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みぃたんの恋愛相手。そりゃ、できるならアタシが(ryだけど、百歩譲ってそれを男性とするにしても、これはあんまりだケロ!
だって、この!このみぃたんのパートナーになるんだよ!?最低でも、並んで歩いているだけで絵になる人じゃないと、私は絶対に認めるわけにはいかないの!(ケロキュフッ)

「・・・あ、あのね、みぃたん」
「うん?」
「絶対、うまくいくはずないから、そんなの。みぃたんらしくない。
考えてもみて。20代の恋はもっとさわやかに、海沿いの砂浜を洗いざらしの白いシャツで走っていくケロ。おそろいのイルカのペンダント、アコースティックギター・・・」
「あはは、なっきぃ、昭和―とかいってw」
「ギュフーッ!!!」

私の絶叫を笑顔で聞き流したみぃたんは、「でもね、なっきぃ」と少し声のトーンを落として続けた。

「きっと、秘密の恋になってしまうから、海やペンダントは難しいかもしれないね」
「お、おう」
「苦しいこともあるだろさ。悲しいこともあるだろさ。だけど、二人には愛を貫いて行ってほしいと思うの」

みぃたん・・・あんたって人は。そんなキラキラした純粋な瞳で、愛を語るなんて。
でも、「二人には」って。まるで他人事みたいな言い方だ。天然さんの考えることってよくわからない。それに、大体・・・


「みぃたん、それで結局、どっちを選ぶの?」
「選ぶ?え、そんな。選ぶだなんて。私はあの男の子も若執事さんも、両方・・・」
「両方て!!!」

再び飛びのいた私の頭が、手すりにゴイーンとぶつかる。
と、とんでもないこと言いやがる、みぃたん・・・。そりゃ、その美貌なら、ちょっとした舞美コロニーを築けるぐらいには、男性をはべらせることができるだろう。
いや、男性に限らず、老若男女、まるで強力な磁石のごとく、みぃたんの周りにはどんどん人が集まってくるだろうから、ちょっとした小国を築くことだって可能かもしれない。

しかし、ここは日本。一夫一妻。いかなみぃたんでも、許されることではない。
あの男子・・・はどうでもいいとして、人の良い若い執事さんが、絶対に100%釣り合わないΣ(執△事;)みぃたんとの恋愛に苦悩するというのも、胸が痛むところだ。

「もう一度、よーく考えて。どちらか一人、選ぶことはできないの?」

すると、みぃたんはキョトンと目を見開いて、小首をかしげる。


「ん?だって、どちらかを応援するっていうことは、結果的には二人を応援するってことだよね?選ばなきゃだめかな?」
「・・・・・・・みぃたん、あのさ、さっきから何の話をしているの?」

ここへきて、私はやっと、自分とみぃたんの会話がかみ合っていないことに気が付いた。
いくら℃天然とはいえ、成績優秀者のこのお方が、自分と他人の区別がついていないようなふわふわした喋り方をするはずがない。

そして、私の疑問は、いつもの大型犬スマイルのみぃたんからの一言によって、ある意味完全に払しょくされることとなった。


「何の話って?だから、交際しているんでしょ?あの男の子と、若執事さんが!」
「ンギュフゥ!?」

どんな発言が来ても冷静に努めようと身構えていたから、かろうじて絶叫は防ぐことができた。
な、なるほどね・・・みぃたんがあの男子と若執事さんの間で揺れていたんじゃなくて、みぃたんは、二人の恋愛を見守っている立ち位置なんだ。


「・・・いやいや、でも、なんでそんな風に思ったの?」

私の知っている限りでは、あの二人が特別に仲がいいなんてことはなかったはず。
っていうか、そもそも何か接点があるのか?

