舞園さやか 通信簿 7 > 7

「舞園さやか 通信簿 7/7」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

舞園さやか 通信簿 7/7」(2011/07/15 (金) 12:13:47) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「なんで苗木君の考えてることがわかるか、ですか?」 ある日、舞園さんと二人で話す機会を得たボクは、前々から疑問に思っていたことを聞いてみることにした。 「うん。あ、エスパーだからっていうのはナシね」 今にも『エスパーですから』と言われそうな気がして、予め釘を刺しておく。 案の定、口を「エ」の形に開きかけていた舞園さんは、綺麗な眉を寄せて考え込んでしまう。 「う~ん……それじゃ、手力――」 「ミスター栗間に怒られそうだからダメ」 「困りましたね……」 (困るほどのことなんだ……?) 舞園さんは瞑目して考えながら、言葉を選ぶように少しずつ語る。 「そうですね……なんとなく――本当になんとなくなんですけど、時々苗木君が何を言おうとしてるのかわかる事があるんですよ。理由は私にもわからないんですけど、こう、パッと」 「パッと、ね」 時たま舞園さんの言葉はインスピレーション気味になる。 「ふふ、おかしいですよね。苗木君と話すの、ここに来てからが初めてだっていうのに……」 「そうだね……」 「もしかして私たち、前世でも同じことしてたのかもしれませんね」 前世。 前の世界でも、ボクたちはこうして出会って。 そうして、同じような話をして。 ……やっぱり、同じような関係になっていたんだろうか。 「うふふ。そうじゃなかったら、私は苗木君専用のエスパーっていうことでどうですか?」 「せ、専用って……」 その響きは、ちょっと、問題なような……。 「問題なんかありませんよ」 そう言って、舞園さんはにっこりと笑みを浮かべる。ボクも思わず釣られて笑ってしまうような――そんな彼女の特上の笑顔だった。 「エスパーだから、ね」 そういうことにしておこう。 いつか、本当の事がわかるその日までは。 -----
「なんで苗木君の考えてることがわかるか、ですか?」 ある日、舞園さんと二人で話す機会を得たボクは、前々から疑問に思っていたことを聞いてみることにした。 「うん。あ、エスパーだからっていうのはナシね」 今にも『エスパーですから』と言われそうな気がして、予め釘を刺しておく。 案の定、口を「エ」の形に開きかけていた舞園さんは、綺麗な眉を寄せて考え込んでしまう。 「う~ん……それじゃ、手力――」 「ミスター栗間に怒られそうだからダメ」 「困りましたね……」 (困るほどのことなんだ……?) 舞園さんは瞑目して考えながら、言葉を選ぶように少しずつ語る。 「そうですね……なんとなく――本当になんとなくなんですけど、時々苗木君が何を言おうとしてるのかわかる事があるんですよ。理由は私にもわからないんですけど、こう、パッと」 「パッと、ね」 時たま舞園さんの言葉はインスピレーション気味になる。 「ふふ、おかしいですよね。苗木君と話すの、ここに来てからが初めてだっていうのに……」 「そうだね……」 「もしかして私たち、前世でも同じことしてたのかもしれませんね」 前世。 前の世界でも、ボクたちはこうして出会って。 そうして、同じような話をして。 ……やっぱり、同じような関係になっていたんだろうか。 「うふふ。そうじゃなかったら、私は苗木君専用のエスパーっていうことでどうですか?」 「せ、専用って……」 その響きは、ちょっと、問題なような……。 「問題なんかありませんよ」 そう言って、舞園さんはにっこりと笑みを浮かべる。ボクも思わず釣られて笑ってしまうような――そんな彼女の特上の笑顔だった。 「エスパーだから、ね」 そういうことにしておこう。 いつか、本当の事がわかるその日までは。 -----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。