k2_327-328,330

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「あれからもう半年以上も経つのね・・・・」 その間色々なことがあった。 春、親睦を深めようと彼が率先して皆に声をかけ、お花見をした。既に彼は皆の中心にいた。 夏、彼の一声で皆が集まり、海に行った。初めての仲間との海だった。 秋、「恋敵(ライバル)」が出来た。しかも複数。発端は勿論「彼」だった。だけど同時に「親友」にもなった。 そして冬・・・彼はそこにはいなかったが、彼のお陰で出来た「仲間」とのクリスマス・イブを楽しめた。 私は正直・・・昔、クリスマスというものが嫌いだった。 いや正確には嫌いになったのだ。 何故なら・・・私の願いを叶えてくれるサンタが・・・・・自分を祝ってくれる両親がいなかったからだ。 両親なき後、私を育ててくれた霧切家の親族が代わりに祝ってくれてはいたが、そこには少なからずの「同情」の感情があった。 私はそれが嫌だった。「あなたは可哀想な子」と言われているみたいだった。 ここに来た理由もそんなしがらみから解き離れたいと思ったからだ。父と決別する事で私はそんな「同情」を跳ね除けたかった。 だが・・・・今思えばそれは単なる詭弁だったのだ。私はただ父に直接問いたかっただけなのだ。 何故、霧切家を・・・・・私を捨てたのだ、と 今はもう父とはある程度和解が出来たが(ちなみにこれも誰かさんのおせっかいのせいだ)子供の頃からの確執がそんなに簡単に 解消出来る訳も無く、父との関係は未だギクシャクしている。 それでもここに来た当時とは違い、私は、「父」をまだ「父」と呼べる事になった事にどこか安心している自分がいるのを感じた。 ……話が随分逸れてしまったが、早い話、私は10数年ぶりに穏やかにクリスマスを送れそうということだ。 今は一人きりだが、今までとは違い私を憐れむ人はなく、私自身もこのクリスマスという日を何のわだかまりも無く祝福できそうだからだ。 ただ・・・・・・・ 「・・・私をそんな風に変えた張本人がここにいないのはどうなのかしらね?・・・・・フフ」 と、思っても仕様が無いことをぼやいてみた。そんな自分がおかしくて少し笑ってしまう。 ……どうも自分は思ってたよりずっと苗木君にやられているようだ。 昔ならそんな感情は全く理解できなかったが今なら解かる。これが「恋慕」といわれる感情なのだと。 まあ、「恋敵」がいる時点で何をいまさらという話だが・・・ ガチャン そんな事を考えていたときに、不意に寮の玄関から扉が開く音が聞こえた。こんな夜更けに他の寮生(上級生)が帰ってきたのかと思ったが、 足音はこの78期生の寮の方に向かっている。変ね?今日は誰も帰ってこないと聞いたのだけど・・・。 一瞬まさか不審人物?とも思ったがそれはありえない。この希望峰学園のセキュリティは並ではない。元々のセキュリティに 加え「超高校級の科学者」や「超高校級のプログラマー」等の手により国防総省も真っ青な強固なセキュリティを誇っているからだ。 おそらく他の78期生の誰かが予定を変更して帰ってきたのだろう。私は取り合えず挨拶だけはしておこうと足音の人物が近くに来るのに 合わせて部屋の扉を開けた。するとそこには・・・・・ 「あ、霧切さん!」 「苗木君・・・!?あなた実家に帰ってたんじゃ・・・・?」 「うん、そうなんだけど・・・今日父さんが急に夜に仕事に戻らないといけなくなってさ、それで父さんの会社が ここの近くだから僕もついでに一緒に帰ろうと思って・・・皆にも会いたかったしね」 「そうなの・・・けど残念ね。今日は見ての通り私以外誰もいないわよ?」 「みたいだね;・・・・・・けど」 「?」 「霧切さんには会えたからやっぱり帰ってきて良かったよ(ニコ)」 「なっ・・・・・///!?」 ……そんな笑顔でそんな事を言うのは反則じゃないかしら?そんな風に誰とも接するから 「恋敵」が増えるというのに・・・・まあ本人には全く自覚がないから逆に問題なのだが・・・・。 「どうしたの、霧切さん?なんか顔赤いみたいだけど・・・・・・?」 「な、何でもないわ・・・苗木君の気のせいよ」 「そう?ならいいけど・・・・・・・・あっ!!」 「ど、どうしたの!?」 「外!外見て霧切さん!!」 「外?・・・・・・・・・・・あ・・・」 苗木君に促されて外を見るとそこにはさんさんと白い雪が降り始めていた。庭に設置された 巨大なツリー(大神さんが山から持ってきたらしい・・・担いで;)と相まって それはとても美しかった。 「・・・・・・綺麗ね」 「ホワイトクリスマスだね・・・・・あ、そうだ霧切さん!今何時!?」 「え?・・・・・・・24時5分前だけど?」 「よかった、じゃあまだ間に合うね!」 「間に合う・・・?」 そう言うと苗木君はこちらに向き直って私をまっすぐ見て、ちょっと恥ずかしそうにしながら、こう告げた。 「ちょっと遅くなっちゃたけど・・・・・・メリークリスマス、霧切さん」 「・・・!?・・・・フフ、そうね・・・・・・・・メリークリスマス、苗木君」 どうやら私のサンタは随分遅れてやってきたようだ・・・・。 FIN ----
