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 絶望に埋め尽くされた世界で、二年もの歳月を空白へと帰され、共に時を過ごしたはずの仲間たちと殺し合い、
 そんな中でも希望を失わずにいられたのは、ひとえに「超高校級の希望」――私がそう名付けたのだが――である、
 苗木誠、彼とともに道を歩んでこれたからだ。
 これは私だけではなく、他の仲間たちの総意にも他ならない。

 そして、
 そんな彼と、私は体を重ねた。
 そのことには、もちろん後悔などしていない。



「霧切さん、その…今日もいいかな」
 後悔など、していない。

「…昨日したばかりでしょう。盛った子犬じゃないんだから」
 けっして後悔など、と自分に言い聞かせつつも、私は頭を抱える。

 ベッドで読書中の私に、さも申し訳なさそうな表情を向けて、彼はその行為を願い出た。

 まあ、言葉は悪いが「やりたい盛り」というのもあるのだろう。
 あどけない顔をしてはいるものの、彼も一応自分と同じ18歳…ということになるのか、この場合は。
 それならば、年相応の性欲だ。何も悪いことじゃない。
 生命の危機が危ぶまれる極限状態では、生存本能から性欲が増進される、というのもあるかもしれない。

「あのね、苗木君…こういうことには節操が大事だし、それにこう毎日求められては、私の体も持たなくなってしまうわ」

 時々私は、こうやって反論を試みるのだが、

「…だ、ダメ、かな…やっぱり」

 ああ、もう、それだ。
 この、捨てられる子犬のような顔をされると、私はどうにも弱い。
「…ダメ、とは…言わないけれど」
 結局のところ、こうして断りきれない自分が原因なのだ、たぶん。
 顔中に満面の笑みを浮かべながら、いそいそと私の服を脱がしにかかる彼を見て、
 それでも心のどこかで充足感を感じてしまうあたり、もう私は彼に虜にされてしまっているのかもしれない。

「せめて、シャワーを浴びるまでは待って欲しいのだけど」
「あ、うん、そうだよね…ゴメン」

 ただ、慣れはしない。未だに彼の眼前に肌をさらすのは、いささか…いや、かなりの抵抗がある。
 最初に誘った時は勢いに任せていたが、いざ、となるとどうしても、羞恥心をごまかせないのだ。
 彼から逃げる理由をつけて、私はバスルームに逃げ込んで、心の準備をした。



「ん…」
 彼の気に当てられたのか、さっきまで読書をしていたはずの私の体は急速に火照り出し、
 体中を水が伝う、その感覚だけでもうどうにかなってしまいそうなほどだ。

 姿見に映る、自分の体。
 頬を上気させ、既にいやらしい光を帯びて、彼を求めようとしている。
 某スイマーのように、豊満な肉付きでは、けしてない。むしろ、貧相と呼ぶ方が正しいのだろう。

 もちろん、求めてくれること自体は悪い気はしないというか、嬉しくはあるのだけれど、
 こんな体の、どこがいいのだろうか。


 バスタオル一枚でバスルームから出ると、苗木君は下着姿で、ベッドの上に固まったように座っていた。
 こういう初心なところは、本当に可愛いのに。

 事が始まると、人が変わったように私を優しくしつこく責めあげる。
 本当に、反則だと思う。このギャップ。

「霧切さん…」
「あ…」
 彼が後ろから、私を抱きしめる。そのまま首筋に唇を這わせると、
 待ってましたとばかりに、私の体が刺激に応えて打ち震えた。
「ん…ふっ、ぅ…」
 首筋、頬、口と、彼の唇や舌が順番に這いまわれば、それだけで私は立っていられなくなるのに、
「霧切さん、もしかしなくても、耳…気持ちいい?」
「うぁっ、い、今は耳元でっ…しゃべらないで…」
 彼は私の耳を、重点的にねぶる。
 彼の舌の這いずる音が、直に脳に響いてくる。


 回数を重ねることの、もう一つのデメリットがある。
 それは、ただでさえ彼の前では感じやすい私の体を、苗木君がそのたびに研究し尽くしてくることだ。
 あの学園生活でわかったことだが、彼の学習能力は目を見張るものがあり、当時は感心していたのだが、
 それをこんなところにまで生かさなくていいのに、と、今はつくづく思う。

「ねえ、教えて…耳、気持ちいいの?」
 それなのに、当の本人はこの調子で、純朴少年なのか、それともわざとやっているのか、
 とにかく私にいちいち確認して、羞恥を強いるようなプレイが大好きなようで。
「…っ、気持ち、いいから…」
「ほ、ホント?」
 顔から火が出るほど恥ずかしいが、ここで正直に言わなければ、よりいっそう責めあげられてしまう。
 ここ数回体を重ねた中で、私が学んだ教訓の一つだ。

