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「―――お前は、絶望を求める欲と性欲、どっちが強いんだ?」 「……そんなの………ん……ぁあ……」 そんなの、試してみればいい話じゃない。 と、江ノ島が言い終える前に苗木は顔を挙げ彼女の首筋をゆっくりと舐め始めた。 彼女が上半身が全て晒してる中、何故首にいったかといえば、顔を挙げればすぐそこにあるものだったからである。 最初の内は漏らす声の音だって小さい。ならば、好都合だと自分の耳も隣になるそこに走ったまでだ。 「あ……ぁあ……苗、木……は…ぁ」 軽いフレンチキスを交え、子犬のような舌で静かに舐めれば、彼女の顔はすぐに紅潮していく。 無理もない。先程まで与える側だった彼女だって、何も感じずに行為に徹底してた訳ではなかったのだろう。 耳元に届く声にはどこか安堵が混じっている。緩やかに乱されるその息にさえも。 それは、まるで。自分に抱かれたかったとでもいうように。 「……っ……あ…………?……苗木…?」 何の脈もなくパタリと止む行為。苗木は神妙な面持ちで突如彼女の首から離れた。 彼が首を舐めたことによって走った快感に目尻に涙を浮かべていた江ノ島は首を掲げる。 「………苗木、誠……?……あぁ…あ…ああ」 しかし、それもほんの三刹那なことで、苗木は行き場を失っていた江ノ島の腕を掴み、吸うように豊満な胸の先の乳首に自分の唇を触れさせた。 そして、舌先を出し乳首を中心に上下運動。 ピンとしてる先を摘んだら乳は出て来るのだろうか、そんなことを考えながら、苗木は理性からの言葉を紡ぐ。 「されながらで良いから……途切れ途切れでも良いから、答えて」 「あ…され、ながら………途切れって…良い…としても…  こ、れ…じゃ…………て…まと……………め…ぁぁ、ん……は……んん……  いいよ……答えて、あげる」 されながら、途切れ途切れでも良いとしても、これじゃまとまらない。 なるほど。意味は確かに伝わったが、これではこちらも意図を読み取る手間がかかる。緩めた方が良いのか…刹那の間に苗木がそう考えていたら、江ノ島は素直に同意した。 理性を引き戻し、嬌声を零す代わりに言葉を紡ぐことにしたのだ。  …………………? 「どう、した、の……?………苗木……?  ………アハ、ハ……さっきのより優しくなったのは……嬉しいけど……オマエ……おかしいよ」 それはこっちの台詞だ、そう言い掛けて前のめりになる感覚が苗木を襲う。 いや、実際に本当にまえのめった。自分に手首を握られたままの江ノ島が後ろへ倒れることによって。 二人の全体重を預ける形になったベッドは上で弾み下ではギシリと軋む。 純白なシーツの上。 上半身を完全に晒し、下半身を守るのもボタンがとれつつある漆黒のスカートとパンティーのみである江ノ島盾子の上に、 中途半端に上着とパーカーを脱がされ、降ろされたズボンのジッパーから男根をさらした苗木誠がズレて覆い被さる形となった。 自分の頭の位置は彼女の胸の下、谷間から白濁した液が零れていると思ったら、程なくして先程自分の男根が吐き出したものだと知る。 何も言わず、それが流れるのを見ていると、拘束が解かれた彼女の掌が自分の頭を撫でていることに気付いた。 まるで、慈しむように優しく……… 髪を撫でる柔らかな感触に目を細めつつあると、江ノ島はゆっくりと最初に投げ掛けられた問いに答え始めた。 「絶望を求める欲と性欲……どっちが強いかと訊かれれば、アタシは断然絶望を求める欲が強いよ…… だって、アタシは『超高校級の絶望』なんだから」 予想してたとはいえ、彼女の断言に苗木は閉口せざるを得ない。 『超高校級の絶望』。根拠もなく理由もなく、純粋に絶望を追い求めることが出来る可能性を持つ江ノ島盾子。 己も他者も絶望に堕とすその理念で、不条理で非合法な事を計画する、行動に移すことが出来るその力は…… 自分に、超高校級の学生達に、視聴者に、最高に最悪な形で見せたことで実証された。 自分を×××××したのも、その場にある絶望をより深いものにしたかったから。 ××××××しかない状況に落とすことで自分に絶望を味合わせたかったから。 その理由だけで動いたのだと言われても、納得がいってしまう。 …………普通ならば。 「ここまでに至る過程、現実……お前とボクが今、ここに二人でいる状況……。  こうなってしまったのは全て、『お前が超高校級の絶望だったから』って理由でも決着がつきそうだ……」 「うぷぷぷぷ……オマエも、そう結論づける………?」 「……………結論、づけないよ」 「んふ……っ……」 江ノ島が小さく身を捩る。否定する時に微かに首を振った際、髪が彼女の体をくすぐってしまったようだ。微かだというのに、敏感に反応するその体。頭を撫でられていた苗木は即座に腹に唇をつけた。 「そう、結論づけない」 「う、ぷ……ふぅ…」 そのまま手を伸ばし、整った胸に触れて行く。全部の指の腹を静かに谷間に乳首に滑らせていく。 火照る体は小刻みに震える。汗をかいて理性の中情欲を見せる彼女は艶めかしい。 「な……え………ぎ……ぃ……ぃ……あ…あ…」 「……は……ふ…」  自分の肉棒の先から白濁が漏れるのを感じる。ビクンビクンと脈をうつのを感じる。彼女の胸に出来た白い川を混ぜた時には思わず息を吐き出してしまった。 あくまで理性を持って行為に徹してるつもりなのに、男根は、体は、やっぱり本能に正直に反応する。 だが、流される訳にはいかないのだ。 ……論破の時間だ。 行為に集中していた苗木はいきなりむくりと起き上がる。 男が座高の分だけ遠くになった女を見下ろす構図。 色んな感情が入り交じった表情を浮かべる江ノ島に間髪を入れずに言い放った。 「今の今までがこうなった理由は『お前が超高校級の絶望だったから』……?それだけの理由…?  ―――それは違うよ。  それだけじゃ、納得がいかない面が、不可解な面がある」 裁判時に見せる弾丸で射貫くような眼光。 その眼で見つめられ、先程与えられた興奮もあいまってか、ゾクゾクとビクリと震え、自分の陰部が濡れていくのを江ノ島は感じていた。 「ア……ハ……アハハハハハ!……どこが?どこがァ!?おかしいっていうのよぉぉぉ!!」 「………ボクはもう答えを示している………所有している……再現していると言ってもいい……」 苗木は中途半端に脱がされた自分の衣服に手をかける。 襟にピンバッジがつけられた上着を放り出し、チャックが降ろされたパーカーを静かに落とせば、そこには上半身のみの苗木の裸体が晒される。

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