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鬼畜セレスの話(2-1)」(2011/08/24 (水) 13:22:51) の最新版変更点

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『舞園さやかの場合』  深夜0時、学生寮一階、廊下。 「ホントにゴメンね、舞園ちゃん…」  朝日奈は申し訳なさそうに、舞園の背中に詫びた。 「さくらちゃん、もう寝てるみたいで…でも、一人で行くの、恐くて…」 「気にしないでください。こんな夜中に一人で行動するのも、危ないですし」  アイドルの笑みを崩さずに、舞園は部屋の扉に鍵をかける。 「えっと…食堂でしたっけ?忘れ物」 「うん…ゴメン」 「謝らないでくださいってば!さ、行きましょう」  先に進んだ舞園の背中に、勢いよく朝日奈の両腕が伸びる。 「えっ!?ちょっ…」 「ホントに、ゴメンなさい…!」  朝日奈は、謝りながらも舞園の口にハンカチをあてがった。  必死に舞園は抵抗したけれど、運動している朝日奈の体力には及ばない。  吸気とともに、彼女は深い眠りに落ちていった。  眠気からか、頭に鈍痛が走る。  まぶたが開かない。一瞬だけ無理に開けようとして、とてつもない眠気に誘われる。  もう少し、このまま眠っていたい。 「…起きろっつってんだろ、ビチグソがぁあ!!」  どなり声が聞こえて、舞園は眠りから引きずり出された。 「っ…せ、セレス…さん…」  まだ視界もおぼつかないまま、思い頭をもたげる。  声の主は確かにセレスだが、舞園の知る彼女は、こんな怒声を張り上げたりはしない。  ピン、と背中に緊張が走った。 「おはようございます、舞園さん。よく眠れましたか?」  セレスはまたたく間に、普段通りの笑顔を浮かべる。  自分で起こしておいて、よく眠れたも何もないだろうに。 「ここ…私の部屋じゃない…?」  舞園は辺りを見回した。家具や装飾の配置に、見覚えがない。 「ここは朝日奈さんの部屋ですわ」  セレスの言葉で、昨日の出来事がフラッシュバックする。  そうだ、自分は。  朝日奈に騙されて…おそらく薬品を吸気させられた。  「誰かを殺せば、卒業できる」。朝日奈は自分を殺そうとしたのか?  でも、殺されていない。生きている。  舞園は混乱した。  殺さないなら、どうして朝日奈はあんなことを… 「ああ、どうか朝日奈さんを責めないで上げてください。彼女は私の言葉に従っただけなのです」  芝居がかった泣きまねをして、セレスは言った。 「もっとも、あなたをその格好に縛り上げるまでやったのは、朝日奈さんですが」  そこで舞園は自分の体を見て、ようやく自分の置かれた状況を理解した。  そしてそれと同時に、彼女は余りの恐怖に、パニックに陥った。 「あ、あ…き、きゃあぁあああああっ!!」  着ていた服は全て取り払われ、彼女はベッドの上に転がされていた。  膨らんだ胸は、桃色の尖端は乳輪に埋もれており、身体を捩るたびにふるふると震えている。  大きく開かれた股から、未開の秘部が覗いていた。  必死に足を閉じようとするも、膝と膝の間につっかえ棒のような拘束具があって、閉じられない。  手は足首に固定されており、彼女はありのままの自分を外気にさらけ出すしかなかった。 「乳首が陥没しちゃってますわね…ふふ、可愛らしいこと」 「やだぁああっ!!離して、見ないでぇっ…」 「女同士で、何をそこまで恥ずかしがることがあるのですか」 「いやっ、いやぁああっ!!」 「朝日奈さんなど、もっと酷い恰好をしているというのに」  セレスがあごで示した先には、地べたにはいつくばる『スイマー』の姿があった。 「あ、朝日奈さ…っ…」  その姿に、思わず舞園は息を呑む。  朝日奈は、舞園のように拘束こそされていないが、同じように裸に剥かれ、息を荒げて地に臥していた。  首には首輪のようなものがつけられ、そこから紐が伸び、机の脚に縛り付けられている。  同性でも当てられてしまいそうな、色っぽさ。  時々「ぁ…ぅ…」と小さく呻いては、汗にまみれた身体をぴくぴくと震わせている。 「朝日奈、さん…?」  舞園の呼びかけにも、彼女は応じなかった。 「あなたが起きるまで暇だったので、少し可愛がってあげたのですわ」  セレスは朝日奈に歩み寄って、彼女のポニーテールを掴み、顔を無理矢理あげさせた。  朝日奈の顔はこれ以上にないくらいに蕩け、しかしそれでも何かを求めて、口をパクパクとさせている。 「『イけない体』をさんざん弄ばれた心地はどうですか?」 「ふっ、んっ…ぅ…」 「私があの言葉を口にしない限りは、どれだけ身体に快感を溜めこんでも絶対にイけない…そういう催眠ですものね。  ふふ、もうイきたくてイきたくてたまらない、って顔してますわ。  無理矢理イかされたくなければ、と脅されて、舞園さんを誘拐させられたのに、  今度は無理矢理絶頂を奪われて悶えている…うふふふ、今どんな気持ちですか?」  ゾクッ、と、舞園の背中に戦慄が走る。  恐怖とともに、漠然とした理解。  朝日奈が何をされているのか、何をされていたのかは、全く分からない。  けれど自分は、きっと今から彼女と似たような目に合わされるのだ。  朝日奈はもう、身体に力が入らないようだった。  自分の力では起きられず、地面に臥したまま、セレスに懇願する。 「お、お願いします…もう、イかせて、イかせて下さいぃ…」 「…では、舞園さんに謝りなさい。自分の快楽のために利用してゴメンなさい、と」 「あ、あぅ…ま、舞園ちゃん…ゴメン、なさい…」  息も絶え絶えに謝ろうとする朝日奈に、舞園は恐怖さえ覚えた。  彼女の姿は、表情は、これ以上になく官能的で、そしてこれ以上にないくらいに異様。  初めて見る、朝日奈の蕩け顔。快楽を求めて身をよがらせる、女の顔。  下ネタを聞くたびに顔を真っ赤にさせていた彼女に、いったい何があったのだろうか。 「…よろしいでしょう、イかせて差し上げますわ。ただしあなたは、そのまま謝り続けること。  途中で言葉を止めれば、また先ほどまでのように、寸止めしますわよ」 「ひっ…」  朝日奈の顔が、一気に青ざめる。 「あ、う…ま、舞園ちゃん、ごめんなさいぃ!!」 「一本調子ならまた止めますわよ。5、4…」  何が行われているのか、舞園にはわからなかった。  何かに怯えるように謝り続ける朝日奈と、その横で愉快そうにカウントダウンを続けるセレス。  それが何を意味するのか、恐怖に染められた彼女の頭では、判断ができない。 「自分の、ため、に…っく…ぁ、ま、舞園ちゃんを騙しましたっ!私は最低の雌犬ですぅっ!!」 「その調子ですわ。もっと自分を貶めなさい。3…2…」  カウントダウンが進むにつれて、青ざめた彼女の表情が再び赤く上気する。  カウントダウンは酷くゆっくりで、その変化はよく見て取れた。 「さんざんセレスちゃんにイかされてっ…脅されて、舞園ちゃんをっ、騙した、のにっ…あ、はぁああぁあっ!!…  ぅっ…今度、は…自分から、イこうとしている、変態女ですぅうっ!!」  朝日奈は謝罪の言葉というより、自分を蔑む言葉を連呼する。  その言葉を放つ自分自身に、恍惚としているようだった。  業界での経験も長い。舞園はどこかで、今の朝日奈のような顔を見たことがある。  そうだ、先輩のアイドルが麻薬に手を出した時の、その表情。  舞園にも勧め、当然ながら断ると、彼女は自分ひとりで麻薬を服用し、そして舞園の目の前で自慰に耽りだしたのだ。  