「うっ…ふぁっ…!…ん、はっ…や、あぅ…」
 本当ならこんなだらしない声、口を無理矢理塞いででも、出したくない。
 けれど、私の両手は今、彼に捕えられてしまっている。
 以前そうして声を封じた際に、「もっと声が聞きたいから」と、手を取られてしまったことがあり、
 それから彼は、口を使って責める時はだいたい、私の両手の自由を奪う。

――あなたに淫らな声を聞かれることが、どれほど恥ずかしくて、どれほど興奮するか
  あなたはきっと、知っていてやっているんでしょう?
  そうじゃないと、これほどまでツボを捉えた攻め方、出来るはずないんだから。

「霧切さん…バスタオル、脱がすね」
「は、ぅ…」
 私の反応もろくに待たず――まあ待ってもらったところで、ろくに反応はできないが――
 彼は私の体を覆っていた布を剥ぎ取り、そしてベッドの上に押し倒す。
 触られてもいないはずの私の体は、彼を求めて既に熟れきっていた。

「…綺麗、だよ」
 彼は私を押し倒した後、いつも私の裸を眺める。まずは目でなめまわす。
 胸の尖端は、刺激を求めてピンと反りたち、
 秘部から流れ出る蜜は、既にシーツをぐしゃぐしゃにしてしまっている。
 情けない体だ、我ながら。彼に見られ、触られることを想像しただけで、これほどまで昂ぶっている。

「ホント…こんな体の、どこがいいんだか」

 思わず、口にしてしまう。
 そして、
――しまった
 と、私は瞬時に自分の失態を悟った。

 よりによって彼の前で、こんなこと言うべきじゃないのに。
「そんな…霧切さんの体、ホントにすごく綺麗だよ」

 苗木君の辞書には、歯の浮く言葉、というものが備わっていないらしい。
 いや、それとも私が、素直にほめられることに慣れていないのがいけないのか。
「いえ、苗木君…気持ちは嬉しいのだけど、言わなくても良いから…」
 彼の必死な説得は、聞いているこっちが恥ずかしくなるほど、稚拙で、まっすぐだ。

「で、でも、ホントに綺麗だと思うんだ」
 そう言って彼は、つ、と私の体に指を這わせる。
「んぅっ!」
「肌、すごくすべすべで…それに、透き通っているみたいに白くて…」
「ん、ふ、やぁ…」
 鎖骨から、胸、脇、脇腹。彼の指が、触れるか触れないかというくらいに滑っていく。
 ゾクゾク、と、指が通ったところに官能が走る。

 彼は、自覚こそないものの、私の体の扱いをほとんどマスターしてしまっているのだろう。
 それとも本当に、彼にされたらなんでも感じてしまうほど、私が彼に惚れてしまっているのだろうか。
「胸も、すごく柔らかいのに、ここだけコリコリしてて、いつまで触っていても飽きないし…」
「そ、いうこと…あっ…言わないで…」
 言葉だけで、意識させられる。胸が、彼に揉みしだかれるのを待っている。
 そして期待通り、彼の手が胸へと伸びると、
「~~っあ、ぅんっ…!!」
 そこから電撃のようなしびれが、全身へと広がっていく。
「や、ぁう…ふ、んぅっ、うう…」
「耳なめられながら胸揉まれるの、好きだったよね」
「ふぅ、う゛ぅう~~~…」
「耳なめている時も、霧切さん、すごくいい匂いで…」
「やっ…!?やめ、やめて…ふぁっ!?」
 ホントにこの少年は、私の羞恥心を余すところなくさらけ出させてくれるというか、
 必死に抵抗しようにも、既に体には力が入らず、もちろん声を抑えることなんて到底叶わず、
 彼が私の耳と胸を蹂躙している間、私は彼の羞恥攻めと快楽に身を悶えさせることしかできないのだ。

「だ、だから、霧切さんの体、すごく魅力的だと思う…」
「はぅ…わ、わかったから、んっ…もう、やめ…」
「胸、舐めるね」
「え、ちょっ、今は…くぅっ!!あ、あぁんっ…」

 それと、彼と幾度も体を重ねて、わかったことが、もう一つ。
 彼の攻めは、その、彼の生真面目な性格が災いしたというか、いや別に悪いことではなく、かといって好ましくもないけど、
 まあぶっちゃけて言ってしまうと、執拗が過ぎる。
「はぁ…っ、も、もう胸はいいから…っ」
 どういう攻めに私が弱いのかを把握すると、彼はそれをこなし続ける。
 淡々と、ではなく、所々変化を持たせて、私が刺激に慣れないように弄り倒すのだ。
「で、でもまだ霧切さんを満足させていないし…」
 言いながらも彼は、例の捨て犬の表情で私を見上げる。
 だから、その表情をやめてくれ、と思うのは、今回が初めてではない。

