kk9_970-971

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※このSSは「スーパーダンガンロンパ2」の重要なネタバレが含まれています。 本編を未プレイの方でネタバレが嫌な方は回れ右を推奨します。 閲覧の際は自己責任の下でよろしくお願いします。 「監視役アバター……?」 「ええ。こちらで作って欲しいそうよ」 未来機関、その第14支部。  今日も今日とて世界の復興のための業務に追われる僕らのもとに舞い込んで来た新しい指令は、 製作中の新世界プログラム――またの名を、絶望更正プログラム――における被験者たちの生活に こちら側の監視役として潜り込ませるための人格プログラムの作成だった。  なんでも、目指す先が「善き人間関係」なんてものである以上、外からだけでなく内側からも 「生徒」たちの行動を誘導しサポート出来る存在がいれば非常にで有効あろうことが見込まれるのだとか。 「理解は出来るけど……人格プログラムなんてそうそう簡単に組めるものじゃないでしょ。なんで僕らに」 「必要なのは『設定』よ。貴方はおおまかにそのアバターに与えたい設定を考えるだけ。  向こうでその通りにプログラミングしてもらって、最後にもう一度貴方がそれを監修すればいいの」    あの『コロシアイ学園生活』を経験した僕らの視点からこそ、見知らぬ人との共同生活においての「こんな人いたらなぁ」という 理想的人間像が生み出される………らしい。 「最近、優遇されてんだか冷遇されてんだかわかんなくなってきたよ……妙な仕事ばっかりで」 「気負わなくていいわよ。貴方は、貴方が思う理想の人間像を箇条書きにすればいいだけ。中学生でもやれそうじゃない」 「まぁ、そうかな……ところで霧切さん」 「何?」 「さっきから貴方が貴方がって言ってるけど、まさか僕に全部やらせる気じゃないよね?」 「苗木君、最近身長伸びたんじゃないかしら」 「えっ!?」 「丁度ここにメジャーがあるわ。背筋を伸ばして………うん、0.2cm伸びてるわね」 「ほ、ホント!?うわぁ、やっぱりそんな気がしてたんだよ!」 「男は25の誕生日の朝飯前まで伸びると言われるし、この調子で私も追い越しちゃうんじゃないかしら」 「そ、そうなっちゃうかもね………アハハ……」 「それじゃ、この件はお願いするわね」バタン 「あ、うん、じゃあね。……あれっ」 まんまとしてやられた。あの巧みな交渉術も、元超高校級の探偵のスキルのなせる技だ。メジャーまで用意してあったし。 ……でも背が伸びたのは事実みたいだし、そこは素直に喜んでいいと思う。そういえば最近髪切ってないな。 ――それにしても。 (理想の人間像、ねえ……)  そんなことを考えていると勝手に追求先が「理想の異性像」に変わってしまっていくのは、多分大半の人間が そうなんじゃないかと思う。「自分がこうなりたい」という、所謂「理想の自分像」であれば必然同性にもなろうが、 「こういう人にいてほしい」なんてテーマで考えると、つい生物の本能は異性へ思考を傾ける。 (………何考えてんだ、僕は)  そして、その像がさっき僕に面倒ごとを丸投げして帰っていった彼女に近づいていってしまうのは、所謂色ボケというやつなんだろう。 希望ヶ峰学園から脱出して以降、未来機関に入ってからも行動を供にし、良きパートナーとして以上の想いを自分が彼女に抱いていることに 気づくのに、時間はそうかからなかった。で、そこから、まぁ、なんやかんやあって、正式に恋仲みたいになるんだけど、そこは割愛。   (綺麗な銀髪に、長髪。いざって時に引っ張ってくれる強さもあって、それでいて根っこは優しい……)  ……なんか、書いてて自分がとんでもなくこっ恥ずかしいことをしてるんじゃないかってことに気づいた。なにを理想の人間像聞かれて 自分の彼女の特徴書き連ねてんだ。新婚か。このままだと間違いなく他人に見せられないものが出来上がる。ちょっとやり直そう。 そうだ。今聞かれてるのは『理想』。僕だって霧切さんに対して一切不満を抱いたことがないわけじゃない。現にさっきだって逃げられたし。 やってやろうじゃないか。とことん理想を追求してやる。多少でも感じたことのある不満を全部「この子」に解消させてしまえ。 (性格は、おしとやかで素直。理不尽に虐げてきたりしない。助けてはくれるけど、引っ張るというより横から寄り添って支えてくれる感じ) (頑張れる子だけど、神経張ってばっかじゃなくて気を抜いていいときはちゃんと気を抜いてくれる。自然なふんわりとした笑顔がステキ) (外見は……髪色くらいは残していいか。でも長髪だとなんかあからさまだし、短く……あと身長は160。僕より小さい。0.2cm小さい。で……)  手が止まる。外見のうち、首から下についての項目。要はプロポーションである。 (ていうか外見と内面の大枠二つでいいよ。なんでスリーサイズ書く用の欄があるんだよ。完全に欲望を叩きつけろって言ってるでしょ)  ――別に、体型について霧切さんに不満を持ったことはない。その段階まで進んでいないというのもあるが、実際彼女は普通に スタイルがいい部類に入ると思う。朝比奈さんとか、舞園さんとか、ほかに目立つ子がいたのは事実だけど。 (……いや、ここは欲望を出していい場面だ。むしろ出すべき場面だ。そのための欄だろうここは。これが僕の希望だァーーーっ!)  数日後、霧切さんがなんとなく白い目で僕を見るようになった。 うん。そうだよね。そりゃ目通すよね。というかこういうの一人の人間に一任すること自体おかしいと思うんだ実際。 超高校級の希望、苗木誠の内の男としての希望は、かくして白日の下にさらけ出されることになっちゃったのである。