朝日奈の蕩け顔は、その時の彼女の表情に、そっくりである。  興奮とは違う。いうなれば、「発情」。  何が起きるのか分からないまま、舞園は二人を見ていた。 「1………」 「はぁ、あぁあああぁあ!!も、もう我慢できないぃいいっ!!イかせて、イかせてぇええっ!!」  涙や涎で顔をぐちゃぐちゃに濡らし、朝日奈はセレスに縋りついた。 「ふふ、必死になっちゃって、かわいいですわ…腰もがくがく震えてますわよ?」  セレスはカウントダウンを進めず、触れるか触れないかの程度に朝日奈の腰をなでまわした。 「ひっ、はぁあああぁあっ!!」  朝日奈の体が跳ねあがる。  『ゼロ』を目前にした彼女の体は、いわば絶頂の寸前で止められているということになる。 「雌犬なら雌犬らしく、鳴いてご主人様にアピールなさい」 「わ、わぅん!!わん、わんっ!!」  理性を凌駕する、絶頂への本能。  今の彼女は、すでにセレスのいいなりと化していた。 「ふふ、うふふふふふふ…あははははははははっ!!」  まるで魔女のように高笑いしたかと思うと、 「良い、最高ですわ、朝日奈さん!!決めました…あなたはこれから私のペット…人間の言葉を話すことを禁じますわ!返事は?」 「あ、あぁ…も、ダメ…」 「…上手にお返事ができたなら、御褒美を差し上げますわよ?」 「わ、わぅんっ!!」  朝日奈の耳元に口を寄せて、 「『ゼロ』」  そう、吐息を吹きかけるようにささやいた。  瞬間、朝日奈の顔が恍惚に歪み、  そしてその直後。 「あがッ!!!!」  朝日奈の体が跳ねあがった。 「え…?」  舞園は、いよいよ当惑する。 「あっ、ぐ、ふに゛ゃあぁああぁあああああぁあ!!!」  ブリッジのように、朝日奈の腰が天へと伸びる。  ひときわ大きな胸を震わせ、舌を突き出して、目は虚ろ。  絶頂している。  それだけは見て取れた。  思わず舞園の顔も、赤く染まる。  プシャアアアアア  愛液やら小水やらが撒き散らされ、床一面は水浸しになった。 「あ゛っ、いっ、はぁっ!!」  絶頂の後も快楽は身体から抜けないらしく、自分の体を抱きしめて、朝日奈は地面をのたうちまわった。 「さぁて…」  朝日奈が悶える様を一通り眺めた後で、くるり、とセレスがこちらを向いた。 「次はあなたが悶える番ですわ、舞園さん…」 「ひっ…」  逃げられないとは理解していながらも、舞園は必死に拘束具を揺らした。  余裕の表情でセレスはそれを眺め、自分も服を脱ぎ、下着姿となって、白い地肌をさらす。 「いやっ、いやぁあっ!!」 「ホントは朝日奈さんに、もう少し働いてもらう予定だったのですが…ついつい弄んでしまいましたわ。  彼女には少し、休んでいてもらいましょう。代わりに私が、お相手しますわ」 「いらないですっ、離して…!」  喚く舞園に、ずい、とセレスが身体を寄せる。 「大丈夫、間違っても危害を加えたりはしませんわ…あなたには」 「…?」 「私が獲物と定めた、もう一人の生徒…あの澄ました女のプライドをへし折るのが、私の最終目標。  そのためには、私の手となり足となる駒が必要なのです。  舞園さんには、その駒になるため、快楽に堕ちて、素直になってもらうだけですわ。  間違っても、あなたの綺麗な身体を傷つけたりはしません…そこだけは、安心してください」 「あ…」  その言葉に少しでも安心してしまった自分を、すぐに舞園は呪った。  結局、自分が彼女の好きにされることには変わりはないのだ。  けれど、一度警戒心を解いてしまえば、彼女の頭を縛る恐怖は溶けだしてしまう。  そこに、快楽を期待する、女としての性欲が付け入る隙ができてしまう。 「そ、そんなことはどうでもいいんです…これを解いてください!」  自分を諌めるように、がしゃがしゃと拘束具を揺らすが、セレスは穏やかに笑うだけ。 「あら、解いていいのですか?」 「ふぁっ!?」  するり、と彼女の手が、舞園の太ももを伝い、上ってくる。  そのくすぐったさに、舞園は悲鳴を上げた。 「ここはもう、こんなに期待しているみたいですけれど…」 「あっ、ん…」  ひっそりと閉じた割れ目を、セレスの指が開く。  朝比奈の痴態にあてられて、そこは既に湿りを帯びていた。 「私、テクニックには自信がありますのよ。舞園さん…オナニー程度しか、したことはないでしょう?」 「っ…」  舞園は羞恥から顔を背ける。 「比べ物にならないくらい、気持ちいいことしてあげますわ」  潤、と、素直に下の口から恥ずかしい液が伝う。  一瞬だけ指を這わせると、セレスの指に愛液が絡みついた。 「朝日奈さんのは、おしっこみたいにサラサラですけど、舞園さんは結構…濃いのですね」 「なっ…!?」  親指と人差し指に愛液を伝わせ、それを舞園の目の前で開くと、指の間を糸が伝う。  一瞬で、彼女の顔が真っ赤になった。 「へ、変な事言わないでください…!」 「あら…朝日奈さんといい、ここには恥ずかしがり屋さんが多いのですね」  セレスの裸体は、朝日奈のように豊満ではないが、どこか妖艶な魅力を宿していた。  絹のようになめらかで、病人のように白く、枝のように細い。  神話に出てくる女神のような、そんな気高さと妖しさがある。  けして肉付きこそよくないが、形容し難いその「エロさ」に、同性ながら舞園は魅了されつつあった。  そして、 「ふふ…舞園さん」  セレスが肌を擦り寄せてくると、舞園の鼓動は早鐘を打つ。  香水の香りにまぎれて、彼女自身の神秘的な体香が、鼻孔をくすぐった。 「さすがアイドル、ですね…朝日奈さんに負けずとも劣らないプロポーション…ちょっと羨ましいですわ」  胸こそ朝日奈には及ばないが、同世代の中では巨乳と呼べる部類に入るだろう。  所属していたアイドルグループのメンバーと比べあった時も、彼女の胸が一番大きかった。  水着撮影などもあるため、肌や無駄毛の手入れは欠かせたこともない。  歌唱力のために、と、筋トレやランニングも繰り返している。  舞園の体は、女性らしい丸さを残しつつも、すっと引き締まっていた。まさに、理想のプロポーションだった。  その体つきを確かめるように、セレスは舞園の体をなぞる。  舞園は、たまらず身体を捩らせた。 「さ、触らないでください…」  せめてもの抵抗の声にも、もう力は宿らない。 「ふふふ…」 「ひゃっふあ!?」  乳の脇側をくすぐられて、自分でも知らない感覚に、舞園は背筋を張った。 「あらあら…ここが気持ちいいのですか?」 「やめっ!っ、ん…ふ、く…はぁあっ…!」  セレスは、子供がじゃれるように、舞園をくすぐる。  首筋、脇腹、内股に足の裏。  そのたびに舞園は敏感に声をあげ、身体を捩った。 「はぁ、はぁ…あ、ふっ…」  セレスの責めに悶えながらも、舞園は恐怖から解放された頭で考えていた。  先ほどのセレスとは、人が変わったみたいに、責め方が異なっている。  朝日奈への責めは、言葉を当てはめるとすれば「蹂躙」。  情けも容赦もなく、ただ自分のサディズムを満足させるために、朝日奈を快楽の地獄につき落とした。  対して自分には、もぞもぞと指を這わせてはその反応を見て、楽しんでいる。  そう、楽しんでいる。  朝日奈への責めも、ベクトルは少し違うが、彼女は楽しんでいた。  そして先ほど、セレスは自分達のことを、獲物と表現していた。 「何がしたいんですか、セレスさん…」  息を落ち着かせて、舞園は尋ねた。 「…具体性に欠ける質問ですわね」  足の裏を舐めながら、セレスは答える。  