 その爆弾級の愛くるしさにやられ、私が気を抜いた隙に、彼がペロリ、と乳首を舐めあげる。
「ひっ、~~~~っっっ……あぁああああっ!!」

 せっかく、耐えていたのに。不意打ちは、卑怯だ…。
 ガクン、ガクン、と、体が大きく痙攣する。しているのに、
「あっ!!ぅ、ぐ、あぁうっ!!!なえぎく、んぅうっ、~~っ…!!」
 彼は舐めるのを止めず、私にしがみついて胸を責め続けた。
 ただでさえ絶頂の中にいるのに、そこを責められたら、もうダメだ。

 意識が、飛びそうになる。
 私は意識を繋ぎとめようと、精いっぱいの力で苗木君の頭を抱きしめた。
「ぶっ!?」
 彼の攻めが止まり、私はかろうじて飛ばずに済む。
 はぁ、はぁ、と、だらしなく息を漏らしていたけれど。

 目は虚ろを捕えてうっすら潤み、体中を上気させ、時々震えながら息を吐き出し、
 あそこは蜜をだだ漏らしながら、刺激はまだかとヒクヒクいやらしく震えている。
 おそらく今の私は、寸分の形容も違わずこんな状態にあるだろう。

 これだけ見れば、例え未経験の子供でも、わかるものじゃないか。
 だというのに彼は、
「き、霧切さん…イった?」
「…っ…」
 こうやって、私からの確認を求めてくるのだ。

 無駄な意地だと、わかっている。ここで認めなければ、さらに激しい絶頂に追いやられるだけだと。
 けれど、私のどうしようもない負けず嫌いの精神は、彼にそれを言うのをよしとしない。
「さ、さあ…どうかしらね」
 平然を装って、私は答える。
 すると彼は決まって、残念そうな、なんとも言えない表情を浮かべるのだ。
 この一瞬だけ、私はイニシアティブを握っていると、実感できる。
 彼と体を重ねている間は、終始彼の掌の上で弄ばれているだけなのだから。

 そして、私がそう返すと、
「じゃ、じゃあ僕、もっと…」
 彼はそう切り返し、よりいっそう私の体を快楽で支配しようとする。

 さあ、ここだ。ここからは、いつもの私じゃない。
 何も考え無しに、強がったわけじゃないのだ。
 私は彼が言うのを無視して、彼の腹の上に跨り、荒々しく彼のパンツから、いきり立ったそれを取り出す。

「き、霧切さん!?」
「黙ってなさい…これ以上好きにはさせないわ…」
 私が上に乗っているから、彼も下手に抵抗できないだろう。
「よくも好き勝手責め抜いてくれたわね…自分だってこんなガチガチにしているくせに」
「う…だ、だって感じてる霧切さん、すごくエロくて可愛くて…」
「だ、黙りなさい!」
 言われるたびに、私の秘部から蜜が零れおち、彼のシャツを濡らしてしまう。
 けれど、今は形勢逆転中だ。
 どれだけ彼がよがっても、絶対に許さない。
 私が受けた快楽を、辱めを、そのまま彼に返してやるんだ。
「覚悟しなさい…私をさんざん弄んだこと、後悔させてあげるんだから…
 一度や二度出したくらいで、許してもらえるなんて思わないことね…!」

 私は彼に跨って、背中を向けている状態だ。目の前には、反り勃った彼の、その、棒がある。

 彼は私の弱いところを熟知しているようだけれど、それは彼に限った話じゃない。
 私だって、少しは彼の弱いところを、覚えているつもりだ。
「うっ…あ…」
 むき出しになった彼の尖端を、爪の先でなぞる。
 彼自身の本来の素直さからか、それは私のように意地をはったりせず、刺激を求めていっそう反りたった。
「あっ…霧切、さん…」
 気持ちいいのだろう。切なそうに声を挙げては、刺激を求めて腰を突きだしている。

 ああ、これだ、私が求めていた征服欲。
 愛しい彼が、自分を、自分がもたらす刺激を、求めている。

 もしかしたら彼も、私を弄んでいる時は、同じ幸福感に満たされているのかもしれない。

「…弄って欲しいの…?」
「う、うん…」
「ふふ、素直ね…」

 彼は素直だ。私に対しても、快楽に対しても、私のように斜に構えず、正面から受け止められる。
 私もこれくらい素直になれたら、と思う。彼に対しても、そしてもちろん、快楽に対しても。
 そう思いながら、先端をなでまわすように刺激した。
「う…あ…」

 馬鹿がつくほど正直な彼からすれば、自分も他人もごまかしてばかりの私は、付き合いにくいことこの上ないだろう。
 それに、彼は褒めてはくれるけど、やはり自分の体に自信を持てないことに変わりはない。
 私は、今こうして彼を掌の中に収められるだけで幸せだけど、彼はどうだろうか。
「っ、霧切さん…すご…」

