3_152-160

「3_152-160」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

3_152-160」(2011/03/31 (木) 21:51:20) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

それは食堂でみんなで夕食中のことだった  セレス「私、ひどく退屈しておりますわ。どうです?ちょっとゲームでもするのは?」   桑田「ゲーム?何すんだよ?」  セレス「そうですわねー、ある程度長く遊びたいですし…麻雀などいかがですか?」   桑田「おお!!いーじゃねーか麻雀!!おい、みんなやろうぜ!」   十神「くだらない…いつ殺人が起きるか分からないのにのんきに麻雀だと?      ここには馬鹿しかいないのか?」   桑田「嫌味なヤローだな…オメエは二度と誘わねえからな!!」   十神「ああ、むしろ感謝したいくらいだ、じゃあな」 そう言い残すと十神クンは部屋に戻って行った   腐川「わ、わたしも麻雀なんか興味ないわ…誰も私を誘わないしね…」 十神クンの後を追うように腐川さんも出て行ってしまった  セレス「みなさん付き合いが悪いですわね。じゃあ苗木クン?あなたはどうかしら。      是非とも"超高校級の幸運"のあなたと"超高校級のギャンブラー"であるこの私…      どちらが上か白黒つけたいのですが。」   苗木「あはは…ゴメン遠慮しとくよ。」  セレス「そうですか、ではまた別の機会に。」  ……そんな話をしている間に桑田クンが残り二人を見つけてきた。山田クンと江ノ島さんだ。 桑田「っつーか山田よお、もっとマシな服もってねえのか?」   山田「これだから桑田怜恩どのは…、僕ほどのサイズになると服なんてオーダーメイトさ(キリッ)」  江ノ島「オーダーメイドでそのセンスとか…あり得ないんですけどぉ…」 四人はこれからセレスさんの部屋で麻雀をするらしい。 朝日奈「っていうか麻雀のセットなんかあるの?」  セレス「心配ありませんわ。私、携帯用の麻雀セットが部屋にありますので」   葉隠「流石は"超高校級のギャンブラー"だべ!」   山田「まあ、勝つのはこの"絶望に降り立った天才"、ヤマダだけどな(キリッ)」  江ノ島「うわ、オタクキモッ…」  セレス「ウフフフ。私にかかればサイコロの目を十回連続で当てるなんて朝飯前ですわ。      山田クンなんて私の足元にも及ばないでしょうが…」  …そんな会話を聞きながらみんなが自分の部屋に戻って行った。 少しすると舞園さんがボクと部屋を交換してほしいと言ってきた。 僕は舞園さんを守るため快くOKした。なんだか今日はねむたいなぁ そう思いながら舞園さんの部屋のベッドで横になる。僕はすぐに眠ってしまったようだ。  ……どれだけ寝たんだろう、ふと時計を見ると10時前くらいか けっこう居眠りしちゃったな。するとすぐにドアのノックする音が聞こえてきた ドアを開けると舞園さんが目に涙を溜めてたっていた   苗木「どうしたの?舞園さん!」   舞園「どうしよう…苗木クン、わたし、わたし…」   苗木「いったい何があったの!?」 そばにいた霧切さんが代わりに答えてくれた   霧切「セレスさんがね、殺されたのよ。アナウンスもあったでしょ?」   苗木「う、嘘…」 そんな馬鹿な、ぼくはアナウンスを居眠りで聞き逃していたのか? 自分の目ので見るまでは信じられない…僕はセレスさんの部屋に駆けて行った。   苗木「そんな…」 部屋にはセレスさんの死体が転がっていた…お腹を包丁で刺されたみたいだ。血が…たくさん… そして部屋には争った跡、辺り一面多くの傷跡が残っていた。 モノクマ「もおおお!こんな時に寝坊するなんてキミはどこののび太くんだい?面倒みきれないよ!!」 モノクマはそう言うとモノクマファイルを僕にわたして去って行った そのあとすぐに学級裁判の始めを告げる放送がはじまった。 しまった、完全に出遅れた…事件の事がまったくわからない…   十神「苗木!」 突然十神クンに呼び止められる   苗木「な、何かな…」   十神「間抜けなお前に一つヒントをやろう。セレスの死体を発見した順番は      山田、桑田、江ノ島、霧切だ。」   苗木「えっ?それに何か意味があるの?」   十神「意味があるかはお前が考えるんだ」 そう言うと十神クンは先に行ってしまった… この裁判無事に乗り切れるのだろうか…? モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めましょう!学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます。      正しいクロを指摘できれば、クロだけがおしおき。けど…もし間違った人物をクロとした場合は…  クロ以外の全員がおしおきされ、みんなを欺いたクロだけが晴れて卒業となりまーす!」   苗木「本当に…この中に犯人がいるんだよな?」 モノクマ「当然です。」   石丸「よし、みんなで目を閉じよう!      そして、犯人は挙手したまえ!」  大和田「アホか、挙げる訳ねーだろ…」   霧切「…ちょっといい?議論の前に聞いておきたいんだけど…あれって…どういう意味?」 死んだセレスの席にバツ印の書かれたセレスの顔写真が置かれている モノクマ「死んだからって仲間外れにするのはかわいそうでしょ?友情は生死を飛び越えるんだよ!」   山田「せいしが…飛び…超える!?」  江ノ島「だったらさあ…あの空席は…?私達は15人なのに…      なんで、席が16個もあるのよ?超気になるんですけど」 モノクマ「…深い意味はないよ。最大16人収容可能な裁判所っていうだけ。      さてと、前置きはこれぐらいにして…そろそろ始めよっか!      まずは、事件のまとめからだね!じゃあ、議論を開始してくださーい!!」   苗木「(始まる…犯人を決める為の議論が……      何か気づいた事があったらボク自身が発言しないと…      ボクだけじゃない…みんなの命がかかってるんだ…!」   