足先を震わせながらも、くすぐったさに負けて身を捩らないように、舞園は続ける。 「朝日奈さんをあんな目にあわせて、私のことを弄んで…そして、もう一人狙っているって…  何がしたいんですか…?女の子同士でこんなことして、楽しいですか…!?」 「ええ、楽しいですわ」  迷うことなく、即答。  そしてセレスは、冗舌に語りだした。 「こんな閉鎖空間に閉じ込められ、『誰かを殺せば卒業』だなんて…馬鹿げたルールを背負わされて。  しかもあのあと、モノクマは口を滑らせ『誰にもバレなければ他の全員の命と引き換えに卒業、バレたならその場で処刑』と説明しました。  そんなリスクの高い選択肢を迫られ、殺人に踏み切る度胸は私にはない…それは多分、他のみなさんも同じでしょう。  資源には不足せず、法を犯しても取り締まるものもいない。まさに「自由」そのものの中に、私たちはいます。  そう、今すぐ殺人を犯す必要はない。だからこうして、私たちは膠着状態に陥っているのです。  しかし、耐えられないのは「退屈」という苦痛。ここには私の趣向に合った娯楽が、ほとんどないのです。  雑誌?プール?メダルゲーム?そんなもの、幼稚園のお遊戯と同レベル!クソ喰らえですわ…!  私が求める「遊び」とは、まるで断崖に立たされているかのような、スリルを伴った勝負事なのです。  ああ、きっとあなたは軽蔑なさるでしょうが…私は知っての通り、『超高校級のギャンブラー』。  今まで幾度も、自分の命や、それに準ずるものをベットにして、勝負を挑まれ…そして、ことごとく打ち勝ってきた。  そんな争いを強いられるうちに、私は…人の身体や、命や、人生を弄ぶこと…その楽しさを知ってしまったのです。  …軽蔑、したでしょう。いえ、軽蔑してください。けれどこの病気ばかりは、もう治らない。  退屈が原因でも、人は死ぬのです、舞園さん。こんな場所に閉じ込められていては、私はいずれ頭がおかしくなってしまう。  だから、面白そうな何人かに狙いをつけて、その人たちを弄ぶ…それが私の見つけた、ここでの退屈しのぎですわ。  一人目は、朝日奈さんです。一番エロい身体をしているくせに、下ネタを聞けば真っ赤に頬を染める…虐めたくなるのも、わかるでしょう。  …実は彼女を落とすまでは、聞くも涙・語るも涙の苦労話があるのですが…ここでは割愛しますわ。  二人目は、名前はまだ出しませんが、あなたも薄々気が付いていることでしょう。あの澄ました女のことです…  ああいうのを見ると、どうもそのプライドを完膚なきまでにへし折ってやりたくなるのです。勝負師の性、でしょうか。  三人目は…男子、とだけ伝えておきます。  そして、あなたもです、舞園さん…正直、こんな状況でなければサインをねだっていました。実家の家族があなたの大ファンなのです。  そんな国民的アイドルを辱められるのは、またとない機会でしょう?この状況を楽しむには、もってこいの相手じゃありませんか」  長たらしい声明を終えると、セレスはそこで一息つき、再びほほ笑んだ。  舞園は、口を開けて聞き入っていた。まさに呆気にとられた、という言葉が似合った。  流れ込んできたセレスの言葉は、とても現実離れした響きを伴っていて、理解の範疇を越えていた。 「…長々と話してしまい、すみませんでした…語るに堕ちてしまっていたようですね」  唐突に、セレスの指が、それまで触れなかった舞園の乳房を揉みしだく。 「ふっ、あっ!?」 「ほったらかしにしてしまって、さぞ身体が疼いていたことでしょう…」 「そんな、ことっ…んぁっ…」  あまりの唐突さに、脳が付いて行かない。 「ここからは、ちゃあんと期待通り…気持ちよ~く、してあげますわ」 「し、してませんし、いりませんっ!」 「あら…やはり私なんかに触られるのは、御不満が?」  セレスが不思議そうに首をかしげると、舞園はどうしていいか分からない気分に襲われた。  このまま彼女を拒むのが酷く不憫にさえ思える。  自分は被害者、そのことさえ忘れてしまいそうになる。  そして、断りきれない理由がもう一つ。  自分が目を覚ました時に、確かに聞こえたセレスの激昂の声。  舞園は、それを恐れていた。下手に刺激してはいけない。 「あっ、違…わないけど、違って、その…セレスさんがダメとか、そういうんじゃなくて、  その…女の子同士でこんなこと…おかしいと思いますし…」 「あら、あなたがそれを仰いますか?同じアイドルグループのメンバー同士で、肌を重ねたこともあるくせに…」 「なっ…!!?」  ウィッグを揺らしながら、セレスがにこやかにほほ笑む。  これほど邪気のない笑顔を恐ろしく感じたことはない。  一瞬で顔から血の気が引いた。マネージャにすらバラしていない、自分達だけの秘密。なぜ、知っている?  冷静に考えれば、どこかの芸能人の裏話を集めた掲示板での情報や、口コミで伝わる根も葉もない話を、  真実かどうかも分からないまま、セレスがブラフで使ったのだろう。  しかし、混乱から抜け出せない舞園の頭には、効果は絶大だった。  相手の顔に同様の色が浮かべば、セレスにとってはもう勝ったも同然。 「やはり私では役者不足ですか…?」 「あ、う…」 「ねえ、舞園さん…」  顔が迫り、ふ、と耳に息を吹きかけられ、ビクン、と舞園は体を震わせた。  自分がおかれた状況に対する混乱。  秘密を知られたことに対する恐怖。  そして、セレスや朝日奈の姿に当てられた、情欲。  体の自由を奪われ、隠していたはずの秘密を知られ、どうしていいかわからない。  今の舞園は、酷く無防備な状態だった。 「…そうですわ」  思いついたように、セレスが目を見開いた。 「私に直接触られるのが嫌なのであれば…こんなものは、いかがでしょう?」  ベッドの下から、ごそごそと箱を取り出す。  某同人作家から押収し、朝日奈を最初に責めた時にも使った、道具の数々。  見るなり、舞園はますます顔を赤く染めた。  何に使う道具か、説明されずともわかってしまう、自分の知識が嫌だった。  セレスの言うとおり、メンバーと肌を重ねた経験は、幾度かある。  厳しい業界に放り込まれた人間は、別のベクトルに歪むケースが多い。  ましてやデビュー当時の彼女たちは幼い子供、その重圧には耐えかねる。  上手くストレスの発散場を見つけてやらなければ、精神をおかしくしてしまい、末路をたどるのみ。  禁断の果実は、目の前に山のように転がっていた。  麻薬、恋愛沙汰、飲酒や喫煙。周りの人間は、みな手を染めている。  バレるかバレないか、それだけの違い。  そして、成熟してきた肉体を持て余す彼女たちが行きついたのが、性行為だった。  別に同性愛ではない。人並に、男子への興味はある…特に、共に生活を送るあの一名に。  舞園にとって、メンバーとの交わりは、恋愛などとは別の次元の話で、  それこそ一緒に買い物や映画を見に行くのと同じ、遊びの感覚だったのである。  笑い合いながら互いの乳房を揉み、慰めるように唇を奪った。  その禁忌に逃げていた舞園だからこそ、目の前に転がる道具の山にはなじみがある。 「その様子では、どれが何に使うものかは、説明の必要はなさそうですね」 「そんなこと…」  する、と、胸の尖端をセレスが撫であげた。 「あっ…」  桃色の吐息が漏れる。  舞園の乳首は、乳輪に埋もれていた。 「陥没乳首…というものですか?初めて見ましたわ」 「うぅ…」  恥ずかしさか、快感からか、目に涙がにじむ。 