こんな大ニュース、例えば栞ちゃんが耳にしていたら、もう速攻でお屋敷中にスピーカーしまくるだろう。あるいは、【誰得】少×執を見守るスレpart799【アッー】を狼に云々


「むふふ。この情報はねー、熊井ちゃんから提供してもらったんだよ!」
「ゆ、友理奈ちゃん!?」

それは、予想だにしない人物の名前だった。
あの男子といえば、友理奈ちゃんの軍団のなんでも屋さん的存在だったはず。
当然、友理奈ちゃんはあの男子のことはよく知っていることだろう。。しかも、彼女はこういうことで。面白がって嘘をつくタイプではない。いつもマジレス。真実の口。ということは・・・ガ、ガチっすか。これ・・・

「それで、恋にルールなんて、ないんだね、と」
「でしょー?もう、びっくりしちゃって!でも、うまくいくといいよねー」

――いい、のか?本当に。
いや、私としては、あの男子が寮のみんなの周りをウロチョロしないでくれるのは、願ってもないことなんだけど。でも、なんか・・・


「あはは、なっきぃ、あの男の子と仲良しだもんねー。ちょっと寂しかったり?とか言ってw」
「なっ!全然仲良くないし!もう、みぃたんてば!・・・ねえ、でもさあ、友理奈ちゃんは、具体的になんて言ってたの?その、あの男子が、友理奈ちゃんにそう報告したのかな」
「んーとね、この前、熊井ちゃんプレゼンツで、梨沙子ちゃんのサプライズバースデーイベントをやったらしいのね。
その現場に、あの男の子と若執事さんも駆けつけたらしくて。二人でラブラブだったんだって!キャー!!」

バシッと背中を叩かれて、油断していた今度はガラスのテーブルにおでこをゴイーンとぶつける。
そのまま硬直する私に構わず、みぃたんは恋する乙女のごとく、キャッキャとはしゃいだ声を上げていた。

「すごいね、なっきぃ!」
「キュフゥ・・・」


――夜。
食事の後、私は愛理の部屋を訪れていた。

「・・・と、言うわけで、愛理、何か知っていたら教えてほしいんだけど」
「ケッケッケ、さすが舞美ちゃん。いや、熊井ちゃんもか」

Buono!の現場で熱愛発覚(?)したのなら、当然メンバーも、それを目の当たりにしていたはず。
そう思って、愛理に話を振ってみることにしたのだ。

「珍しく訪ねてきてくれたと思ったらぁ~・・・私とふつーにおしゃべりしたかった、ってわけじゃないのねぇ~」
「あうあう、そんなイジワルを言わないでほしいケロ」

しかし、今日は黒愛理モードが発動しているらしい。肩をすくめてケッケッケと笑う目が、鈍く光っている。
これは出直すべきか、と身構えていると、「ああ、そういえば」と愛理がおもむろに携帯を取り出した。


「ライブの翌日かな?熊井ちゃんからこんなの送られてきたんだけどー・・・関係あるんじゃない?」

そんな言葉とともに、差し出された画面を覗き込んだ私は、無意識に「・・・・・なんじゃこれ」とつぶやいた。


“ライブお疲れ!この画像、どうかな?”

そんな一言とともに添えられていた画像。
蛍光カラーのピンクのハートが、ぎっしりと画面を覆い尽くしていて、目がチカチカする。
そんなメルヘンでファンタジックな背景を抱え、真ん中に存在しているのは・・・たしかに、あの男子と、若執事さん。
二人並んでいて、至近距離でお互いの目を見つめ合っている。予想外というか、予想以上のシロモノに、私の脳はしばらく固まってしまった。

「何このスタンプ文字・・・ゥチラのLOVEはぇいぇんだょ?ば、ばかじゃなかろうか。え、これあの男子が作った画像なの?それとも若執事さん?」

こんな、イマドキ中高生のカップルでも恥ずかしくて作らないような画像を・・・。ラブラブな時は周りが見えなくなるっていうけれど、もうそんなのが通用する年でもないだろうに。