石丸「断言しよう!殺されたのはセレスティア・ルーデンベルグだ!」   葉隠「…そんなん、分かってんべ。」   十神「殺人が起きたのはセレスの部屋だったな。」   腐川「確か麻雀をやってたのよね…」  不二咲「きっと、セレスさんは…みんなが麻雀に熱中している所をこっそりと襲われて…      抵抗する間もなく殺されちゃったんだね…」   苗木「ちょっと待って、不二咲さん。セレスさんの部屋の状況を思い出してみてよ…      あの状況からすると間違いなく争いがあったはずだよ。」  不二咲「争いって…誰と誰の?」   苗木「…もちろん、セレスさんと犯人のだよ。」   桑田「ちょっと待てよ!!勝手に話をすすめんな!!      そもそもセレスが殺されたのは麻雀をしてるときじゃねーし!」   苗木「えっ…」   山田「我々は夕食後から9時15分まで麻雀をしていて、      15分休憩をとって9時半時から再開する予定だったのだ」  江ノ島「それぞれが自分の部屋に戻って、"準備"してたのよ」   苗木「(…"準備"?)」   大神「"準備"とはいったいなんだ?」  江ノ島「えーとさあ…麻雀がヒートアップしちゃって賭けを…することになったのよ      …だから賭ける物の"準備"ってわけ」   霧切「つまり、犯行の行われた9時15分から30分の間はセレスさんは一人だったということ?」  山田「そういうことになりますな。」   桑田「つまりその時間にアリバイのねーやつはみんな怪しいってことなんだよ!!」  朝日奈「私とさくらちゃんはアリバイならあるよ!      だって今晩はさくらちゃんの部屋に泊めてもらったんだもん」   桑田「えっと…念の為に聞いとくけど、さくらちゃんって…」   大神「…我だ」   桑田「…ですよね。」   石丸「男女が…同じ部屋にとまるなど…不純異性交遊だっ!!」   大神「…我は女だが?」   石丸「しっ失礼した!」   舞園「………」   苗木「(…舞園さん…さっきから一言も喋ってないけど、どうしたんだろう…)」   桑田「おい、舞園!!」   舞園「…っ!!」   桑田「俺はなあ、お前が怪しいと思ってんだよ!こんな手紙よこしやがって!!」 2人きりで話したい事があります。 5分後に、私の部屋に来てください。            舞園さやか   舞園「そ、それは…」   苗木「舞園さんは違うよ!!舞園さんは誰かに怯えててボクと部屋を交換してたくらいだし…」   桑田「はあーー?なんだそれますます怪しいじゃねえか!!」   腐川「な、苗木と舞園が組んでセレスを殺したのよ…そうに違いないわ…」   苗木「そんな…誤解だよ、舞園さんとボクは人を殺したりなんかしない!」   舞園「…苗木クン…」  大和田「怪しいのはそいつらだけじゃねえ。俺は見たんだ…      9時前にに小腹がすいて食堂に行った帰りにあの女(霧切)が学校の方から出てくるのをな!!」   霧切「……ええ。確かに私はその時間、自分の部屋にいなかったわ。」   苗木「(霧切さん!?)」   葉隠「確か麻雀やってた奴以外で最初に気づいたのは霧切っちだったべ。      他の奴はアナウンスで気づいたのに…これは完全に怪しいべ!!」 苗木「("アナウンス"…)」   十神「…そこまでだ。貴様らはさっきから無駄な議論ばかりで話がまったく進んでいない。      最初から犯人は麻雀をやっていた3人のうちの誰かだ」   腐川「ち、ちょっと!こんなに怪しいのに無視するって言うの?どうせ、私が不細工だからなんでしょ!?」   十神「確かに舞園さやかと霧切響子の行動は不自然極まりない。だがこの事件とはおそらく無関係だ」  大和田「なんでんなことがわかるんだよ!!」   十神「簡単な話だ。       モノクマは死体が三人に発見された時、死体発見アナウンスをすると言っていた。      だが実際にアナウンスが起きたのは四人目の霧切が発見した時だ。つまり…」   葉隠「わかったべ!!モノクマが嘘をついてるんだべ!!」   一同「 ………」   十神「…おい苗木」   苗木「(うう…十神クンが説明しろと目で訴えている…)      …えっと、そうじゃなくてさ、四人目の霧切さんが発見した時にアナウンスが流れたってことは      実は霧切さんは四人目の発見者じゃなくて"三人目"だったんじゃないかな?」 不二咲「えっ…どういう事?」 苗木「死体を発見した順番は山田クン桑田クン江ノ島サン。そして次の霧切サンでアナウンスされた。     アナウンスを頼りに考えると霧切さんが三人目の発見者なのは確定するよね?     …という事は一人カウントされていないことになる。なぜカウントされてないのかそれは・・・」   舞園「犯人だから…ってこと…?」   十神「もう分かっただろう?犯人は山田、桑田、江ノ島の誰かで確定だ。他の奴のアリバイなど関係ない」   葉隠「占いによると犯人は桑田っちだべ!!オラの占いは三割当たる!」   桑田「占いで犯人にされてたまるか!!そもそも三割なんて俺の打率より低いじゃねーか!!      そんなもん信用できるかっつーの!」   腐川「っていうか、最初から三択じゃない…」  朝日奈「みんな聞いて!私はずっと山田が犯人だと思ってたんだよ!」   山田「なんですとー!!」  朝日奈「証拠があるんだよ…セレスちゃんが残したダイイングメッセージが!!」   葉隠「ダイビングソーセージ!?…なんか卑猥だべ。」  江ノ島「あんたは黙っときなさいよ!ウザいっつーの」  朝日奈「セレスちゃんの右手の中にあったのよ。これが!!」  不二咲「麻雀の牌が…三つ?」   石丸「それでどうして山田クンが犯人だとわかるのだ?説明したまえ!」  朝日奈「簡単だよ。この三つの牌に書かれている文字…」   山田「えーっと、どれどれえ。一萬、二萬、三萬…」   腐川「いち、に、さん…ひふみ、一二三!?」   舞園「山田クンの名前…ですね」   桑田「山田!てめーだったか犯人は!!」   山田「ちょっと待ってくだされ!!吾輩は犯人じゃ…」  大和田「犯人は決まってそういうことを言うんだよ!」   