「ふふ…可愛らしい」 「ねえ、舞園さん?陥没乳首は普段外気に触れない分、刺激されると気持ちいい、という噂がありますわね」 「知りません、そんなの…!」  顔を真っ赤にしたまま、拗ねたように舞園がそっぽを向いた。 「あら、ウソはいけませんわ…他のメンバーと身体を重ねるくらいエッチな事をしてきた舞園さんが、  まさか自分で試していないわけはないでしょう…?」  埋もれた乳首の穴を、セレスが爪先でほじる様に弄ると、 「ひぁっ、あっ!!」  たまらず舞園も、嬌声をあげた。  クスクスと笑いながら、セレスが乳房を口に含む。 「んっ、あっ!?せ、セレスさ…ぁんっ!」  乳房の尖端に口を当てて吸い出され、埋もれた乳首を無理矢理引き出して、刺激を与えられる。  鋭い快感が、右胸全体を駆け抜けた。 「は、あっ、やぁあ~~~~っ!!!!」  身悶えさせようにも、身体は拘束されたまま。  抵抗する術もなく、むき出しの乳首を良いようにセレスになぶられる。  まるで、胸の先がクリトリスになってしまったかのような、激しい快感。 「あっ、やぁああっ…やめ、止めて…ふ、ひぃんっ!!」  赤子のように胸に吸いつくセレスに、いいようにされてしまう。 「やっ、いやぁあああ…」 「ん…ぷは…」  セレスが口を離す頃には、舞園はとっくに出来上がっていた。  紅く上気した顔は、もう朝日奈と大差はない。とろん、と蕩けた目で、セレスをただ見ている。  身体は熱を持ち、意思に反して、次に訪れる快楽を待ち望んでいる。  無理にセレスが引きずり出していた乳首は、彼女の口が離れると、元通りに埋まってしまった。 「なんというか、可愛いというか…愛着の湧く乳首ですわね…」 「…やぁ…」  涙目を歪ませても、言葉にはもう力が入らない。 「では…まず、これでそんな乳首を弄ってあげましょうか」  セレスは、一つ目の道具に手を伸ばした。  アイポッドのような機器――おそらく電源――から、二本のコードが伸びていた。  コードの先には、UFO型のゴムのパッド。胸にあてるためのものだろうと、推測できる。  乳首に位置する部分には、スポイトのようなものが付いている。  パッドの内側には、取り外し可能のアタッチメントがついており、セレスがどれを装着させようか悩んでいる。 「乳首専用のローターですわ。結構値段も結構張るようで…さすがにこれは、見たことはないでしょう?」  セレスは本当に楽しそうに、まるで自分のオモチャを自慢する子どものように、舞園に話しかけた。  二つのゴムのパッドを、舞園の乳房に押し当てる。  アタッチメントはちょうど乳首にあたり、素材はシリコンか何かだろうか、ゼリーのようにプルプルで柔らかい。  セレスがスポイトをつまむと、 「ひゃうぅ!?」  パッド内の空気が絞り出され、吸盤のように舞園の乳房に吸いついた。 「あ…っあ…」  吸いつかれているため、自然に埋まった乳首が顔を出す。  淡いピンク色の、小さな豆が飛び出している様は、本当にクリトリスのようでもある。  外気にさらされるだけでも、鋭敏な乳首が、舞園に刺激を与えた。 「吸われただけでそんなによがっていては…後が持ちませんわよ?」  また、可笑しそうにセレスが笑う。 「はぁ、はぁ、ぁうっ……な…なんなんですか、コレぇ…んっ…」 「言ったでしょう?乳首専用のローター…」  そうは言われても、舞園の知るローターとは、まるで形が違う。 「吸盤のように乳首に吸いついて、簡単には外れない。パッド中央のアクセサリが乳首にあたり、電源を入れると回転を初める。  アクセサリはアタッチメントとして取り外し可能、数パターンの中から好きなものをチョイス。  アタッチメントと、複数通りの回転パターンを駆使し、自由自在に快感をアレンジ…と、説明書には書いてありました」  吸われだした乳首が、ちょうどそのアタッチメントに当たって擦られ、それだけで舞園は身を悶えさせる。 「右の乳首は、私個人のおススメ…少し硬い、フィンガータイプですわ。指で乳首をこねくり回される感覚は、リアル以上です。  左の方は朝日奈さんのお気に入り、ブラシタイプの一番柔らかいもの…たとえるなら、触手タイプとでもしましょうか」  セレスが電源を入れると、スポイトからローションがにじみ出て、舞園の乳首を伝った。 「これ…本当にすごいですわよ」  耳元で、セレスがつぶやく。  舞園は、ごくりと唾を飲み込んだ。 「……ふぁっ!!?あっ、あ、はぁあぁあああっ、や、んあぁああっ!!」  アタッチメントが緩やかに回転を始め、舞園は背中をのけぞらせた。 「あぁ、ああぁあ、んっ……ひゃうぅっ!!」  右のパッドでは、二本の指が乳首の周りを、ぬるぬるとローションをかき混ぜてなぞる。  ゆるやかに回転して乳首を転がされたかと思えば、時々高速で逆回転して乳首を弾く。  左のパッドでは、細いシリコンの束が乳首全体を覆い、回転も早くなったり遅くなったり、自在に這いまわる。  フィンガータイプとは違い、柔らかいそれが乳首を撫でまわす。 「ダメっ…これ、ダメですぅうっ…んぅううっううぅっ…!」  舞園は、胸を突き出すように背をそらした。  特別敏感な乳首を、吸い出されたまま弄ばれる、今までにない快感。 「ひゃあぅっ!!」  ビクン、と、舞園がいっそう背をのけぞらせて震える。  連続で乳首を指で弾かれ、それだけで軽くイってしまった。 「あ、あ、んっ…はぅうっ…」  大きく瞳を見開き、苦しそうに息を吐く舞園を見て、セレスは絶頂を確認した。 「あらあらあら…そんなに敏感じゃ、将来赤ちゃんができた時、大変ですわよ?舞園さん。  子供におっぱいをあげるたびにイってしまう、エッチなお母さんになってしまいます」 「だ、だって、だってぇ…!これ、ダメ…っ、ダメ、ダメぇえっ…んあぁああぁっ…!」 「ふふふ…すごいでしょう?」 「止めて、止めてくださいっ!」  イって敏感な乳首を、同じ調子でローターが責め続ける。  右はローションを混ぜるように、左は泡立てるように。 「ぐすっ…えぅ…んっ…」  乳首だけでイってしまった、それも人の目の前で。  加えてセレスの責め句が、さらに舞園の羞恥心を煽り、思わず泣き出してしまう。 「あら…」  さすがにセレスもモーターの電源を切り、何事かと顔を寄せる。  人形のような美しい顔立ちに惹かれるが、それでも涙は止まらない。 「そ、そんな恥ずかしいことではないですわ、舞園さん」 「ぐすっ……私…お嫁に、行けない…」 「…これが朝日奈さんであれば、遠慮なく責め続けるのですが…」  今度はセレスは、困ったように笑って、舞園の頭を撫でた。  本当に、先ほどまでとは別人のようだ。 「あ、そうですわ!ほら、こっちも弄れば、もっと気持ちいいでしょう?」  そう言って、セレスは舞園の秘部に指を伸ばした。 「ひぁっ…?」 「お詫びといってはなんですが、ちゃんとこちらも気持ちよくして差し上げます。  こっちでイけば、何も恥ずかしいことはありませんわよね?」  訂正。別人どころか、先ほどまでと何一つ変わらない。 「やっ、やだ、嫌ですっ…セレスさんっ!」 「ほら、暴れないでくださいな…スイッチ、入れちゃいますわよ?」 「っ…」  意味はないとわかっているのに、舞園は反射的に暴れるのを止めてしまった。  暴れても無意味、それどころかまた乳首を弄ばれる。  パッドは胸に吸着したまま止まっているが、体を捩るたびにぬるりとアタッチメントがずれて、刺激を与える  しかしこのままでは、無防備に、一番敏感な所を責められてしまう。  と、そこで、 「…ぅ、ん…」  それまで気を失っていた朝日奈が、目を覚ました。 Next⇒ [[鬼畜セレスの話(2-2)]]
