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浴室用洗剤の泡と共に浴槽の水垢をシャワーの水で簡単に濯いでパネルの"湯はり"ボタンを押したらお風呂の準備は完了した。
後はお風呂が沸くまで待つだけとネクタイを緩めながらリビングに戻ると、響子さんが二人掛けのソファを独占するように横になっていた。
「あっ、ごめんなさい……。こんな行儀の悪い格好で」
「いいよ、そのまま足伸ばしてて。お仕事お疲れさま」
「あなたの方もお疲れ様」
申し訳なさそうに肘掛の部分に乗せていた足をどかそうとしたので、やんわりと止めておく。
長時間の運転で足が張っているのだろう。
少しでも早くその痛みから解放できるようにするのが支えるパートナーの務め。
お風呂が沸くまでのしばしの間、フローリングの床に座って待つくらい何のそのだ。
~ キリキス vol.1 ~
「響子さんの運転、隣で見ていたけどカッコよかったよ?」
「どういたしまして。久しぶりの運転に加え、左ハンドルではなかったから緊張したわ」
「けれどさ、いつ運転免許なんて取っていたの?」
「それは……日本に来日する前にハワイで取得したのよ」
「えっ、ハワイで?」
「当時ハワイ州は市民権を持てば短期間で自動車免許を取得できたの。筆記試験に合格すればすぐに仮免許が、一般道路での試験をクリアすれば直ちに発行してくれるわ」
「へぇ、そうなんだ……」
"自動車での尾行・追跡・逃走は探偵業には欠かせないじゃない――?"という理由に納得する。
ふと、目の前にある響子さんの脚に目が行く。
ほぼ一日中ペダル操作を行っていたことでいつもと違う足回りになっていることに気づく。
「ねぇ、響子さん……。ちょっと揉んでいいかな?」
「えっ……? い、いきなり何を言い出すの誠君?」
「あっ、ごめん。言い方が悪かったね、脚のことを言っているの」
「私の脚……?」
「うん。脚が張ってて何だか辛そうだから、揉んで少しでも疲れを取ってあげようと思ってさ。……ダメ、かな?」
「もう……。そんな顔で頼まれたら私が断れないじゃない……。いいわ、あなたの好きにして」
「ありがとう」
そう言って響子さんは両足をソファの肘掛け部分から僕の近くに下ろした。
まずは左右のふくらはぎの硬さを触って確かめてみる。
――うん、右の方が左より若干硬いな。
次は左足の膝裏に両手を添え、親指でゆっくりと3回圧してみる。
「……っ」
「ごめん、痛かった?」
「……大丈夫。平気よ」
同じように右足の膝裏に手を這わせて、親指で3回圧す。
左足に比べて若干硬いので圧す時間は気持ち長めに。
今度は足首を圧す。足首の内側に出っ張っている骨とアキレス腱の間を3回。
それを左右2セットずつ行ったら両手で足首を掴んだまま、膝下まで引上げる。
最後に両足のふくらはぎの硬さを比較するため、もう一度触って確かめる。
――うんうん。
クニクニと揉んで弾力具合を確かめてみると、マッサージする前と比べたら幾分か柔らかくなった感じがする。
「それで、整体師さん……。あなたの診療はこれで終わりかしら?」
「うん。後はお風呂に入って体全体の血の巡りを良くしよう」
「……ありがとう、誠君」
「どういたしまして」
そう言ってクスクス笑うと僕の息が脚にかかってくすぐったかったのか、彼女の足がピクリと震えた。
そんなリアクションを見て、僕の中に芽生えるイジワル精神がムクムクと湧き上がった。
彼女の右太股の内側を添えるように触れ、太股の外側にそっと唇を寄せてみる。
そして羽で撫でるかのようにそっとキスをしてみる――。
「……誠君?」
訝しげな呼び声に下から窺うように彼女と視線を合わせる。
「ダメ、かな……?」
「もう……」
先程と同じような確認を行うと、諦めにも似たような響きの溜め息が響子さんの口から漏れた。
それを僕は許可と受け取り、彼女の太股にキスの雨を降らせる行為に没頭した――。
舌でチロチロとゆっくりと丁寧に舐め、太股から脛へと降りていく。
時折ワザと音を立てるようにキスもしてみる。
ただの口づけ。
接吻。
キス。
幾度となく彼女と重ねた行為だというのに――。
普段触れたことのない箇所に唇が触れただけでこんなにも愛しくてたまらなくなってしまう。
僕の頭は既に霞がかって熱くなってしまう。
でも、やめられない――!
「……今度は私の番ね」
「えっ? ……うわっ!」
足の甲へのキスに没頭していたら、頭の上から響子さんの声が聞こえる。
"私の番――?"なんて疑問に思っていたら僕の体は素早くひっくり返された。
"パカー"と恥ずかしい姿の僕に響子さんが覆いかぶさる。
「ちょっと、響子さん?」
「あなたも甘んじて受けて……。いいわね?」
そう言って僕の右足の靴下をスルスルと脱がす。
そして僕の裸足に響子さんは顔を寄せてきて――。
「……っ、ぁぁあっ!」
「……フフッ」
僕のリアクションがご満悦のようで、彼女の目尻が緩む。
そして一指し指、中指と順番にキスをしてくる。
「ん、あっ、んくぅ、きょ、きょうこさ……ふぁっ!?」
あまりの恥ずかしさに目を瞑るのが拙かった。
今度は指と指の間を這うように舌先でなぞられる。
猫が皿のミルクを舐めるようにチロチロと――!
「や、やめてよ、響子さんってば!」
僕の悲鳴に似た叫びでピタリと止まる足の愛撫。
安堵の溜め息と同時に目を開けると、どこか不満そうな瞳で響子さんは僕を見つめている。
「あー、その、なんていうか、ほら……僕の足って汚いでしょ? 靴下の臭いとかも残ってさ」
「……あなたにされた行為をそのままお返ししただけじゃない。そもそも私達はそれ以上恥ずかしい箇所に触れた後もキスをするでしょう?」
「いや、確かにエッチの時にお互いのを舐めっこした後にキスはするけどさ……。あれは気持ちが昂ぶってたまらなくなるっていう「そもそも、この行為が汚いって言うならば……」
僕の反論を遮るように響子さんが二の句を告げようとした時、お湯が沸いたことを告げるアラーム音がリビングに響く。
「綺麗に洗い流せばいいじゃない?」
僕の手を取って起き上がらせてくる。
そして響子さんはその手を離さず浴室へと歩くのだった。
その行動でようやく気づいた。 僕だけじゃなく、響子さんも蕩けていたんだって――。
お互いスイッチが入っているだけに、これが只の入浴だけでは済まないことはわかっていた。
「ねぇ、響子さん。晩御飯はこの際だから手っ取り早くカップ麺でいいよね……?」