「あれからもう半年以上も経つのね・・・・」 その間色々なことがあった。 春、親睦を深めようと彼が率先して皆に声をかけ、お花見をした。既に彼は皆の中心にいた。 夏、彼の一声で皆が集まり、海に行った。初めての仲間との海だった。 秋、「恋敵(ライバル)」が出来た。しかも複数。発端は勿論「彼」だった。だけど同時に「親友」にもなった。 そして冬・・・彼はそこにはいなかったが、彼のお陰で出来た「仲間」とのクリスマス・イブを楽しめた。 私は正直・・・昔、クリスマスというものが嫌いだった。 いや正確には嫌いになったのだ。 何故なら・・・私の願いを叶えてくれるサンタが・・・・・自分を祝ってくれる両親がいなかったからだ。 両親なき後、私を育ててくれた霧切家の親族が代わりに祝ってくれてはいたが、そこには少なからずの「同情」の感情があった。 私はそれが嫌だった。「あなたは可哀想な子」と言われているみたいだった。 ここに来た理由もそんなしがらみから解き離れたいと思ったからだ。父と決別する事で私はそんな「同情」を跳ね除けたかった。 だが・・・・今思えばそれは単なる詭弁だったのだ。私はただ父に直接問いたかっただけなのだ。 何故、霧切家を・・・・・私を捨てたのだ、と 今はもう父とはある程度和解が出来たが(ちなみにこれも誰かさんのおせっかいのせいだ)子供の頃からの確執がそんなに簡単に 解消出来る訳も無く、父との関係は未だギクシャクしている。 それでもここに来た当時とは違い、私は、「父」をまだ「父」と呼べる事になった事にどこか安心している自分がいるのを感じた。 ……話が随分逸れてしまったが、早い話、私は10数年ぶりに穏やかにクリスマスを送れそうということだ。 今は一人きりだが、今までとは違い私を憐れむ人はなく、私自身もこのクリスマスという日を何のわだかまりも無く祝福できそうだからだ。 ただ・・・・・・・ 「・・・私をそんな風に変えた張本人がここにいないのはどうなのかしらね?・・・・・フフ」 と、思っても仕様が無いことをぼやいてみた。そんな自分がおかしくて少し笑ってしまう。 ……どうも自分は思ってたよりずっと苗木君にやられているようだ。 昔ならそんな感情は全く理解できなかったが今なら解かる。これが「恋慕」といわれる感情なのだと。 まあ、「恋敵」がいる時点で何をいまさらという話だが・・・ ガチャン そんな事を考えていたときに、不意に寮の玄関から扉が開く音が聞こえた。こんな夜更けに他の寮生(上級生)が帰ってきたのかと思ったが、 足音はこの78期生の寮の方に向かっている。変ね?今日は誰も帰ってこないと聞いたのだけど・・・。 一瞬まさか不審人物?とも思ったがそれはありえない。この希望峰学園のセキュリティは並ではない。元々のセキュリティに 加え「超高校級の科学者」や「超高校級のプログラマー」等の手により国防総省も真っ青な強固なセキュリティを誇っているからだ。 おそらく他の78期生の誰かが予定を変更して帰ってきたのだろう。私は取り合えず挨拶だけはしておこうと足音の人物が近くに来るのに 合わせて部屋の扉を開けた。するとそこには・・・・・ 「あ、霧切さん!」 「苗木君・・・!?あなた実家に帰ってたんじゃ・・・・?」 「うん、そうなんだけど・・・今日父さんが急に夜に仕事に戻らないといけなくなってさ、それで父さんの会社が ここの近くだから僕もついでに一緒に帰ろうと思って・・・皆にも会いたかったしね」 「そうなの・・・けど残念ね。今日は見ての通り私以外誰もいないわよ?」 「みたいだね;・・・・・・けど」 「?」 「霧切さんには会えたからやっぱり帰ってきて良かったよ(ニコ)」 「なっ・・・・・///!?」 ……そんな笑顔でそんな事を言うのは反則じゃないかしら?そんな風に誰とも接するから 「恋敵」が増えるというのに・・・・まあ本人には全く自覚がないから逆に問題なのだが・・・・。 「どうしたの、霧切さん?なんか顔赤いみたいだけど・・・・・・?」 「な、何でもないわ・・・苗木君の気のせいよ」 「そう?ならいいけど・・・・・・・・あっ!!」 「ど、どうしたの!?」 「外!外見て霧切さん!!」 「外?・・・・・・・・・・・あ・・・」 苗木君に促されて外を見るとそこにはさんさんと白い雪が降り始めていた。庭に設置された 巨大なツリー(大神さんが山から持ってきたらしい・・・担いで;)と相まって それはとても美しかった。 「・・・・・・綺麗ね」 「ホワイトクリスマスだね・・・・・あ、そうだ霧切さん!今何時!?」 「え?・・・・・・・24時5分前だけど?」 「よかった、じゃあまだ間に合うね!」 「間に合う・・・?」 そう言うと苗木君はこちらに向き直って私をまっすぐ見て、ちょっと恥ずかしそうにしながら、こう告げた。 「ちょっと遅くなっちゃたけど・・・・・・メリークリスマス、霧切さん」 「・・・!?・・・・フフ、そうね・・・・・・・・メリークリスマス、苗木君」 どうやら私のサンタは随分遅れてやってきたようだ・・・・。 FIN ----

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