霧切「待って。犯人を決めるには早いわ。まだ議論していないことも残っているし      犯人を決めるのはその後でいんじゃないかしら?」   桑田「まだ議論していないこと!?なんだよそりゃ!?」   大神「…犯行の手順だな」   霧切「そのとおり。犯行の手順を考えればおのずと犯人が浮かび上がってくるわ。」   苗木「えっと、モノクマファイルによると…      セレスさんが殺されたのは9時15分から9時半の間。      犯行現場はセレスさんの部屋。凶器は包丁。      外傷は死因となった腹部の刺し傷のみ…出血死みたいだね。」   霧切「セレスさんを刺した凶器、それは食堂の包丁で間違いないわ。      事件後確認したら包丁が一本なくなっていたしね。」  江ノ島「別にさあ、凶器が包丁でもナイフでも関係なくない?そんなんで犯人を特定できっこないじゃん!」   霧切「たしかにそうね。でもここで重要なのは凶器が"何か"ではなくて      "いつ"その凶器が持ち出されたかなのよ」   腐川「ど、どういうことよ…」   霧切「大和田クン、さっきこう言ってたわよね。      "小腹がすいて食堂に行った帰りに私を見た"と…じゃあその時、食堂に包丁は全部あったのかしら?」  大和田「…ああ、その時包丁は全部あった。俺も包丁を使ったから間違いねえ」   十神「なるほど、大和田が食堂にいたのは9時前後、その時に凶器の包丁はまだ食堂にあった。      つまり包丁が持ち出されたのはそれ以降、セレスが殺される直前ということだ。      だがその時間は麻雀の休憩時間と被る…容疑者三人、誰でも食堂に行けたはずだ」   霧切「まだ話には続きがあるわ。      普通に考えて、人を刺したら"返り血"を浴びるはずよね?      でも死体を発見した時に三人とも血の跡はなかったわ。」   十神「何が言いたい?」   霧切「犯人はこのジャージに着替えてセレスさんを殺したのよ」 血のついた上下セットのジャージ   葉隠「そんなもんどこで見つけたんだべ?」   霧切「倉庫の中に隠してあったわ。そしてこのジャージが犯人を特定する第一歩。      これで山田クンが犯人という可能性が消えるわ。」   桑田「はあ!?何でジャージが出てきたら山田が犯人じゃなくなるんだよ!?」   霧切「山田クンはね"掃除当番"なのよ。」   桑田「"掃除当番"…?なんだそりゃ?どういう意味だ!?」   石丸「掃除当番はトラッシュルームの鍵を持っているのだ。説明を聞いていなかったのか?」   大神「確かトラッシュルームには焼却炉があったな」   霧切「山田クンが犯人なら証拠になるジャージは焼却炉で処分するはずよ。      残しておいても何の得にもならないもの」   桑田「それが山田の罠かもしれねーだろ!!そうやって自分だけ犯人から外れるためのな!!」   霧切「確かにその可能性も否定できない、でも今回はそれを考慮する必要はないの」  江ノ島「さっきから、勿体ぶり過ぎっつーの。さっさと言いなさいよ!」   霧切「…単純な話よ。そのジャージのサイズ…"L"なの。山田クンが着るには…小さすぎるのよ」   桑田「なっ…」  江ノ島「っ……」   霧切「納得してもらえたかしら?これで山田クンは容疑者から外れるわ。」   山田「ふうううう、助かったー!善行をしとくものですな」  不二咲「じゃあ…残る桑田クンか江ノ島サンが…」  朝日奈「えーっと、整理すると犯人は休憩時間に食堂に包丁を取りに行って、      自分の部屋でジャージに着替えた後セレスちゃんの部屋に戻り…      セレスちゃんを殺して倉庫にジャージを隠したってことでいいんだよね?」   霧切「それでだいたいあってるわ。       でも考えてみて。その犯行を行うには足りないものがあるわ」   舞園「足りないもの…?」   大神「…"時間"だな」   苗木「そっか、犯人は9時15分から9時半までの15分しか行動できないんだ。」   霧切「だから犯人は極力無駄な行動はしたくなかったはずよ。例えば"自分の部屋に戻る"とかね」   葉隠「じゃあ犯人はどこで着替えたんだべ?まさか…廊下で生着替えショー…」  朝日奈「サイテー」   十神「倉庫で着替えるのが妥当だろう。もともとジャージは倉庫にあったものだしな。」   霧切「そうね。食堂と倉庫は同じ方向にあるしそれが一番効率がいいわ。      つまり犯人は休憩時間になると食堂に包丁を取りに行き、倉庫でジャージに着替え、      セレスさんの部屋に戻り彼女を殺した。再び倉庫に行きジャージを隠したってことよ。      これなら15分でもなんとかなるはずよ。…手際良くセレスさんを殺したならね」  不二咲「あのー…最初に部屋には争った跡があるって言ってたよね…?      犯人とセレスさんが争ってたら15分じゃ…無理なんじゃ…ないかな…」   石丸「確かに!!不二咲クンの言う通りだ!!」   腐川「じ、じゃあどうやって殺したのよ?犯人は別にいるってこと!?」   十神「ブラフだ。犯人のな。」   大神「どういうことだ?」   十神「この部屋の争った跡は不自然だ。      部屋には多数の傷跡があるにも関わらずセレスには死因となった腹部の傷しかない。      争いがあったのなら他にも切り傷があるのがはずだ。      つまり犯人がセレスを刺した後、わざと部屋を荒らしたんだ。推理の邪魔をするためにな…」   葉隠「推理の邪魔なんて、とんでもない極悪人だべ!!」   霧切「でもこれで犯行時間はさらに余裕がなくなった。     さっきも言ったけど犯人に部屋に戻る時間なんてなかったはずよ。」  朝日奈「でも部屋に戻ったかどうかなんてどうやって証明するの?」   霧切「そう、犯人も"部屋に戻ったかなんて証明できない"そう思ってたでしょうね。      でもあろうことかイレギュラーな事が起こったのよ。」  江ノ島「イレギュラー?」   霧切「麻雀をやっていたセレスさん、山田クン、桑田クン、江ノ島さんの四人は夕食後直接      セレスさんの部屋に行き麻雀をしていた、そうよね?」   