AQUA
ブランド・SORAHANEが描くデビュー作は、笑いあり、涙あり、謎ありの学園恋愛ストーリー。
舞台は近未来。質量を持ったホログラムを生成・制御できる次世代コンピュータ 『アクア』 が世界的に普及した世の中で、“命” と “絆” をテーマとするヒューマンビジュアルノベルが綴られる。
7年ぶりに戻ってきた故郷。死んだと思っていた幼なじみとの再会。
楽しい学園生活の先には、なにが待ち受けているのか。
ひと夏の青春は、平穏とは言えない方向へと進み……?
ストーリー
そのとき、僕と千紗との距離は、何メートルだったんだろう。 1メートル? それとも、10メートル?
「そーちゃーん! オレンジジュースでよかったーっ?」 「ち、千紗っ! あぶないっ!」
手を伸ばしたけど、その距離は縮まらなかった。 そしてその距離は
「なにー? きこえな――――― どんどん遠くなって
「ち……さ…………?」 ついには見えなくなってしまった。
目の前で朱色に染まる千紗。 道ばたをころころと転がる、オレンジジュースの入ったカップ。
しかし僕は、なにもすることができなかった。 近づくこともできなかった。
あの日から僕は、オレンジジュースが飲めない。
西暦2056年――
質量をもったホログラムを生成することができるコンピュータ 『アクア』 がパソコンに取って代わり8年が過ぎ、アクアが世界中で生活に根付いていた。
月ヶ浜はアクアを制御する “ルカ” と呼ばれるアンテナが水平線に立ち、アクア開発研究組織・ECReD擁する科学技術都市として発展してきた。
鳴海颯太は母親の智恵と共に、7年ぶりにこの街に戻ってきた。
しかし颯太は、この街に戻ってくるのが嫌だった。
ここに来ると―――死んだ千紗のことを思い出してしまうから。
柊木なずなとの衝撃的 (すぎる?) な出会い。 学園で出会う南凛や月代奈々璃といったクラスメイトたち。
そして颯太は学園で、びしょ濡れ姿のひとりの少女と再会する。
「そー……ちゃん?」
僕のことをそう呼ぶ子は、たった1人しかいなかった。
それは “ちさ” と同姓同名の野々宮千紗ではない。僕が知っている、僕が昔知り合った、僕が死んだと思っていた 野々宮千紗、ただ1人だけだった。
顔立ちも、身長も、そして胸の大きさも違ってた。 でも、その千紗の笑顔が、記憶の “ちさ” と重なった。
それは夢でも幻でもなく、現実として、確かに、そして実際に、ここにあった。
白い制服が濡れ、透けた先に見えるものは、とても神秘的で―――
―――とてもドジっ子だった。
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