頼りにしてます

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「勉強を?」 「はい。しばらく学校に来ないうちに、数学が全くわからなくなっていたので、苗木君に教えてもらえたらと思って…」 やっぱり、迷惑ですよねと、曇った顔を見せると、苗木君はあわてて、そんなことないよとOKしてくれた。 …そんな風だから、私につけいられちゃうんですよとは、さすがに口に出せない。 「それで、判別式に全部代入して…。 これで全部終わり、かな?」 「なるほど。苗木君、結構教えるのが上手なんですね」 彼の教え方は、要点をつかんだ、非常にわかりやすいものだった。それは、この学校に来てから、身についた能力かもしれないが。 中学生くらいの生徒たちの前で教卓に立つ彼を想像し、一人でふふ、と笑ってしまう。 「…? そういえば、何でボクを選んだの?もっと教えるのが上手そうな人なら、クラスにもたくさんいるのに…」 あなたと一緒に居たかった、というのも大きな理由なんだけど。 「なんていうか…苗木君、平均点は確実に取れるじゃないですか」 「うん」 「なら、苗木君が分からなかったところをやらなくても、最低限のことは理解できるかな、て…」 これだけを言うと、彼を傷つけてしまうだろうか。そんな心配は杞憂に終わり。   「ボクなんかで役に立てたなら、嬉しいけどね」   またお人好しなことを。…少し困らせちゃいましょうか。 私は、胸の中に湧き上がるいたずら心を抑えきれずに、 「じゃぁ、明日は英語をよろしくお願いします!」 さあ、どうだ。 「…もちろん、いいよ。舞園さんがボクに頼んでくれれば、」 ボクにできることは何でもするよ。そう言ってはにかむ彼の瞳は、いつも通り真っ直ぐで。   「嘘じゃないですよね?」 ちょっと驚いたが、彼の言葉は素直に嬉しい。 そんな風だから、私はあなたに甘えちゃうのに。 でも、これからは、あなたのお墨付きだから。 「…頼りにしてますよ、苗木君」 うなずく彼の顔は、私と同じように真っ赤だった。 -----
「勉強を?」 「はい。しばらく学校に来ないうちに、数学が全くわからなくなっていたので、苗木君に教えてもらえたらと思って…」 やっぱり、迷惑ですよねと、曇った顔を見せると、苗木君はあわてて、そんなことないよとOKしてくれた。 …そんな風だから、私につけいられちゃうんですよとは、さすがに口に出せない。 「それで、判別式に全部代入して…。 これで全部終わり、かな?」 「なるほど。苗木君、結構教えるのが上手なんですね」 彼の教え方は、要点をつかんだ、非常にわかりやすいものだった。それは、この学校に来てから、身についた能力かもしれないが。 中学生くらいの生徒たちの前で教卓に立つ彼を想像し、一人でふふ、と笑ってしまう。 「…? そういえば、何でボクを選んだの?もっと教えるのが上手そうな人なら、クラスにもたくさんいるのに…」 あなたと一緒に居たかった、というのも大きな理由なんだけど。 「なんていうか…苗木君、平均点は確実に取れるじゃないですか」 「うん」 「なら、苗木君が分からなかったところをやらなくても、最低限のことは理解できるかな、て…」 これだけを言うと、彼を傷つけてしまうだろうか。そんな心配は杞憂に終わり。   「ボクなんかで役に立てたなら、嬉しいけどね」   またお人好しなことを。…少し困らせちゃいましょうか。 私は、胸の中に湧き上がるいたずら心を抑えきれずに、 「じゃぁ、明日は英語をよろしくお願いします!」 さあ、どうだ。 「…もちろん、いいよ。舞園さんがボクに頼んでくれれば、」 ボクにできることは何でもするよ。そう言ってはにかむ彼の瞳は、いつも通り真っ直ぐで。   「嘘じゃないですよね?」 ちょっと驚いたが、彼の言葉は素直に嬉しい。 そんな風だから、私はあなたに甘えちゃうのに。 でも、これからは、あなたのお墨付きだから。 「…頼りにしてますよ、苗木君」 うなずく彼の顔は、私と同じように真っ赤だった。 -----

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