山田「ええ、そのとおりでありますぞ。」   霧切「じゃあ桑田くんはさっき証明しているわ。休憩時間に部屋に戻ったことを。」   苗木「舞園さんの手紙か!」   舞園「…!」   霧切「舞園さんの手紙は内容は怪しいものだったけど、桑田クンの無罪を証明することになったわね」   桑田「つーことは…やっぱり犯人は江ノ島?」  江ノ島「………」   霧切「江ノ島さん、あなたの部屋にあった手紙には何て書いてあったかしら?」  江ノ島「はぁ?」   霧切「舞園さんはあなたの部屋にも手紙を置いていたのよ。憶えていないかしら?」   舞園「!……江ノ島さん読んでくれなかったんですか?」  江ノ島「…手紙があったのは憶えてんだけどさー、事件のショックで内容は忘れちった、ゴメンネ舞園さん」   舞園「…江ノ島さん…やっぱりあなたが…」  江ノ島「?」   舞園「私…江ノ島さんには手紙…書いてないんです…さっきのは嘘なんです…」  江ノ島「なっ!!」   霧切「江ノ島さん、あなたは自分で休憩時間に部屋に戻っていないことを証明したのよ。      もう犯人はあなたで決定よ」  江ノ島「ふふふ、ああーはははははははははははははははははははははっ」   葉隠「うわっ、壊れちゃったべ!」  江ノ島「笑わせてくれるじゃん、おもしろいよ!!でもねあなたが言ってるのは状況証拠。      私が殺したっていう決定的証拠はないわ!!」   霧切「残念ね、決定的証拠はあるのよ。」  江ノ島「はぁ?もう議論する物なんて残ってないしー。何?ハッタリのつもり?」   霧切「そう、だから一度議論した物を使うのよ。      みんな憶えてるわよね?セレスさんの"ダイイングメッセージ"のこと。」  朝日奈「あっ、そういえばあの麻雀牌は結局何の意味があったの?」   石丸「山田クンを指しているのではないのだろう?」   腐川「ど、どうせそれも犯人の仕組んだブラフよ…推理の邪魔をするためのね!!」   十神「アホか。これはどう見てもダイイングメッセージだ。      ハッキリと犯人の名前が書いてあるだろう。」   腐川「がーーーーーん」  大和田「書いてあるって一二三は不正解なんだろ?他に何が書いてあるっつーんだ!?」   十神「ふん、プランクトンは麻雀のルールも知らないのか?」  大和田「んだとごらああ!!」  朝日奈「私もルール分かんないんだけど…」   十神「おい、苗木。説明してやれ。このダイイングメッセージの真の意味をな。」   苗木「えっと、セレスさんの持っていた三つの牌…一萬、二萬、三萬。      これは牌の文字を読むんじゃなくてある一つのグループを表してるんだよ。」  大和田「グループ?」   苗木「うん、そうなんだ。麻雀は基本的に同じ牌を三つ揃えるか連続した数字を三つ集めるんだよ。」  朝日奈「でもそれが何の関係があるの?」   苗木「セレスさんの持っていた一萬、二萬、三萬、連続した三つの数字だよね? これを"ジュンツ"って呼ぶんだ。」  朝日奈「ますます意味が分かんないんだけど…」   霧切「この"ジュンツ"は中国語なの。漢字に直すと"順子"。もうわかったわよね?」  朝日奈「…ゴメン。漢字苦手なんだ…」   霧切「…この"順子"を日本語で読むと"ジュンコ"      そうよね?江ノ島"ジュンコ"さん?これが決定的証拠よ!」  江ノ島「くっ…………」   大神「これで終わり…のようだな。」 モノクマ「うぷぷぷ…議論の結論が出たみたいですね。      では、そろそろ投票タイムといきましょうか!オマエラ、お手元のスイッチで投票してくださーい!      では張り切ってまいりますよ!!投票の結果、クロとなるのは誰か!?      その答えは…正解なのか不正解なのかーーッ!?さぁ、どうなんでしょーーッ!?」 クロ 江ノ島盾子 モノクマ「あらら!大正解!!今回セレスなんとかさんを殺したクロは…江ノ島盾子サンでしたー!!」  江ノ島「…やっぱりあなたとは戦うべきじゃなかったわね。      なんたってあなたは"超高校級のた…」   霧切「!!」 モノクマ「もぉーー!!今何時だと思ってんの!!良い子はもう寝る時間だよ?      悪い子には…おしおきの時間だよ!うぷぷぷぷ…      …君には絶望したよぉ。殺るならもっとうまく殺らないとぉ!      そんな君にはギャンブルにちなんだスペシャルなおしおきを用意させて頂きましたぞっ!」  江ノ島「…………」 モノクマ「今回は記念すべき一人目のクロなので生き残るチャンスをあげるよ!      大サービスだよ?感謝してよね!      6発充填できるリボルバーに弾丸が5発。それでロシアンルーレットをやってもらいます!!」  不二咲「じゃあ…6分の1の確率で助かるの?」 モノクマ「あれれ?何勘違いしてるの?誰も一回なんて言ってないよ?10回やるんだよ、いっぺんにね!」  大和田「なっ…」 モノクマ「では張り切っていきましょう! おしおきターイム!!」 はりつけにされた江ノ島さんに向かって銃口が向けられる…リボルバーが回転した後、一斉に銃声が響き渡る …気がつくと蜂の巣状態の江ノ島さんが…… モノクマ「うぷぷぷ、これって、"10回連続でサイコロの目を当てる"のと同じ確率なんだよ?      それってイカサマでもしない限り当たるわけないじゃん!!うぷぷぷぷ…」 裁判後 宿舎前廊下   舞園「苗木クン!」   苗木「舞園さん?どうしたの?」   舞園「苗木クン…さっきの裁判で私の事かばってくれよね?」   苗木「当然だよ!僕は舞園さんのこと信じてるもん!」   舞園「苗木クン…ありがとう、本当にありがとう!でも私…苗木くんに謝らないといけないの…」   苗木「…手紙のこと…だね?」   舞園「はい。…私本当は桑田くんを殺す気だったの。そして、その罪を苗木クンになすりつけて…      一人卒業しようと考えていたわ…ごめんなさい…」   苗木「そんな…」   舞園「でも裁判中に苗木クンが私をかばってくれて…目が覚めたわ、悪夢から!      すぐに信じてくれとは言わない、また信じてくれるよう私も頑張るわ!      それじゃ、またね。苗木クン。」 そういって舞園さんは部屋に入っていった。 舞園さんは悪夢から覚めたみたいだけど… この学園の悪夢は始まったばかりなのかもしれない…
