kk6_93

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霧「苗木君、プレゼントよ」 苗「え? ど、どうしたの、唐突に…」 霧「いつもあなたに貰うばかりだから…たまには私からも、と思って」 苗「そんな、気を使わなくても良いのに…でも、ありがとう」 苗「これは…小説?」 霧「ポーよ」 苗「ぽー…?」 霧「知らない? エドガー・アラン・ポー」 苗「ご、ごめん…詳しくなくて」 霧「江戸川乱歩…という名前を聞いたことはないかしら?」 苗「確か、小説家…だよね?」 霧「推理小説作家よ。怪人二十面相や少年探偵団…くらいなら、あなたも知っているでしょう」 苗「あ、うん」 霧「彼の『江戸川乱歩』というペンネームは、エドガー・アラン・ポーをもじったものなの」 苗「へえ、そうなんだ」 霧「ええ。ポーは史上初、推理小説というジャンルを確立した作家とされているのよ」 苗「ふうん」 霧「名探偵による推理の展開や、その助手による第三者的視点からの語りなんかも彼が定型化して…」 苗(霧切さん、いつになく饒舌だなぁ) 苗(やっぱり好きなもののことになると、さすがの霧切さんも身が入っちゃうんだろうなぁ) 苗(いつものクールな霧切さんも良いけど、こういうのに夢中な姿も結構可愛い…かも) 霧「それで、あなたに渡したのは私が一番好きな、……苗木君?」 苗「……え? あ、ごめん…何?」 霧「……」 苗「…あの、霧切さん?」 霧「やっぱり、あなたには退屈な話だったかしら…」 苗「えっ?」 霧「ごめんなさい…興味のないことを延々と話されても、つまらないわよね」 苗「いや、あの…」 霧「あなたのような世間一般の男の子が、いったい何をプレゼントされたら喜ぶか、分からなくて…」 霧「せめて自分の好きなものを、と思ったのだけれど…」 霧「…どうやら、失敗だったみたいね。次はもっとマシなものを用意しておくわ…ごめんなさい」 苗「そ、それは違うよ! 興味ない話なんかじゃないよ」 霧「…でも、現にあなたは…」 苗「別に霧切さんの話が退屈とかじゃなくて、驚いちゃってさ」 霧「…驚く?」 苗「霧切さんって、普段はあまり自分のこと話さないでしょ」 霧「そ、そうかしら…」 苗「そうだよ。だから、こうやって好きなものの話をしてくれるのが、なんか新鮮で…」 霧「……」 苗「やっぱり霧切さんにも、女の子らしい可愛い一面もあるんだな、って考えてたんだ」 霧「!?」 霧「……、それは普段の私が女の子らしくない、という意味?」 苗「え!? あっ、いや、そういうわけじゃなくて、もちろん普段も可愛いんだけど」 霧「!! な、…生意気よ、苗木君のくせに…」 苗「えぇー…」 霧「……罰として、その本は明日までに読んできなさい」 苗「うん。霧切さんがせっかくくれた本だもん、帰ったらすぐに読むよ」 霧「……もう」 ----

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