 もしかしたら私があの日、羞恥を捨てて彼に体の繋がりを求めたから、なし崩しで私になってしまっただけだろうか。

 ずるいことに、私はそれでもいいと思っている。
 自分は余りものでいい。彼を独占できればいい。過程は知らない。結果的に彼に選ばれたのだから、それでいい。

 例えば彼が心の底で、スイマーや文学少女、そして今はもういないあの中の誰かを思っていたとしても。
 結果的に自分を選ばざる得ない状況下に置かれたから、仕方なく私を選んだのだとしても。

「気持ちいい?苗木君」

 私でいいでしょう?
 私で妥協して、苗木君。

「うん、いいよ…すごくっ…!」

 彼の先端で、うっすらと透明な液が滴を作る。
 頃合い、とでもいうように、私はそれをむさぼるようにして口に含んだ。
「うぁっ!」
 まるで女の子のような、甲高い喘ぎ声だ。
 けれど、それを馬鹿にするようなこと、私にはできない。
 今の私の方が、よほどみっともないから。
「ふぅ…んむ、はぁ…っ」
 口に含んだだけで、感じてしまうなんて。きっと彼の眼には、さぞだらしなく愛液を滴らせた私の秘部が映っているだろう。
 それでも私は、むさぼるのをやめない。彼を感じたい、彼に感じてほしい。
 口腔にすりつけ、舌で舐めまわし、唇で吸い尽くす。

「き、霧切さん…も、やばい…っ」
 彼が切なそうに声をあげた。
「ん、ふ……いいわ、そのまま出して…」
 私はそう言うと、苗木君のそれを喉の奥へ押し込んだ。かなりの異物感があるけれど、彼が気持ちいいなら問題ない。
 ぐりぐり、と、喉の奥に彼のモノをこすりつけると、
「あ、うぁっ!!」
 と、彼は一気に射精した。
 口の中で、ビクン、とそれが跳ねたかと思うと、喉の奥に生温かい液体が注がれる。
 ビクン、ビクン。数度、跳ねる。喉に詰まってしまいそうなほど濃く、無味無臭のそれが、流し込まれていく。
 震えが収まると、私は残りの精液も逃さず、思い切り吸いあげた。

 ずず、ずずず

「う、うぁああっ…それ、やばいっ!!」
 苗木君の腰が、ガクガクと震えながら宙に浮く。それでも私は離さずに、吸い上げながら彼の竿を舐めまわした。
 ひとしきり吸い終わると、私は口から彼のそれを解放して、振り返る。
 彼も、ようやく私と同じくらいに顔を上気させてきた。これで、平等だ。

「一対一ね、苗木君」「…へ?」
「お互いにイった回数よ」「…やっぱりさっきイってたんだね。っていうか、勝負なの、コレ?」
「…気にしなくていいわ。私が勝手に、張り合いたいだけだから」

 特に意識せず、口から出た発言だった。
 苗木君は、まだ肩で息をしながら上体を起こし、そっと私の肩を抱く。
「…誰と張り合ってるの?」
 彼が尋ねる。尋問のような口ぶりだな、と、私は少し可笑しくなった。
「さあ、誰かしらね」

「答えて、霧切さん」
 ゾクリ、と、背中が震える。性感とは別の、追いつめられるような感覚だった。

 おそらく、今振り向いてはいけない。また彼は、例の、私の弱点でもある、射抜くような目をしているだろうから。
 真面目に答えても、やはりいけない。たちまち彼の真っすぐさに、私は穿たれてしまうから。
 いや、穿たれることは、別に良い。私は既に彼のとりこだから、より魅了されることに問題はない。
 ただ、今はまずい。ただでさえ敏感になった体に、彼の真っすぐさは媚薬のように染みわたってしまう。

 こんなわずかな言葉のやり取りで、その違和感に気づけるなんて、やはり彼にも探偵の才能があると思う。
 それともやはり、私のそばにいたから、いやがおうなしにそうなってしまったのか。

「別になにか隠しているつもりはないけれど…勝負に勝ったら、というのが、こういう展開じゃ定石じゃないかしら」

 彼は多分、私の中に潜む卑屈さに感づいている。そして、それを解消してくれようというのだろう。
 けれど、これは別に解消してくれなくても良いのだ。
 実際の過程がどうあれ、彼が今私を選んでいる。その事実さえあれば、別にいい。
 だから、論破されるとわかっていて、素直に教えてたまるものか。

「…そう。僕は別にいいけど、勝負でも」
「言ったわね。あなた、今自分の体が私の支配下にあることを忘れているんじゃないかしら」
 私はそういって、彼の竿をぐりぐりと撫でまわした。
 既に先ほどの硬度を取り戻している。なんとも頼もしいことじゃないか。


「…? やたら自信あるみたいだけど、これってようはシックスナインでしょ?」
 しかして私は、
「し、シック…?よくわからないけれど、私の一方的な攻めになることは間違いな…んっ!?」

