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“☆★クリスマスパーティー開催のお知らせ★☆”

「ん?なんだこれ」

学校からの帰り道、みずきちゃんとファーストフードに立ち寄って、ふとカバンの中をごそごそやっていると、クシャッと折れ曲がった紙が奥から出てきた。

「あらあら、大事なお知らせをそんな風に」
「あー、気づかなかった。いつ配られたんだろ」

ざっと見たところ、ようするに、学園でクリスマス会をやるって告知らしい。
時間的に授業の後みたいだから、参加したい人ご自由にってことなんだろう。

「楽しみね、遥ちゃん」
「ええ?ハルはいかねーけど」

私の答えに、みずきちゃんはちょっと目を見開いて首をかしげた。
なんだよ、長い付き合いじゃないか。私がこういうの、興味ないって知ってるはずだろ。
友達同士のクリスマスパーティーなら絶対参加したいけど、特に仲良くない人と、ニコニコ笑って歌うたって・・・なんて、むず痒くてやってられん。

「あらあら、本当に?意外な回答ねぇ」
「何でよ。こんなのより、みずきちゃんちか、うちでやろうよ。かりんたちも呼んでさ。あと、ほら・・・ち、ちちちちさ」

すると、みずきちゃんはスッと目を細めて、「うふふふ」と独特の声で笑った。

「笑うなよー」
「だって、遥ちゃんたら。書類は最後まで、ちゃんと目を通すものよ。じゃないと、思わぬところで損をしちゃうんだから」
「だから、興味ないって・・・あっ!!」

そう言いつつも、しぶしぶその紙に再度目を通す。
するとそこには、私にとってすごく衝撃的な情報が記載されていたのだった。


「だから言ったじゃない。うふふふ」
「・・・はい、今回はみずきちゃんが正しかった。書類は最後まで見ましょう、とな」

私の目は、もう“その文字”しか目に入らない。
サンタのイラストと、モミの木のイラストのその下に、確かにこう書いてあったのだった。

“クリスマスパーティー 実行委員長 岡井 千聖”と。


*****
「・・・で、なんでお前がいるんだよっ!!!」
「すどぅー!いえええい!」

クリスマスパーティー当日の朝。
行ってきまーすと玄関のドアを開けたところに、なぜかこいつ――マサキがいた。
用事を言わなくてもわかる、その赤い帽子。白い髭。何が入ってるやら、大きな布の袋。

「ふううううう」
「落ち着け!クリスマスパーティーは放課後!つーか、うちの学園の行事なのに、何で知ってんだよ。マサキは違う小学校だろ?」
「でも、父がまーちゃんに渡してくれました。パーティーの招待状が、ポストに入っていた模様」
「あー・・・」

そうか、チイキコウリュウというやつか。うちの学校、好きなんだよね、そういうの。
となると、学園の催しではあるけれど、大規模なクリスマスパーティーなのかもしれない。
忙しいであろう千聖ちゃんと、ゆっくりお喋りしてる時間はないのかな・・・。ちょっとがっかりだけど、まあ仕方ないか。
最近全然千聖ちゃんと会えてなかったし、顔を見れるだけでも嬉しいと思わないと。

「・・・ところでマサキ。楽しみなのはわかるけどな、ちゃんと学校には行けよ?千聖ちゃんが心配するぞ」
「イエス、アイドゥー!学校には行きます!これはランドセルです!」

絵本に出てくるサンタが持ってるような、つぎはぎだらけの布袋。マサキはそれを自慢げにわしゃわしゃと振って、中に教科書が入ってることをアピールしてきた。

「その恰好で行くのか・・・お前、怖いものとか何もないんだろうな」
「あんなに怯えてたあの日の事は忘れてませんよ!」
「答えになってねーし。まあいいか、ハルもう学校行くから、途中まで一緒に行こう」
「あーい」

ぴょんぴょんと足取り軽く、マサキが私の前を進んでいく。
ダンススクールで習ったとかいう、難しい足さばきのステップを取り混ぜながら、実に楽しそうだ。
千聖ちゃん・・・マサキに会ったら、喜ぶだろうな。久しぶりの対面だろうし。
最近はご無沙汰気味とはいえ、学園にいる私じゃ、新鮮味がないに決まってる。
そうだ、千聖ちゃんちのペンションに行ったときだって、こいつは千聖ちゃんの気を引くことを次々やってのけた。そうなると、私なんて全然、千聖ちゃんの視界に入らなくなってしまうんだ。

「マサキはいいよな」

そうつぶやくと、マサキはくるっと私の方に向き直る。

「いいね!」
「フ●イスブックじゃねえよ。・・・あー、ほんと羨ましい!」
「んー」

珍しく、マサキはせわしなく動き回るのをやめ、私の横に並んで普通に歩き始めた。
チラッと横顔を見ると、鼻筋が通って、整った顔をしてるのがわかる。
黙ってれば、かりんみたいな優等生っぽくも見えるのに。そういうギャップがまた、千聖ちゃんの(ry

「すどぅー、すどぅー」
「ん?」
「まーちゃん、こっちです!」

物思いにふけっているうちに、マサキと私の学校の分岐点に着いていたようだ。

「すどぅはクリスマスパーティー、参加する?」
「おー。一応、そのつもりだけど」

すると、マサキはにへっと緊張感のない笑顔を浮かべて、うんうんと大きくうなずいてきた。

「じゃあ、絶対絶対、まーちゃんも参加する。今日は、それを聞くために、すどぅの家に行ったまーちゃんでした!ひゃっほー」

そういうと、目にもとまらぬ速さで、マサキは自分の学校の通学路を走っていってしまった。


「・・・なら、ここで待ってりゃよかったんじゃね」

苦笑しつつ、マサキが私の動向を気にしていたっていうのが、なんだか嬉しい。
そうだよ、逆に考えるんだ、ハルよ。千聖ちゃんはマサキが来たら、喜ぶんだ。千聖ちゃんの喜ぶ顔を見れるんだ。ということは・・・

「おい、マサキ!」
「ちょりーっす」
「戻ってくんの早っ!・・・あのさ、ちょっと相談があるんだけどさ・・・」



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