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梨沙子たちが熱い友情を確かめ合っている姿を確認してから、私はそっと医務室のドアを閉めた。
お姉さんなんだから、ここは3人の成長した姿を一緒に喜んであげるべきなんだろうけど

「まったく、何やってんだろう私は。」

そのことよりもはるかに大きな自己嫌悪で、心が晴れなかった。

高校生にもなって、幼稚な自分が情けない。
私が徳さんと揉めていたせいで梨沙子を構ってあげられなくて、ただでさえ少ない梨沙子の心と頭の容量をパンパンにしてしまった。
優しくてデリケートな梨沙子はお腹を痛くして、撮影を中断をしなければいけない事態に陥った。

様子を見に行こうとするメンバーを止めたのは正解だった。
何となく、千聖が梨沙子のところにいる気がしたから。
まあ、その時の私の態度がまた顰蹙をかったみたいなんだけど。

考えてみたら、私には今のベリーズでこの人!という仲良しがいないのだった。
最近はボーノの活動もあって、みやと一緒にいることもあるけれど、それでもみやの隣を私の定位置と言うにはしのびない。少なくとも、みやにとってはそうだろう。

例えばだけど、仲良し2人組を作れといわれたら、

まぁとくまいちょーはテッパン。
キャプテンと徳さんとみや・・・はキャプかみやどっちかが徳さんと組んで、組まなかった方が梨沙子とペアになるのかな。別に嫌々とかじゃなく、まあ自然な成り行きで。

それで、私は一人ぼっちか。
「うわあ。」

単なる妄想なんだけど、リアルに考えたら何だか凹んだ。


もうずっと昔のことだけど、私はベリーズの中で浮きまくっていた。
皆と足並みを揃えないで、一人で理想のアイドル像に近づこうとする私の姿は勘に障るものだったのかもしれない。
それでも私は、アイドルになったからには一番を目指したかった。
別に一人でも平気。私は友達を作るためにここにいるんじゃないって思っていた。


そんな私も、同じように皆と群れなかった舞波とは不思議と波長があって、あぶれたもの同士と言わんばかりに隅っこで2人ぼっちになっていることが多かった。
お互い輪に入れないことを愚痴るでもなく、話すことがあるなら話すし、なければ話さないけど一緒にいるような、とてもドライで、でも2人にとってはすごく心地よい関係だったと思う。

だから彼女がベリーズを卒業するラストコンサートでも、私は舞波の思いに答えるため、たった2粒涙を落とすだけのお別れにした。

あれから私は、一度も舞波と連絡を取っていない。
それでも、舞波への気持ちはあの頃と少しも変わっていない。
私にとって、今でもベリーズでの一番の仲良しは、舞波しかいないのかもしれない。
昔に比べたら私も妥協することを学習したし、皆も私を認めてくれて距離は縮まった。
今はベリーズ工房が大好きだと、本心で言える。
それでもふとした瞬間、ここは私の居場所なのだろうかと胸騒ぎを覚えることがある。
前だけ見て全力で走り続けて、つまずいて転んだら手を差し伸べてくれるメンバーはいるだろうか?


「・・・・ちさと。」


ふいに口をついて出たのは、密かに私の支えとなってくれている可愛い妹分の名前だった。



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