『舞園さやかの場合』  深夜0時、学生寮一階、廊下。 「ホントにゴメンね、舞園ちゃん…」  朝日奈は申し訳なさそうに、舞園の背中に詫びた。 「さくらちゃん、もう寝てるみたいで…でも、一人で行くの、恐くて…」 「気にしないでください。こんな夜中に一人で行動するのも、危ないですし」  アイドルの笑みを崩さずに、舞園は部屋の扉に鍵をかける。 「えっと…食堂でしたっけ?忘れ物」 「うん…ゴメン」 「謝らないでくださいってば!さ、行きましょう」  先に進んだ舞園の背中に、勢いよく朝日奈の両腕が伸びる。 「えっ!?ちょっ…」 「ホントに、ゴメンなさい…!」  朝日奈は、謝りながらも舞園の口にハンカチをあてがった。  必死に舞園は抵抗したけれど、運動している朝日奈の体力には及ばない。  吸気とともに、彼女は深い眠りに落ちていった。  眠気からか、頭に鈍痛が走る。  まぶたが開かない。一瞬だけ無理に開けようとして、とてつもない眠気に誘われる。  もう少し、このまま眠っていたい。 「…起きろっつってんだろ、ビチグソがぁあ!!」  どなり声が聞こえて、舞園は眠りから引きずり出された。 「っ…せ、セレス…さん…」  まだ視界もおぼつかないまま、思い頭をもたげる。  声の主は確かにセレスだが、舞園の知る彼女は、こんな怒声を張り上げたりはしない。  ピン、と背中に緊張が走った。 「おはようございます、舞園さん。よく眠れましたか?」  セレスはまたたく間に、普段通りの笑顔を浮かべる。  自分で起こしておいて、よく眠れたも何もないだろうに。 「ここ…私の部屋じゃない…?」  舞園は辺りを見回した。家具や装飾の配置に、見覚えがない。 「ここは朝日奈さんの部屋ですわ」  セレスの言葉で、昨日の出来事がフラッシュバックする。  そうだ、自分は。  朝日奈に騙されて…おそらく薬品を吸気させられた。  「誰かを殺せば、卒業できる」。朝日奈は自分を殺そうとしたのか?  でも、殺されていない。生きている。  舞園は混乱した。  殺さないなら、どうして朝日奈はあんなことを… 「ああ、どうか朝日奈さんを責めないで上げてください。彼女は私の言葉に従っただけなのです」  芝居がかった泣きまねをして、セレスは言った。 「もっとも、あなたをその格好に縛り上げるまでやったのは、朝日奈さんですが」  そこで舞園は自分の体を見て、ようやく自分の置かれた状況を理解した。  そしてそれと同時に、彼女は余りの恐怖に、パニックに陥った。 「あ、あ…き、きゃあぁあああああっ!!」  着ていた服は全て取り払われ、彼女はベッドの上に転がされていた。  膨らんだ胸は、桃色の尖端は乳輪に埋もれており、身体を捩るたびにふるふると震えている。  大きく開かれた股から、未開の秘部が覗いていた。  必死に足を閉じようとするも、膝と膝の間につっかえ棒のような拘束具があって、閉じられない。  手は足首に固定されており、彼女はありのままの自分を外気にさらけ出すしかなかった。 「乳首が陥没しちゃってますわね…ふふ、可愛らしいこと」 「やだぁああっ!!離して、見ないでぇっ…」 「女同士で、何をそこまで恥ずかしがることがあるのですか」 「いやっ、いやぁああっ!!」 「朝日奈さんなど、もっと酷い恰好をしているというのに」  セレスがあごで示した先には、地べたにはいつくばる『スイマー』の姿があった。 「あ、朝日奈さ…っ…」  その姿に、思わず舞園は息を呑む。  朝日奈は、舞園のように拘束こそされていないが、同じように裸に剥かれ、息を荒げて地に臥していた。  首には首輪のようなものがつけられ、そこから紐が伸び、机の脚に縛り付けられている。  同性でも当てられてしまいそうな、色っぽさ。  時々「ぁ…ぅ…」と小さく呻いては、汗にまみれた身体をぴくぴくと震わせている。 「朝日奈、さん…?」  舞園の呼びかけにも、彼女は応じなかった。 「あなたが起きるまで暇だったので、少し可愛がってあげたのですわ」  セレスは朝日奈に歩み寄って、彼女のポニーテールを掴み、顔を無理矢理あげさせた。  朝日奈の顔はこれ以上にないくらいに蕩け、しかしそれでも何かを求めて、口をパクパクとさせている。 「『イけない体』をさんざん弄ばれた心地はどうですか?」 「ふっ、んっ…ぅ…」 「私があの言葉を口にしない限りは、どれだけ身体に快感を溜めこんでも絶対にイけない…そういう催眠ですものね。  ふふ、もうイきたくてイきたくてたまらない、って顔してますわ。  無理矢理イかされたくなければ、と脅されて、舞園さんを誘拐させられたのに、  今度は無理矢理絶頂を奪われて悶えている…うふふふ、今どんな気持ちですか?」  ゾクッ、と、舞園の背中に戦慄が走る。  恐怖とともに、漠然とした理解。  朝日奈が何をされているのか、何をされていたのかは、全く分からない。  けれど自分は、きっと今から彼女と似たような目に合わされるのだ。  朝日奈はもう、身体に力が入らないようだった。  自分の力では起きられず、地面に臥したまま、セレスに懇願する。 「お、お願いします…もう、イかせて、イかせて下さいぃ…」 「…では、舞園さんに謝りなさい。自分の快楽のために利用してゴメンなさい、と」 「あ、あぅ…ま、舞園ちゃん…ゴメン、なさい…」  息も絶え絶えに謝ろうとする朝日奈に、舞園は恐怖さえ覚えた。  彼女の姿は、表情は、これ以上になく官能的で、そしてこれ以上にないくらいに異様。  初めて見る、朝日奈の蕩け顔。快楽を求めて身をよがらせる、女の顔。  下ネタを聞くたびに顔を真っ赤にさせていた彼女に、いったい何があったのだろうか。 「…よろしいでしょう、イかせて差し上げますわ。ただしあなたは、そのまま謝り続けること。  途中で言葉を止めれば、また先ほどまでのように、寸止めしますわよ」 「ひっ…」  朝日奈の顔が、一気に青ざめる。 「あ、う…ま、舞園ちゃん、ごめんなさいぃ!!」 「一本調子ならまた止めますわよ。5、4…」  何が行われているのか、舞園にはわからなかった。  何かに怯えるように謝り続ける朝日奈と、その横で愉快そうにカウントダウンを続けるセレス。  それが何を意味するのか、恐怖に染められた彼女の頭では、判断ができない。 「自分の、ため、に…っく…ぁ、ま、舞園ちゃんを騙しましたっ!私は最低の雌犬ですぅっ!!」 「その調子ですわ。もっと自分を貶めなさい。3…2…」  カウントダウンが進むにつれて、青ざめた彼女の表情が再び赤く上気する。  カウントダウンは酷くゆっくりで、その変化はよく見て取れた。 「さんざんセレスちゃんにイかされてっ…脅されて、舞園ちゃんをっ、騙した、のにっ…あ、はぁああぁあっ!!…  ぅっ…今度、は…自分から、イこうとしている、変態女ですぅうっ!!」  朝日奈は謝罪の言葉というより、自分を蔑む言葉を連呼する。  その言葉を放つ自分自身に、恍惚としているようだった。  業界での経験も長い。舞園はどこかで、今の朝日奈のような顔を見たことがある。  そうだ、先輩のアイドルが麻薬に手を出した時の、その表情。  舞園にも勧め、当然ながら断ると、彼女は自分ひとりで麻薬を服用し、そして舞園の目の前で自慰に耽りだしたのだ。  朝日奈の蕩け顔は、その時の彼女の表情に、そっくりである。  興奮とは違う。いうなれば、「発情」。  何が起きるのか分からないまま、舞園は二人を見ていた。 