて、私は強めに首を横に振った。

「そんなことないですよ」
「まあ、愛理は優しいのね」
「私、お嬢様との深夜のお庭散歩とか、すっごい楽しみにしてますし」

――まだやってたんでしゅね、とばかりに、舞様がお厳しい視線を投げてくるけれど、まあ、スルー。ケッケッケ

「何か、ありました?あ・・・よかったら、これ」

デザートのフルーツヨーグルトをお嬢様に謹呈しつつ、心優しいえりかちゃんもお嬢様を気遣う。

「昨日ね、大きなくまさんやすぎゃさん、それから舞と生徒会室でお喋りしていた時に思ったのだけれど」

舞ちゃんの眉が、ピクッと持ち上がる。

「私には、皆さんみたいに、何か取り柄と言えるようなものがないのよ。舞は学習能力に長けていらっしゃるし、大きな熊さんはどんなジャンルも自分のものとしてこなしてしまう、すぎゃさんもBuono!の応援団長として、右に出る者はいないほどご活躍なさっている・・・」

――いやいや、その辺の特濃キャラクターは一般人ではないですし・・・。
でも、うらやましく感じる気持ちはわかる。特に、熊井ちゃんや舞ちゃんと来たら、いつでも自信に満ちた言動と態度で、唯一無二のキャラクターを誇示している代表格のようなものだ。

そういえば、前にもあったな。
個性派にあこがれたお嬢様が、熊井ちゃんとともに、チョベリバでホワイトキックな日常をチョベリグにするために、ガングロギャルに変身したり。
たしか、その時なっきぃが・・・チラッと視線を送ると、ちょうど同じ事件が脳裏をかすめたのか、顔面蒼白の風紀委員長さんがガタッと立ち上がったところだった。

「おじょじょj、何言ってるケロ!私は今のままの純真で清らかなお嬢様が好きですよ!ノーモアクマイ!」
「でもでも、」
「そうだかんな、お嬢様!よく考えてみてほしいかんな、本当に、ハギワラの野郎みたいになりたいですか?あたしはなりたくない!絶対にな!!!」
「はぁ!?なれないでございます、の間違いだろ℃変態のくせに!」

℃変態さんまで加わって、食堂はしっちゃかめっちゃか。
どうしたものか・・・。そう思いつつも、どうせ割って入ったところで、事態が収束しないのは目に見えているわけで。
私はとりあえず、いつもどおりほんのり離れた場所で、朝食に舌鼓を打つことにした。
あ・・・今日のチーズオムレツ、すこーし硬めに焼いてあった美味しい。あとで若い執事さんにお礼を言おうかな(いつも私が話しかけるとなぜかこの世の終わりみたいな顔になっちゃうけど・・・)

「あのー、お嬢様」


そんな騒動なんておかまいなしな感じで、ニコニコと食後の紅茶までを嗜んだ舞美ちゃんが、よく通る声でお嬢様を呼んだ。
大騒ぎがピタッと収まる。さすが元生徒会長。ほわほわさんながら、謎の統率力は健在のようで。
この感覚、懐かしいなあ。生徒会室でも、舞美ちゃんの鶴の一声で、議事が大きく動いたりしたっけ。

「あら、舞美さん。お騒がせして・・・」
「いえいえ、それはいつもどおりですし」

おお・・・なんて失礼な。相変わらず天然砲がすごい。でも舞美ちゃんならいいかって思わせられるのが不思議なところ。

「ちょっと、思いついたことが。お嬢様のお悩みのヒントになるか、わからないですけど」

舞美ちゃんのその発言に、とっさに身構える一同。・・・そうなんです、このお方はやらかしちゃう系ではないものの、常に全力・しかしあさっての方向を向いた判断で、事態の混乱をさらに深めてしまうところがあるのだ。。
先日も、挑発してきたつばさおぼっちゃまとPKで対決して61対2で叩きのめしたり(おぼっちゃまは3日ほど部屋から出てこなかったそうで)、ダイエット志願のお嬢様にフルマラソン並みのランニングを課したり・・・。
とにかく、この大型犬スマイルを盾に、結構な無茶をやらかしてくれる。それが、舞美ちゃんという超絶美人の恐ろしさ。

「あら、何かしら、舞美さん。お聞かせ願いたいわ」

天然なお嬢様は、そんな実績も気にせず、キラキラおめめを舞美ちゃんへと向ける。
なっきぃがいつでも飛び出せるよう、背中に緊張を走らせたのがわかった。

だけど、舞美ちゃんが発した言葉は、実に予想外の・・・そう、ごくごくまともなものだった。


「お嬢様、部活動を始められては、どうでしょう?」



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