ms_561-562

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10月末日。 僕が寄宿舎の自室でくつろいでいると、部屋のインターホンが鳴った。 僕が部屋のドアを開けると、そこには黒ずくめの衣装に身を包んだ舞園さんが立っていた。 幅の広い帽子にノースリーブのワンピース、手袋やブーツに至るまで黒で統一され、ローブのようなものまで羽織っていた。 「ええと、舞園さん?その恰好は一体…?」 僕にそう尋ねられた舞園さんは… 「Trick or Treat!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃいますよ~!」 「…は?」 眩しい笑顔で両手を前に差し出す舞園さんだが、正直何が何だか分からない。 僕がポカンとしていると、舞園さんはむっとした表情になって腰に手を当てた。 「苗木君、今日が何の日かご存知ないんですか?」 「何の日って、今日は確か10月31日…ああ!」 今日が何の日か思い出した僕は左の掌に右の拳をポンと当て、合点が行ったことを舞園さんに示す。 「そういえば今日はハロウィンだっけ。それで舞園さん、そんな恰好を…。」 「はい。魔法使いをイメージして、それっぽい衣装を揃えてみたんですけど…。どうです?似合いますか?」 そう言って舞園さんはその場でクルっと一回転し、僕に仮装の出来具合を尋ねてきた。 当然、とても良く似合っているとしか言いようが無い。 「ふふっ。ありがとうございます。」 「え?僕何も言ってないけど…。」 「エスパー…いえ、魔女ですから♪」 いつものやり取りにちょっとアレンジを加え、舞園さんは笑って小首を傾げる。 こう言っちゃ何だが、その恰好で言われると本当に魔法で僕の頭の中を覗いてるんじゃないかと思えてくる。 「それで苗木君。どうしますか?」 「どうするって、何を?」 「だから、お菓子をくれるんですか?くれないんですか?」 「う~ん。そうは言われても、今ちょっとお菓子の持ち合わせが無いんだよなぁ。」 「そうですか。じゃあイタズラするしかありませんね。ちょっと失礼しますね。」 「え?ちょっと舞園さん?」 僕の返事を聞く前に、舞園さんは部屋の中に入ってきてドアを閉めてしまった。 コスプレした舞園さんと部屋で2人きりという嬉しいシチュエーションなのだが、どこか素直に喜べなかった。 「あの、舞園さん?イタズラって、一体何をするつもりなの?」 「それは受けてからのお楽しみです。まずは目を閉じてください。」 「はあ…。」 舞園さんに言われるがまま僕は両目を閉じた。 これから一体何をされるんだろう?脇腹を思い切りくすぐられるのかな?それとも顔に落書きされるのかな? まあ何にせよ、江ノ島さんじゃあるまいし、えげつない事はされないだろう。 僕がそんな事を考えていると、顔の両側を軽く押さえられ、直後に柔らかい感触が唇に触れた。 まさかと思って目を開けてみると、僕のすぐ目の前に瞳を閉じた舞園さんの顔があった。 もしかして僕、舞園さんにキスされてる…? 鼓動が一気に早まり、顔が熱くなってくる。 舞園さんの唇が触れていた時間はほんの数秒だっただろうけど、僕にはとても長い時間に感じた。 「ま、舞園…さん。」 「イタズラ成功…です。」 唇を離した後、舞園さんは頬を染めてはにかみながらそう言った。 嬉しい反面、気恥ずかしくて僕は舞園さんを直視できない。 「こんなイタズラ、ずるいよぉ…。」 「ずるいなんて言葉、魔女には通用しませんよ。それじゃあ苗木君、来年はちゃんとお菓子の準備をしておいて下さいね。」 舞園さんはひらひらと手を振りながら僕の部屋から出て行った。 僕の気のせいかもしれないが、部屋を出ていく時の舞園さん、ちょっと駆け足気味だったような…。 それよりも、来年もやるつもりなのか舞園さんは!? 「来年もお菓子の準備、しないでおこうかな…。」 って!僕は何を考えてるんだ!? 思わず出た自分の言葉に、僕はさっき以上に恥ずかしくなり、ベッドに飛び込んで頭を抱えてのた打ち回る。 僕はすっかり、あの可愛い魔女に魔法をかけられてしまったようだ。 -----