「これが友理奈ちゃん経由で、みぃたんの手にも渡った、という」
「ケッケッケ、でもびっくりしたよぅ。まさか舞美ちゃんにも送っていたとはねー・・・」
「ふーむ」

私は改めて、その画像をじっくりと眺めた。

「お、気に入っちゃいましたか?ケッケッケ」
「ち、違うし!だって、なんかおかしいよ、これ!」

画像を表示させたまま、私は自分の携帯を取り出した。
手早く短縮ダイヤルを押して、ニヤニヤしてる愛理を横目に、室内にコール音を響かせる。


“もしもーし、なかさきちゃーん?”
「うん、あのさ。夜分遅くに申し訳ないんだけどね」
“えー?熊井親分?てれるなー!”
「あのね!ちゃんと人の話は・・・ま、まあ今はいいや。友理奈ちゃん、私のケータイに、画像送ってほしいんだ」
“画像?いいよー、何がいい?スケバン刑事ゆりな?それとも夕焼け番長熊井?”
「ち・が・う!みぃ・・・舞美ちゃんと愛理に送ったでしょ?あの、あの男子と執事さんの・・・」
“あー!あれね、どう?いいでしょ!あれ撮った時さー”
「あー、いいからいいから。いい?友理奈ちゃん。加工前の画像を送って?ね?OK?じゃ、切るよー」


手早く通話を終えると、私は1つため息をついた。

「おー、手慣れてますなぁ。さすが伝説の風紀委員長殿。ケッケッケ。なかさきちゃん時代からは考えられぬ・・・」
「そ、そりは言わんといてぇ!」

二言三言いじられているうちに、すぐに私の携帯がメール着信の音を奏でた。
友理奈ちゃん、生徒会のお仕事も、これぐらい迅速にやってくれてたらよかったのに。

“あのLIVEの日・・・それが、俺たちのLIVE(生きる)意味を与えてくれたんだ・・・。決して交わることのない、孤独な魂が惹かれあった時、禁断の扉が(ry”
「なにこの小説!誰がこんなの頼んだケロ!」

あ、頭痛くなってきた。メールの本文はさらっと無視して、送られてきた添付データを確認する。


「ほーら、やっぱりね」
「ケッケッケ、お早いネタバレでぇ~」

「加工前の画像で」という私の指示を(珍しく)聞いてくれた友理奈ちゃん。
ギラギラハートや愛のメッセージを完全に取り去ったその写真は、私の想像通りのものだった。

「これ、二人でビデオカメラいじくってるだけじゃん!」

そう。
見つめ合っていると思しき二人の真ん前。特大ハートで隠された部分には、三脚で固定されたカメラがあったのだ。
おそらく、二人がかりで操作している際に、たまたま至近距離で目が合っただけだったんだろう。その瞬間を、どういう意図があったか知らないけれど、友理奈ちゃんが激写して加工した、と・・・。

「もー・・・あんまりびっくりさせないでほしいケロ。ったく、友理奈ちゃんめ!」
「ケッケッケ、まあそう怒らずに。聞いた話だとね・・・」

そう切り出して、愛理が語ってくれた、ユリナクマイの狙い。
実は友理奈ちゃん、件のBuono!シークレットライブをUSBに落として、販売しようとしているらしい。

お金儲けなんかじゃないよ!うちは、この素晴らしいステージを、世界中の同志と共有したいだけ!あ、でも何か特典がついてたら、もっと売れるかも!だけど誤解しないで、これはお金儲け(以下無限ループ)

そんな実に胡散臭い速攻USBとやらに付ける初回特典・・・それが、この三文BL小説&あの男子と若執事さんの画像の予定だったらしい。

「ケッケッケ、熊井ちゃん、ブッ●オフで“ソッチ系”の本にハマッちゃったらしくて、毎日立ち読みしに行ってるみたい」
「買えや。・・・じゃなくて、そ、そんな理由で・・・。いくらあの男子とはいえ、筋は通すのがオトナのオンナ(キリッ)。こんなものが拡散されてごらん。インターネッツに画像をバラまかれるかもしれない。情報化社会は怖いんだから!
販売前に気づいて良かったぁ。早速特典の見直しを要求するケロ!」
「頑張り屋さんだねー、なっきぃ。ケッケッケ」

