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「えーと、それじゃ、青のカードを持っている人、見せてちょーだい!」

生徒会長さんの呼びかけで、私、ユウカさん、カノンさんが、青い“℃”入りのカードを高く掲げる。

「カノンちゃん、すごいよねー。緑のも持ってたんでしょ?しかも、見事にプレゼントゲット!」
「いえいえそんな、デヘヘ。学園ヲタなんで、できる限りプレゼントゲットしたいなと。よくばりでごめんなさーい」

カノンさん、そんなこと言っているけど、私はさっきのユウカさんとの会話で知っていた。カノンさんは、ユウカさんがちさとちゃんからのプレゼントを貰えるように、一緒に探してあげてたんだって。
それでなくても、二人が交わす視線の柔らかさや、ちょっと照れた感じのカノンさんを見ればわかる。・・・いい友達なんだなって思った。

「ドゥフフ、そう、ここからは私だってライバルなんだからね、憂佳!どこまでレジェンドオブカノンの功績を残せるか・・・さあ、まろの物語が幕を(ry」

――ま、変な人には違いないけどな!
聞けばこの人、全種類のカードを所持しているらしい。参加しない人に声を掛けて回ったとか。何そのコミュ力と執念・・・いっそ、うちの学校に転校したらいいんじゃねーの、そんなに好きなら。

「はいはい、了解です。で・・・まーちゃんは持ってないのね、カード」
「作ってきます!パソコンはありますか!」
「ダーメ。ルールに乗っ取ってやってくださーい。・・・んー、どうしようかな。誰か、まーちゃんを補佐にして・・・」
「NO!まーちゃんと、だーまえの勝負!」
「あはは、初めて呼ばれた。だーまえだって。ねえ?」

特に気分を害した様子もなく、ユウカさんはケラケラと笑って、「花音ちゃん、ちょっとお願い・・・いや、取引が」と呼び寄せた。
途端に、カノンさんの顔がキリッと引き締まって、大人でいうところの“仕事モード”みたいになる。

「取引ね。どういった内容で?」
「青のカード、彼女に譲ってあげてもらえないかな」
「オゥフ、それはなかなか厳しいっすねえ。・・・で、私にはどんなメリットが?」

ユウカさんは背後から、さっきの有原さんのプレゼントを取り出した。

「これ、有原さんのクリスマスプレゼント。ちょっと事情があって、私がいただいてしまったの、ふふふ。ね、まーちゃんさん」
「ムキーッ!」

うお、煽りおった、ユウカさん。大人しそうなのに、結構やりやがる。みずきちゃん系なのか、もしかしたら。


「有原さんの?へー・・・何貰ったの?」
「まだ開けてないけど、たぶん、花音ちゃんは欲しいんじゃないかな、これ」

そう言うと、ユウカさんは唐突に、その真っ赤なラッピングを広げ始める。

「・・・あ、予想通りだ。どうかな、花音ちゃん」

やがて、ユウカさんがよっこいしょと取り出したのは、1冊の辞典のような本だった。

「何これ?げ・・原色・・・?」
「はあああ!原色美少女大図鑑創刊号初回限定ver.!きたああああ」

突如、甲高い声を上げたカノンさんが、ひったくるようにユウカさんの手からその本を奪った。

「こ、こ、こんな国宝級のお宝を・・・有原さん、太っ腹にもほどがあるでしょ・・・」
「何この本、そんな価値あるんすか」
「だってこれもう絶版だったんだよ!?!?!?!?!?有原さん、基本的に再販はしてくれない人だから、もう見れないのかなって思ってた・・・!」
「へー、じゃあ売ったらすげー金持ちになれたりして」
「何言ってんのよ!こんなプレミア本、手放すアホがどこにいるかっての!」

なんでも、この本は有原さんが自分で作成したものらしい。だから、本屋さんには売ってないんだよって生徒会長さんが苦笑しながら教えてくれた。それだけに、ほしい人は頑張って探さないと手に入れなられないとか。

「ちなみに、どんな内容の本なんすか、それって」
「「・・・・・それは知らない方がいい」」
「・・・ッス」

ユウカさんとカノンさんの声が綺麗に揃って、なんとなくそれ以上聞けない雰囲気になってしまった。

「で、花音ちゃん。その本を花音ちゃんに譲る代わりに、青のカードを、そちらのまーちゃんさんに譲ってあげてほしいんだ」
「いいよ!どうぞどうぞって感じ!原色美少女大図鑑ヒャッハー!」

――あ、こんにゃろ、ちさとちゃんのプレゼントを軽んじやがって!と言いたいところだけれど、あまりにも嬉しそうなカノンさんの様子に、何とも言葉を失ってしまう。

「DDだからね、花音ちゃんは」
「何すかそれ」
「DD,それは、誰でも大好きの意。明確な推しメンはいないか、いたとしてもDD故、Tシャツは複数のメンバーのものを所持しているケースも。ちなみにまーちゃんの推しメンは」
「・・・何言ってるかよくわかんねーけど、お前は妙なこと知ってんな、マサキ」
「えっへん」

胸を張って威張るマサキ。

「でも、いいの?マサキ、泣くほど有原さんのプレゼント欲しがってたじゃん」

途端に無表情になって、サッと図鑑を背後に隠すカノンさん。わかりやすいっつーか、なんつーか・・・。こちらもなかなか、喜怒哀楽の激しい人のようだ。


「まさ、ちさとーのも欲しい!」
「有原さんのは?」
「断腸の思いで辞退させていただくで候!」
「あっそ」

マサキにユウカさん。これで、私にとって、考えの読みづらい二人がライバルになった。
自分らしくもない緊張感を覚えて、喉がヒリヒリと乾くのがわかる。

「それじゃ、クイズの前に1つ聞きたいんだけど・・・憂佳ちゃんは、梨沙子のクイズに参加したんだよね?で、花音ちゃんは熊井ちゃん、と」
「はい、そうです」
「二人は、どんなクイズを出したの?」

ふと考え込むようなそぶりを見せたユウカさんは、少しして、口を開いた。

「菅谷さんは、有原さんのプレゼントだから、有原さんのことを一番好きな人にあげたい、とおっしゃってました。
クイズの内容は、有原さんの好きな朝食メニュー、でした」
「あ、熊井さんは、超マニアックな熊井さんクイズでしたよ!でもこの私、DDの鏡、福田花音の研ぎ澄まされた推理力で(ry」
「・・・・・うん、まあ、熊井ちゃんは熊井ちゃんだから。
で、ふふふふ。そっか、梨沙子、そう言ってたの。優しい子」

ママスマイルで目を細めた生徒会長さんは、その穏やかな表情のまま、こう続けた。

「私も同感。やっぱり、千聖お嬢様のことをしっかり考えてくれる人に、プレゼントを授けたいと思ってるんだ。
だからね、ちょっと趣向を凝らしたクイズにしてみました」

そういうと、生徒会長さんは大きく手を広げて、クルッと一回転して見せた。

「見ての通り、ここには、千聖お嬢様からお預かりしたプレゼントはありません。
私が、“千聖お嬢様に縁のある”場所に隠してきました。
皆さんには、それを探してもらいます。ただし、時間も時間だから、一人1か所までしか探しちゃダメ。且つ、10分以内にはこの場所に戻ってくること」
「1か所というのは、どうやって確認するんですか?」
「うん、それはみんなのことを信じてるから。ルールに乗っ取って、やってくれるってね」

――すごい。よくわからんけど、やっぱすごいな、生徒会長さんって。



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