それは食堂でみんなで夕食中のことだった  セレス「私、ひどく退屈しておりますわ。どうです?ちょっとゲームでもするのは?」   桑田「ゲーム?何すんだよ?」  セレス「そうですわねー、ある程度長く遊びたいですし…麻雀などいかがですか?」   桑田「おお!!いーじゃねーか麻雀!!おい、みんなやろうぜ!」   十神「くだらない…いつ殺人が起きるか分からないのにのんきに麻雀だと?      ここには馬鹿しかいないのか?」   桑田「嫌味なヤローだな…オメエは二度と誘わねえからな!!」   十神「ああ、むしろ感謝したいくらいだ、じゃあな」 そう言い残すと十神クンは部屋に戻って行った   腐川「わ、わたしも麻雀なんか興味ないわ…誰も私を誘わないしね…」 十神クンの後を追うように腐川さんも出て行ってしまった  セレス「みなさん付き合いが悪いですわね。じゃあ苗木クン?あなたはどうかしら。      是非とも"超高校級の幸運"のあなたと"超高校級のギャンブラー"であるこの私…      どちらが上か白黒つけたいのですが。」   苗木「あはは…ゴメン遠慮しとくよ。」  セレス「そうですか、ではまた別の機会に。」  ……そんな話をしている間に桑田クンが残り二人を見つけてきた。山田クンと江ノ島さんだ。 桑田「っつーか山田よお、もっとマシな服もってねえのか?」   山田「これだから桑田怜恩どのは…、僕ほどのサイズになると服なんてオーダーメイトさ(キリッ)」  江ノ島「オーダーメイドでそのセンスとか…あり得ないんですけどぉ…」 四人はこれからセレスさんの部屋で麻雀をするらしい。 朝日奈「っていうか麻雀のセットなんかあるの?」  セレス「心配ありませんわ。私、携帯用の麻雀セットが部屋にありますので」   葉隠「流石は"超高校級のギャンブラー"だべ!」   山田「まあ、勝つのはこの"絶望に降り立った天才"、ヤマダだけどな(キリッ)」  江ノ島「うわ、オタクキモッ…」  セレス「ウフフフ。私にかかればサイコロの目を十回連続で当てるなんて朝飯前ですわ。      山田クンなんて私の足元にも及ばないでしょうが…」  …そんな会話を聞きながらみんなが自分の部屋に戻って行った。 少しすると舞園さんがボクと部屋を交換してほしいと言ってきた。 僕は舞園さんを守るため快くOKした。なんだか今日はねむたいなぁ そう思いながら舞園さんの部屋のベッドで横になる。僕はすぐに眠ってしまったようだ。  ……どれだけ寝たんだろう、ふと時計を見ると10時前くらいか けっこう居眠りしちゃったな。するとすぐにドアのノックする音が聞こえてきた ドアを開けると舞園さんが目に涙を溜めてたっていた   苗木「どうしたの?舞園さん!」   舞園「どうしよう…苗木クン、わたし、わたし…」   苗木「いったい何があったの!?」 そばにいた霧切さんが代わりに答えてくれた   霧切「セレスさんがね、殺されたのよ。アナウンスもあったでしょ?」   苗木「う、嘘…」 そんな馬鹿な、ぼくはアナウンスを居眠りで聞き逃していたのか? 自分の目ので見るまでは信じられない…僕はセレスさんの部屋に駆けて行った。   苗木「そんな…」 部屋にはセレスさんの死体が転がっていた…お腹を包丁で刺されたみたいだ。血が…たくさん… そして部屋には争った跡、辺り一面多くの傷跡が残っていた。 モノクマ「もおおお!こんな時に寝坊するなんてキミはどこののび太くんだい?面倒みきれないよ!!」 モノクマはそう言うとモノクマファイルを僕にわたして去って行った そのあとすぐに学級裁判の始めを告げる放送がはじまった。 しまった、完全に出遅れた…事件の事がまったくわからない…   十神「苗木!」 突然十神クンに呼び止められる   苗木「な、何かな…」   十神「間抜けなお前に一つヒントをやろう。セレスの死体を発見した順番は      山田、桑田、江ノ島、霧切だ。」   苗木「えっ?それに何か意味があるの?」   十神「意味があるかはお前が考えるんだ」 そう言うと十神クンは先に行ってしまった… この裁判無事に乗り切れるのだろうか…? モノクマ「まずは、学級裁判の簡単な説明から始めましょう!学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます。      正しいクロを指摘できれば、クロだけがおしおき。けど…もし間違った人物をクロとした場合は…  クロ以外の全員がおしおきされ、みんなを欺いたクロだけが晴れて卒業となりまーす!」   苗木「本当に…この中に犯人がいるんだよな?」 モノクマ「当然です。」   石丸「よし、みんなで目を閉じよう!      そして、犯人は挙手したまえ!」  大和田「アホか、挙げる訳ねーだろ…」   霧切「…ちょっといい?議論の前に聞いておきたいんだけど…あれって…どういう意味?」 死んだセレスの席にバツ印の書かれたセレスの顔写真が置かれている モノクマ「死んだからって仲間外れにするのはかわいそうでしょ?友情は生死を飛び越えるんだよ!」   山田「せいしが…飛び…超える!?」  江ノ島「だったらさあ…あの空席は…?私達は15人なのに…      なんで、席が16個もあるのよ?超気になるんですけど」 モノクマ「…深い意味はないよ。最大16人収容可能な裁判所っていうだけ。      さてと、前置きはこれぐらいにして…そろそろ始めよっか!      まずは、事件のまとめからだね!じゃあ、議論を開始してくださーい!!」   苗木「(始まる…犯人を決める為の議論が……      何か気づいた事があったらボク自身が発言しないと…      ボクだけじゃない…みんなの命がかかってるんだ…!」   石丸「断言しよう!殺されたのはセレスティア・ルーデンベルグだ!」   葉隠「…そんなん、分かってんべ。」   十神「殺人が起きたのはセレスの部屋だったな。」   