書き初めネタ

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新年を迎えたということで、石丸の提案で書初めをすることになった。 筆や墨汁、硯に半紙といった書道の道具一式を倉庫から引っ張り出し、体育館で行うことになった。 「服や手が汚れるから」とセレスは参加を拒んだが、石丸の強引な誘いで渋々参加した。 書初めのテーマは『新年の抱負』だ。 苗木「う~ん。一体何を書こうかな?」 真っ白な半紙と睨めっこしながら、苗木は何を書こうか思いあぐねる。 苗木は一端筆を硯に置き、周りを見渡す。 苗木「皆どんなの書いてるのかな?」 苗木はすっくと立ち上がり、他の皆がどんな抱負を書いているのか見て回ることにした。 まずはすぐ近くにいた石丸だ。 苗木「石丸君。石丸君はどんな抱負を書いたの?」 石丸「やあ苗木君。今納得のいくものが書き上がったところだ。見てくれたまえ!」 石丸の半紙には、半紙からはみ出しそうな大きな字で『質実剛健』と書かれていた。 苗木「とても石丸君らしいね。字も言葉も。」 石丸「お褒めに預かり光栄だな。今年も僕は努力に努力を重ね、邁進していく所存だ!凡人同士、苗木君も共に頑張ろうではないか!はっはっは!」 苗木「う、うん。そうだね…。」 ちょっと空気が読めないというか、相手への配慮が欠けるところのある石丸だが、決して悪気があるわけではない。 苗木もそれが分かっているため、さらっと受け流して次の人物のところへ行くことにした。 苗木「大和田君。大和田君の抱負は何かな?」 大和田「おう、苗木か。丁度いい。俺の力作を見ていけや!」 大和田が自慢げに掲げた半紙には、『全国制破』と書かれていた。 流石は超高校級の暴走族といったところか。 しかし…。 苗木「あの…大和田君。『せいは』の『は』って、その字じゃなかったと思うんだけど…。」 大和田「ああ?何言ってんだよ。ちゃんと合って…あ。」 大和田は携帯電話を取り出し、『ぜんこくせいは』を漢字変換してようやく自分の間違いに気づく。 大和田「畜生やり直しだー!それにこんな難しい字書けるかあぁー!」 苗木「………。」 大和田は顔を真っ赤にしながら半紙をクシャクシャに丸め、その場に叩きつけた。 苗木はとばっちりを食う前にそっとその場を立ち去った。 ちなみに、正しくは『全国制覇』である。 セレス「あら苗木君。そんな所をウロチョロして何をしてらっしゃいますの?正直に言って目障りですわ。」 慇懃無礼極まりない喋り方で苗木に声を掛けたのは、書初めへの参加を渋っていたセレスだ。 苗木「あ…セレスさん。何を書いたらいいか決まらなくて、他の皆のを参考にしようかな、と…。」 セレス「ふぅ…。全く呆れてしまいますわね。あなたが掲げる抱負など一つしかないではありませんか。」 苗木「え?」 セレス「あなたが目指すのは史上初の『Bランク』しかないでしょう。あなたはわたくしのナイト候補なのですから。おわかりですか?<●><●>」 セレスはカッと目を見開いて苗木にぐっと顔を寄せ、苗木は思わず仰け反ってしまう。 苗木「そ、そういえばセレスさんは何て書いたの?」 セレス「わたくしですか?わたくしの抱負は常に『全戦全勝』、これのみですわ。」 苗木「全戦全勝って…やっぱりギャンブル?」 セレス「勿論。今年も世界中のギャンブラーからたっぷりお金を搾り取って毟り取って、わたくしの夢実現のための踏み台となって頂きますわ。」 苗木「が、頑張ってね…。」 セレス「あなたに応援していただかなくても頑張るつもりですわ。あなたの方こそBランク目指して頑張りなさいな。わかりましたね?<●><●>」 苗木「だから僕はセレスさんのナイトになるなんて一言も…。」 セレス「チッ!相変わらず苗木君は分からず屋ですわね。あまり強情が過ぎるとDランクに格下げしますわよ?」 苗木「はあ…。」 分からず屋はどっちだと苗木は言いかけたが、恐らく言ったらブチギレされると悟り、その言葉を吐き出さずに飲み込んだ。 その後も苗木はクラスメイト達の書初めを見て回った。 大神は『精進』、不二咲は『強くなる』、朝日奈は『健康第一』と、本人をよく表しているものが多かった。 しかし、本人らしいとはいっても、桑田の『彼女ゲット』や山田の『二次元』、腐川の『白夜様(ハート)』、江ノ島の『絶望万歳』なんてものもあったが…。 そんな中でも、葉隠の『一朗超え』と戦刃の『脱・残念』は意味不明だった。 苗木「葉隠君、一朗って誰?同業者?」 葉隠「おいおい苗木っち。お前まさかメジャーリーガーのイチローを知らねえのか?」 苗木「それくらい知ってるよ。それが何で葉隠君の抱負に出てくるのか聞いてるんだよ。」 葉隠「何でって、あのイチローですら4割の壁を超えられねえんだ。