k20_439-442

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 霧切は学園の捜査をに区切りをつけて、一旦部屋に戻ろうとドアノブに手を掛けた。 ――バリバリッ! 「っ――!?」  瞬間、霧切は声を上げることもなく急に倒れこんだ。ドアノブから彼女の体中に強烈な電撃が走ったのだ。  霧切は薄れゆく意識の中、目の前に白と黒のあいつの姿があったのを確認して、意識を完全に手放した。    ◇◇ 「特にすることもないし、シャワー浴びて寝るか……」  苗木は自室に居た。いつもどおり、といってもこの非日常生活を「いつもどおり」と表現するのは癪に触るが、多少慣れてきてしまっているのは事実だった。  苗木は衣服を脱ぎ捨てるとタオルを手に取って、シャワールームのドアを開けた。すると―― 「うわぁぁあぁああああ!!!!」  自分で叫び声を上げているとも気づかずに大声で苗木は叫んだ。そこにあった光景は、 もう居なくなってしまった彼女――舞園さやかの殺人現場を思い出さずにはいられない光景だった。だが、異なる点がある。 「霧、切さん……?」  以前舞園が倒れていたそこにあったのは、目を閉じて動かない霧切の姿だった。 少しだけ冷静さを取り戻した苗木は、状況を把握しようと近寄りたかったが出来なかった。 それは霧切の姿に問題があった。息はあるようなので、多少苗木は安心したが霧切は黒い上下の下着のみしか身に付けていなかった。 そして、彼女の両手首と両足首がシャワールームには似つかわしくない鎖でしっかりと繋がれている。 いつ、鎖がシャワールームに取り付けられたのか苗木は全く理解できなかった。  恐怖と羞恥が苗木を同時に襲う。とりあえず彼女に起きてもらわなければ――苗木はそう思ったが、起こすまでもなく霧切が身じろいた。 「……んっ、私……何を……え?」  霧切はぼやける視界のまま自分の状況を直ちに理解しようと見回したが、それは彼女にとって予想以上の状態だった。 身に覚えのない場所、格好に霧切は少しだけ混乱した。 「霧切さん!? 大丈夫!?」  まだ頭がハッキリしていないのか、霧切は声をかけられて初めて苗木が居ることに気がつき、そちらを見た。 「え、苗木く……! ごめんなさい」 「え?」   霧切は少し頬を染めて顔を背けた。苗木は一瞬霧切の反応の理由が分からなかったがすぐに理解した。 そもそも苗木はシャワーを浴びようという目的でシャワールームに来た。 だから当然彼は一糸纏わぬ姿だったので、霧切の目に彼のそれが飛び込んできてしまったのだ。 「わぁああ!! ごめん!」  苗木は、思いっきりドアを閉めた。 ――最悪だ。状況が理解できないのもあるけど、何でこんな状況で反応してるんだよ。 ――しかも見られた。女の子に……霧切さんに。  泣きたくなる衝動に駆られながら、苗木は急いで服を着た。そして、ベッドのシーツを剥がし、それを持って再びシャワールムへ入る。 「さっきはごめん」 「別にいいわよ……それは?」  彼女は自分の下着姿が異性の前に晒されてしまっていることを気にしていないのか、普段通りの調子で苗木がシーツを持ってきた理由を尋ねた。 「鎖があるから服着れないでしょ? とりあえずはこれで隠して」 「苗木くんにしては気が利いているのね」   苗木が霧切にシーツをかけると「ありがとう」と彼女は呟いた。そして当然ながらお互い状況が理解できていないのでその確認をする。 「一応聞くけど、ここは苗木くんの部屋よね?  シャワールームのドアに鍵がないこととあなたが居ることからそれは分かるのだけど……苗木くんが私にこんなことしたわけじゃないのよね?」 「そんなの当たり前だろ!? むしろこの状況、ボクが聞きたいよ。なにか覚えてないの? 霧切さん」  そう言うと霧切は、記憶をたどった。 「……そうだわ、思い出した。私自分の部屋に帰ろうとしていたのよ。それでドアノブを掴んだ途端に電撃が走って、そのまま気を失ったわ。 確か……モノクマを最後に見た覚えがあるわ」 「モノクマなら納得だね」  苗木は頭に手を当てて盛大に溜め息をついた。 「それにしても、この鎖全然ビクともしないね……工具セットも役に立たなそう……腕、大丈夫? きつくない?」 「流石に長時間ずっと手を頭上に上げているというのは、少し辛いわ」  霧切に繋がれた鎖は彼女の両手を頭上に固定し、両足は体育座りを少し横に開いたような格好に固定されるような繋ぎ方をしてあった。 脚は閉じることも開くことも出来ない微妙な長さの鎖だ。 「そうだよね……モノクマ呼ぶしかないかな」 「そうね」 「そろそろ呼んでくれる頃だと思ったよ! うぷぷぷ!  まだ呼んでいないのに、モノクマがシャワールムの入口の所に現れた。 「……コレなんなんだよ? お前がやったんだろう?」 「苗木くんにボクからのプレゼントだよ! この生活に処理をすることも出来ずに苦しいだろうと思って」 「な、何言ってんだよ!?」   モノクマの言うことはいつもわけがわからないが、今は特にそうだった。苗木は動揺しながらもキッとモノクマを睨みつけて抗議した。 「そんなことどうでもいいから、霧切さんを開放しろよ! これどうやって外すんだよ!」 「苗木くん……そんなところを大きくしたままの君に言われても説得力に欠けるなぁ……うぷぷ!」 「なっ――!」   否定したいが苗木は否定できなかった。