いそいそと友理奈ちゃんにメールを送信する私を、未だニヤニヤ顔の愛理が眺めている。
そこで私はいったん手を止めて、ちょっとした質問を愛理にぶつけてみることにした。


「・・・愛理、さあ」
「うん?」
「愛理はこの友理奈ちゃんのロクでもない話、信じたの?」

愛理は少し目を見開いて、何も言わずに小首をかしげて見せた。

「どして?」
「いやー・・・ほら、ねえ?」

だって、若執事さんって、どう考えても、愛理ちゅわんのこと・・・ねえ?
いくら恋愛ごとに免疫のない寮生にだって、そのぐらいはわかる(みぃたんはちょっとアレですが)。
私がみぃたんから話を聞き、あの男子と若執事さんのツーショットを見て、違和感を覚えたのだって、愛理のことがあったから。
それぐらい、若執事さんの思いというのは、大変わかりやすいものだ。ならば、当事者である愛理だって、その気持ちに気づいていないことはない・・・はず。

だけど、この可愛い外見の後ろから、ドス黒いオーラを放出している彼女に、ストレートにそれを問う勇気は私にはなかった。

「私は別に、お二人が付き合っていたとしても、いいんじゃないかなあと思ったけどねぇ」
「ああ、そう・・・」
「だって、その方が、面白いじゃない?ケッケッケッケッケ」

愛理は心底楽しそうにそう言うと、何故かくるんとターンして、その場でふわふわと踊りだした。
その背後、本棚に、いわゆる“BL”と呼ばれるジャンルの文庫本数冊が、綺麗に鎮座しているのが見える。
――そ、そっち系も嗜んでいるとは、愛理、恐ろしい子!そりゃ面白いよね、身近にそういうサンプルがあったら!

「ち、ちなみに・・・みぃたんの誤解を解いてくださる気は・・・」
「ん?でも舞美ちゃん、思い込み激しい方だから。難しいんじゃないかなあ」

それに、このままの方が面白いしね。ケッケッケ。というのは、私の空耳でしょうか、愛理様・・・キュフゥ・・・。


「私の予想だと、舞美ちゃん、そろそろみんなにこの画像と熊井ちゃんの小説を転送し出す頃じゃないかなあ」

その発言とほぼ同時に、私と愛理の携帯がメールの受信を告げる。
もう、ほんと、みぃたんて・・・愛理って・・・。私はへなへなと座り込んで、力なくキュフフと笑った。


「私たちにだけ、ってことはないだろうしねぇ。きっと栞菜や、舞ちゃん・・・ああ、もしかしたら」
「おじょじょじょ!ギュフーッ!!」
「まあ落ち着いて、なっきぃ。お嬢様宛てのメールははぐれ(ryが検閲するから、問題ないよ。
どうせ一斉送信されちゃったんだろうし、少し時間をおいてから、食堂をお借りして、みんなに顛末報告をすればいいんじゃないかな?」

かな?って、どうせそれをやるのは、アナタじゃなくてアタシだろうに・・・キュフゥ・・・。それに、寮生だけならまだいいけれど、最悪の場合、学園関係者の皆様方にまで流れていたら・・・!


「ほんと、面白いね。なっきぃも。ケッケッケ」
「キュフゥ・・・」


私なんて何も関係ないはずだったのに、天敵のあの男子のために、私が一番オロオロしているこの状況。
若干へこみつつも、これからの釈明会に向けて、力なくノートにペンを走らせるのだった。



(執△事)<おや、村上さんからメールだ。珍しい
(執△事)<こ、これは!?噂のボーイズうんたらかんたらという小説!
(執△事)<・・・ふむ。なかなか感動的な内容だったなあ。ライブハウスで出会った二人、か。おや?画像ファイルが・・・

(執△事)<

从・ゥ・从<ああっ若執事さん!私、応援しますから!ほらっ握手!(バキゴシャグキッ)
(執△事)<アァ~スゴイヨ~スゴイワ~・・・
ノソ*^ o゚)<し、執事さぁーん!!気を確かに!


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