. ※このSSは「スーパーダンガンロンパ2」の重要なネタバレが含まれています。 本編を未プレイの方でネタバレが嫌な方は回れ右を推奨します。 閲覧の際は自己責任の下でよろしくお願いします。 「監視役アバター……?」 「ええ。こちらで作って欲しいそうよ」 未来機関、その第14支部。  今日も今日とて世界の復興のための業務に追われる僕らのもとに舞い込んで来た新しい指令は、 製作中の新世界プログラム――またの名を、絶望更正プログラム――における被験者たちの生活に こちら側の監視役として潜り込ませるための人格プログラムの作成だった。  なんでも、目指す先が「善き人間関係」なんてものである以上、外からだけでなく内側からも 「生徒」たちの行動を誘導しサポート出来る存在がいれば非常にで有効あろうことが見込まれるのだとか。 「理解は出来るけど……人格プログラムなんてそうそう簡単に組めるものじゃないでしょ。なんで僕らに」 「必要なのは『設定』よ。貴方はおおまかにそのアバターに与えたい設定を考えるだけ。  向こうでその通りにプログラミングしてもらって、最後にもう一度貴方がそれを監修すればいいの」    あの『コロシアイ学園生活』を経験した僕らの視点からこそ、見知らぬ人との共同生活においての「こんな人いたらなぁ」という 理想的人間像が生み出される………らしい。 「最近、優遇されてんだか冷遇されてんだかわかんなくなってきたよ……妙な仕事ばっかりで」 「気負わなくていいわよ。貴方は、貴方が思う理想の人間像を箇条書きにすればいいだけ。中学生でもやれそうじゃない」 「まぁ、そうかな……ところで霧切さん」 「何?」 「さっきから貴方が貴方がって言ってるけど、まさか僕に全部やらせる気じゃないよね?」 「苗木君、最近身長伸びたんじゃないかしら」 「えっ!?」 「丁度ここにメジャーがあるわ。背筋を伸ばして………うん、0.2cm伸びてるわね」 「ほ、ホント!?うわぁ、やっぱりそんな気がしてたんだよ!」 「男は25の誕生日の朝飯前まで伸びると言われるし、この調子で私も追い越しちゃうんじゃないかしら」 「そ、そうなっちゃうかもね………アハハ……」 「それじゃ、この件はお願いするわね」バタン 「あ、うん、じゃあね。……あれっ」 まんまとしてやられた。あの巧みな交渉術も、元超高校級の探偵のスキルのなせる技だ。メジャーまで用意してあったし。 ……でも背が伸びたのは事実みたいだし、そこは素直に喜んでいいと思う。そういえば最近髪切ってないな。 ――それにしても。 (理想の人間像、ねえ……)  そんなことを考えていると勝手に追求先が「理想の異性像」に変わってしまっていくのは、多分大半の人間が そうなんじゃないかと思う。「自分がこうなりたい」という、所謂「理想の自分像」であれば必然同性にもなろうが、 「こういう人にいてほしい」なんてテーマで考えると、つい生物の本能は異性へ思考を傾ける。 (………何考えてんだ、僕は)  そして、その像がさっき僕に面倒ごとを丸投げして帰っていった彼女に近づいていってしまうのは、所謂色ボケというやつなんだろう。 希望ヶ峰学園から脱出して以降、未来機関に入ってからも行動を供にし、良きパートナーとして以上の想いを自分が彼女に抱いていることに 気づくのに、時間はそうかからなかった。で、そこから、まぁ、なんやかんやあって、正式に恋仲みたいになるんだけど、そこは割愛。   (綺麗な銀髪に、長髪。いざって時に引っ張ってくれる強さもあって、それでいて根っこは優しい……)  ……なんか、書いてて自分がとんでもなくこっ恥ずかしいことをしてるんじゃないかってことに気づいた。なにを理想の人間像聞かれて 自分の彼女の特徴書き連ねてんだ。新婚か。このままだと間違いなく他人に見せられないものが出来上がる。ちょっとやり直そう。 そうだ。今聞かれてるのは『理想』。僕だって霧切さんに対して一切不満を抱いたことがないわけじゃない。現にさっきだって逃げられたし。 やってやろうじゃないか。とことん理想を追求してやる。多少でも感じたことのある不満を全部「この子」に解消させてしまえ。 (性格は、おしとやかで素直。理不尽に虐げてきたりしない。助けてはくれるけど、引っ張るというより横から寄り添って支えてくれる感じ) (頑張れる子だけど、神経張ってばっかじゃなくて気を抜いていいときはちゃんと気を抜いてくれる。自然なふんわりとした笑顔がステキ) (外見は……髪色くらいは残していいか。でも長髪だとなんかあからさまだし、短く……あと身長は160。僕より小さい。0.2cm小さい。で……)  手が止まる。外見のうち、首から下についての項目。要はプロポーションである。 (ていうか外見と内面の大枠二つでいいよ。なんでスリーサイズ書く用の欄があるんだよ。完全に欲望を叩きつけろって言ってるでしょ)  ――別に、体型について霧切さんに不満を持ったことはない。その段階まで進んでいないというのもあるが、実際彼女は普通に スタイルがいい部類に入ると思う。朝比奈さんとか、舞園さんとか、ほかに目立つ子がいたのは事実だけど。 (……いや、ここは欲望を出していい場面だ。むしろ出すべき場面だ。そのための欄だろうここは。これが僕の希望だァーーーっ!)  数日後、霧切さんがなんとなく白い目で僕を見るようになった。 うん。そうだよね。そりゃ目通すよね。というかこういうの一人の人間に一任すること自体おかしいと思うんだ実際。 超高校級の希望、苗木誠の内の男としての希望は、かくして白日の下にさらけ出されることになっちゃったのである。

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