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私、有原栞菜は今ある悩みを抱えていた。

お小遣いが足りないのだ。
この夏休み、いろいろと遊びに出かけたうえに、物欲のままに次々と出るアイドルの写真集を買いすぎた。
その結果、こうやって悩むことになっているわけで。
困った。まだ今月は長いというのに。


まぁ、あれだ。
支出が多くて小遣いが足りないのなら、その分の収入を得ればいいわけで。
その論理的な思考に、私って本当に頭がいいな、と思う。

しかし、そうは言うけど収入を得るということはそれなりに大変なこと。
お金を稼ぐには、この私の貴重なる時間を奪われるということでもあるし。やはりそこが問題だろう。
そう、それにより美少女と関わる私の趣味の時間が奪われたりするのは耐え難いこと。それだけは絶対に避けたい。

それに、私はかよわい女の子なのだ。
つらい労働をしてお金を稼ぐなんてことには、ひょっとしたら耐えられないかもしれない。
私はめぐのようにフルメタルマッチョryな人間というわけではないのだから。

頭のいい私としては、もう少し効率的に事を運んで目的を達成させたいところだ。
無駄な労力は使いたくないかんな。


さて、どうしたものか・・・・

そんなことを考えながら、通学路を歩いていると・・・・・ 


いるよ、今日も。


おまえいつもいるな。


新学期早々こいつの顔を見るとはね。

誰がいたのかって?
女子校の通学路をいつもうろついてる変態野郎といえばこいつしかいない。
ついこのあいだまでも夏期講習で毎日見ていたこの男子生徒。
夏休みがあけるやいなや、待ってましたとばかり学園にやってきているのか。

よくもまあ飽きずに。
そんなに会いたいのか萩原に。 
あいつに会ったって微笑んでくれたりする訳でもないだろうに。
物好きというか何と言うか・・・・ 私には全く理解できないかんな。


でも、ちょうどいいところに来てくれた。
まさに、飛んで火にいる夏の虫だかんな。

私の頭の中で、目の前のこいつと、先程の懸案事項がリンクした。


思いついたその素晴らしい考え。
我ながら見事な発想だと思う。
自分の優秀な頭脳に感謝したくなる。

これから行うことに思いを馳せると、私の顔には自然と笑みが浮かんでくるのだった。グヒョヒョヒョ。
でもまぁ、その本件に行く前に、ちょっと遊んでやるとするか。


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さゆみさんという人のところに行くという小春ちゃん優樹ちゃんと別れて、僕は帰宅の徒に就く。
これから帰れば、僕がちょうどバスを降りるころに、下校している学園生もそこを通りがかるはずだ。

久し振りにお目にかかる学園の人たち。誰に会えるかな、楽しみだなあ。
ひょっとしたら、いきなり舞ちゃんに会えたりして。お嬢様も一緒に会えるかな。
そういうところ、意外と運があるんだよな、僕は。


そんな期待感で胸を膨らませている僕の目に入ってきた最初の学園生は、この人だった。


・・・・・・・・・・・・・・有原。


よりによって、栞菜ちゃんかよ。カンベンしてくれ。
だって、この夏休み中も夏期講習で彼女とは連日顔を突き合わせて、そのたびに僕はいろいろな被害を被ったりしていたわけで。
だから今、やってきた彼女の姿を見ても、何のトキメキも感じない。むしろ飽き飽きとした気持ちが湧き上がってくるぐらい。
舞ちゃんに会えるのを期待していたら、やってきたのは有原とか。
なんだよこれ、最悪の展開だろ。


・・・・・なんて、こんなことを思っていられるのも、今はまだ彼女との距離があるからだ。
この距離なら僕の思っていることを読まれたりすることもないだろう。


だんだん接近してくる彼女。ここからは危険区域に突入だ。
だから、その時点から僕は務めて心を無にして平静を保つよう意識する。

やってきた栞菜ちゃん。彼女の方もここにいる僕に気付いたようだ。
彼女のその顔。僕を見てあからさまに口許をゆがめた。
いつもの、僕を見下している感がありありと浮かんでいるその歪んだ笑顔。実にいやな表情だ。