最初に霧切の姿を見て反応してしまった時から収まりがついていなかったのだ。 「苗木くん、モノクマの言うことなんて気にすることないわよ」 「あれぇ? 霧切さんそんなこと言っていいのかな?」 「何よ?」 からかうように霧切の顔を覗き込むモノクマを霧切はうんざりした表情で見た。 「最近視聴率がね……おっと失言。えっとねぇ、簡単に言うとその鎖は霧切さんがイケば外れるシステムだよ。もちろんちゃんと挿れないとダメだよ」 「は?」 「イケばって、どういう意味なの? 挿れるって何を何処に?」 「さぁ、どういう意味なんだろうね? 苗木くんに聞いてみればいいよ」  モノクマにそう促されて霧切は苗木の方を見た。無言で答えを要求する霧切に苗木は背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。 「ご、ごめん、ボクにも何のことかわからない」 「知ってるんでしょう。どういうことでも構わないから言ってちょうだい」 「ボクには無理だよ! モノクマが外せば済むことだろ!?」  苗木は叫んで逃げ出そうとした。が、しかし―― 「苗木くん、良いの? さっき言った外し方以外に外す方法はないんだけど。ボクに霧切さんを預けちゃっていいの?  別にボクはいいけど。あ、ちょうど苗木くんがモノモノマシーンで取った”動くこけしも”あるしね」 「そ、それは……」  苗木は迷った。しかし、モノクマと苗木のやりとりを静かに見ていた霧切が口を開いた。 「なんとなく、そのこけしで分かったわ。ねぇ、モノクマ。本当にその方法以外に外す方法はないの?」 「ないったらないの! 何度も言わせるなよ、もう!」  プンプンと怒りながらジタバタとモノクマが動くが二人には不愉快でしかない。 「そう、わかったわ。あなたに用はないは、出て行って」 「あれれ? 外せなくていいの?」 「苗木くんに外してもらうからいいわよ」 「ちょ、何言ってるの霧切さん!?」 「はぁー……苗木くんって乙女心が分かってないんだねぇ。ここまで女の子が言えばあとはふつう分かるでしょ。流石童貞の苗木くんだね!」 「う、うるさい! 黙れよ!」 「はーい! じゃあボクは黙って帰るね。バイナラー!」 「あっ! 待――」 「待って貰う必要はないわよ……あいつが居たって邪魔なだけだわ」  ふぅ、と息を吐きながら言う霧切はいつもどおりの表情と声色だった。だが苗木までいつもどおりという訳にはいかない。 「霧切さん、どういう意味か分かってるの……?」 「……ええ。あなたと、性交すれば良いってことでしょ? イクってことに関してはよく分からないけれど」  ハッキリと恥ずかしがる様子もなく霧切はそれを言ってのけた。まっすぐその瞳は正面から苗木の瞳を見据えている。 「ボク、できないよ……そんなの無理だ……」 「そんなこと言われてもコレが外れないと私も困るわ」 「それは、そうだけど……」 「ねぇ、さすがに私も恥ずかしくないわけではないのよ? だけど苗木くんだからお願いしてるの」  彼女が恥ずかしさなど感じていないと思っていた苗木は驚いて目を見開いた。 「え……? どういうこと?」 「私の言動でわかると思うけど、性行為の経験なんて私には無いわ。 こんな形で経験するのもさすがに複雑だけど、訳の分からないモノクマなんかに奪われるよりも目の前の好きな人に捧げたほうが良いに決まってるでしょう?」 「へ? 好きな人?」  夢にも思っていなかったことを霧切に言われた苗木から情けない声が漏れた。その様子に霧切は嘆息しつつもこう続けた。 「苗木くん、私はあなたが好きよ。だけど、あなたは私のこと嫌いなのかしら?  この状況でそこまで渋るっていうのは……あなたのソコを見る限りは私に魅力がないというわけではないと判断できるけど」  シーツの下の霧切の姿が、この状況が、雰囲気が苗木のソレを隠せないほどに大きく硬くさせていた。  指摘されて苗木は動揺したが、彼女の思いの応えなければという気持ちが彼を奮い立たせたが、口から出てくるのは優柔不断な言葉だった。 「ボク、は……君にたくさん助けられて、できることならボクも君を助けたいと思うけど……でも……ボクで良いの?」 「これ以上ガッカリさせないで……私はあなたが好き。あなたがいいの。ここまで言ってるのに分からないの? そんなこと言われると結構ショックなのよ?」 「……ご、ごめん」 「ねぇ、私の事好きなの? 嫌いなの? するの? しないの?」 「す……すすす、好きです!」  強い口調で返事を急かされて、苗木はなんとも情けない形で人生初の告白をしてしまった。 「そう……だったらどうすればいいか、分かるわね? 腕が痛いから早くして欲しいわ」 「で、でもそれ以上に多分痛くしちゃうかもしれな――」 「早くして」  霧切の勢い気圧されて苗木は黙り込んだ。しかし緊張しながら霧切に近づき、ゆっくりとシーツを取り除いた。  改めて、黒の下着がよく映える真っ白な綺麗な彼女の肌が顕になった。 「苗木くん、こんな状況だけど……その、せめて雰囲気は大事にしたいわ……だから――」 「わかった、よ……霧切さん。目、閉じて」  苗木の言葉に従ってゆっくりと霧切は目を閉じた。  最悪なきっかけだったが、二人の新しい関係が始まる瞬間だった。 ― END ―

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