k2_61-62

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「霧切・・・・さんで合ってるよね?良かったら一緒に帰らない?」 ここに入学して幾ばくもたってない頃、そう苗木君に誘われた。 繰り返すようだが私はその頃、他人という存在が信用できなかった。必要最低限の人付き合いはするが それ以上の関係を誰ともなろうとは思っておらず、実際これまでにも何人かにこういう風に誘われたが 全て断っていた。この時もその例に漏れず・・・ 「・・・悪いけど、今日は他に用事があるから失礼するわ」 「そっか・・・じゃあまた明日ね、霧切さん!」 私が断ると、苗木君は特に気にした様子もなく別れを言って去っていった。 用事があるというのは勿論嘘だ。他の人の時もそうやって断っているので、そろそろ皆これがただの方便 であることに気付いているだろう。まあ、それが私の狙いなので問題はない。 あと数日もすれば誰も私を誘おうとは思わなくなる・・・・・そう思っていた。 「霧切さん、一緒に帰らない?」 ……その次の日も苗木君は私を誘いに来た。確かに「また明日」とは言っていたが、本当に来るとは思っていなかった。 だけど、私にその気は無い。これ以上は彼の無駄にもなると思い、わざと昨日と全く同じ理由で断った。 「悪いけど、今日も用事あるから・・・」 「そうなんだ・・・」 「おーーーーい苗木っち!早く帰るベー」 「苗木ー早くいこうぜー!俺マジ腹減ってんだよー!」 「今行くよー!・・・じゃあ霧切さんまた明日ね!バイバイ!!」 他の人とも約束をしていたのだろう、外で待っていたクラスメートに促されて苗木君は私に別れを言って去っていった。 今日何となく彼の事を見ていたが、彼の周りには彼を中心として多くの友人がいた。元々人付き合いのいい人なのだろう。 だがここまですれば私がその「輪」に入るつもりが無いことは解かったはずだ。彼には既に多くの友人がいるし、わざわざ 自分の様な者に執着する必要は無い。今日も「また明日」とは言っていたがこれ以上誘われることは無いだろう。 ……それでいい。私はそう思いつつ、何故かその事に少し寂しさを覚えていたのだが・・・・・・ 「霧切さん、今日は一緒に帰れる?」 「・・・・・」 ……昨日の私の気持ちを返してほしい。私は思わずそんな事を考えていた。 というか彼には全く昨日の断りの真意を汲み取ってもらえなかったようだ。今日も彼は気にもせず私を誘いに来た。 彼はもしかして軟派な性格なのかとも思ったが、そうでは無いことは普段の学校生活を見ていれば解かる。苗木君は どちらかといえば所謂「草食系」という言われる類だ。クラスの女子とも仲が良いが、特に誰とと言う訳では無く、本当に 只の友達として接しているのが解かる。(まあ女子の方はどう思っているか解からないが・・) 私はその事に不可解な疑問を持ち、思わず彼に質問した。 「・・・苗木君はどうして私を誘うの?」 「え?・・・どうしてって・・・・僕達クラスメートじゃない。何か変かな?」 「・・・いえ、変と言う事は無いけど・・・」 「・・・・?よくわかんないけど・・・・もしかして迷惑、だったかな?」 そう言うと彼はとても申しわけなそうな顔をした。その表情に少し罪悪感を覚えてしまい、思わず否定の言葉を口にして しまった。 「そんなことは無いわ・・・けど---」 「そっか、良かった!じゃあ一緒に帰ろう!(ニコ)」 「え、ええ・・・解かったわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」 その彼の無邪気な笑顔につい私は了承の返事をしてしまった・・・さっきのもしかして演技じゃないでしょうね? その後も帰りの誘いだけではなく、色々な学校生活においても、彼は幾度と無く私を誘いに来た。 最初の内は私も誘いを断っていたのだが、そのあまりの頻度についに根負けをしてしまい(苗木君の断った時の心底残念そうな 表情の所為もあるが・・・たまに本当に計算ではないかと思う・・・)、いつからかあまり断らないようになってしまった。 必然・・・他のクラスメートにも普段から話掛けられるようになってしまった。彼の周りにはいつも「人」がいたから・・・。 だけども何時からか私は、他人を受け入れる事に以前ほどの恐怖を感じていなかった。 そしてこれも何時からかは解からないが・・・・・・・学校生活の間、いつも苗木君を目で追うようになっていた。 [[【続く】>k2_68-73]] ----
