SSS『大晦日』

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「今年ももう終わりね」 「そうだね。…霧切さん、実家帰らなくて良かったの?お祖父さん、一人なんでしょ?」 「お祖父様は仕事で海外よ。それに、寒いから外出は嫌なの」 「…霧切さんって猫みたいだよね」 「怠惰だって言いたいのかしら?」 「いっ、いやいやホラ、猫は冬が苦手で炬燵で丸くなる~ってイメージが」 「そうね、炬燵があれば是非そうしたいところだわ。…どうしてこの寮は洋風なのかしら」 「まあ、冷暖房完備だからいいじゃない」 「はい、お待たせ。出来たよ、お蕎麦」 「ありがとう、頂くわね。……うん、美味しいわ。やっぱり残って正解ね、あなたの作る蕎麦ならきっと美味しいと思ったもの」 「いやあ…料理スキルなんかゼロに等しいんだけどね。麺類くらいなら簡単だし、なんとかなるってだけで」 「それは麺類すら満足に作れない私への当て付けかしら?」 「ち、違うってば!」 「ふふ…冗談よ。けど、本当に美味しいわよ。苗木君なら立派な主夫になれるんじゃないかしら」 「う…もう、からかわないでよね…」 「ほら、あなたも食べないと伸びるわよ」 「はぁ…いただきまーす」 「…ねぇ。苗木君こそ、帰らなくていいの?」 「うん?」 「私が言うのも何だけど…普段寮暮らしなのだから、年越しぐらいご家族と過ごせばいいのに。実際、ほとんどの生徒が帰ってるでしょう」 「あー、うん。そうだけど…せっかく希望ヶ峰学園に来たんだし、一回くらい年越しも経験したいなーと思ってさ。それに霧切さんが、……」 「私が?」 「………き、霧切学園長も残ってるからさ!お世話になってるし、新年早々挨拶に行きたいなと!」 「(何を言いかけたのかしら)…やめておきなさいよ、せっかくの元旦が台無しになるわよ」 「そんなこと…あ、そうだ霧切さんも一緒に挨拶しに行こうよ!」 「どうして私が…」 「学園長だって霧切さんの家族でしょ?きっと喜ぶよ。ボクも行くからさ」 「……わかったわよ。大晦日は苗木君と2人っきりで過ごしたと挨拶すればいいのね?」 「ぶふぁっ!?ちょっとな、なっ、何を」 「…ふふっ、年の終わりまでからかいがいのある人ね」 「……もう…。まあいいや、来年もよろしくね、霧切さん」 「ええ。よろしく、主夫の苗木君」 「もう勘弁してよ……」 ----

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