霧切さんの正体-解答編

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… 苗木「僕をハメる気だったんだな!」 怒りのこもった僕の声が霧切さんの部屋中に響き渡る。 霧切「……。なにを言ってるかわからないわね」 相変わらずの無表情で霧切さんは、僕に刺すような目線を送る。 苗木「…ところで、今日は何日かな?」 この一言に霧切さんは、やはり気づいていたか、と言った様子で視線を下にやる。 霧切「3月31日ね」 僕はたたみかけるように、部屋の壁にかけてある雑貨、カレンダーを指差しながら言った。 苗木「…そこのカレンダー、もう4月になってるね。」 霧切「そうね。」 苗木「聞くまでもないと思うけど、4月1日は何の日かな?」 霧切「…知らないわ。」 苗木「…まだ嘘を付いていい日じゃないよ。」 霧切「…。」 4月1日はエイプリルフール。嘘を付いていい日だ。 霧切さんの沈黙を、エイプリルフールを知っているものとして続ける。 苗木「霧切さんはエイプリルフールを利用して、僕をおちょくって遊んでいたんだ。    頭をなでさせて、告白までさせて、最後は「嘘だった」って言って僕を笑うつもりだったんだ」 霧切「…。」 苗木「でも、途中で日付が違うことに気づいてしまった。面白みが無くなった霧切さんは、    軽く始めた遊びなんかさっさと放り投げてまたいつもの霧切さんに戻ったんだ。」 霧切「ふぅん…」 苗木「コンビニに行ったのも日付が半信半疑だったからじゃないの?    レシートをもらって日付を見れば確実だからね。」 ここまで言い切ると、腕を組んでいた霧切さんがふう、と小さくため息をついて目をつぶる。 霧切「…ま、さすがにごまかし方が雑だったわね」 霧切「…で?どうするの?」 苗木「僕が言った事を認めるんだね?」 霧切「そうね。」 嘘を暴かれた、と言うのに依然無表情の霧切さんをキッと見据える。 苗木「僕は嘘じゃなかった。」 霧切「…。」 苗木「好きだって言ったのも本当だし、あんな恋人同士みたいになれたのは嬉しかった。」 霧切「ごめんなさい…悪かったわ。」 苗木「…僕はこの事務所を出ていく。まさかこんなに酷い嘘を付く人だって思わなかった。」 霧切「…!ご、ごめんなさい。本当に謝るわ。本当に…ごめんなさい。」 苗木「ダメだ。出ていく。僕は本当に怒ってる。嘘を付くにも限度がある。」 嘘を付かれるのはある程度構わないが、人の気持ちを馬鹿にするような嘘は許せなかった。 霧切「わ、悪ふざけが過ぎたわ…本当にごめんなさい…それに、全部嘘って訳じゃ…」 苗木「…全部嘘じゃない?どれが本当なの?」 霧切「その…その…苗木くんの事がっていう…その…」 霧切さんは耳まで赤くして何かを言おうとしている。 苗木「…はっきり言ってくれないとわからないよ。僕は霧切さんにすぐ騙されるような頭だからね。」 霧切「ちょ、ちょっと…もう、どっちが意地悪よ…」 苗木「僕は意地悪じゃないよ。ところでこれは何?」 霧切さんの机に無造作に置いていたネコミミバンドを掴み上げる。 霧切「あっ、ちょっ、それは…」 苗木「これはシャム猫の耳かな…高貴なシャム猫は霧切さんのイメージにぴったりだね。」 霧切「それは…その…」 苗木「もしかして、昨日付けようとしたけど恥ずかしすぎて付けられなかったとか?」 霧切「ち、ちがっ…」 苗木「じゃあなんなの?」 霧切「…」 30秒ほどの、お互いにはすごく長く感じる沈黙が流れる。 霧切さんは顔を真っ赤にしながらずっともじもじしながら考えこんでいる。 苗木「…またなにか嘘をついて切り抜けようとしてるんだね…!もういい。もう霧切さんとはやっていけないよ!」 きっ、と霧切さんを睨みつけ、部屋を出ていこうとする。しかし… 霧切「い、いや!そうよ!そのネコミミは昨日付けようとしたのよ!    そのほうが可愛いと思ったけど、私には似合わなかったから…」 部屋の中に響く妙に高く焦った声。 いつもクールな霧切さんからは聞いた事もない声だ。 苗木「…本当に申し訳ないと思ってるなら、そのネコミミをつけてほしいな。」 霧切「…えっ!?」 苗木「僕だけ恥をかいたって不公平だよね?早くネコミミをつけて。」 霧切「…くっぅ…」 苗木「大丈夫。絶対に可愛いよ。」 霧切「…。」 恐る恐る、といった手つきでシャム猫の耳を装着する霧切さん。 耳や顔だけじゃなく、手まで赤くなっている気がする。 霧切「ほ、ほら…全然似合わないでしょ…やるだけ無駄よ…」 苗木「いや、可愛い。すごく似あってるよ」 顔を真っ赤にさせながら、限界まで顔を背ける霧切さん。 もはや顔と体が完全に違う方向を向いている。 苗木「霧切さん。可愛いからこっち向いて。    そして、僕にやってほしい事があるんだよね?」 そう言って、霧切さんの部屋にあるベッドにどかっと腰掛ける。 霧切「…はっ!?な、なにを言っているのかしら!?」 苗木「昨日のことは嘘だったの?僕に頭をなでなでしてほしいんだよね?」 霧切「そ、それは…」 苗木「嘘だったんだね?」 霧切「う、嘘じゃない!ほんとなところもある…」 苗木「そう。じゃあお願いしないとダメだよね?」 ほんとに?といった顔でこちらを見られたが、僕が真剣そのものだとわかるとすぐしおらしくなる。 弱々しく、僕のとなりに腰掛ける。 霧切「……頭を…」 苗木「頭を?」 霧切「頭を…撫でてほしい…」 苗木「…違 う よ ね ?」 霧切「えっ」 苗木「あたまなでなでして~ でしょ?」 霧切「……………くっ!」 霧切「あたま…なでなで…」 苗木「なでなで?」 霧切「し…し…」 苗木「…」 霧切「あたま…なでなで…して…」 最後の理性がまだ残っているのか、顔を赤らめながらも、まだ目付きは凛々しいままだ。 苗木「ふう、それが霧切さんの本心か。ようやく本音が聞けた気がするよ。」 すぐ隣にいる霧切さんの頭に手を伸ばし、優しく撫でる。 苗木「まだお願いすることがあるよね?」 霧切「へっ?」 苗木「…膝枕も嘘だったんだ…」 あれはっ、と霧切さんが一瞬漫画のようなリアクションを取りそうになるが、僕が真剣な顔をしているとやはりすぐ大人しくなる。 霧切「ひ、ひざまくら、して」 苗木「うん、いいよ!」 すっと霧切さんの頭を太ももに招き入れる。 まるで本当に借りてきた猫のようだ。 苗木「…じゃあ最後に、一番重要なことがあるよね?」 霧切「えっ、なに?」 苗木「…言わないとわからないかな…」 霧切「えっと、あのー…」 苗木「わからない?」 霧切「わ、わかる!」 もちろん、軽くこなされてしまったあの告白だ。 僕は素直に言ったのだから、霧切さんにもシラフの状態で素直に言ってもらう。 苗木「僕は、霧切さんのこと大好きだけど、霧切さんは?」 霧切「あ、あの、ふむぅ…えぇと…す、す、…」 (省

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