k20_268-269,271-274

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-------------  やっぱり苗木君に似ているわね、というのが話してみた感想。 「誰とでも友達になれるのが私の特技です!」と自負するだけはある。  こまるちゃんが話題を出して、苗木君がたしなめながらもみんなに振る。  仲の良い兄妹ね――ちょっと焼いてしまうくらい。  私が来てからだいぶ時間が過ぎたけれども、会話は尽きない。  今日来ていないメンバーの話や高校生活のこと。  今自分たちがどんなことをしているかを聞くだけでも楽しかった。 「あ、僕ちょっとお手洗い言ってくるね」  会話がひと段落したところで苗木君が席を立った。  はいはーいとこまるちゃんが笑顔で見送る。  と、苗木君が見えなくなった途端。  こまるちゃんがやおら表情を真剣にしたかと思うと 「え、えーっとですね……女性の方にだけ聞いてほしいことがあるんです……」  そう切り出してきた。 「ど、どうしたのこまるちゃん?」 「なんだべ?悩みの相談だったら俺っちが一番だべ!」 「葉隠なんて一番しちゃダメな人じゃない……」 「葉隠はわかるけどよー。なんで俺や山田もダメなん?」 「えーっと……そのー……」 「ほらー。こまるちゃん困ってるでしょう?いいから向こういったいった!」 「そこまで言われると、逆にどんな内容か気になりますな」 「……桑田くん、盗み聞きしたら嫌いになっちゃいますよ?」 「あー、あたしも桑田さん嫌いになっちゃうかも~。いい人だと思っていたのに……」 「おーしお前らこまるちゃんのそばに行ったらぶん殴る!」 「……完全に操られてますわね」 「仕方がありませんな。大事な話のようですし。  ではこちらでは『外道天使☆もちもちプリンセス』の素晴らしさを改めて……」 「誰も聞きたくないべそんなもん……」  なんて会話を横目にしながら女子は机の一方に集まる。  苗木君は置いておいて……贔屓目に見ても相談しづらい男子メンバーだ。  込み入った話なら女子だけで話すというのは正解だろう。 「えーと……それでこまるちゃん、話というのは何ですか?」  みんなが集まったところで、舞園さんが切り出す。 「は、はい……実は……お兄ちゃんのことなんですが……」  まあそうだろう。苗木君がいなくなってから持ちかけたのだから。  問題は内容だ。……彼が一体どうしたというのだろう。 「うー……すいません!ちょっと先に経緯を説明します!」 「そうね、それでいいわよ。そのほうが私たちもわかりやすいだろうし」 「私としてはスパッと言ってほしいのですけれども」 「こらっ、セレスちゃん!」 「こまるちゃん、ゆっくりでいいですからね。」  と、ここで苗木君が戻ってきた。 「……あれ?何かあった?」 「う~……お兄ちゃんはいいからむこう行ってて!!」 「苗木君、悪いんですけれど少しだけ離れていてもらえませんか?  ……こまるちゃんと女子トークです」 「まさか盗み聞きする……なんてことはないですわよね、苗木君?」 「い、いや……そういうことなら別にいいけど」  何を話すつもりなんだ?とつぶやきながら桑田君達のほうへ向かう苗木君。 「えっと……大丈夫ですか?こまるちゃん」 「あ、ありがとうございます……じゃあ、えっと、状況から……説明します。。  実はですね、私……お兄ちゃんには今日のお昼にこっちに着くと言っていたんですが……  実際は午前中には駅に着いていたんです」 「……は?」 「つまり……、嘘の時間を教えていたと?」 「……はい」 「なぜそのようなことをしたのかしら?」 「いやー、ちょっとお兄ちゃんの家に突撃して、どんな暮らししてるのか見てみようと。  事前に行ったら絶対入れてくれないだろうし」 「ああ、なるほどね……こまるちゃんかわいいじゃん。」  えへへへーとこまるちゃんが照れ笑いを浮かべる。  ……本当こういうしぐさが苗木君そっくりだ。  しかし……今のところ、何も問題ないようなのだけれど。  うん?…………苗木君の家?  途端。嫌な予感がした。 「それで?苗木君の家には行けましたの?」  セレスさんが会話を続けるよう促す。  こまるちゃんも「は、はい!」と真剣な表情に戻った。  それはいいのだけれど……私はこの会話がどこに行きつくか大体わかってしまった。  それと同時に嫌な汗が背中をつたう。 「それで、お兄ちゃんの家に突撃したまではよかったんです。  住所もお母さんたちから聞いてましたし」 「さすがに苗木君でも、いきなり行ったら入れてくれなそうですね」  舞園さんが苦笑いしながら言う。 「ええ、そうなんです。お兄ちゃんたら全然入れてくれなくて。  扉の前で思いっきり叫んでやるぞー!って脅したらようやく入れてくれました」 「こ、こまるちゃんすごいね……」 「すごいしぶしぶでしたけどね。