 自分の性知識の薄さや、彼の攻めの腕を見くびっていたことを、身を以て味合わされることになる。

 彼の手が、するり、と私の秘部をなでまわした。
「たくさんイった方が負け。それでいいんだね」

「えっ…ちょ、待って…っ!!」




 本当の馬鹿だ、これほどまで自分を情けなく思ったことはない。

「あっ、やぁああっ!ん、だ、だめぇっ!は、はぅうう…んぅっ…!?あ、あ、やぁあああ~~…っ!!」

 私が彼の上に跨っているから、彼は身動きが取れない。そんな単純な結論を早計で出してしまうなんて。
 考えても見れば、二人して頭を逆にして、重なっていたのだ。
 私の目の前に彼の局部があるのだから、彼の目の前に私の最大の弱点を突きだしているのと同じこと。
「ん、ぷ…霧切さん、気持ちいいのはわかるけれど、責めないと勝てないよ」
「わ、わかって、る…んぅっ!?そ、そこつまんじゃ…やぅ、はぁうっ!!」

 わかっている、わかってはいるのだ、けれど。
 手で彼のモノを握ろうにも、もう力は入らない。
 口は、彼の攻撃にいちいち反応してあえぐので精いっぱいだ。



 甘く見ていた、本気になった苗木君を。

 そう言えば、本気の彼――というか、つまりこの目の彼に責められるのは、初めてかもしれない。
 彼は滅多に…というか、全く怒らないから。
 怒っていても、その激情を誰かにぶつけたりせず、自分の中で消化できる強さのある人だ。

 いつもあの子犬のような、優しげな愛撫にばかり身を任せていたから、アレが彼の攻め方なのだと思っていた。
 優しく、愛情にまみれた、体の浮くような甘ったるい愛撫。
 そもそも「捨て犬モード」だの「射抜く目」だの、彼の精神状態を区分していたのは他でもない私自身なのに。

 本気になった彼が、怒った彼が、これほどまで容赦ないなんて。

 そこにあるのはいつも彼が振りまいている優しさなんかではなく、もちろん愛情でもない。
 だからこそ私は、気持ちいいのに、今すぐにでもここから逃げ出したかった。
 ただ純粋な、私をイかせるという意思の元に、彼は私を責め続ける。

「はぁ、ああっ、お、お願い…少し、少しだけ待っ…んぁ、やっ、あぁあああっ!!」
「勝負には待ったなしでしょ。まあハンデとして、さっきから何度も小さくイってるのはカウントしないであげるよ」

 例えるなら、いつもの彼の愛し方が、宙に浮くような感覚だとする。
 今の彼の攻めは、まるでどんどん体が快楽に堕ちていくような、そんな錯覚を覚える。

 気持ちいいのに、逃げ出したい。
 気持ちいいのに、やめてほしい。
 気持ちいいのに――苗木君が、恐い。

「やっ、やぁあ…ゆ、ん、ふぁあっ!…ゆ、許してぇ…」
 快楽と恐怖からか、私は無意識に腰を跳ね上げた。彼の指から、私の秘部を遠ざける。
「ふ、ふぅううぅ…あぅう…ひぃいいぃ…」
 つかの間の、安息。
 ガクガクと震えながら、獣のように大きく腰を上に突き出しているこの格好は、無様この上ない。
 当然それも、無駄なあがきでしかなく、彼は私の腰に手を回し、そして自分の唇を、私のそこにあてがった。
「ひゃ、ぁあああぅ…!!」
 彼の手が腰に回っているため、どれだけ腰を引いて快楽から逃れようとしても、振り払えない。
 彼の言うとおり、私はさっきからずっと、小さく断続的な絶頂に達している。
「随分気持ちよさそうだけど…反撃はしなくていいの?」
「やっ、いや、いやぁああ!うぁ、うぁああぁあぁあぁぁ…」

 もう、勝負とか、そういう話ではない。
 もう、どちらがどう責めるか、なんて次元ではない。

 私の体は、彼の意思のままにイきまわる人形と化していた。
「はぅう…はぅうぁあああんっ…!!や、やだ、ダメっ…あ、あぁ、あ゛ぁああああああ…」

 イヤだ、イきたくない。
 イきたくないのに、体はもう私の言うことを聞かない。
 どれだけ意思で拒もうとも、それとは無関係に絶頂に向けて押し上げられる。

 この体は、私の意識だけを残したまま、苗木君のものになってしまっていた。

 大きな波。じわじわと、しかし確実に背中からせりあがってくる、逃れようのないソレ。
 私は彼の手に縛られたまま、身を悶えさせることもかなわず、それがゆっくりと体を巡っていくのに耐えるしかなかった。

