2_82-88

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朝「家庭科の調理実習で、バレンタインチョコ作らせてくれるなんて…学園長も粋だよねー!」 セ「あら…あなたには、誰か渡す相手でもいるのですか?」 朝「いるよー!クラスの皆にはお世話になってるし…まず本命はさくらちゃんでー」 大「朝日奈…かたじけない」 セ(なにか色々間違っている気がしますわ…) 朝「男子でもさ、まず苗木は外せないよね!色々面倒な事も手伝ってくれてるし…   あと、桑田はランニング付き合ってくれてるし、石丸は勉強を教えてくれるし、   大和田はこの前不良に絡まれた時に助けてくれたし、山田は…」 セ「必要ありませんわ」 朝「…え?」 セ「必要ない、と、そう申し上げたのです。あんな腐れラードに食べさせるのは、   チョコをどぶに捨てるようなものですわ。必要ありません」 大「…朝日奈よ、察してやれ」 朝「え?どういう…あ、そっか、そういうことねー。   大丈夫だよセレスちゃん、そういうことなら山田には、市販の義理のしか渡さないから」 セ「…何を勘違いされたのかわかりませんが…」 大「その丁寧にラッピングされたチョコレートは、誰宛てのものだ…?」 朝「ご丁寧に本名つきのカードまで入れちゃってさー。素直じゃないんだから」 セ「…あまりにもあの豚が哀れだから、恵みを施してあげるだけですわ」 舞「ふふ、みんな楽しそうですね…」 霧「あら、随分余裕ね、舞園さん。朝日奈さんも苗木君にチョコを渡すようだけれど」 舞「ええ。だから見劣りしないよう、私も気合入れて作らないと!」 霧「アイドルから手作りチョコを貰えるだなんて…苗木君も出世したものね」 舞「そういう霧切さんも…その可愛いチョコ、誰に向けたものですか?…私、霧切さんには負けませんから」 霧「…心配しなくても、あなたの邪魔になるようなことはしないわ。   ただ、彼には日ごろお世話になっているから…そのお礼に、ね」 舞「ふーん…ホント、素直じゃないのはどこも同じですねー。ベルギーから取り寄せた○万円のチョコレート使ってるクセに」 霧「なんのことかしら?まあ、月並みだけど名前を伏せて、下駄箱にでも入れておくわ」 舞「だ、ダメですよそんなの!こういうのは手渡しじゃないと!正々堂々、同じ土俵で勝負ですよ、霧切さん!」 霧「私なんかから手渡されても…その…あまりいい気持ちはしないだろうし…   差出人不明のまま、彼にはいい夢を見させてあげたいから…だから舞園さんも、今の話は内緒にしてね」 舞「何言ってるんですか、もう!ライバルがそんなんじゃ、こっちとしても張り合いがないんです!」 霧「ら、ライバルって…」 桑「今年のバレンタインは、何個チョコもらえっかなー♪」 山「リア充氏ね、ですぞ」 桑「うっせーよブーデー!っつーかさァ、何十個貰ったところで意味ねえんだよ!   好きな一人からチョコ貰ってる、お前の方がリア充だろうが!毎年、セレスからは貰えるんだろ?」 山「まあ、さんざんな罵倒と、十倍のお返しの請求と共にですがね…義理でも貰えるだけありがたい、というものです」 桑「『義理』って…おめえも大概、三次元には鈍いなァ…」 苗「あはは…」 葉「…いや、苗木っち、『あはは』じゃねーべ。お前さんが一番、この問題を真剣に考えるべきだって」 苗「へ?」 山「そうですぞ、苗木誠殿!…結局、どちらの本命を受け取るのですか?」 桑「あーあ、羨ましいよなァー!国民的アイドルの手作りチョコに、世界レベルの探偵の高級チョコ、二つも本命貰えてよ」 苗「そ、そんな…まだくれるかどうかわからないし、本命かどうかだって、わからないじゃないか…   それに、僕だって自覚してるよ…僕なんかには、相応しくないって…」 大「…苗木よぉ…お前、それじゃ駄目だろうが、男として」 苗「え…」 大「義理でも本命でも、くれたからには、向こうはお前にそういう気持ちを伝えてくれてんだ。   