それで、ここからが本題なんですけれど……」  ああ、嫌な汗が止まらない。 「お、お兄ちゃんが……同棲しているかもしれないんです!!!!」 「「「………………………………………………」」」  その発言を聞いた途端。3人の目が一斉にこちらを見る。  「……?どうかしましたか?」 「いえ、なんでもないですよー?うふふふふ」 「ええ、なんでもないですわよ。それより、なぜそのような結論に?」 「あ、はい。えっとですね……まず、お兄ちゃんの家に入ったとき、ブーツキーパーがありました。  見えにくい位置にあったのでお兄ちゃんも気が回らなかったのかもしれません」 「ふむ……なるほど」 「あー……苗木そういうのにぶそうだからねー……ねえ霧切ちゃん?」 「……ええ、そうね」 「それよりこまるさん。まず、とおっしゃいましたわね。それ以外にも何か?」 「はい。……こっそり覗いた洗面台に色違いの歯ブラシが2本ありました。  あとはお茶碗などの食器が2組ずつあったり。極めつけはベッドにあった2つの枕!  ……あまりにベタ過ぎて、私を驚かすドッキリだったんじゃないかと思うくらいです……」  でもそんなことできる兄じゃないんですよねぇ……とこまるちゃんがぼやく。 「家にいたのはお兄ちゃんが着替えるまでの短い時間だったのでこれくらいですが……  お兄ちゃん鈍いので私が気付いたことにすら気づいていないかもしれません……  それに……その、実はもう別れてしまっていて、その人が忘れられない兄がそのままにしてる……  とかだったらつらいじゃないですか!!」 「うーん……それはないんじゃないかな……」 「と、とにかくですね!お兄ちゃんに彼女がいるのか、同棲しているのか……気になって。  それで……みなさんが何か知っていないかな……と。  ……どうかしましたか?」 「「「いえ、何も」」」  こまるちゃんの相談内容を聞き終えた3人が一斉にこちらを向く。  朝比奈さんとセレスさんそのいやらしい笑みをやめなさい舞園さん笑っているようだけど目は笑っていないわよ  誠君不測の事態だったのはわかるけれどせめてもう少し何かできたんじゃないかしらなんで私は今日出張に行っていたのだろう  ああもう早くここから逃げ出したい消えてしまいたい 「こまるさん。安心してくださいな」 「え?」 「!!」 「残念ながらわたくしははっきりとした答えは存じません。  ですが……この霧切さんが何と呼ばれていたかはご存じでしょう?」 「あ……!超高校級の探偵!」 「そうですよ。霧切さんならきっと調べてくれますよ。  ……それどころか霧切さんは今の話だけで推理できてるんじゃないですか?」 「ほ、本当ですか!?」 「え、ええ。そうね……」  先ほどから舞園さんの視線が痛い…… 「き、霧切さん!ぜひお兄ちゃんの彼女がどんな方なのか調査をお願いします!」    手を握られ、懇願される。  誠君とちがってこの子は積極的なのね。先ほどの話が本当ならなかなかの観察眼も持っているみたいだし  探偵にむいているんじゃないかしら――なんて現実逃避をしてしまう。  と、ここで朝比奈さんが 「ねーねー。こまるちゃんはお兄ちゃんの彼女を調べてどうするの?」 「え?」 ……そうだ、こまるちゃんは調べてどうするつもりなのだろう。  ……別れさせるつもりです!とは言わないだろうけど。  こまるちゃんはいったいなんと答えるのか……思わず緊張してしまう。 「別に、どうもしませんけれど?」 「「「「…………は?」」」」    だからその答えを聞いたとき、思わず目が点になってしまった。  周りの3人も同じらしい。 「だってお兄ちゃんが選んだ人ですもん。きっといい人ですよ。心配はしていません。  ただ……私に黙っているってひどくないですか!?秘密にされたらどんな人か気になってしまうじゃないですか!!」  ……なんというか。 「……苗木君、信頼されてますね……」  舞園さんがやや苦笑い気味に言う。 「まぁ……彼の性格なら当たり前でしょう」 「うん……苗木だしね」  ほんと……仲のいい兄妹なのね。    と、気が緩んだところでセレスさんが 「そうですわね……では、そんなこまるちゃんに1つアドバイスを差し上げますわ」 「アドバイス?……なんでしょう?」 「今後霧切さんを呼ぶときは"お義姉さん"と呼んだほうがよろしいですわよ。  ……いずれそうなりそうですし。」 「………………は?え?」  その一言を口にした。  こまるちゃんがこちらを見たまま固まってしまう。  おそらく顔を真っ赤にした私を。  ……なんというべきか頭が真っ白になってしまった。  ……こんなときはなんというべきだったか。   「……えっと、はい……なえ……誠君と……お付き合いさせていただいてます……」  ……普通こういうのは男の人が言うものではないのかしら。  言った後に若干後悔した。  