kk34_514

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「えへへ、これからよろしくお願いしますね霧切さん♪」 「ええ、よろしく、こまるさん」 「あっ、これから苗字一緒になるのに旧姓呼びはおかしいですかね?何か考えましょー!」 「え、ええ…//」 苗、…誠と名前が一緒になる、という事実に少し照れを感じ、少し頬を染める。 「やっぱ無難にお義姉さん?いや、ちょっとつまらないな… あ、霧切さ…はお嬢様っぽいし、『響子お義姉さま』はどうでしょー?」 「…ぁ、や、やめてッ!」 おそらくは冗談で言ったであろうその呼び名__ それはあまりになじみ深く、あまりに苦痛な、唯一霧切のトラウマであった。 思い出したのだ、あの日を。 お姉さまと呼び、慕っていた人に裏切られた、あの日見た… 自分の手が焼きただれ、それを眺める彼女の目を。 泣けど叫べど、助けてくれはしない。無邪気な目の面影はない。 響子が、人を信じることができなくなった原因を、思い出したのだ。 響子の額が、じっとりと汗に濡れてゆく。 「ど、どうしたんですか?あ、何か気に障ること言っちゃいました!?ごめんなさい!…大丈夫ですか響子さん?」 急に大声を上げた私に驚いたこまるは、響子の異様な様子に気付いたみたいだった。 「はっ…だ、大丈夫。急に大声上げてごめんなさい。呼び名は今の 響子 でいいわ」 額の汗をぬぐう。 嫌なことを思い出した。急に大きな不安を感じる。 でも__ 彼はきっと、私を裏切ったりしない。 そして私も裏切らない。 「…トラウマにされるなんて、嫌だもの」 誠が向こうから歩いてくる。 そして響子も、歩いて行った。

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