お出かけネタSS

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●1回目のお出かけ 舞園さんと食堂にやってきた。 普段は、みんなで揃って過ごす事も多い場所だけど… 今は、ボク達の他に人影はないみたいだ。 2人でやってきたきっかけは些細なことだ。 それは舞園さんが「よかったら、いっしょにお話しませんか?」と言ったからだ。 今日、ボク達は教室でモノクマのスペアを作るための素材を集めていた。 どの場所を誰が担当するかなどは、石丸クンが割り振っているが、 今日、ボク達はたまたま一緒の場所を調べたんだ。 そして、それが終わって、一緒にお疲れ様を言うために 2人で食堂にやって来たんだ。 他の人達もいるかな? と思ったけど、今日はまだ誰も来ていない。 もしかしたら、みんなで娯楽室にでも遊びに行っちゃったのかも。 「うーん、私たち2人で貸切ですね!」 舞園さんがニコニコとボクの方を見て、 ボクに視線を送ってくる。 見ているだけで、ボーっとしてしまうような穏やかな笑顔。 玄関前で自己紹介したときも感じたけど、見れば見るほどきれいだな。 「そ、そうみたいだね」 ……けど、舞園さんはボクと同じ中学校だったことも覚えてないだろうなぁ。 ひそかに舞園さんと同じ中学校だったことが、平凡なボクの数少ない自慢なんだけど……。 そんなボクの様子を見て、舞園さんは怪訝な顔をした。 「苗木君?」 小首をかしげるしぐさに、ドキリとしたボクは思わず、早口で言ってしまう。 「えぇっと、何を話そうか?」 舞園さんはきょとんとした顔をする。 「えーっと…そうですね…  何を話しましょうか?」 「「………………」」 「こ、困っちゃいましたね」 舞園さんのフォローの言葉に対して、思わず、ボクは無言になってしまう。 そもそもボクと彼女の共通点ってあるんだろうか? 舞園さんにとって、ボクなんてその他大勢で…… 「あのですね……」 「えぇっと……」 その後、ボク達はなんとも空々しい会話を繰り返した。 その中で分かった事はせいぜい次のようなことくらいだ。 「時間を潰すって、なかなか大変なんですね」 「ここに来て気が付いたんですけど、  私、時間を潰すのが苦手みたいで…」 「いつも忙しかったせいか、  やり方を忘れちゃったみたいです」 そう言うと、舞園さんはどこか悲しそうに笑った。 一緒に教室で作業していたときも、思ったのだけど、 舞園さんにはどこか焦りと心配事があるみたいだった。      ・・・ 今もいつかどこかで見たように…… 悲痛な顔をしている。 ……どこか?  ――それなのに、こんな所に閉じこめられて……  ――こうしている間にも、  ――私は……私たちは、  ――どんどん世間から忘れられてしまう…… 頭の中を何かが過った。 言葉ではなく、感情が揺さぶられるような何かがボクの心を揺さぶった。 「それじゃ、私は先に行きますね」 舞園さんは会話を打ち切り、 笑顔で立ち去ろうとした。 思わず、ボクは立ち上がり――言った。 「そういえば、ボクも同じ中学校だったんだ!」 「……え?」 舞園さんは何か意外なことを聞いたかのように、 わずかに開けた口元に手をあてた。 そして、舞園さんは言った。 「根黒六中ですよね?」 「う、うん」 「うふふ……もちろん知ってますよ」 「え?」 舞園さんは今までの笑顔がまるで嘘のように 嬉しそうに話し始めた。 「もしかして、苗木君? 私が苗木君のことを  覚えていないと思っていたんですか!?」 「え……。だって、ボクはそんなに目立たないし」 「ひどい! ひどいです! 苗木君!?」 「えーっ!?」 「私をそんな薄情な人だと思ってたんですね!?」 「そ、そんなことないよ」 「ひどいです、グス……」 「な、泣かないで、舞園さん!」 舞園さんが目に手をあてて、泣き声をあげはじめたので ボクは思わず駈け寄ってしまった。 しかし…… 「なんて、冗談ですよ」 駆け寄ったところで、満面の笑みを見せられた。 思わず、ボクの心臓が沸騰するかのように高鳴った。 「舞園さん……」 「くすくす……ごめんなさい。苗木君。からかっちゃいました」 舞園さんは目を細めてこちらを見ている。 やはり、とても嬉しそうだ。 朗らかで、穏やかで、とっても――。 「けど、苗木君。ひどいのはひどいと思いますよ」 「え……そうかな? 「はい! 思わず、私、忘れられちゃったんだと思いました――」 舞園さんの瞳がわずかにうるんでる。 「……忘れれるわけないよ。舞園さんは中学校のときから有名人だったんだし  むしろ、なんで舞園さんがクラスが一緒になったこともないボクのことを  覚えているのかのほうが驚きだよ」 「うーん……内緒です」 「え?」 「今度は苗木君が考える番ですよ!」 「えーっ!?」 舞園さんはくすくすと笑って言った。 「じゃあ、また、明日! 朝食のときに!」 舞園さんはそう言うと、スタスタと食堂のドアのところまで歩いていく。 ……宿題ってことかな? ボクがそう思って苦笑しながら頬をかいていると……。 「けど、本当に良かったと思ってますよ」 急に、舞園さんは振り返り、ボクへ向かって言った。 「苗木君が私のことを覚えていてくれて……」 にっこりと笑って言った。 振り返った舞園さんの笑顔は、今までボクが見た 誰のどんな笑顔よりも輝いていていた。 「これからはいっぱい一緒に朝ごはんを食べましょうね!」 ----

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