kk13_502-505

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頭にバンダナを巻いたらエプロンを装着する。 「いざ進めやキッチ~ン♪ 目指すはチョコレート♪」 鼻歌を口ずさみながらキッチンに立つ。 無塩バター、砂糖、塩、卵、薄力粉。そして主役のチョコレート。 よし、材料は全て揃っているな。 早速腕まくりして僕は調理に取り掛かるのだった――。 ~ As You Like  take2 ~ 「おはよう」 「おはよう、霧切さん」 「おはよう苗木君。はい、これ」 朝の挨拶と一緒に可愛くラッピングされた四角い箱が手渡された。 そのまま自分のデスクに座らず十神君と葉隠君にも同じようにラッピングされた箱を手渡している。 僕ら男性三人衆は思わず顔を見合わせた。 そしてもう一度ラッピングされた四角い箱を凝視する。 うーん、霧切さんが男性陣みんなにチョコレートか――。 彼女も社交的になったというか、丸くなったというのか。 良い意味で変わっ「おい、どういうことだ説明しろ苗木っ!」「ななななんだべっ!?」 だけど十神君と葉隠君はそのギャップに絶賛困惑中だった。 変わる人もいれば、ぶれない人もいるんだなぁ――。 「そう言われても十神君、今日ってバレンタインだしさ……」 「けーどよぅ、あの霧切っちが俺達全員にチョコを渡すなんて嵐の前触れだべ」 「白夜様、中からは何の音もしません」 「……よし、問題ないなら開けてみろ」 四角い箱に耳を当てていた腐川さんが恐る恐る包装紙に手を掛け開け始める。 十神君と葉隠君は物陰に隠れながら様子を伺って――って、それ時限爆弾か何かじゃないんだからさぁ!? 「これは……カロリーバー?」 黄色いパッケージにチョコレート味の栄養補助食品が中から出てきた。 霧切さんを除く僕ら全員が呆気にとられてしまう。 「あの……何でこれをチョイスしたのかなぁ?」 「体に必要なタンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルをバランスよく配合して合理的じゃない? おまけに1本100キロカロリーとカロリー計算も簡単」 「白夜様の健康管理はア、アンタに心配されなくてもアタシが見ているんだからよ、余計な口出ししないでよ……!」 「霧切っちはどこか着眼点がズレてるべ」 うーん、確かにバレンタインは女性が男性にチョコレートを贈る習慣があるって説明したけどさ。 まさか、こう攻めてくるとは――。 まだまだ霧切さんのことをわかっているようでいて知らなかったようだ。 真のキリギリマイスターへの道は険しいなぁ――。 そんな風に考えながら貰ったカロリーバーを自分のデスクの引き出しに閉まった。 朝食を食べられなかった時や当直で空腹を紛らわすための非常食として活躍するだろうし。 そして腐川さんからは僕と葉隠君には何もくれず仕舞い。 曰く、"身も心も白夜様に捧げているんだから、アンタ達に分け与える筈ないでしょう――?"だとさ。 この日は非番だった朝日奈さんからは後日、ドーナツ店のチョコドーナツをくれたのだった。 ――――― 就業後に響子さんを"一緒に夕飯食べない――?"と自宅に招待すると二つ返事で了承してくれた。 「ただいまー」 「おじゃま…………ただいま」 「うん、おかえり」 そこまで他人行儀にしなくてもいいのに――って視線を送り続けると、響子さんは玄関に入る時の挨拶を訂正してくれた。 そして、軽めの晩御飯を食べ終わったら席を立つ。 予めドリップしておいたコーヒーを二つのマグカップに注ぐ。 一つはブラックで、もう一つは僕用に砂糖とミルクをブレンドさせて。 今度は冷蔵庫に保管していたトレーを開け、中のものを皿に載せる。 「あら、あなたの手作りなの……?」 「うん。一緒に食べよう?」 僕一人では運び辛いだろうと思ったのか、真後ろから響子さんが覗いてくる。 彼女にマグカップを2つ手渡し、皿は僕の方で運ぶ。 「それじゃ、いただきま「待って」……って、どうしたの?」 「私の方からも渡すものがあって……」 そう言って自分の鞄を漁り、一つの箱を取り出し僕の目の前に置いた。 「うわぁ、ありがとう……。でも、どうして? 響子さんからは朝に貰ったはずだよ?」 「あれはその、建前っていうかカムフラージュって言うのかしら……」 もじもじと三つ編みをいじる仕草がどこかかわいい。 つまり、こっちが本命ということか――。 「これは私個人として、あなたにはいつもお世話になっているから用意したわけで……」 「ありがとう、とっても嬉しいよ。開けてもいいよね?」 「もちろん」 ラッピングされた包装紙を捲る。うわっ、ゴディバって高級チョコレートじゃん! 一粒・数百円はする高価な代物だ。 「私の方も気になったけど、どうしてあなたの方も用意したの?」 「先週は僕の誕生日だったじゃん? 貰いっぱなしも何だか気が引けるからさ……だから手作り」 「チョコチップクッキーって懐かしい……。生前の母がティータイムによく作ってくれたわ」 「そうなんだ……。ウェブにあったレシピを真似て作ったやつだけど召し上がれ」 響子さんがクッキーを摘む。僕もハート型にデザインされたボックスの蓋を開けた。 中には6粒のアソート。早速ハートの先端部分にある黄色いチョコを一齧り。 ――あっ、蜂蜜が入っているのかコレ。 仕事で疲れた体を癒すようにジンワリと広がる甘さだ。 「「美味しい……」」 二人して同時に呟くのだった。 「クッキーのサクサク感や甘さ控えめなチョコレートも私好み……。流石ね、誠君」 「それは良かった。チョコはダークチョコレートを使ったんだ、コーヒーに合うようにって。こっちも美味しいよ」 「プロのパティシェが作ったんだから美味しいのは当然じゃない……」 「そうだけどさ、響子さんも食べなよ。お裾分け」 そう言ってピンク色のチョコを摘んで響子さんの目の前に差し出す。 「はい、あーん」 「あーん……」 おずおずと顔を伸ばし摘んだチョコを咥えて一齧り。 「全部食べてもいいのに……」 「あなたのものなんだから、あなたが食べなきゃ」 残った半分のチョコを自分の口に運ぶ。 うーん、ピンクというだけあってイチゴ味か。うまい。 そんなこんなでお互い相手の顔が綻ぶ姿に癒されながら食べ終わる。 その後は二人で洗い物をして、終わる頃には準備していたお風呂も沸くのであった。 「あ、今日は泊まっていくから」 「うん、別にいいよ。だったらお風呂、先に入っていいから」 「そうじゃなくて……。一緒に入りましょう? 背中を流してあげるわ」 「えっ!? どうしてまた?」 響子さんからこういう提案をしてくるのは珍しいケースで思わず吃驚してしまう。 「その……あなたを見習って私も自分の手で誠君を尽くしたくなったの」 「そっか。だったらお言葉に甘えちゃおっかな……?」 「だったら、いらっしゃい。ほら……」 彼女に手を掴まれ、先導される形で脱衣所に入る。 カッターシャツのボタンを外しながら提案してみる。 「でも、尽くされっぱなしも気が引けるかな。お風呂上りに弐大君直伝の"アレ"してあげるよ」 「そう……。期待しているわ」 口付けを交わすと、さっき食べたチョコクッキーとコーヒーの風味が口に広がる。 甘すぎず、苦すぎず――。何だか僕らの関係のような味がした。 完

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