だから俺の今年の目標は占いの的中率を4割にすることだべ!イチローより先に4割の大台を突破してやるべ!」 苗木「占い師が野球選手と張り合ってどうするのさ…。そもそも比べる対象が違うし…。」 色々と突っ込みどころ満載だが、相手にしていたらキリがないため、苗木は放っておくことにした。 苗木「戦刃さんの『脱・残念』って、どういう意味?」 戦刃「聞くな。」 苗木「え?」 戦刃「聞くなと言っている!」 苗木「は、はい!分かりました!」 江ノ島「あ~あ。お姉ちゃんってば、そういうことするから残念だっていうのにまだ気づかないんだ?うぷぷぷ…。」 姉の書初めを遠目でみた江ノ島は、小馬鹿にしたような目と表情で姉と苗木を嘲笑していた。 苗木「あれ?十神君、何も書いてないけど、十神君も何を書くか決まってないの?」 十神「お前と一緒にするな。俺に抱負など必要ない。そもそも抱負など不完全な出来損ないが掲げるものだ。完璧な俺には不要なものだ。」 苗木「そ、そうなんだ…。」 十神「まあ、敢えて抱負を書くのであれば、これ以外にはないな。」 そう言って筆を執った十神は、半紙に『頂点』の2文字を書き記した。 十神「俺は頂点であり続ける。これまでも、そしてこれからもだ。」 苗木「あはは…。十神君らしいや。」 クラスメイト達の書初めをあらかた見終り、残るは舞園と霧切の2人だ。 2人は並んで書初めを書いていたが、苗木が近づくと同時に2人とも半紙を隠してしまった。 苗木「ど、どうしたの2人とも?」 舞園「ええと、ちょっと失敗しちゃって。これから書き直すところなんです。ねえ、霧切さん。」 霧切「ええ。だから向こうへ行ってくれないかしら。集中できないわ。」 苗木「う、うん。分かったよ。」 2人の態度に疑問を覚えつつも、苗木はその場を立ち去った。 舞園「霧切さん。負けませんからね。」 霧切「一体何の事かしら?」 舞園「どんな結果になっても、恨みっこなしでいきましょう。私、霧切さんとは良いお友達でいたいですから。」 霧切「それは…私も同意見ね。」 苗木「さてと、いい加減僕も自分の抱負を書かなくちゃ。とは言っても、何を書こう?」 皆の書初めを見て回ったものの、やはり考えは纏まらなかった。 そこで、もう一度クラスメイト達の姿を見る。 苗木「やっぱり、これだよな。」 『平穏無事』 終わり
新年を迎えたということで、石丸の提案で書初めをすることになった。 筆や墨汁、硯に半紙といった書道の道具一式を倉庫から引っ張り出し、体育館で行うことになった。 「服や手が汚れるから」とセレスは参加を拒んだが、石丸の強引な誘いで渋々参加した。 書初めのテーマは『新年の抱負』だ。 苗木「う~ん。一体何を書こうかな?」 真っ白な半紙と睨めっこしながら、苗木は何を書こうか思いあぐねる。 苗木は一端筆を硯に置き、周りを見渡す。 苗木「皆どんなの書いてるのかな?」 苗木はすっくと立ち上がり、他の皆がどんな抱負を書いているのか見て回ることにした。 まずはすぐ近くにいた石丸だ。 苗木「石丸君。石丸君はどんな抱負を書いたの?」 石丸「やあ苗木君。今納得のいくものが書き上がったところだ。見てくれたまえ!」 石丸の半紙には、半紙からはみ出しそうな大きな字で『質実剛健』と書かれていた。 苗木「とても石丸君らしいね。字も言葉も。」 石丸「お褒めに預かり光栄だな。今年も僕は努力に努力を重ね、邁進していく所存だ!凡人同士、苗木君も共に頑張ろうではないか!はっはっは!」 苗木「う、うん。そうだね…。」 ちょっと空気が読めないというか、相手への配慮が欠けるところのある石丸だが、決して悪気があるわけではない。 苗木もそれが分かっているため、さらっと受け流して次の人物のところへ行くことにした。 苗木「大和田君。大和田君の抱負は何かな?」 大和田「おう、苗木か。丁度いい。俺の力作を見ていけや!」 大和田が自慢げに掲げた半紙には、『全国制破』と書かれていた。 流石は超高校級の暴走族といったところか。 しかし…。 苗木「あの…大和田君。『せいは』の『は』って、その字じゃなかったと思うんだけど…。」 大和田「ああ?何言ってんだよ。ちゃんと合って…あ。」 大和田は携帯電話を取り出し、『ぜんこくせいは』を漢字変換してようやく自分の間違いに気づく。 大和田「畜生やり直しだー!それにこんな難しい字書けるかあぁー!」 苗木「………。」 大和田は顔を真っ赤にしながら半紙をクシャクシャに丸め、その場に叩きつけた。 苗木はとばっちりを食う前にそっとその場を立ち去った。 ちなみに、正しくは『全国制覇』である。 セレス「あら苗木君。そんな所をウロチョロして何をしてらっしゃいますの?正直に言って目障りですわ。」 