腐川「確か麻雀をやってたのよね…」  不二咲「きっと、セレスさんは…みんなが麻雀に熱中している所をこっそりと襲われて…      抵抗する間もなく殺されちゃったんだね…」   苗木「ちょっと待って、不二咲さん。セレスさんの部屋の状況を思い出してみてよ…      あの状況からすると間違いなく争いがあったはずだよ。」  不二咲「争いって…誰と誰の?」   苗木「…もちろん、セレスさんと犯人のだよ。」   桑田「ちょっと待てよ!!勝手に話をすすめんな!!      そもそもセレスが殺されたのは麻雀をしてるときじゃねーし!」   苗木「えっ…」   山田「我々は夕食後から9時15分まで麻雀をしていて、      15分休憩をとって9時半時から再開する予定だったのだ」  江ノ島「それぞれが自分の部屋に戻って、"準備"してたのよ」   苗木「(…"準備"?)」   大神「"準備"とはいったいなんだ?」  江ノ島「えーとさあ…麻雀がヒートアップしちゃって賭けを…することになったのよ      …だから賭ける物の"準備"ってわけ」   霧切「つまり、犯行の行われた9時15分から30分の間はセレスさんは一人だったということ?」  山田「そういうことになりますな。」   桑田「つまりその時間にアリバイのねーやつはみんな怪しいってことなんだよ!!」  朝日奈「私とさくらちゃんはアリバイならあるよ!      だって今晩はさくらちゃんの部屋に泊めてもらったんだもん」   桑田「えっと…念の為に聞いとくけど、さくらちゃんって…」   大神「…我だ」   桑田「…ですよね。」   石丸「男女が…同じ部屋にとまるなど…不純異性交遊だっ!!」   大神「…我は女だが?」   石丸「しっ失礼した!」   舞園「………」   苗木「(…舞園さん…さっきから一言も喋ってないけど、どうしたんだろう…)」   桑田「おい、舞園!!」   舞園「…っ!!」   桑田「俺はなあ、お前が怪しいと思ってんだよ!こんな手紙よこしやがって!!」 2人きりで話したい事があります。 5分後に、私の部屋に来てください。            舞園さやか   舞園「そ、それは…」   苗木「舞園さんは違うよ!!舞園さんは誰かに怯えててボクと部屋を交換してたくらいだし…」   桑田「はあーー?なんだそれますます怪しいじゃねえか!!」   腐川「な、苗木と舞園が組んでセレスを殺したのよ…そうに違いないわ…」   苗木「そんな…誤解だよ、舞園さんとボクは人を殺したりなんかしない!」   舞園「…苗木クン…」  大和田「怪しいのはそいつらだけじゃねえ。俺は見たんだ…      9時前にに小腹がすいて食堂に行った帰りにあの女(霧切)が学校の方から出てくるのをな!!」   霧切「……ええ。確かに私はその時間、自分の部屋にいなかったわ。」   苗木「(霧切さん!?)」   葉隠「確か麻雀やってた奴以外で最初に気づいたのは霧切っちだったべ。      他の奴はアナウンスで気づいたのに…これは完全に怪しいべ!!」 苗木「("アナウンス"…)」   十神「…そこまでだ。貴様らはさっきから無駄な議論ばかりで話がまったく進んでいない。      最初から犯人は麻雀をやっていた3人のうちの誰かだ」   腐川「ち、ちょっと!こんなに怪しいのに無視するって言うの?どうせ、私が不細工だからなんでしょ!?」   十神「確かに舞園さやかと霧切響子の行動は不自然極まりない。だがこの事件とはおそらく無関係だ」  大和田「なんでんなことがわかるんだよ!!」   十神「簡単な話だ。       モノクマは死体が三人に発見された時、死体発見アナウンスをすると言っていた。      だが実際にアナウンスが起きたのは四人目の霧切が発見した時だ。つまり…」   葉隠「わかったべ!!モノクマが嘘をついてるんだべ!!」   一同「 ………」   十神「…おい苗木」   苗木「(うう…十神クンが説明しろと目で訴えている…)      …えっと、そうじゃなくてさ、四人目の霧切さんが発見した時にアナウンスが流れたってことは      実は霧切さんは四人目の発見者じゃなくて"三人目"だったんじゃないかな?」 不二咲「えっ…どういう事?」 苗木「死体を発見した順番は山田クン桑田クン江ノ島サン。そして次の霧切サンでアナウンスされた。     アナウンスを頼りに考えると霧切さんが三人目の発見者なのは確定するよね?     …という事は一人カウントされていないことになる。なぜカウントされてないのかそれは・・・」   舞園「犯人だから…ってこと…?」   十神「もう分かっただろう?犯人は山田、桑田、江ノ島の誰かで確定だ。他の奴のアリバイなど関係ない」   葉隠「占いによると犯人は桑田っちだべ!!オラの占いは三割当たる!」   桑田「占いで犯人にされてたまるか!!そもそも三割なんて俺の打率より低いじゃねーか!!      そんなもん信用できるかっつーの!」   腐川「っていうか、最初から三択じゃない…」  朝日奈「みんな聞いて!私はずっと山田が犯人だと思ってたんだよ!」   山田「なんですとー!!」  朝日奈「証拠があるんだよ…セレスちゃんが残したダイイングメッセージが!!」   葉隠「ダイビングソーセージ!?…なんか卑猥だべ。」  江ノ島「あんたは黙っときなさいよ!ウザいっつーの」  朝日奈「セレスちゃんの右手の中にあったのよ。これが!!」  不二咲「麻雀の牌が…三つ?」   石丸「それでどうして山田クンが犯人だとわかるのだ?説明したまえ!」  朝日奈「簡単だよ。この三つの牌に書かれている文字…」   山田「えーっと、どれどれえ。一萬、二萬、三萬…」   腐川「いち、に、さん…ひふみ、一二三!?」   舞園「山田クンの名前…ですね」   桑田「山田!てめーだったか犯人は!!」   山田「ちょっと待ってくだされ!!吾輩は犯人じゃ…」  大和田「犯人は決まってそういうことを言うんだよ!」   霧切「待って。犯人を決めるには早いわ。まだ議論していないことも残っているし      犯人を決めるのはその後でいんじゃないかしら?」   桑田「まだ議論していないこと!?なんだよそりゃ!?」   大神「…犯行の手順だな」   霧切「そのとおり。