「1………」 「はぁ、あぁあああぁあ!!も、もう我慢できないぃいいっ!!イかせて、イかせてぇええっ!!」  涙や涎で顔をぐちゃぐちゃに濡らし、朝日奈はセレスに縋りついた。 「ふふ、必死になっちゃって、かわいいですわ…腰もがくがく震えてますわよ?」  セレスはカウントダウンを進めず、触れるか触れないかの程度に朝日奈の腰をなでまわした。 「ひっ、はぁあああぁあっ!!」  朝日奈の体が跳ねあがる。  『ゼロ』を目前にした彼女の体は、いわば絶頂の寸前で止められているということになる。 「雌犬なら雌犬らしく、鳴いてご主人様にアピールなさい」 「わ、わぅん!!わん、わんっ!!」  理性を凌駕する、絶頂への本能。  今の彼女は、すでにセレスのいいなりと化していた。 「ふふ、うふふふふふふ…あははははははははっ!!」  まるで魔女のように高笑いしたかと思うと、 「良い、最高ですわ、朝日奈さん!!決めました…あなたはこれから私のペット…人間の言葉を話すことを禁じますわ!返事は?」 「あ、あぁ…も、ダメ…」 「…上手にお返事ができたなら、御褒美を差し上げますわよ?」 「わ、わぅんっ!!」  朝日奈の耳元に口を寄せて、 「『ゼロ』」  そう、吐息を吹きかけるようにささやいた。  瞬間、朝日奈の顔が恍惚に歪み、  そしてその直後。 「あがッ!!!!」  朝日奈の体が跳ねあがった。 「え…?」  舞園は、いよいよ当惑する。 「あっ、ぐ、ふに゛ゃあぁああぁあああああぁあ!!!」  ブリッジのように、朝日奈の腰が天へと伸びる。  ひときわ大きな胸を震わせ、舌を突き出して、目は虚ろ。  絶頂している。  それだけは見て取れた。  思わず舞園の顔も、赤く染まる。  プシャアアアアア  愛液やら小水やらが撒き散らされ、床一面は水浸しになった。 「あ゛っ、いっ、はぁっ!!」  絶頂の後も快楽は身体から抜けないらしく、自分の体を抱きしめて、朝日奈は地面をのたうちまわった。 「さぁて…」  朝日奈が悶える様を一通り眺めた後で、くるり、とセレスがこちらを向いた。 「次はあなたが悶える番ですわ、舞園さん…」 「ひっ…」  逃げられないとは理解していながらも、舞園は必死に拘束具を揺らした。  余裕の表情でセレスはそれを眺め、自分も服を脱ぎ、下着姿となって、白い地肌をさらす。 「いやっ、いやぁあっ!!」 「ホントは朝日奈さんに、もう少し働いてもらう予定だったのですが…ついつい弄んでしまいましたわ。  彼女には少し、休んでいてもらいましょう。代わりに私が、お相手しますわ」 「いらないですっ、離して…!」  喚く舞園に、ずい、とセレスが身体を寄せる。 「大丈夫、間違っても危害を加えたりはしませんわ…あなたには」 「…?」 「私が獲物と定めた、もう一人の生徒…あの澄ました女のプライドをへし折るのが、私の最終目標。  そのためには、私の手となり足となる駒が必要なのです。  舞園さんには、その駒になるため、快楽に堕ちて、素直になってもらうだけですわ。  間違っても、あなたの綺麗な身体を傷つけたりはしません…そこだけは、安心してください」 「あ…」  その言葉に少しでも安心してしまった自分を、すぐに舞園は呪った。  結局、自分が彼女の好きにされることには変わりはないのだ。  けれど、一度警戒心を解いてしまえば、彼女の頭を縛る恐怖は溶けだしてしまう。  そこに、快楽を期待する、女としての性欲が付け入る隙ができてしまう。 「そ、そんなことはどうでもいいんです…これを解いてください!」  自分を諌めるように、がしゃがしゃと拘束具を揺らすが、セレスは穏やかに笑うだけ。 「あら、解いていいのですか?」 「ふぁっ!?」  するり、と彼女の手が、舞園の太ももを伝い、上ってくる。  そのくすぐったさに、舞園は悲鳴を上げた。 「ここはもう、こんなに期待しているみたいですけれど…」 「あっ、ん…」  ひっそりと閉じた割れ目を、セレスの指が開く。  朝比奈の痴態にあてられて、そこは既に湿りを帯びていた。 「私、テクニックには自信がありますのよ。舞園さん…オナニー程度しか、したことはないでしょう?」 「っ…」  舞園は羞恥から顔を背ける。 「比べ物にならないくらい、気持ちいいことしてあげますわ」  潤、と、素直に下の口から恥ずかしい液が伝う。  一瞬だけ指を這わせると、セレスの指に愛液が絡みついた。 「朝日奈さんのは、おしっこみたいにサラサラですけど、舞園さんは結構…濃いのですね」 「なっ…!?」  親指と人差し指に愛液を伝わせ、それを舞園の目の前で開くと、指の間を糸が伝う。  一瞬で、彼女の顔が真っ赤になった。 「へ、変な事言わないでください…!」 「あら…朝日奈さんといい、ここには恥ずかしがり屋さんが多いのですね」  セレスの裸体は、朝日奈のように豊満ではないが、どこか妖艶な魅力を宿していた。  絹のようになめらかで、病人のように白く、枝のように細い。  神話に出てくる女神のような、そんな気高さと妖しさがある。  けして肉付きこそよくないが、形容し難いその「エロさ」に、同性ながら舞園は魅了されつつあった。  そして、 「ふふ…舞園さん」  セレスが肌を擦り寄せてくると、舞園の鼓動は早鐘を打つ。  香水の香りにまぎれて、彼女自身の神秘的な体香が、鼻孔をくすぐった。 「さすがアイドル、ですね…朝日奈さんに負けずとも劣らないプロポーション…ちょっと羨ましいですわ」  胸こそ朝日奈には及ばないが、同世代の中では巨乳と呼べる部類に入るだろう。  所属していたアイドルグループのメンバーと比べあった時も、彼女の胸が一番大きかった。  水着撮影などもあるため、肌や無駄毛の手入れは欠かせたこともない。  歌唱力のために、と、筋トレやランニングも繰り返している。  舞園の体は、女性らしい丸さを残しつつも、すっと引き締まっていた。まさに、理想のプロポーションだった。  その体つきを確かめるように、セレスは舞園の体をなぞる。  舞園は、たまらず身体を捩らせた。 「さ、触らないでください…」  せめてもの抵抗の声にも、もう力は宿らない。 「ふふふ…」 「ひゃっふあ!?」  乳の脇側をくすぐられて、自分でも知らない感覚に、舞園は背筋を張った。 「あらあら…ここが気持ちいいのですか?」 「やめっ!っ、ん…ふ、く…はぁあっ…!」  セレスは、子供がじゃれるように、舞園をくすぐる。  首筋、脇腹、内股に足の裏。  そのたびに舞園は敏感に声をあげ、身体を捩った。 「はぁ、はぁ…あ、ふっ…」  セレスの責めに悶えながらも、舞園は恐怖から解放された頭で考えていた。  先ほどのセレスとは、人が変わったみたいに、責め方が異なっている。  朝日奈への責めは、言葉を当てはめるとすれば「蹂躙」。  情けも容赦もなく、ただ自分のサディズムを満足させるために、朝日奈を快楽の地獄につき落とした。  対して自分には、もぞもぞと指を這わせてはその反応を見て、楽しんでいる。  そう、楽しんでいる。  朝日奈への責めも、ベクトルは少し違うが、彼女は楽しんでいた。  そして先ほど、セレスは自分達のことを、獲物と表現していた。 「何がしたいんですか、セレスさん…」  息を落ち着かせて、舞園は尋ねた。 「…具体性に欠ける質問ですわね」  足の裏を舐めながら、セレスは答える。  足先を震わせながらも、くすぐったさに負けて身を捩らないように、舞園は続ける。 「朝日奈さんをあんな目にあわせて、私のことを弄んで…そして、もう一人狙っているって…  何がしたいんですか…?