「霧切・・・・さんで合ってるよね?良かったら一緒に帰らない?」 ここに入学して幾ばくもたってない頃、そう苗木君に誘われた。 繰り返すようだが私はその頃、他人という存在が信用できなかった。必要最低限の人付き合いはするが それ以上の関係を誰ともなろうとは思っておらず、実際これまでにも何人かにこういう風に誘われたが 全て断っていた。この時もその例に漏れず・・・ 「・・・悪いけど、今日は他に用事があるから失礼するわ」 「そっか・・・じゃあまた明日ね、霧切さん!」 私が断ると、苗木君は特に気にした様子もなく別れを言って去っていった。 用事があるというのは勿論嘘だ。他の人の時もそうやって断っているので、そろそろ皆これがただの方便 であることに気付いているだろう。まあ、それが私の狙いなので問題はない。 あと数日もすれば誰も私を誘おうとは思わなくなる・・・・・そう思っていた。 「霧切さん、一緒に帰らない?」 ……その次の日も苗木君は私を誘いに来た。確かに「また明日」とは言っていたが、本当に来るとは思っていなかった。 だけど、私にその気は無い。これ以上は彼の無駄にもなると思い、わざと昨日と全く同じ理由で断った。 「悪いけど、今日も用事あるから・・・」 「そうなんだ・・・」 「おーーーーい苗木っち!早く帰るベー」 「苗木ー早くいこうぜー!俺マジ腹減ってんだよー!」 「今行くよー!・・・じゃあ霧切さんまた明日ね!バイバイ!!」 他の人とも約束をしていたのだろう、外で待っていたクラスメートに促されて苗木君は私に別れを言って去っていった。 今日何となく彼の事を見ていたが、彼の周りには彼を中心として多くの友人がいた。元々人付き合いのいい人なのだろう。 だがここまですれば私がその「輪」に入るつもりが無いことは解かったはずだ。彼には既に多くの友人がいるし、わざわざ 自分の様な者に執着する必要は無い。今日も「また明日」とは言っていたがこれ以上誘われることは無いだろう。 ……それでいい。私はそう思いつつ、何故かその事に少し寂しさを覚えていたのだが・・・・・・ 「霧切さん、今日は一緒に帰れる?」 「・・・・・」 ……昨日の私の気持ちを返してほしい。私は思わずそんな事を考えていた。 というか彼には全く昨日の断りの真意を汲み取ってもらえなかったようだ。今日も彼は気にもせず私を誘いに来た。 彼はもしかして軟派な性格なのかとも思ったが、そうでは無いことは普段の学校生活を見ていれば解かる。苗木君は どちらかといえば所謂「草食系」という言われる類だ。クラスの女子とも仲が良いが、特に誰とと言う訳では無く、本当に 只の友達として接しているのが解かる。(まあ女子の方はどう思っているか解からないが・・) 私はその事に不可解な疑問を持ち、思わず彼に質問した。 「・・・苗木君はどうして私を誘うの?」 「え?・・・どうしてって・・・・僕達クラスメートじゃない。何か変かな?」 「・・・いえ、変と言う事は無いけど・・・」 「・・・・?よくわかんないけど・・・・もしかして迷惑、だったかな?」 そう言うと彼はとても申しわけなそうな顔をした。その表情に少し罪悪感を覚えてしまい、思わず否定の言葉を口にして しまった。 「そんなことは無いわ・・・けど---」 「そっか、良かった!じゃあ一緒に帰ろう!(ニコ)」 「え、ええ・・・解かったわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」 その彼の無邪気な笑顔につい私は了承の返事をしてしまった・・・さっきのもしかして演技じゃないでしょうね? その後も帰りの誘いだけではなく、色々な学校生活においても、彼は幾度と無く私を誘いに来た。 最初の内は私も誘いを断っていたのだが、そのあまりの頻度についに根負けをしてしまい(苗木君の断った時の心底残念そうな 表情の所為もあるが・・・たまに本当に計算ではないかと思う・・・)、いつからかあまり断らないようになってしまった。 必然・・・他のクラスメートにも普段から話掛けられるようになってしまった。彼の周りにはいつも「人」がいたから・・・。 だけども何時からか私は、他人を受け入れる事に以前ほどの恐怖を感じていなかった。 そしてこれも何時からかは解からないが・・・・・・・学校生活の間、いつも苗木君を目で追うようになっていた。 [[【続く】>k2_327-328,330]] ----

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