「や、やだっ、いやぁ…っ!だめ、ダメダメダメダメぇっ……いやぁあ゛ああぁあぁああぁあああぁ…」


 痙攣のように体が揺れる。
 大きく背を反らせ、私は激しい絶頂を迎えた。

 体中から汗が吹き出し、鈍痛にも似た快楽が下半身を凌辱する。

 けれど、彼の憤りは、
 一度私がイった程度で、治まるものではなかった。


 ぴちゃ、ず、ずずず

「ふぁっ!?やぁ、今、そこっ…ら、らめぇ…吸っちゃ…ゃ…」
「ダメ?さっき霧切さんも、僕に同じことしてたよね…勝負は公平じゃなきゃ」
 じゅるる、という淫猥な音を立てて、イったばかりの秘部が、ぎゅ、と収縮する。
「うぁあっ!?や、やだ…イってる、のに、っ…ぁあああっ!あ、んっ…~~ぅぁあああああ!!」



――怖い

 苗木君を怖いと思ったのは、本当に今回が初めてだ。

 今まで、私が彼に怒鳴りつけたり、蔑んだことは何度もあった。
 けれど、彼が憤りを私に向けることは、これまで一度もなかった。

 だからこそ、怖い。
 どうなってしまうのか、全く想像もつかないからだ。


 彼が、怖い。何をされるのか、わからない。
 下手に抵抗したら、嫌われるかもしれない。
 だから私は、口でどんなに「やめて」と言っても、彼の行為をはねのけることができなかった。

「…ニ対一、でいいんだよね」
 彼がこともなげに言う傍らで、私はまだベッドに体をうつ伏せたまま、快楽の余波に身を震わせていた。
「っ…はぁ、はぁあぅ…ぁ…ぅ…」
 大きな波が過ぎ去った後も、まだあそこが刺激を覚えているのか、私は小さな絶頂を幾度も繰り返す。
「乳首でイっちゃうくらい淫乱な霧切さんには、ちょっと刺激が強すぎたかな?」

 いつもならその言葉も、意地の悪い皮肉だと、一笑に付せるのに。
「えっと…もう、僕の勝ちでいいよね。負けを認めるでしょ?」
 彼は、笑う。

 彼が、こんな風に笑うのも、初めて見た。
 心の中の怒りを隠して、仮面をつけたように笑う。
 こんな笑い方が出来るような、器用な少年じゃないと思っていたのに。
 それほど私のさっきの態度が、彼の逆鱗に触れたのか。

 すっかり彼の恐れに呑まれた私ができる、せめてもの抵抗は、

「…ま、まだ…」
 負けを認めないこと、それだけだった。


「…だいぶまいっているように見えるけれど?無理はしない方がいいと思うよ」
「え、えぇ…こんなの、全然…んっ…」
「まあ、僕はいいんだけどね。勝負とか、別にどうでも」

 彼はそういうと、力の入らない私の体を引きずり起こした。
 普段の彼からは想像も出来ないほど、乱暴な手つきで。

「…霧切さんが何を考えていたか、なんとなく予想も出来るしね」
「え…?」

 彼は、まずは私をベッドの上に座らせた。

 足を大きく広げさせ、彼は私の後ろに座り、自分の両足で私の両足を固定する。
 それから私の手を取り、背中に来るように持ってくると、そこで後ろから抱きとめた。
 私は足を広げ、手の自由を奪われたまま、体を固定されてしまった。
「っ…」
 この体勢の意味を、私はすぐに理解した。
 つまり、逃げられない。
 どれだけ快楽が襲いかかろうとも、足を閉じることができないし、手で隠すことも叶わない。
 特に、後ろに彼が座っていることで、腰を固定されてしまっている。さっきとは違い、腰を跳ね上げることすらできないのだ。

 今負けを認めなければ、私は、文字通り容赦のない彼の攻めから逃れられないだろう。
 いつ終わるかも分からない快楽の渦に、ただひたすら堕ちていく。

「ホント…こういうエッチな知識は、どこから持ってくるのかしら」
「…僕は」


 唐突に切り出した彼の声は、憤りからか、驚くほど震えていた。

「僕は、霧切さんが大好きだよ」
「…そう、ありがとう。私も、あなたが…好きよ」
「うん…でも、ゴメンね。好きだからこそ、今の霧切さんが許せない」

 泣くように怒る人だな、と、私は思った。
 本当に、泣きながら怒っているのかもしれない。

「これは僕の個人的な願望でしかないけれど…
 霧切さんには、もっと自信を持って欲しいし、自分を大切にしてほしいと思う。

 それに…僕のこと、もっと信じてほしい。僕は、ホントに霧切さんが大好きだよ。
 なりゆきとか、その場の雰囲気で、こんなことしてるわけじゃない…」

 本当に、彼の言葉は真っすぐすぎる。
 真っすぐで、鋭くて、正面から受け取る自信は、私にはない。

「…あなたがそう言ってくれるだけで、私も嬉しいわ。例え本心じゃなかったとしても」

「…頑固者」
「お互いさまよ…」
「…いいよ、今はそれで。霧切さんに信用してもらえない僕にも責任があると思うし」
「それは違うわ。あなたを信用していないわけじゃない。ただ、どうしてもそこまで自分に自信が持てないの」
「どっちにしろ、この問題は、僕達が付き合っていくこれからの時間の中で、ゆっくり解決していくことだと思う。
 でも…そんなこと一人で考えて抱え込むくらいなら、僕にちゃんと相談してほしかった。だから…」