そのまま、何も言えない私とこまるちゃんがたっぷり見詰め合い―― 「…………おにいちゃん!どういうこと!?説明を要求する!!!!」 「な、なんだよいきなり!!」     妹さんが誠君のもとへ駆けて行った。  赤くなったままの私を残して。  ……私たちにも説明しなさい、と訴えてくる3つの視線をどうかわそうかしら…… -------  結局、男子メンバーにも事の経緯を知られてしまった。 「かわいい妹がいて霧切と同棲してる……って苗木どういうことだおい!?」 「拙者からひと言。リア充爆発しろ!!」 「付き合ってるのはバレバレでしたけど、もう同棲してるなんて……ショックです」 「高校のときからよく2人でいたのに、これ以上何を隠すのかと」 「実は結婚してましたーって言われても驚かないかもねー」 「うう……お兄ちゃんがこんな綺麗な彼女作るなんて意外だよ……」 「ふわぁぁ……よく寝たべ。うん?みんなどうしたんだべ?」  なんて会話を、誠君と2人で顔を赤くしながら聞いていた。  いつかは知られてしまうことだろうけど……こんな形になるとは予想外だった。  ……こまるちゃんが来たとき、もう少し何とかならなかった?という視線を誠君に向けてみる。  誠君は真っ赤な頬をかきながら 「えっと……こんなことになって……ごめん。気づかなくて」  と少しずれた謝罪の言葉を口にした。  ……もちろん、私も本気で怒っているわけではない。 「別にいいわよ……いつかは……その、言わなきゃいけないことだし」 「う、うん。……ありがとう」 「こらそこ!いちゃいちゃしない!まだ質問は終わってないんだからね!」    まだまだ質問の嵐は収まりそうにない。  ……みんな明日大丈夫なのかしら? ---------- 「みんな乗れたかな?」  まさかこんなことになるなんて……と小さくため息をつく。  ようやく解散したのは終電……とまではいかないけど、かなり遅い時間だった。  やっぱりみんな明日も予定が詰まっているらしく、それぞれタクシーや電車で帰って行った。  残っているのは僕と響子さん、それと 「なによ、ちゃんと帰るから心配しないでよ」    なぜかまだ帰らないこまる。   そのままそっぽを向いてしまったが、時折こちらに振り向く。  ……僕に言いたいことがあるのだろう。  飲み会最中質問攻めにしてきたくせに……これ以上何かあるのか?     やがて、ゆっくりとこっちを向き 「あ、ありがとね……今日無茶を聞いてくれて」 「お、おう……」 「すっごい楽しくて…次も誘ってくれるって言ってもらえて。  すごいうれしい…お兄ちゃんのおかげ」  お礼を言われた。面と向かって言われるのは久しぶりな気がして……妙に落ち着かない。  次の瞬間 「でもっ!黙って彼女作って同棲して!お兄ちゃんのくせに生意気だよっ!」 そう叫んだかと思うと、駅に向かって走り出した。  ……あいつらしいや。  思わず苦笑い。   「幹事お疲れ様。誠お兄ちゃん。……ふふふ」 「や、やめてよ響子さん。もう……」  響子さんはあの後開き直ったかのように堂々としたいつもの態度に戻っていた。  もちろん僕をからかうのも忘れない。  ……そこはゆずれないのか……  ほんと、今日の飲み会はいつもより大騒ぎだった 「それともう1つ!」 「あれ?」  見ると、妹が途中でこちらを振り返って叫んでいた。  …まだなにかあるのだろうか  しかし、こまるは僕ではなく、響子さんを見ながら。  そして、わずかに考え込むようなしぐさをした後   「えっと…響子お義姉ちゃん!お兄ちゃんをよろしくおねがいします!」 「……ええ、こちらこそよろしくお願いします。こまるちゃん」    …そんなやりとりをした。  その言葉を聞いて、こまるは満面の笑顔になると――今度こそ振り返らずに走っていった。 「……いい妹さんね」 「ははは……にぎやかなだけだよ」  こんな形になってしまったけれど……響子さんとこまるは結構仲良くなれたみたいだ。  ただ…きっと帰ったら今日のことを両親に報告するんだろうなぁ…。  早く連れてきなさい!と電話口で叫ばれる未来がありありと目に浮かぶ。  それならばいっそ。 「ねぇ……響子さん、お願いがあるんだけど」 「?何かしら、誠君」 「今度、2人で旅行に行かない?行先は……僕の実家だけど」 「……あら、いい考えね。じゃあ苗木君、そのあと私の実家に行くのはどう?歓迎するわよ」 「……いいね。じゃあ明日さっそく予定の確認しようか」 「……いっそ違う報告もしちゃう?」 「ん?何かほかに報告することあるっけ?」 「……まあ急ぐ必要はないわね。……指輪もないし。とりあえず帰りましょ誠君」 「ちょ、ちょっと一人で納得しないでよもう。最後なんていったの?」 「なんでもないわよ、誠お兄ちゃん」 ------

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