kk9_324-325

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子供の頃に見た刑事ドラマの1シーンに、雨の降りしきる中で手掛かりを探そうと地べたに這い蹲る場面をふと思い出した。 主人公の全身がずぶ濡れになろうと、同僚の刑事を撃ち抜いた弾丸を必死になって探している場面だ。 それによく似た光景が僕の目の前で繰り広げられていた。 ~ 濡れる大捜査線 ~ 「ねぇ、霧切さん。霧切さんってば!」 「……捜索の邪魔をしないでくれる? 集中しているんだから」 「人通りもないんだしさ、雨が止んでから再開してもいいと思うよ? このままじゃ絶対風邪引くって」 「そんな気遣い……!」 不要よ、苗木君の癖に生意気ね――。 お決まりの台詞を言うのかと思いきや、何かを発見したらしい。 「……BINGO」 その英単語をつぶやくとわずかに口元が緩んだ。 念願の手掛かりの品が見つかってご満悦のようだ。 そんな彼女の労を労うように頭の上から自分の傘を被せる。 「やったね、霧切さん」 「やったわ、苗木君」 「手掛かりの品も見つかったことだし戻ろう。このままじゃ風邪引いちゃう」 「心外ね。私はそんなにヤワじゃな……クシュン!」 「ほらほら、言わんこっちゃな……い!?」 言ってる傍からくしゃみをする霧切さんに少しお小言を言おうとした矢先に気づいてしまった。 白のブラウスという城壁を越えて垣間見る、下着という本丸が――! うわー霧切さん、黒のブラジャーってすっごくアダルティだねぇ――じゃなくて! 流石に凝視したら不味いと思うので、そっぽを向きながら遠回しに気づいてもらう様にしてみよう。 「き、きききぎりさん? 寒いと思うからジャケットのボタン閉めたらどどどどうかな?」 「? あなたの方こそ大丈夫なの? 寒さで呂律が回ってないじゃない」 「失礼、かみまみた……じゃなくて! ほら、こう……風に当たったら余計寒いじゃない?」 「こんな濡れネズミになっているんだから今更ジャケットを閉めても手遅れよ」 それに余計に衣服がベタついて不快ね――、そんな風にぼやく姿を見ると下着が透けていることに気づいてないかもしれない。 前略、学園長。 あなたの娘さんはけしからん……! もとい、もう少し自分への観察眼を持ってくれると助かります。 えぇい、こうなったら実力行使だ! 自分の着ているサマーパーカーを脱ぎ、霧切さんに差し出す。 「もうダメだよ! いいからコレ、着て!」 「そうしたら今度はあなたまで風邪を引くリスクが高まるわ」 「四の五の言わずに、さぁ!」 「おかしいわね……。助手を連れて歩いたはずだけど、いつから小姑を連れてきたのかしら……?」 「もう!」 説得が無駄に終わったので、霧切さんの肩にかけるようにパーカーを被せる。 ついでに髪も雨から守るようにフードも被せておく。 「……こうして苗木君と問答しているより、どこかで雨宿りをする方が効率的ね」 「その提案はすっごく魅力的だね」 「あなたも言うようになったじゃない」 「二人とも風邪でダウンして、依頼人に報告できなかったら元も子もないからね」 僕らは一刻も早く雨宿りする場所を求めて競歩で歩いたりしている。 さながら二人三脚みたいだ。 こう、相合傘ってもっとゆっくり寄り添って歩くものだと思っていた。 イチャイチャとした雰囲気を醸し出すこともなく、僕らは適当に屋根があるだけの雨風が凌げる建物で一休みする。 「うへぇ、靴の中がビショビショ……」 「仕方ないわね、ここで休憩しましょう」 「へ? 休憩?」 こんな夜遅くにそもそも開いているの? ――なんて疑問を口にしようとしたら建物の看板が目に付いた。 そこには建物名、休憩と宿泊の料金システムが簡単に書かれていた。 ――どう見てもブティックホテルです。本当にありがとうございました。 「ま、まずいよ霧切さん! 僕らはまだ高校生であって、不純異性交遊の場に足を踏み入れちゃあ!」 「? ただここで休憩するだけでしょう? 何か問題があるの?」 「ここ、江戸時代風に言えば"出会い茶屋"なんだ。……ここまで言えばわかるよね、霧切さん!?」 「……ごめんなさい、苗木君。益々わからないわ。私、海外での生活が長いから日本史は少し苦手なの」 「あ、待ってよ!」 そう言って僕の制止を振り切り、室内に入る霧切さんだった。 ――そこから先の展開はまぁ、皆さんのご想像にお任せします。 結局、僕らは"休憩"ではなく"宿泊"をしたとだけ付け加えておくよ。 完

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