 彼はそこまで言うと、後ろから私の肩に自分の顔を乗せた。
 そして、耳に唇を寄せる。


「…もう二度とそんな卑屈な考えができないように…オシオキ、しちゃおうかな」


 ゾクゾク、と、今日一番の恍惚が、耳から体中を駆け巡った。

 本当に、これだから私は、自分を好きになれない。
 ほんのついさっきまで、彼を自分のモノのようにいじめ抜いて、悦楽に浸り、
 ほんのついさっきまで、彼が与える無慈悲な快楽から逃げ出そうとしていたのに、

 彼の言葉に怯えながらも、心のどこかでこの「オシオキ」に期待しているなんて。


「…時々思うんだけど、霧切さんって、もしかしてドM?オシオキって言った瞬間、すごい溢れてきたよ」
「さあ…でも、あなたにされない限り、こうはならないと思うわ」


 そう言って、私は首を傾けた。
 彼が応じて、ふ、と優しく唇を重ねる。

「期待に沿えるよう、徹底的に犯し抜いてあげる」




「あっ…はぁあ…ぅ…」

 徹底的に犯し抜く、との言葉とは裏腹に、彼は、それは丁寧な愛撫を始めた。
 相変わらず耳を舐めるのが好き…というより、私が耳が弱いのを知っているからだろうけれど。

 両の手は、刺激を求めて硬くなった小さな乳首を責めあげる、
 なんてことは、絶対にしなかった。

 その周囲をゆっくりと指先でなぞり、やわやわと乳房を揺らしながらも、
 けっして乳首には微塵も触れようとはしなかった。

「んっ…随分、意地悪な触り方をするのね…」
「言ったでしょ、オシオキだって。触って欲しかったら、いつでも『素直に』言ってよ」
「っ、なるほど…私が意地を張るのをやめれば、そこでオシオキ終了…そういうことね」
 彼は答えず、代わりに首筋にむしゃぶりついた。
「ひぅう…ん…」

 乳首を責めることなく、彼の指がゆっくりと体を伝い、降りていく。
「あぅ…」
 くすぐるように脇腹、なぞるように内股、そして…
 あそこの周りを、ゆっくりくるくると撫でまわす。
「霧切さんのココ…触って欲しそうに、ピクピクしてるよ」
「っ…だ、だからそういうこと…ふぁああっ!?」

 彼の恥ずかしすぎる言葉攻めに、反論を返そうとした、その瞬間。
 思いっきり彼が、乳首を絞りあげた。
「あ、ふぁあぁあ…」
 完全に意識が外れていたせいで、予想外の快楽を耐えられない。
 愛液が、まるで小水のようにあそこから飛び散る。
「…い、いじわる…苗木君の、意地悪っ…あぅん…はぅっ…!」
 今度は乳首が、コシコシと扱きあげられる。
 一方で、まだあそこは直接触ってなどくれず、子供が遊ぶように、くぱぁ、と開いたり閉じたりを繰り返す。

「そ、そういう…っ、焦らし方をするのね…」
「ん?ここ触って欲しいの?」
「…私がそれを…ふっ……っ、口に出すと思うの?」
「口にしなくても良いけど、言わなくて後で後悔するのは、霧切さんだよ、っと」

 ぐちゅ

「は、ぅうっ…」
 何の前触れもなしに、彼の指が、そこに滑り込んだ。
 だらしなく開いた口から、甘く漏れる吐息。
 つま先まで力を込め、絶頂に追いやられそうになるのを必死で耐えた。
 頭がジンジンする。
 自分ひとりで、その、自慰をしている時なら、さっきの刺激で既に達していただろう。
 彼の目の前、彼の指、それだけで簡単に絶頂を受け入れられなくなる自分は、やはり意地っ張りなのだろうか。

「待ちわびた…って顔してるよ、今の霧切さん」
「あっ…そうやって、言葉で攻め立てる作戦なのかしら?…んっ…ずいぶんと、オヤジ臭い真似をするのね」
 苦笑いする彼に皮肉を返すが、今はその程度の反抗しかできなかった。
「そのオヤジ臭いのに弄られて、たまらないって顔してるのは、どこの誰だろうね。
 ほら、もう霧切さんのエッチな液で、シーツぐちゃぐちゃだよ」