女の子同士でこんなことして、楽しいですか…!?」 「ええ、楽しいですわ」  迷うことなく、即答。  そしてセレスは、冗舌に語りだした。 「こんな閉鎖空間に閉じ込められ、『誰かを殺せば卒業』だなんて…馬鹿げたルールを背負わされて。  しかもあのあと、モノクマは口を滑らせ『誰にもバレなければ他の全員の命と引き換えに卒業、バレたならその場で処刑』と説明しました。  そんなリスクの高い選択肢を迫られ、殺人に踏み切る度胸は私にはない…それは多分、他のみなさんも同じでしょう。  資源には不足せず、法を犯しても取り締まるものもいない。まさに「自由」そのものの中に、私たちはいます。  そう、今すぐ殺人を犯す必要はない。だからこうして、私たちは膠着状態に陥っているのです。  しかし、耐えられないのは「退屈」という苦痛。ここには私の趣向に合った娯楽が、ほとんどないのです。  雑誌?プール?メダルゲーム?そんなもの、幼稚園のお遊戯と同レベル!クソ喰らえですわ…!  私が求める「遊び」とは、まるで断崖に立たされているかのような、スリルを伴った勝負事なのです。  ああ、きっとあなたは軽蔑なさるでしょうが…私は知っての通り、『超高校級のギャンブラー』。  今まで幾度も、自分の命や、それに準ずるものをベットにして、勝負を挑まれ…そして、ことごとく打ち勝ってきた。  そんな争いを強いられるうちに、私は…人の身体や、命や、人生を弄ぶこと…その楽しさを知ってしまったのです。  …軽蔑、したでしょう。いえ、軽蔑してください。けれどこの病気ばかりは、もう治らない。  退屈が原因でも、人は死ぬのです、舞園さん。こんな場所に閉じ込められていては、私はいずれ頭がおかしくなってしまう。  だから、面白そうな何人かに狙いをつけて、その人たちを弄ぶ…それが私の見つけた、ここでの退屈しのぎですわ。  一人目は、朝日奈さんです。一番エロい身体をしているくせに、下ネタを聞けば真っ赤に頬を染める…虐めたくなるのも、わかるでしょう。  …実は彼女を落とすまでは、聞くも涙・語るも涙の苦労話があるのですが…ここでは割愛しますわ。  二人目は、名前はまだ出しませんが、あなたも薄々気が付いていることでしょう。あの澄ました女のことです…  ああいうのを見ると、どうもそのプライドを完膚なきまでにへし折ってやりたくなるのです。勝負師の性、でしょうか。  三人目は…男子、とだけ伝えておきます。  そして、あなたもです、舞園さん…正直、こんな状況でなければサインをねだっていました。実家の家族があなたの大ファンなのです。  そんな国民的アイドルを辱められるのは、またとない機会でしょう?この状況を楽しむには、もってこいの相手じゃありませんか」  長たらしい声明を終えると、セレスはそこで一息つき、再びほほ笑んだ。  舞園は、口を開けて聞き入っていた。まさに呆気にとられた、という言葉が似合った。  流れ込んできたセレスの言葉は、とても現実離れした響きを伴っていて、理解の範疇を越えていた。 「…長々と話してしまい、すみませんでした…語るに堕ちてしまっていたようですね」  唐突に、セレスの指が、それまで触れなかった舞園の乳房を揉みしだく。 「ふっ、あっ!?」 「ほったらかしにしてしまって、さぞ身体が疼いていたことでしょう…」 「そんな、ことっ…んぁっ…」  あまりの唐突さに、脳が付いて行かない。 「ここからは、ちゃあんと期待通り…気持ちよ~く、してあげますわ」 「し、してませんし、いりませんっ!」 「あら…やはり私なんかに触られるのは、御不満が?」  セレスが不思議そうに首をかしげると、舞園はどうしていいか分からない気分に襲われた。  このまま彼女を拒むのが酷く不憫にさえ思える。  自分は被害者、そのことさえ忘れてしまいそうになる。  そして、断りきれない理由がもう一つ。  自分が目を覚ました時に、確かに聞こえたセレスの激昂の声。  舞園は、それを恐れていた。下手に刺激してはいけない。 「あっ、違…わないけど、違って、その…セレスさんがダメとか、そういうんじゃなくて、  その…女の子同士でこんなこと…おかしいと思いますし…」 「あら、あなたがそれを仰いますか?同じアイドルグループのメンバー同士で、肌を重ねたこともあるくせに…」 「なっ…!!?」  ウィッグを揺らしながら、セレスがにこやかにほほ笑む。  これほど邪気のない笑顔を恐ろしく感じたことはない。  一瞬で顔から血の気が引いた。マネージャにすらバラしていない、自分達だけの秘密。なぜ、知っている?  冷静に考えれば、どこかの芸能人の裏話を集めた掲示板での情報や、口コミで伝わる根も葉もない話を、  真実かどうかも分からないまま、セレスがブラフで使ったのだろう。  しかし、混乱から抜け出せない舞園の頭には、効果は絶大だった。  相手の顔に同様の色が浮かべば、セレスにとってはもう勝ったも同然。 「やはり私では役者不足ですか…?」 「あ、う…」 「ねえ、舞園さん…」  顔が迫り、ふ、と耳に息を吹きかけられ、ビクン、と舞園は体を震わせた。  自分がおかれた状況に対する混乱。  秘密を知られたことに対する恐怖。  そして、セレスや朝日奈の姿に当てられた、情欲。  体の自由を奪われ、隠していたはずの秘密を知られ、どうしていいかわからない。  今の舞園は、酷く無防備な状態だった。 「…そうですわ」  思いついたように、セレスが目を見開いた。 「私に直接触られるのが嫌なのであれば…こんなものは、いかがでしょう?」  ベッドの下から、ごそごそと箱を取り出す。  某同人作家から押収し、朝日奈を最初に責めた時にも使った、道具の数々。  見るなり、舞園はますます顔を赤く染めた。  何に使う道具か、説明されずともわかってしまう、自分の知識が嫌だった。  セレスの言うとおり、メンバーと肌を重ねた経験は、幾度かある。  厳しい業界に放り込まれた人間は、別のベクトルに歪むケースが多い。  ましてやデビュー当時の彼女たちは幼い子供、その重圧には耐えかねる。  上手くストレスの発散場を見つけてやらなければ、精神をおかしくしてしまい、末路をたどるのみ。  禁断の果実は、目の前に山のように転がっていた。  麻薬、恋愛沙汰、飲酒や喫煙。周りの人間は、みな手を染めている。  バレるかバレないか、それだけの違い。  そして、成熟してきた肉体を持て余す彼女たちが行きついたのが、性行為だった。  別に同性愛ではない。人並に、男子への興味はある…特に、共に生活を送るあの一名に。  舞園にとって、メンバーとの交わりは、恋愛などとは別の次元の話で、  それこそ一緒に買い物や映画を見に行くのと同じ、遊びの感覚だったのである。  笑い合いながら互いの乳房を揉み、慰めるように唇を奪った。  その禁忌に逃げていた舞園だからこそ、目の前に転がる道具の山にはなじみがある。 「その様子では、どれが何に使うものかは、説明の必要はなさそうですね」 「そんなこと…」  する、と、胸の尖端をセレスが撫であげた。 「あっ…」  桃色の吐息が漏れる。  舞園の乳首は、乳輪に埋もれていた。 「陥没乳首…というものですか?初めて見ましたわ」 「うぅ…」  恥ずかしさか、快感からか、目に涙がにじむ。 「ふふ…可愛らしい」 「ねえ、舞園さん?陥没乳首は普段外気に触れない分、刺激されると気持ちいい、という噂がありますわね」 「知りません、そんなの…!」  顔を真っ赤にしたまま、拗ねたように舞園がそっぽを向いた。 