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夜はパブとして営業しているその店。
この店にあるミニステージを使いたいから、そこを借り切って行うことにしたのだ。

梨沙子ちゃんの誕生パーティー。
もぉ軍団プレゼンツ。

参加者はもぉ軍団と、特別ゲストがひとり。それは彼女の一番の親友という愛理ちゃん。
愛理ちゃんには桃子さんが話しをしてくれたらしい。
言ってくれれば僕が愛理ちゃんのところに出向いてお願いしたのに。

まぁ、桃子さんが愛理ちゃんのところに出向いたのは意味があるんだけどさ。
それは、もう一つのサプライズ企画の件。それの打ち合わせも含めての軍団長の愛理ちゃん御訪問だったんだ。

そう、この誕生パーティー、梨沙子ちゃんに喜んでもらおうと、あるサプライズ企画を考えたんだ。
その企画とはこういうもの。

もぉ軍団と愛理ちゃんの4人でワイワイとパーティーをしていると、そこに突然雅さんが現れる。
そしていきなり始まるBuono!のサプライズシークレットギグ。
現れたBuono!の皆さんが、梨沙子ちゃんの誕生日を祝福しつつ彼女の目の前で歌う。

きっと梨沙子ちゃんに喜んでもらえるはず。



大学を後にして、その誕生パーティーの会場に向かうべく乗っている電車の中で僕は思い返していた。

桃子さんの発案したその企画を実行するために、雅さんのところには僕がアポイントを取りに行かされた(だったら愛理ちゃんにも僕がry)。
雅さんの通う大学に行ったそのときのことを。


 * * * *

部外者が勝手にこんなところまで入り込んでいいのか若干ちょっとビビりながら、雅さんのいらっしゃるという場所へと向かう。
事情通の桃子さんから聞いていた通り、校舎内のその場所には雅さんがいた。


雅さんだ!!


視界に入ってきたその瞬間に目を奪われるような雅さんの美貌。
目の前にいるというのに、その存在にまるで現実感を感じられない。
思わずその場に立ち尽くしてしまいそうになるが、僕には軍団長から言い渡されている使命があるのだ。それを伝えなければならない。

僕は極度の緊張を感じながらも気力を振り絞って、その美人さんに何とか話しかける。


「あのー、すみません。嗣永さんの使者として伺った者なんですけど・・・」


突然目の前に現れた僕のことを、すごい目付きで睨みつけてきた。
あ、勘違いしないで。睨みつけてきたのは雅さんじゃないです。
その鋭い目付きで僕のことを睨んできたのは、あの村上さんです。

そう、雅さんの横にはあの村上さんがまるで彼女の親衛隊かのように張り付いていたのだ。
雅さんに近づくもの全てを警戒対象としているんだろうか。僕の来訪にも、その真意を見抜こうとするかのような鋭い視線を突き刺してくる。
なるほど、雅さんのもとへ桃子さんが自分じゃなく僕を向かわせたのは、こういうことだったんだ。

村上さんからそんな怖い目で睨みつけられて、僕はもうチビりそうだった。
そんなビビりまくる僕に対して、雅さんはフランクに話しかけてきてくれた。

「君、あの少年だよね。うわぁ、久し振り! あれ?でも、桃のお使いなの? 熊井ちゃんじゃないんだw」

そうだ。雅さんって意外とさばけた方で、僕なんかにもこうやって気さくに接してくれるんだった。
こんな美人さんだし、もっとツンツンとしているのかと思うけど全く違うんだよね。
まぁ、だからといって僕ごときが馴れ馴れしく話しかけられるような人じゃないわけで。だって、その美しさといったら・・・


考えてみれば、僕が雅さんと会話を交わすのはいつ以来になるんだろう。
記憶にある限りでは、雅さんの最後の学園祭のときにお見かけしたのが最後だったような気がする。
もう1年半も前のことになるのか。でも、そのときには何かお話しをしたっけ? 


そんな雅さんを前にして、僕はもぉ軍団の計画している企画の詳細を説明する。
僕の話すその内容を真面目に聞いてくれた雅さんは、それで梨沙子ちゃんが喜んでくれるなら、と快諾してくれた。


「めぐも来てくれるでしょ?」


そう聞いた雅さんに対して村上さんは固い表情を崩さずに答えた。


「私はその日どうしても外せない勤務があるんだ。だから行けない」


そう言いつつ、ちょっと不満そうに僕のことを睨みつけてくる。
その表情。こ、怖いよ・・・・
村上さんのことだからこのライブには代休を取ってでも来るのかと思ったけど。

でも、そんな目で僕を見られても。
村上さんの勤務シフトがどうかなんて、そんなの知らんがな。それは僕の責任じゃないでしょ、普通に考えて。

「まぁ、いいけど」

僕に向けてくる表情とは打って変わって優しげな表情で雅さんに向き直る村上さん。


「みやび、菅谷さんのことをしっかり見てきてあげて。私が行ったら雅は私のことばっかり見ちゃうだろうから」


自信たっぷりにそう言う村上さん。すごいな、その俺様思考。
なるほど、完全に上から目線なんですね。



 * * * *



そんな雅さんの元での出来事を思い返しながら僕がやっと着いたとき、店内のミニステージにはまだBuono!の皆さんが立っていた。
ちょうど一曲終わるところ。
どうやら何とかライブ中に間に合ったか!良かった!!


「お ~ そ ~ い ~ !!」


独特の黄色い声がマイクを通した大音量で耳に突き刺さってきた。

その声に反応してステージに目を向けた僕。
真っ先に僕が目を向けたのは、その黄色い声の主・・・
・・・ではなく、センターに立つ愛理ちゃんだった。

視界に入ったその瞬間、彼女のその姿に目が釘付けになる。


か、かわいい! かわいすぎる!!


華やかな衣装に身を包んでいる愛理ちゃん。
今日はポニーテールなんだ! 愛らしい髪型が彼女にまた似合ってて。
そのかわいらしさといったら・・・ カワイイにもほどがある!!


そのとき、愛理ちゃんは現れた僕に視線を向けてくれた。愛理ちゃんがステージから僕を!?
しかもただ顔を向けてくれただけじゃない。何と愛理ちゃんは僕を見て微笑んでくれたんだ。
たぶん、幻覚なんかじゃなかったと思う。けど、現実感が感じられなくて。
だから定かじゃないんだ。その瞬間、意識が一瞬飛んでしまったし。


瞬間的にフワフワとした感覚に包まれてしまったが、客席側を見るとこれがまたエライ濃い空間になっていた。
シークレットライブなんだから、このステージを見ているのは僕らだけのはずなのに。
それが、まるで満員の客で埋まっているかのような盛り上がりとなっていたこの空間。

それは、たった一人で100人分の戦闘力を誇るこの人の力によるところが大きい。
Buono!ヲタならその名を知らぬ者はいないという伝説の人物。


本日の主役。



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