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写真を僕に手渡しながら、みずきちゃんが話しかけてくる。
そこには思いがけない人の名前が出てきたんだ。

「ところで、久住さんはお元気ですか?」
「はい、すっごい元気ですよ。・・・って、えぇっ?小春ちゃんのこと知ってるんですか?」
「それはもう勿論です。私にきっかけを与えてくれたのは久住さんと言っても過言ではないですから。もう4年も前のことになりますけど」
「????」

謎掛けのようなことを言って、微笑を浮かべる美少女。
その姿を見ていると、年齢不詳のようにも見えてくるんだ。そう、この団○妻のような、物憂げな微笑。
独特の空気感に飲み込まれてしまい、気付けばすっかり彼女のペースに。

「っていうか、僕が小春ちゃんのことを知ってるということをどうして・・・」

僕の疑問には「うふふふ」と小さな笑い声でしか返してくれない。
完全に主導権を握られてしまっている。


「今日は、えっと・・みにしげさん? そう道重さんという人のところに行くって言ってましたけど」
「あら、そうなんですか。道重さんと久住さんがお2人で・・・ それは楽しいことになりそうな」
「いや、二人だけじゃないですよ。あと、まーty、佐藤さんっていう子も一緒で」
「えっ? まーちゃんまで!? それはちょっと見に行く価値がありそうですねw さくらちゃんも向かったみたいだし、今日は私も行ってみようかしら。うふふふ」

なんかよく意味が分からないが、みずきちゃんのその表情はとても楽しそうに見えた。
そんな彼女のことをつい見つめてしまったが、その僕の視線に気付いた彼女が僕のことを見つめ返してくる。

お嬢様然とした彼女と見つめ合ってしまい、その分不相応な出来事に固まりそうになる。
思わずあばばってしまった僕は、思わずこんなことを彼女に口走っていた。

「そもそも聖ちゃんに一度聞きたかったんだけど、こんなに写真まで下さったり、どうして僕にそんなに親切にしてくれるんですか?」

僕の質問にも一切表情を変えない聖ちゃん。
そんな彼女が目線を一度外してちょっと思案したあとに答えてくれた。

「特別に親切にしたということも無いと思いますけど」
「初めてお会いしたときも窮地に陥りそうになった僕を助けてくれたし、どうして僕なんかに・・・」
「あの時は何かお困りの様子でしたから。困っている人をお助けするのは当然のことですわ」
「でも、僕の周りにいる学園生の人(例:熊井中島有原)が僕に取ってくる態度のどれとも全く違うから。本当にどうして僕なんかに・・・」
「うふふふ」

柔らかい微笑みを保ったままの聖ちゃん。
この落ち着き。本当にこの子は中学生なんだろうか。


「いま“僕なんかに”って言われましたけど、さっき私に教えて下さったように、いろいろな方の動向を御存知だというのはとても大きいアドバンテージだと思いますよ」

「だから、私にとってそんな貴重な情報を下さる方に対して、決して失礼なことなんかできないです。うふふふ」
「情報を下さる、って・・・・・」
「お願いしますね。これからも」
「は、はい・・・・」

お願いしますねって、何を? と聞く間もなく、思わず「ハイ」と返事をしてしまった。
みずきちゃんは断片的な言葉でしか話しかけてこない。
でも、ハッキリとは言わないのに、彼女のその言葉の持つ意味には僕はちゃんと気づかされるんだ。
そんな中学生の女の子。でも醸し出しているのは団○妻という。
そのギャップも相まって、僕はすっかり彼女に飲み込まれてしまっていた。

流れのままに訳も分からず何か決まっちゃったみたいだけど、何が目的なんだろう。
その意図がまるで読めない僕は、ただただ混乱するのみだった。

「うふふふ。それにしても意外ですね。久住さんがまーちゃんと仲良くするようになるなんて」
「まーちゃんのこと、詳しく知ってるんですか?」
「それはもう。彼女は秘密兵器ですから」

全く意味が分からない。
みずきちゃんの言うことって、ときどき意味不明なんだよなあ。
本当に掴み所の無い人だよ。


「ところで、嗣永さんは今日どうされてますか?」
「桃子さん? 今日ですか? さぁ?知りませんけど・・・」
「そうなんですか? きっと御存知なんだろうと思って」
「いや、桃子さんのこと、いちいちそんな関知してないですよ。ましてやみずきちゃんに教えられるほど詳しくなんて」
「情報っていうのは鮮度が命ですよ。あとは、もちろん精度も重要ですけど。うふふふ」

またまた意味の分からないことを・・・

みずきちゃん。
この子、まだ中学2年生だよね。
なんだろう、この子にはもぉ軍団の人たちとはまた違った怖さがあるぞ。


「それでは、私はこの辺で」
「あ、はい。ありがとうございました」

貰った写真をかざしながら挨拶をすると、みずきちゃんは微笑みながら言葉を続けてくれた。

「この後もこの辺りにいらっしゃるつもりですか?」
「え、いや、その・・・」

図星です。
もちろん舞ちゃんに会うまではずっとここで待っtt

「でも、この後待ってても萩原さんならもう帰られたあとですよ?」

えー、そうなのか!!
やっぱりさっきの栞菜ちゃんと関わってたあの時間が全く無駄だったんだよ、トホホ・・・


・・・って、なんでみずきちゃんは知ってるんだ!?
僕が舞ちゃんのことを待つってことを、な、何で?
最後の最後に大きなショックを僕に与えてくれたみずきちゃん。その表情はやっぱり楽しそうだ。
そして、彼女はそれだけでは飽き足らないかのように、更に僕に話しを続ける。

「今日の夜は千聖お嬢様のお勉強を見てあげることにしたそうで。それはそれは楽しそうでしたよ、萩原さん」
「そ、そうなんですか。お嬢様と・・」
「千聖お嬢様が羨ましいです。萩原さんのあの笑顔を見れるのはただ一人、千聖お嬢様だけですから」
「・・・・・・・」
「うふふふ。めげないで頑張ってくださいね」


みずきちゃんの去り際のその一言により大いに心を乱された僕は、一人その場で立ち尽くすのだった。




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