慇懃無礼極まりない喋り方で苗木に声を掛けたのは、書初めへの参加を渋っていたセレスだ。 苗木「あ…セレスさん。何を書いたらいいか決まらなくて、他の皆のを参考にしようかな、と…。」 セレス「ふぅ…。全く呆れてしまいますわね。あなたが掲げる抱負など一つしかないではありませんか。」 苗木「え?」 セレス「あなたが目指すのは史上初の『Bランク』しかないでしょう。あなたはわたくしのナイト候補なのですから。おわかりですか?<●><●>」 セレスはカッと目を見開いて苗木にぐっと顔を寄せ、苗木は思わず仰け反ってしまう。 苗木「そ、そういえばセレスさんは何て書いたの?」 セレス「わたくしですか?わたくしの抱負は常に『全戦全勝』、これのみですわ。」 苗木「全戦全勝って…やっぱりギャンブル?」 セレス「勿論。今年も世界中のギャンブラーからたっぷりお金を搾り取って毟り取って、わたくしの夢実現のための踏み台となって頂きますわ。」 苗木「が、頑張ってね…。」 セレス「あなたに応援していただかなくても頑張るつもりですわ。あなたの方こそBランク目指して頑張りなさいな。わかりましたね?<●><●>」 苗木「だから僕はセレスさんのナイトになるなんて一言も…。」 セレス「チッ!相変わらず苗木君は分からず屋ですわね。あまり強情が過ぎるとDランクに格下げしますわよ?」 苗木「はあ…。」 分からず屋はどっちだと苗木は言いかけたが、恐らく言ったらブチギレされると悟り、その言葉を吐き出さずに飲み込んだ。 その後も苗木はクラスメイト達の書初めを見て回った。 大神は『精進』、不二咲は『強くなる』、朝日奈は『健康第一』と、本人をよく表しているものが多かった。 しかし、本人らしいとはいっても、桑田の『彼女ゲット』や山田の『二次元』、腐川の『白夜様(ハート)』、江ノ島の『絶望万歳』なんてものもあったが…。 そんな中でも、葉隠の『一朗超え』と戦刃の『脱・残念』は意味不明だった。 苗木「葉隠君、一朗って誰?同業者?」 葉隠「おいおい苗木っち。お前まさかメジャーリーガーのイチローを知らねえのか?」 苗木「それくらい知ってるよ。それが何で葉隠君の抱負に出てくるのか聞いてるんだよ。」 葉隠「何でって、あのイチローですら4割の壁を超えられねえんだ。だから俺の今年の目標は占いの的中率を4割にすることだべ!イチローより先に4割の大台を突破してやるべ!」 苗木「占い師が野球選手と張り合ってどうするのさ…。そもそも比べる対象が違うし…。」 色々と突っ込みどころ満載だが、相手にしていたらキリがないため、苗木は放っておくことにした。 苗木「戦刃さんの『脱・残念』って、どういう意味?」 戦刃「聞くな。」 苗木「え?」 戦刃「聞くなと言っている!」 苗木「は、はい!分かりました!」 江ノ島「あ~あ。お姉ちゃんってば、そういうことするから残念だっていうのにまだ気づかないんだ?うぷぷぷ…。」 姉の書初めを遠目でみた江ノ島は、小馬鹿にしたような目と表情で姉と苗木を嘲笑していた。 苗木「あれ?十神君、何も書いてないけど、十神君も何を書くか決まってないの?」 十神「お前と一緒にするな。俺に抱負など必要ない。そもそも抱負など不完全な出来損ないが掲げるものだ。完璧な俺には不要なものだ。」 苗木「そ、そうなんだ…。」 十神「まあ、敢えて抱負を書くのであれば、これ以外にはないな。」 そう言って筆を執った十神は、半紙に『頂点』の2文字を書き記した。 十神「俺は頂点であり続ける。これまでも、そしてこれからもだ。」 苗木「あはは…。十神君らしいや。」 クラスメイト達の書初めをあらかた見終り、残るは舞園と霧切の2人だ。 2人は並んで書初めを書いていたが、苗木が近づくと同時に2人とも半紙を隠してしまった。 苗木「ど、どうしたの2人とも?」 舞園「ええと、ちょっと失敗しちゃって。これから書き直すところなんです。ねえ、霧切さん。」 霧切「ええ。だから向こうへ行ってくれないかしら。集中できないわ。」 苗木「う、うん。分かったよ。」 2人の態度に疑問を覚えつつも、苗木はその場を立ち去った。 舞園「霧切さん。負けませんからね。」 霧切「一体何の事かしら?」 舞園「どんな結果になっても、恨みっこなしでいきましょう。私、霧切さんとは良いお友達でいたいですから。」 霧切「それは…私も同意見ね。」 苗木「さてと、いい加減僕も自分の抱負を書かなくちゃ。とは言っても、何を書こう?」 皆の書初めを見て回ったものの、やはり考えは纏まらなかった。 そこで、もう一度クラスメイト達の姿を見る。 苗木「やっぱり、これだよな。」 『平穏無事』 終わり ----

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