絡まれたりするのは願い下げなので、目線を合わさず静かに通り過ぎようとしたら、そんな彼女から声を掛けられる。

「おいオメー、ちょっとこっちに来い」


いきなりそう言われて、栞菜ちゃんに人気の無いところへと連れ込まれた僕。
な、なんだよ、まるで人目を避けるようにこんな路地裏に引っ張り込んだりして。



狭い路地裏で学園の女の子と2人っきり。

なんなんだ、この状況は。
その狭い路地裏のことゆえ僕と彼女の間には、近すぎる!と思うぐらいの距離しかなくて。

・・・・うわぁ、なんかドキドキしてしまう。
相手はあの有原だけど、そんな栞菜ちゃんだって見た目だけは美少女だからさ。
こんな距離で相対してしまうと、心の平静を保つのは難しい。
うん、例え相手が有原であっても心臓が高鳴ってくる。これは男の性ってやつ。どうしようもないこと。

そんな場所で栞菜ちゃんは僕をじっと見てきた。


な、なんだよ、そのねっとりとした視線は。


ひょっとして・・・・・・


まさか、僕へ告白でもしてくるつもりじゃないだろうな・・・・


・・・・なーんて。

そんなこと、思うわけないだろ。
目の前にいるこの人は、有原さんなのだ。
僕がそう思った瞬間に脳内の考えを読みとって、それをネタにして絡んでやろうという考えなんだろう。
その手には乗るかっていうんだ。


「おい、いい加減にしとけよ」
「は?」
「だから、この私が優しくしているうちに調子に乗ったこと考えたりするのはやめろ、と言ってるんだよ」
「だ、だから、いま僕は自分の妄想に対して、ちゃんと自己否定したじゃないですか・・」
「まったく、オメーは・・・ もうちょっと強めの調教で追い込んでやったほうがいいのかな」

そう言って彼女は「分かってないな・・・(ヤレヤレ)」というようなゼスチャーをする。欧米か。


しっかしこの人、また訳分からないことを言い出してるよ。
これだから、いつだって恐怖心が湧き上がってくるんだ、この人と一緒にいると。


「それに、今のその前のもそうだよ」
「な、なんのことでしょうか?」
「私との距離が離れていれば心を読まれないとか思ってたみたいだけど、それ距離は関係ないから」
「な、な、なんで・・・いや、そんな・・・」
「萩原じゃなくて私に会えるなんて、そんな素晴らしい幸運に素直に感謝できないとか、人としてどうなんだよオメー」


もういやだ。
早くこの場から立ち去りたい。
そんな強いストレスを感じている僕に、栞菜ちゃんが不意に真面目な声で聞いてきた。

「オメー前から一度聞きたかったんだけど、萩原のどこがいいんだかんな」
「な、なんだよ、突然・・・・」
「不思議なんだよ。あんな協調性のかけらもないような中2病のやつの、どこを見て好意を抱いたわけ? ま、確かに顔はいいけど」
「舞ちゃんのことをそんな言い方するな!!」


脊髄反射で腹を立てる僕の反応に、満足気な顔をする有原。
とても愉快そうな彼女が更に話しを続けた。

「分かってないなー。だってさ、知ってるの? あいつ、かなり腹黒いぞ?」
「栞菜ちゃん、笑っちゃってるから・・・・ そんなこと言って僕をからかってさ!!」

僕のことをわざと挑発するようなこと言って、その反応に揚げ足を取って楽しもうっていうんだろ。その手には乗らないから。
だから、僕は彼女の言うことは聞き流して、あくまでもマジレスで返答する。そう、舞ちゃんのことなんだ。そこは僕の本心を。


「あのやさしそうな笑顔を見ていちころだったんだよ。まさに天使の笑顔でしょ。
見ているだけで暖かさに包まれる優しい笑顔、耳にするだけで心が休まる柔らかい声色。まさに癒し系美少女・・・」
「優しい笑顔、柔らかい声色に癒し系って・・・・・・ それ、誰のこと言ってるんだ?」

僕の言ったことに一瞬絶句した栞菜ちゃん(なぜ絶句する?)が、言葉を続ける。

「あいつが優しい? あの殺戮ピryが? 前から思ってたけど、オメー感性が相当おかしいかんな。熊井ちゃんに対する信頼感なんかもそうだけどさ」
「熊井ちゃんに対する信頼感? 僕が熊井ちゃんに? 栞菜ちゃん、なに言ってんの?」
「またまたぁw ま、それは今はいいや。その件についてはおいおい、なww」

いちいち意味ありげな冷笑を浮かべて僕を見下す栞菜ちゃん。
話しの主導権を握っているのは、あくまでもこの人。

「まぁいい。それよりも今は・・・・




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