犯行の手順を考えればおのずと犯人が浮かび上がってくるわ。」   苗木「えっと、モノクマファイルによると…      セレスさんが殺されたのは9時15分から9時半の間。      犯行現場はセレスさんの部屋。凶器は包丁。      外傷は死因となった腹部の刺し傷のみ…出血死みたいだね。」   霧切「セレスさんを刺した凶器、それは食堂の包丁で間違いないわ。      事件後確認したら包丁が一本なくなっていたしね。」  江ノ島「別にさあ、凶器が包丁でもナイフでも関係なくない?そんなんで犯人を特定できっこないじゃん!」   霧切「たしかにそうね。でもここで重要なのは凶器が"何か"ではなくて      "いつ"その凶器が持ち出されたかなのよ」   腐川「ど、どういうことよ…」   霧切「大和田クン、さっきこう言ってたわよね。      "小腹がすいて食堂に行った帰りに私を見た"と…じゃあその時、食堂に包丁は全部あったのかしら?」  大和田「…ああ、その時包丁は全部あった。俺も包丁を使ったから間違いねえ」   十神「なるほど、大和田が食堂にいたのは9時前後、その時に凶器の包丁はまだ食堂にあった。      つまり包丁が持ち出されたのはそれ以降、セレスが殺される直前ということだ。      だがその時間は麻雀の休憩時間と被る…容疑者三人、誰でも食堂に行けたはずだ」   霧切「まだ話には続きがあるわ。      普通に考えて、人を刺したら"返り血"を浴びるはずよね?      でも死体を発見した時に三人とも血の跡はなかったわ。」   十神「何が言いたい?」   霧切「犯人はこのジャージに着替えてセレスさんを殺したのよ」 血のついた上下セットのジャージ   葉隠「そんなもんどこで見つけたんだべ?」   霧切「倉庫の中に隠してあったわ。そしてこのジャージが犯人を特定する第一歩。      これで山田クンが犯人という可能性が消えるわ。」   桑田「はあ!?何でジャージが出てきたら山田が犯人じゃなくなるんだよ!?」   霧切「山田クンはね"掃除当番"なのよ。」   桑田「"掃除当番"…?なんだそりゃ?どういう意味だ!?」   石丸「掃除当番はトラッシュルームの鍵を持っているのだ。説明を聞いていなかったのか?」   大神「確かトラッシュルームには焼却炉があったな」   霧切「山田クンが犯人なら証拠になるジャージは焼却炉で処分するはずよ。      残しておいても何の得にもならないもの」   桑田「それが山田の罠かもしれねーだろ!!そうやって自分だけ犯人から外れるためのな!!」   霧切「確かにその可能性も否定できない、でも今回はそれを考慮する必要はないの」  江ノ島「さっきから、勿体ぶり過ぎっつーの。さっさと言いなさいよ!」   霧切「…単純な話よ。そのジャージのサイズ…"L"なの。山田クンが着るには…小さすぎるのよ」   桑田「なっ…」  江ノ島「っ……」   霧切「納得してもらえたかしら?これで山田クンは容疑者から外れるわ。」   山田「ふうううう、助かったー!善行をしとくものですな」  不二咲「じゃあ…残る桑田クンか江ノ島サンが…」  朝日奈「えーっと、整理すると犯人は休憩時間に食堂に包丁を取りに行って、      自分の部屋でジャージに着替えた後セレスちゃんの部屋に戻り…      セレスちゃんを殺して倉庫にジャージを隠したってことでいいんだよね?」   霧切「それでだいたいあってるわ。       でも考えてみて。その犯行を行うには足りないものがあるわ」   舞園「足りないもの…?」   大神「…"時間"だな」   苗木「そっか、犯人は9時15分から9時半までの15分しか行動できないんだ。」   霧切「だから犯人は極力無駄な行動はしたくなかったはずよ。例えば"自分の部屋に戻る"とかね」   葉隠「じゃあ犯人はどこで着替えたんだべ?まさか…廊下で生着替えショー…」  朝日奈「サイテー」   十神「倉庫で着替えるのが妥当だろう。もともとジャージは倉庫にあったものだしな。」   霧切「そうね。食堂と倉庫は同じ方向にあるしそれが一番効率がいいわ。      つまり犯人は休憩時間になると食堂に包丁を取りに行き、倉庫でジャージに着替え、      セレスさんの部屋に戻り彼女を殺した。再び倉庫に行きジャージを隠したってことよ。      これなら15分でもなんとかなるはずよ。…手際良くセレスさんを殺したならね」  不二咲「あのー…最初に部屋には争った跡があるって言ってたよね…?      犯人とセレスさんが争ってたら15分じゃ…無理なんじゃ…ないかな…」   石丸「確かに!!不二咲クンの言う通りだ!!」   腐川「じ、じゃあどうやって殺したのよ?犯人は別にいるってこと!?」   十神「ブラフだ。犯人のな。」   大神「どういうことだ?」   十神「この部屋の争った跡は不自然だ。      部屋には多数の傷跡があるにも関わらずセレスには死因となった腹部の傷しかない。      争いがあったのなら他にも切り傷があるのがはずだ。      つまり犯人がセレスを刺した後、わざと部屋を荒らしたんだ。推理の邪魔をするためにな…」   葉隠「推理の邪魔なんて、とんでもない極悪人だべ!!」   霧切「でもこれで犯行時間はさらに余裕がなくなった。     さっきも言ったけど犯人に部屋に戻る時間なんてなかったはずよ。」  朝日奈「でも部屋に戻ったかどうかなんてどうやって証明するの?」   霧切「そう、犯人も"部屋に戻ったかなんて証明できない"そう思ってたでしょうね。      でもあろうことかイレギュラーな事が起こったのよ。」  江ノ島「イレギュラー?」   霧切「麻雀をやっていたセレスさん、山田クン、桑田クン、江ノ島さんの四人は夕食後直接      セレスさんの部屋に行き麻雀をしていた、そうよね?」   山田「ええ、そのとおりでありますぞ。」   霧切「じゃあ桑田くんはさっき証明しているわ。休憩時間に部屋に戻ったことを。」   苗木「舞園さんの手紙か!」   舞園「…!」   霧切「舞園さんの手紙は内容は怪しいものだったけど、桑田クンの無罪を証明することになったわね」   桑田「つーことは…やっぱり犯人は江ノ島?」  