自分にふさわしくない、とか、そんな言葉でごまかしてんじゃねえ」 十「この単細胞と意見が合うとは、珍しいな。しかし苗木、俺からも言わせろ。   自分に相応しくない、という言葉は、同時に相手の気持ちを否定して、踏みにじっていることにもなるんだぞ」 苗「そんなつもり、じゃ…いや、うん…そうだよね…ゴメン、教えてくれて、ありがとう」 十「ふん…くだらん」 石「ははは、結構な事じゃないか!」 大「なんだ兄弟、珍しく『不純異性交遊だ!』とか言わねえんだな」 石「うっ…いや、まぁ、その…」 大「ははーん、さては…」 石「ち、違うぞ!断じて、期待しているとかではない!   ただ…女子が気持ちを込めて作ったものを、校則だから、といって無碍にするのも…」 大「照れんなって!お、ほれ、女子組が帰ってきたぜ」 朝「みんなー!チョコ作ってきたよー!今年は全員の分あるからねっ!」 桑「おっ、サンキュー!へへ、大事に食うわ!」 葉「貴重な糖分だべ…」 朝「あ、山田のは市販だから。ほい」 山「な、なんですとぉー!この格差…い、いや、貰えるだけでもありがたい…ですが」 セ「…ふん、無様ですわね」 朝「(・∀・)ニヤニヤ」 山「あ、安弘多恵子殿」 セ「そっちで呼ぶなっつってんだろがぁ!…コホン…まあ、いいですわ。   さて、授業で作った私のチョコ…残念ながら、今年も渡す相手がいませんの。   でも、このままゴミ箱に捨てる、というのも忍びないですし…   もしあなたがどうしても欲しいというのなら、このチョコを欲しいとお願いするのであれば…」 山「いや、別に要りませんぞ」 セ「差し上げてもよろし…は?」 山「先程、みんなで話していて思ったのです。こういうものには気持ちが大事だと。   確かにセレス殿のチョコレート、頂けるのならこれ以上なく魅力的ではありますが…   誰宛でもないそれを、余っているからといって、僕ごときが受け取っていいのか…いや、いいはずがない!」 セ「な…」 山「そういうものは、セレス殿…いえ、安弘多恵子殿が本当に好きな人ができた時まで、とっておくべきです。   …それに、実を言いますと、その…今月と来月は財布が厳しくて、頂いても値の張るお返しは用意できそうにないのです…面目ない。   なので、どちらにしろそれを受け取る権利は、僕にはなくてですね…」 セ「ふ、ふふ……チグソ…が…」 山「あ、あれ?…せ、セレス殿?」 セ「ビチグソがぁああ!いいから黙って受け取れやぁあああ!!」 山「ヒィーーーー!!?」 セ「……ふぅ…どうせあなたの安っちいお返しなど、最初から期待しておりませんから…   特別に、特別に今年は、無条件で差し上げます…要らなかったら、自分でゴミ箱にでも捨てればよろしいですわ」 山「そ、そんな、捨てるなどと…で、でも……いや、ありがたく頂いておきますぞ。   ありがとうございます、安弘多恵子殿」 安「っ…び、ビチグソが…」 朝「(・∀・)ニヤニヤ」 桑「ヒュー♪おアツいことで」 葉「あのカップル、見てるこっちが恥ずかしいベ」 舞「ふふ、いいことじゃないですか。なんかこう、青春!って感じで。それはそうと…葉隠君、桑田君、はい、チョコレート」 桑「お、サンキュー。マジ感激っす!」 舞「一応、手作りなんですよ」 葉「…でも、本命はあいつなんだべ?」 舞「そうですね…受け取ってくれるか、わかりませんけど」 桑「大丈夫っしょ、舞園ちゃん可愛いし。それに、さっき俺らで、あいつにさんざん言い聞かせたから」 舞「…でも…彼自身の本命は、たぶん…私じゃ、ないから…」 桑葉「「…」」 桑「……なあ、コレ今食っていい?」 舞「え?ええ、大丈夫ですが…」 桑「モグ…うぉ、超ウメェ!これめっちゃ美味えよ、舞園ちゃん!」 舞「そ、そうですか?」 桑「ああ、これなら絶対苗木も喜んで食うって!なあ、葉隠!」 葉「パク…ああ、これなら間違いないベ!