「あら、ウソはいけませんわ…他のメンバーと身体を重ねるくらいエッチな事をしてきた舞園さんが、  まさか自分で試していないわけはないでしょう…?」  埋もれた乳首の穴を、セレスが爪先でほじる様に弄ると、 「ひぁっ、あっ!!」  たまらず舞園も、嬌声をあげた。  クスクスと笑いながら、セレスが乳房を口に含む。 「んっ、あっ!?せ、セレスさ…ぁんっ!」  乳房の尖端に口を当てて吸い出され、埋もれた乳首を無理矢理引き出して、刺激を与えられる。  鋭い快感が、右胸全体を駆け抜けた。 「は、あっ、やぁあ~~~~っ!!!!」  身悶えさせようにも、身体は拘束されたまま。  抵抗する術もなく、むき出しの乳首を良いようにセレスになぶられる。  まるで、胸の先がクリトリスになってしまったかのような、激しい快感。 「あっ、やぁああっ…やめ、止めて…ふ、ひぃんっ!!」  赤子のように胸に吸いつくセレスに、いいようにされてしまう。 「やっ、いやぁあああ…」 「ん…ぷは…」  セレスが口を離す頃には、舞園はとっくに出来上がっていた。  紅く上気した顔は、もう朝日奈と大差はない。とろん、と蕩けた目で、セレスをただ見ている。  身体は熱を持ち、意思に反して、次に訪れる快楽を待ち望んでいる。  無理にセレスが引きずり出していた乳首は、彼女の口が離れると、元通りに埋まってしまった。 「なんというか、可愛いというか…愛着の湧く乳首ですわね…」 「…やぁ…」  涙目を歪ませても、言葉にはもう力が入らない。 「では…まず、これでそんな乳首を弄ってあげましょうか」  セレスは、一つ目の道具に手を伸ばした。  アイポッドのような機器――おそらく電源――から、二本のコードが伸びていた。  コードの先には、UFO型のゴムのパッド。胸にあてるためのものだろうと、推測できる。  乳首に位置する部分には、スポイトのようなものが付いている。  パッドの内側には、取り外し可能のアタッチメントがついており、セレスがどれを装着させようか悩んでいる。 「乳首専用のローターですわ。結構値段も結構張るようで…さすがにこれは、見たことはないでしょう?」  セレスは本当に楽しそうに、まるで自分のオモチャを自慢する子どものように、舞園に話しかけた。  二つのゴムのパッドを、舞園の乳房に押し当てる。  アタッチメントはちょうど乳首にあたり、素材はシリコンか何かだろうか、ゼリーのようにプルプルで柔らかい。  セレスがスポイトをつまむと、 「ひゃうぅ!?」  パッド内の空気が絞り出され、吸盤のように舞園の乳房に吸いついた。 「あ…っあ…」  吸いつかれているため、自然に埋まった乳首が顔を出す。  淡いピンク色の、小さな豆が飛び出している様は、本当にクリトリスのようでもある。  外気にさらされるだけでも、鋭敏な乳首が、舞園に刺激を与えた。 「吸われただけでそんなによがっていては…後が持ちませんわよ?」  また、可笑しそうにセレスが笑う。 「はぁ、はぁ、ぁうっ……な…なんなんですか、コレぇ…んっ…」 「言ったでしょう?乳首専用のローター…」  そうは言われても、舞園の知るローターとは、まるで形が違う。 「吸盤のように乳首に吸いついて、簡単には外れない。パッド中央のアクセサリが乳首にあたり、電源を入れると回転を初める。  アクセサリはアタッチメントとして取り外し可能、数パターンの中から好きなものをチョイス。  アタッチメントと、複数通りの回転パターンを駆使し、自由自在に快感をアレンジ…と、説明書には書いてありました」  吸われだした乳首が、ちょうどそのアタッチメントに当たって擦られ、それだけで舞園は身を悶えさせる。 「右の乳首は、私個人のおススメ…少し硬い、フィンガータイプですわ。指で乳首をこねくり回される感覚は、リアル以上です。  左の方は朝日奈さんのお気に入り、ブラシタイプの一番柔らかいもの…たとえるなら、触手タイプとでもしましょうか」  セレスが電源を入れると、スポイトからローションがにじみ出て、舞園の乳首を伝った。 「これ…本当にすごいですわよ」  耳元で、セレスがつぶやく。  舞園は、ごくりと唾を飲み込んだ。 「……ふぁっ!!?あっ、あ、はぁあぁあああっ、や、んあぁああっ!!」  アタッチメントが緩やかに回転を始め、舞園は背中をのけぞらせた。 「あぁ、ああぁあ、んっ……ひゃうぅっ!!」  右のパッドでは、二本の指が乳首の周りを、ぬるぬるとローションをかき混ぜてなぞる。  ゆるやかに回転して乳首を転がされたかと思えば、時々高速で逆回転して乳首を弾く。  左のパッドでは、細いシリコンの束が乳首全体を覆い、回転も早くなったり遅くなったり、自在に這いまわる。  フィンガータイプとは違い、柔らかいそれが乳首を撫でまわす。 「ダメっ…これ、ダメですぅうっ…んぅううっううぅっ…!」  舞園は、胸を突き出すように背をそらした。  特別敏感な乳首を、吸い出されたまま弄ばれる、今までにない快感。 「ひゃあぅっ!!」  ビクン、と、舞園がいっそう背をのけぞらせて震える。  連続で乳首を指で弾かれ、それだけで軽くイってしまった。 「あ、あ、んっ…はぅうっ…」  大きく瞳を見開き、苦しそうに息を吐く舞園を見て、セレスは絶頂を確認した。 「あらあらあら…そんなに敏感じゃ、将来赤ちゃんができた時、大変ですわよ?舞園さん。  子供におっぱいをあげるたびにイってしまう、エッチなお母さんになってしまいます」 「だ、だって、だってぇ…!これ、ダメ…っ、ダメ、ダメぇえっ…んあぁああぁっ…!」 「ふふふ…すごいでしょう?」 「止めて、止めてくださいっ!」  イって敏感な乳首を、同じ調子でローターが責め続ける。  右はローションを混ぜるように、左は泡立てるように。 「ぐすっ…えぅ…んっ…」  乳首だけでイってしまった、それも人の目の前で。  加えてセレスの責め句が、さらに舞園の羞恥心を煽り、思わず泣き出してしまう。 「あら…」  さすがにセレスもモーターの電源を切り、何事かと顔を寄せる。  人形のような美しい顔立ちに惹かれるが、それでも涙は止まらない。 「そ、そんな恥ずかしいことではないですわ、舞園さん」 「ぐすっ……私…お嫁に、行けない…」 「…これが朝日奈さんであれば、遠慮なく責め続けるのですが…」  今度はセレスは、困ったように笑って、舞園の頭を撫でた。  本当に、先ほどまでとは別人のようだ。 「あ、そうですわ!ほら、こっちも弄れば、もっと気持ちいいでしょう?」  そう言って、セレスは舞園の秘部に指を伸ばした。 「ひぁっ…?」 「お詫びといってはなんですが、ちゃんとこちらも気持ちよくして差し上げます。  こっちでイけば、何も恥ずかしいことはありませんわよね?」  訂正。別人どころか、先ほどまでと何一つ変わらない。 「やっ、やだ、嫌ですっ…セレスさんっ!」 「ほら、暴れないでくださいな…スイッチ、入れちゃいますわよ?」 「っ…」  意味はないとわかっているのに、舞園は反射的に暴れるのを止めてしまった。  暴れても無意味、それどころかまた乳首を弄ばれる。  パッドは胸に吸着したまま止まっているが、体を捩るたびにぬるりとアタッチメントがずれて、刺激を与える  しかしこのままでは、無防備に、一番敏感な所を責められてしまう。  と、そこで、 「…ぅ、ん…」  それまで気を失っていた朝日奈が、目を覚ました。

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