江ノ島「………」   霧切「江ノ島さん、あなたの部屋にあった手紙には何て書いてあったかしら?」  江ノ島「はぁ?」   霧切「舞園さんはあなたの部屋にも手紙を置いていたのよ。憶えていないかしら?」   舞園「!……江ノ島さん読んでくれなかったんですか?」  江ノ島「…手紙があったのは憶えてんだけどさー、事件のショックで内容は忘れちった、ゴメンネ舞園さん」   舞園「…江ノ島さん…やっぱりあなたが…」  江ノ島「?」   舞園「私…江ノ島さんには手紙…書いてないんです…さっきのは嘘なんです…」  江ノ島「なっ!!」   霧切「江ノ島さん、あなたは自分で休憩時間に部屋に戻っていないことを証明したのよ。      もう犯人はあなたで決定よ」  江ノ島「ふふふ、ああーはははははははははははははははははははははっ」   葉隠「うわっ、壊れちゃったべ!」  江ノ島「笑わせてくれるじゃん、おもしろいよ!!でもねあなたが言ってるのは状況証拠。      私が殺したっていう決定的証拠はないわ!!」   霧切「残念ね、決定的証拠はあるのよ。」  江ノ島「はぁ?もう議論する物なんて残ってないしー。何?ハッタリのつもり?」   霧切「そう、だから一度議論した物を使うのよ。      みんな憶えてるわよね?セレスさんの"ダイイングメッセージ"のこと。」  朝日奈「あっ、そういえばあの麻雀牌は結局何の意味があったの?」   石丸「山田クンを指しているのではないのだろう?」   腐川「ど、どうせそれも犯人の仕組んだブラフよ…推理の邪魔をするためのね!!」   十神「アホか。これはどう見てもダイイングメッセージだ。      ハッキリと犯人の名前が書いてあるだろう。」   腐川「がーーーーーん」  大和田「書いてあるって一二三は不正解なんだろ?他に何が書いてあるっつーんだ!?」   十神「ふん、プランクトンは麻雀のルールも知らないのか?」  大和田「んだとごらああ!!」  朝日奈「私もルール分かんないんだけど…」   十神「おい、苗木。説明してやれ。このダイイングメッセージの真の意味をな。」   苗木「えっと、セレスさんの持っていた三つの牌…一萬、二萬、三萬。      これは牌の文字を読むんじゃなくてある一つのグループを表してるんだよ。」  大和田「グループ?」   苗木「うん、そうなんだ。麻雀は基本的に同じ牌を三つ揃えるか連続した数字を三つ集めるんだよ。」  朝日奈「でもそれが何の関係があるの?」   苗木「セレスさんの持っていた一萬、二萬、三萬、連続した三つの数字だよね? これを"ジュンツ"って呼ぶんだ。」  朝日奈「ますます意味が分かんないんだけど…」   霧切「この"ジュンツ"は中国語なの。漢字に直すと"順子"。もうわかったわよね?」  朝日奈「…ゴメン。漢字苦手なんだ…」   霧切「…この"順子"を日本語で読むと"ジュンコ"      そうよね?江ノ島"ジュンコ"さん?これが決定的証拠よ!」  江ノ島「くっ…………」   大神「これで終わり…のようだな。」 モノクマ「うぷぷぷ…議論の結論が出たみたいですね。      では、そろそろ投票タイムといきましょうか!オマエラ、お手元のスイッチで投票してくださーい!      では張り切ってまいりますよ!!投票の結果、クロとなるのは誰か!?      その答えは…正解なのか不正解なのかーーッ!?さぁ、どうなんでしょーーッ!?」 クロ 江ノ島盾子 モノクマ「あらら!大正解!!今回セレスなんとかさんを殺したクロは…江ノ島盾子サンでしたー!!」  江ノ島「…やっぱりあなたとは戦うべきじゃなかったわね。      なんたってあなたは"超高校級のた…」   霧切「!!」 モノクマ「もぉーー!!今何時だと思ってんの!!良い子はもう寝る時間だよ?      悪い子には…おしおきの時間だよ!うぷぷぷぷ…      …君には絶望したよぉ。殺るならもっとうまく殺らないとぉ!      そんな君にはギャンブルにちなんだスペシャルなおしおきを用意させて頂きましたぞっ!」  江ノ島「…………」 モノクマ「今回は記念すべき一人目のクロなので生き残るチャンスをあげるよ!      大サービスだよ?感謝してよね!      6発充填できるリボルバーに弾丸が5発。それでロシアンルーレットをやってもらいます!!」  不二咲「じゃあ…6分の1の確率で助かるの?」 モノクマ「あれれ?何勘違いしてるの?誰も一回なんて言ってないよ?10回やるんだよ、いっぺんにね!」  大和田「なっ…」 モノクマ「では張り切っていきましょう! おしおきターイム!!」 はりつけにされた江ノ島さんに向かって銃口が向けられる…リボルバーが回転した後、一斉に銃声が響き渡る …気がつくと蜂の巣状態の江ノ島さんが…… モノクマ「うぷぷぷ、これって、"10回連続でサイコロの目を当てる"のと同じ確率なんだよ?      それってイカサマでもしない限り当たるわけないじゃん!!うぷぷぷぷ…」 裁判後 宿舎前廊下   舞園「苗木クン!」   苗木「舞園さん?どうしたの?」   舞園「苗木クン…さっきの裁判で私の事かばってくれよね?」   苗木「当然だよ!僕は舞園さんのこと信じてるもん!」   舞園「苗木クン…ありがとう、本当にありがとう!でも私…苗木くんに謝らないといけないの…」   苗木「…手紙のこと…だね?」   舞園「はい。…私本当は桑田くんを殺す気だったの。そして、その罪を苗木クンになすりつけて…      一人卒業しようと考えていたわ…ごめんなさい…」   苗木「そんな…」   舞園「でも裁判中に苗木クンが私をかばってくれて…目が覚めたわ、悪夢から!      すぐに信じてくれとは言わない、また信じてくれるよう私も頑張るわ!      それじゃ、またね。苗木クン。」 そういって舞園さんは部屋に入っていった。 舞園さんは悪夢から覚めたみたいだけど… この学園の悪夢は始まったばかりなのかもしれない… ------

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。