俺の占いは三割当たる!」 桑「だから、それじゃ駄目だろ!」 舞「ふふ…でも、ありがとう…ちょっと、自信がつきました。苗木君にも、渡してきますね!」 桑「おう、頑張れよ!」 葉「…辛い役回りだべ、桑田っち」 桑「うるせーな!…まあ、舞園ちゃんが苗木のこと好きでも、俺が舞園ちゃんを好きな事に代わりはないからよ。   あーあ、だっせーなー…負け犬の俺、マジカッコワリーっす!」 葉「今度ラーメンでも奢ってやるベ」 不「あ、あの、大和田君…これ、女子のみんなに材料貸してもらって作ったんだけど…   へ、変な意味じゃなくて、いつもお世話になってるから、その…よかったら食べてくれないかな…」 大「あぁ?」 不「あっ、あっ、ゴメン…変だよね、僕達男同士なのに…ゴメンね…やっぱ、なかったことにして…これ、ちょっと捨てて……っ…」 桑「あー!大和田が不二咲泣かせてるぞ!」 葉「いーけないべー、いけないべー!この男たらしー!」 大「うっせーぞ外野ぁ!!チッ…おい不二咲、それ寄こせ」 不「あ、で、でもあのその…」 大「せっかく作ってくれたんだろが、食ってやんよ!だがまぁ…   こういうのは、飯を奢る、とかの方が、男のダチらしくていいんじゃねえか?   今度一緒に、なんか美味いもんでも食いに行こうぜ、お返しに俺が奢ってやっからよ」 不「う、うん!ありがと!」 十「…おい、なにをコソコソしているんだ」 腐「ヒッ!…あ、あの、その…」 十「…さっさとその手に持った小包を寄こせ。拒否権はない」 腐「はっ、はいぃ…」 十「ふん、チョコか…くだらん」 腐「あ、あの、一応霧切…さんに分けてもらったベルギーのチョコレートで、   せめて白夜様に相応しくなるよう、ラッピングにも絹の…」 十「黙れ…値段などどうでもいい。そんなもの、少し小遣いを払えば手に入る。   問題は、誰がこれを作り、誰がこれを手渡したか、だ。くだらん事実をいちいち言わせるな…」 腐「あぁっ、スミマセンスミマセ…えっ…」 戦「あの…」 石「う、うむ…」 戦「不味かったら、無理して食べなくてもいいのだけれど…」 石「いや、せっかく女性から頂いたものだ。遠慮せず、頂こう…」 石(臭っ……苦っ!!!) 戦「…ど、どうだろう…こういうのは形からだと思って、カカオから作ってみたんだけど…」 石「む、ぐ…あ、あぁ…そのカカオの風味が、すごく、よく…引き出されているよ…とても、美味しい」 戦「本当…?よかった…」 江「おっ、お姉ちゃんに石丸じゃーん!何してんの二人して?」 戦「盾子…」 江「あ、もしかして…昨日徹夜して作ってたチョコって、石丸のためのやつだった?」 戦「あ、う…///」 江「なんだ、そういうことなら私も手伝ったのに…ちょっと味見」 石「ま、待ちたまえ江ノ島君!!」 戦「あっ…ちょっと…これは石丸に…」 江「…うぇえええ、苦っ!まずっ!絶望的! 何これ…」 戦「え…!?」 戦「そんな…石丸は、美味しいって…」 石(最悪だ…) 江「紳士の石丸が、女の子のくれたものを『不味い』なんて、間違っても言うわけないじゃん!   …お姉ちゃん、レーションの食べすぎで味覚おかしくなって…っていうか、これ、味見した?」 戦「あ…し、してなかった…」 江「もう、ホントに残姉ちゃんなんだから…石丸、無理して食わなくていいからね!じゃ、あたしはこれで」 戦「石丸…無理させちゃってたんだ…」 石「そ、そんなことはないぞ!僕には本当に美味しく…」 戦「いいよ、気を使わなくて…ごめん、ね…」 石「ああっ、待ちたまえ、戦刃君!!」 舞「霧切さん、ほら、二人で一緒に渡せば怖くないですから!取って食われたりはしませんから!   あ、でもこの場合は、取って食われた方がいいのかな?」 霧「アイドルが下ネタなんて、感心しないわね…   ホントに私は大丈夫だから…ほら舞園さん、苗木君が帰ってしまうわよ」 舞「ああ、もう!ホントに私一人で行っちゃいますからね!?」 