10月末日。 僕が寄宿舎の自室でくつろいでいると、部屋のインターホンが鳴った。 僕が部屋のドアを開けると、そこには黒ずくめの衣装に身を包んだ舞園さんが立っていた。 幅の広い帽子にノースリーブのワンピース、手袋やブーツに至るまで黒で統一され、ローブのようなものまで羽織っていた。 「ええと、舞園さん?その恰好は一体…?」 僕にそう尋ねられた舞園さんは… 「Trick or Treat!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃいますよ~!」 「…は?」 眩しい笑顔で両手を前に差し出す舞園さんだが、正直何が何だか分からない。 僕がポカンとしていると、舞園さんはむっとした表情になって腰に手を当てた。 「苗木君、今日が何の日かご存知ないんですか?」 「何の日って、今日は確か10月31日…ああ!」 今日が何の日か思い出した僕は左の掌に右の拳をポンと当て、合点が行ったことを舞園さんに示す。 「そういえば今日はハロウィンだっけ。それで舞園さん、そんな恰好を…。」 「はい。魔法使いをイメージして、それっぽい衣装を揃えてみたんですけど…。どうです?似合いますか?」 そう言って舞園さんはその場でクルっと一回転し、僕に仮装の出来具合を尋ねてきた。 当然、とても良く似合っているとしか言いようが無い。 「ふふっ。ありがとうございます。」 「え?僕何も言ってないけど…。」 「エスパー…いえ、魔女ですから♪」 いつものやり取りにちょっとアレンジを加え、舞園さんは笑って小首を傾げる。 こう言っちゃ何だが、その恰好で言われると本当に魔法で僕の頭の中を覗いてるんじゃないかと思えてくる。 「それで苗木君。どうしますか?」 「どうするって、何を?」 「だから、お菓子をくれるんですか?くれないんですか?」 「う~ん。そうは言われても、今ちょっとお菓子の持ち合わせが無いんだよなぁ。」 「そうですか。じゃあイタズラするしかありませんね。ちょっと失礼しますね。」 「え?ちょっと舞園さん?」 僕の返事を聞く前に、舞園さんは部屋の中に入ってきてドアを閉めてしまった。 コスプレした舞園さんと部屋で2人きりという嬉しいシチュエーションなのだが、どこか素直に喜べなかった。 「あの、舞園さん?イタズラって、一体何をするつもりなの?」 「それは受けてからのお楽しみです。まずは目を閉じてください。」 「はあ…。」 舞園さんに言われるがまま僕は両目を閉じた。 これから一体何をされるんだろう?脇腹を思い切りくすぐられるのかな?それとも顔に落書きされるのかな? まあ何にせよ、江ノ島さんじゃあるまいし、えげつない事はされないだろう。 僕がそんな事を考えていると、顔の両側を軽く押さえられ、直後に柔らかい感触が唇に触れた。 まさかと思って目を開けてみると、僕のすぐ目の前に瞳を閉じた舞園さんの顔があった。 もしかして僕、舞園さんにキスされてる…? 鼓動が一気に早まり、顔が熱くなってくる。 舞園さんの唇が触れていた時間はほんの数秒だっただろうけど、僕にはとても長い時間に感じた。 「ま、舞園…さん。」 「イタズラ成功…です。」 唇を離した後、舞園さんは頬を染めてはにかみながらそう言った。 嬉しい反面、気恥ずかしくて僕は舞園さんを直視できない。 「こんなイタズラ、ずるいよぉ…。」 「ずるいなんて言葉、魔女には通用しませんよ。それじゃあ苗木君、来年はちゃんとお菓子の準備をしておいて下さいね。」 舞園さんはひらひらと手を振りながら僕の部屋から出て行った。 僕の気のせいかもしれないが、部屋を出ていく時の舞園さん、ちょっと駆け足気味だったような…。 それよりも、来年もやるつもりなのか舞園さんは!? 「来年もお菓子の準備、しないでおこうかな…。」 って!僕は何を考えてるんだ!? 思わず出た自分の言葉に、僕はさっき以上に恥ずかしくなり、ベッドに飛び込んで頭を抱えてのた打ち回る。 僕はすっかり、あの可愛い魔女に魔法をかけられてしまったようだ。 -----

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