 彼の言葉が、いちいち私のつぼにはまり、それだけでイってしまいそうなくらいだ。

 もっと言って。もっと犯して。
 何も考えられないくらいぐちゃぐちゃにして、苗木君の色に染めて。

 少しでも気を抜けば、欲望のままに、そんなあられもないことまで口走ってしまいそうで、私は思い切り唇を噛む。

 もう正気ではない、私も、きっと彼も。

 四肢をばたつかせたくなるほどに甘美でじれったい愛撫と、
 体中に力を込めて食いしばっても耐えきれないほど刺激めいた愛撫。

 交互に繰り返され、身も心も蕩けきった私が、とうとう耐えきれずに最初の絶頂を迎えようとした、
 その時だった。

「あ、ダメっ、イ…く、イくっ、イくイくイく、やぁああああっ……

 …え…!?」

 絶頂に達する、まさにその瞬間。
 彼は、ぱ、と私の体から手を離した。

 思わず振り向いてしまうと、意地悪くほほ笑んだ彼と目が合う。
「どうしたの、霧切さん」
 ああ、わざとだ。
 即座に分かる。彼も、それを隠そうとはしていなかった。
「あ、もしかして、イきたかった?ゴメンね、でも言ってくれないとわかんないよ」

 悔しい。すごく、悔しい。
 彼に好きにされていることも、あと一歩なのにイけなかったことも。
 なにより、そんな彼の意地の悪い責めに、どこかで恍惚としてしまう自分が、悔しい。

「…覚えてなさい、苗木君…腕さえ自由になれば…っ、は、あぁああ…」
 言葉の途中で、再び彼の指が、今度は直に膣内を犯し始めた。
 悔し紛れの照れ隠しさえ、満足に言わせてもらえない。
 悔しい。その現状の全てに興奮している自分に、心底腹が立つ。

 もっと、して。
 そう素直に言えたら、どれほど楽だろうか。

 けれど、まだ認めたくない。意地の張り合いで、彼に負けたくない。
 冷静に考えれば、絶対に勝つことのできない不合理な勝負だけれど、仕掛けた私から負けを認めちゃいけない。

「んっ、く…ひぃ、ぎ、あぁあ…んぅ、あっ、くぅう……っ!」
 こんな恥ずかしい体勢を取らされながら、抗うことも悶えることも出来ない。

「見て、霧切さん…正面の鏡」
 言われて目をやれば、化粧台の姿見が、私たちの行為を映し出していた。

 そこに映っているのは、身動き一つ取れないまま、苗木君の体にもたれかかり、
 体中を汗や愛液でべとべとにしながらも、性の快楽をむさぼり、恍惚として蕩けた顔のいやらしい少女。
「うぁああっ…」
「自分のエロい姿見て興奮した?今、中がすごいギュってなったよ…」
 やめろ、見るな。
 見てはいけない。アレは違う。あんなの、私じゃない。あんな淫らな…
 そう思いながらも、目はただ鏡の中の私を追う。

 ダメだ、また、イく――

「…はい、ストップ」
「~~~っ、あ゛ぁあああっ…ふ、ひぃ、ひぃあぁぅ…」
「さっきは『イく』って口に出して止められたから、黙っていればイケると思った?でも、ダメだよ。
 僕は、わかるよ。霧切さんの表情で、イきそうな時はわかる。
 それに、この中の感じとか…指をすごい締め付けるんだ。
 あと、声も。息を止められているみたいな、すごく苦しそうな声出すよね」
「はぁ、はぁ…ひぅ…」

 耳元で力強く囁く、彼の声。鏡越しに見る、彼の射抜く瞳。
 彼のもう一方の手がゆっくりと迫り、私の口の中に指を突っ込んだ。
「んぅっ…?」
「舌をぐちゃぐちゃにかき回されるのも好きだよね。あと、もちろん耳と胸も…
 でも、一番感じるのは…『自分が感じていると認めた時』。そうでしょ?
 僕がいちいち気持ちいいか尋ねる時、答えながら全身がふるえるよね。
 僕がいちいちイったか確認する時、すごく切なそうな顔してるんだよ」
「ひぁ、はぅ…」
 言いながら、彼の指が口腔を犯す。
「僕はずっと霧切さんを見ていたから、そういうの、だんだんわかるようになってきた。
 ねえ、僕、こんなに好きなんだよ、霧切さんのこと。それなのに、霧切さんは疑うんだね」

 そして、休んでいた舌の指も動き出す。
 左手が上の口を、右手が舌の口を。彼の声は私の耳を。彼の瞳は私の瞳を。
「ひっぐ、ふあっ、あひぃいいい…」

「ゴメンね、辛いよね。でも、今回だけはちょっと、許せなかったから」
 まともにあえぐことすらかなわず、私はただ彼の蹂躙を受け入れ続けた。
(16-2)