舞「苗木君、はい、チョコレート!」 苗「わ、ありがとう!すごく嬉しいよ」 舞「言わなくても分かっていると思いますけど、手作りで、本命ですから」 苗「あっ、えっと、その…ありがと…」 舞「…あ、でもでも、それは気にしないで食べてくださいね!」 苗「う、うん!舞園さんから本命チョコを貰えるなんて…僕、本当に幸運だよ」 霧(よし、今のうちに下駄箱に…) 舞「ホントはもう一人、苗木君のためにチョコを作った誰かさんがいるんですけどねっ!」 霧「!?」 苗「え、そうなの…?」 舞「直接渡すのは恥ずかしいから、下駄箱に入れに行くって言ってましたけど…」 霧(まずい…ここで下駄箱に行ってしまえば、私が本命だと苗木君にばれる…   彼が来るより先に、下駄箱に行かなければ…) 舞「あれ、霧切さんが走って行きましたね…行き先は下駄箱でしょうか?」 苗「な、なんで行き先を知ってるの…?」 舞「ふふ、エスパーですから」 霧「はぁ、はぁ…着いた…えっと、苗木君の下駄箱は…」(ガチャ) 霧「…!」 霧「……そう、よね」 霧「なにも彼にチョコを渡そうと思っているのが、私たちだけとは限らないんだ…」 霧「彼は優しいし、色々な人に好かれているから…」 霧「私なんかからわざわざ匿名で貰ったりしなくても…私のチョコなんか、必要ないのよね」 「――それは、違うよ」 霧「なっ、苗木、君…」 苗「はぁ、はぁ…き、霧切さん…ぜぇ…」 霧「…走ってきたの?そんなに急いで、何か急ぎの用事でもあるのかしら」 苗「ある…あるよ…はぁ……霧切さんが、その鞄の中に隠したものに…」 霧「…これは…調理実習で作ったものよ。自分で食べるの。バレンタインとかは、関係ないわ」 苗「そうなの?でも桑田君、すごい高いチョコを使ってるって言ってたよ。   自分で食べるためのチョコを作るのに、そんな高いものをわざわざ取り寄せるかな?」 霧「っ…訂正するわ、自分で食べるというのはウソ。あなたが考えている通り、これは本命のチョコよ。   …今から、その大切な人の下駄箱に入れるところ、だったんだけれど…   残念ながら、その人はもうたくさんチョコを貰ってしまっていたの。だから、私のチョコなんか必要ないのよ」 苗「それは、違うよ!」 霧「違わないわ。たくさん貰っても迷惑だろうし、おまけに渡される相手が私ともあっては、ね。   それに…よく考えれば、こんな高いチョコレートを贈られても、重いだけよね…   お金や素材に物を言わせた自分が恥ずかしいわ。だから、これは…渡せない」 苗「…霧切さん、もし僕がチョコを贈られる立場の人間だったら、きっとこう思うよ。   チョコじゃなくて、チョコに込められた気持ちが、嬉しいんだ、って」 霧「…」 苗「値段や素材は、その気持ちの込め方の一つでしかないって思うんだ。   そして、その…すごく思いあがった考えなんだけど…もし仮に、その相手が僕なんだとしたら…   そうだとしたら、やっぱり下駄箱とかじゃなくて、霧切さんから直接、受け取りたいんだ」 霧「…苗木君」 苗「…ダメ、かな」 霧「…その言葉に、責任は持てるのね?」 苗「もちろんだよ。僕、霧切さんのこと…その…」 霧「私の愛は、重いわよ?」 苗「!…う、うん、全部受け止めてみせる」 霧「そう…じゃあ、その意気込みを、さっそく見せてもらおうかしら」  そう言って、霧切さんは自分の作ったチョコレートを、自分の唇で挟んだ。  僕の初めてのキスは、少しだけ苦くて、濃厚で、これ以上にないくらい甘かった。 おまけ・のぞき見するクラスメイト一同 舞「あーあ、結局霧切さんかー…」 朝「さんざん二人の後押ししてた舞園ちゃんが、そんな残念そうに言っても…ってちょ、泣いてんの!?」 セ「失恋した悲しさですか?それとも、友人の恋が叶った感動で?」 舞「どっちも、でしょうか…ふふ」 ----

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